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第 9 章 連結決算 139

13.2 Perl による処理

表計算ソフトでは、作業領域を容易に限定できるが、行単位処理を行なうソフトでは、行によっ て読み込みを無視できるよう、頭に何らかの記号、例えば「/」を付けられるようにしておく方が よいであろう。題目や合計欄の頭にある「/」記号は、この対応である。表計算ソフトを利用する ときには不要である。

仕訳帳についても同じ形式の表13.4に示すようなデータを用意する。欄外に日付や摘要がある 方がよいであろう。ただし、処理されるデータは最初の三列だけである。名目勘定科目には「!」記 号を付ける方がよいであろう。この記号なしで作業を行なおうとすると、どの勘定科目が実在勘定 か、どの勘定科目が名目勘定かが字面だけでは判定できないため、勘定科目一覧とその分類を書い た対応表を別に用意し、それを一々参照しながら作業することになるからである。

図13.4: 仕訳帳

/ 仕訳帳 日付 摘要

     現金 40000 預金 1/5 預金引出

!雑費 400 現金 1/6 切手代

!仕入 60000 現金 1/9 現金仕入

現金 72000 !売上 1/11 現金売上

!仕入 60000 現金 1/12 現金仕入

!仕入 126000 買掛金 1/13 掛買仕入

!雑費 9000 現金 1/13 梱包材購入

売掛金 235200 !売上 1/19 掛売売上

!給料 14000 預金 1/22 青色給料

!借入金返済 20000 預金 1/25 c借入金返済

借入金 20000 !借入金返済 n

!支払利息 2000 預金 1/25 借入金利息

!雑費 1000 現金 1/26 旅費

!雑費 2000 預金 1/30 電気水道料

現金 200000 !売上 1/31 c売掛金回収

!売上 200000 売掛金 n

!仕入 100000 現金 1/31 c買掛金支払

買掛金 100000 !仕入 n

預金 100000 現金 1/31 預金預入

仕訳帳では、複数行にわたる仕訳は書かない方がよいであろう。というのは、このデータはキャッ シュフロー計算書作成の際に利用するからである。キャッシュフロー計算書の作成の際、取引が キャッシュ性であるか非キャッシュ性であるかの判定が必要であるが、貸方か借方の勘定科目のい ずれかに現金同等物の科目名が入っている行の情報はキャッシュ部分に移動し、どちらにも現金同 等物の科目名が入っていない行は非キャッシュ部分に移動することで、直接法によるキャッシュフ ロー計算書を作成するからである。もちろん、ちょっとした工夫により、複数行の処理も可能とな るが、ここでは詳細を省く。

同様に、キャッシュフロー計算書の章で示したように、一行にキャッシュと非キャッシュの実在 勘定が組になった仕訳は、あらかじめ二行に分離しておく。これもキャッシュフロー計算書対策で ある。キャッシュフロー以外の計算では、この二行は共通項が相殺し合い、一行のように振舞うの

で、問題はない。

キャッシュフロー計算書の作成では、現金同等物として分類される勘定科目は「現金」、「普通預 金」、「当座預金」が考えられる。ここでは「普通預金」と「当座預金」を共に単に「預金」と表現 してある。仕訳帳の各行を見て、こうした勘定科目の入っている行だけを取り出し、まとめる。こ れを勘定科目ごとに集計すると、表13.5に示す直接法によるキャッシュフロー計算書が得られる。

該当する勘定科目が左借方にあれば、金額だけ増加し、右貸方にあれば減額する。こうして得られ た総計が正であれば、出力としては勘定科目を左借方に書いて、金額に総計を書く。また総計が負 であれば、勘定科目を右貸方に書いて、金額欄には総計の絶対値を書く。

非キャッシュフロー計算書についても同様であり、現金および現金同等物の勘定科目を持たない 行だけを取り出し、同様な集計を行なう。

図13.5: キャッシュフロー計算書

/ キャッシュフロー計算書(直接法) 272000 !売上

!仕入 220000

!給料 14000

!雑費 12400

!借入金返済 20000

!支払利息 2000

     現金 -18400

預金 22000

/ 272000 合計 272000

/ 非キャッシュフロー計算書(直接法) 35200 !売上

20000 !借入金返済

!仕入 26000

売掛金 35200

26000 買掛金

-20000 借入金

/ 61200 合計 61200

こうして作られたキャッシュフロー計算書等の各科目をCFO、CFI、CFF等に分類するのは、

手作業で行なう方が簡単である。もちろん、大会社を前提とした汎用ソフトを開発するときには、

これらの分類も、勘定科目の分類表を参照しながら、自動的に行なうようにする必要があろう。

キャッシュフロー計算書と同様の作業をキャッシュ分、非キャッシュ分の区別なく行なうとフロー 試算表が完成する。それを名目勘定分と実在勘定分に分けて出力すれば、表13.6に示す名目フロー 試算表と実在フロー試算表が得られる。ただし、この左右の合計は合わないので、名目フロー試 算表の平衡項として「!*当期利益」の形で、また同額を実在フロー試算表の平衡項として、左借 方右貸方 を「*当期利益」の形で追加する。

図 13.6: フロー試算表

/ 名目フロー試算表・損益計算書 307200 !売上

!仕入 246000

!給料 14000

!雑費 12400

!支払利息 2000

!*当期利益 32800

/ 307200 合計 307200

/ 実在フロー試算表

     現金 -18400

預金 22000

売掛金 35200

26000 買掛金

-20000 借入金

32800 *当期利益

/ 38800 合計 38800

期首貸借対照表と実在フロー試算表を一緒にして、重なっている勘定科目は合計し、そうでない ものは互いに追加し合うと、表13.7に示す期末の貸借対照表が完成する。

図 13.7: 貸借対照表

/ 貸借対照表

     現金 11600

預金 212000

売掛金   35200

備品 80000

26000 買掛金

80000 借入金

200000 資本金

32800 *当期利益

/ 338800 合計 338800

利益剰余金化では税処理は無視して、この時点で当期利益が確定したものとしよう。すると、こ れを利益剰余金化する必要がある。その場合には仕訳帳に表13.8に示す取引を追加し、再度、計 算をやり直す必要がある。

図13.8: 利益剰余金の処理

!利益剰余金 32800 利益剰余金 1/31 利益剰余金化

この取引を入れて再計算した結果、キャッシュフロー計算書、実在フロー試算表、名目フロー試 算表(=損益計算書)、貸借対照表は表13.9のようになる。計算機による計算は一瞬で終了するの で、この再計算は余り問題にならない。

図13.9: 期末の財務諸表

/ キャッシュフロー計算書(直接法) 272000 !売上

!仕入 220000

!給料 14000

!雑費 12400

!借入金返済 20000

!支払利息 2000

     現金 -18400

預金 22000

/ 272000 合計 272000

/ 非キャッシュフロー計算書(直接法) 35200 !売上 20000 !借入金返済

!仕入 26000

!利益剰余金 32800

売掛金 35200

26000 買掛金

-20000 借入金

32800 利益剰余金

/ 94000 合計 94000

/ 名目フロー試算表・損益計算書 307200 !売上

!仕入 246000

!給料 14000

!雑費 12400

!支払利息 2000

!利益剰余金 32800

/ 307200 合計 307200

/  実在フロー試算表

     現金 -18400

預金 22000

売掛金 35200

26000 買掛金

-20000 借入金

32800 利益剰余金

/ 38800 合計 38800

/  貸借対照表

     現金 11600

預金 212000

売掛金   35200

備品 80000

26000 買掛金

80000 借入金

200000 資本金

32800 利益剰余金

/ 338800 合計 338800

これが、そのまま次期の期首貸借対照表として利用されることになる。

先にも述べたように、これらの計算は、現在の計算機能力ではほとんど一瞬の時間でできるの で、毎日、貸借対照表の計算を行ない、日々の残高照合を行なうことができる。つまり計算機の利 用により、総勘定元帳を廃止することができる。また、棚卸などの種々の資産の再評価も日々行な うことができる、決算時の労力を大幅に減ずることが可能となる、といったいくつもの利点が生 じる。