第 5 章 キャッシュフロー計算書で経営 79
5.5 資金運用表と間接法によるキャッシュフロー計算書
5.5.2 間接法によるキャッシュフロー計算書の導出
キャッシュフロー計算書(間接法)
!税引前利益
!*非キャッシュ収益補正 !*非キャッシュ費用補正
!*退職給与引当金積立 !*減価償却費
!*貸倒引当金積立(負) !*小計以下の収益の相殺 !*小計以下の損失の相殺
!税引以後の費用 !税引以後の収益
運転資産 運転負債
売掛金など 買掛金など その他の流動資産
c!*小計
小計以後は直接法の表と同じ
平衡 省略 省略 平衡
非キャッシュフロー計算書 (小計後)
平衡 省略 省略 平衡
名目フロー試算表(税引前)
平衡 省略 省略 平衡
図5.16: 間接法によるキャッシュフロー計算書
これに基づいて作成した間接法によるキャッシュフロー計算書を表5.17に示す。
キャッシュフロー計算書(間接法)
!税引前利益 1090
!*減価償却費 40
!*受取利息 30 !*支払利息 20
売掛金 -85 買掛金 105
商品 125 未払金(雑費) -50
1215 c!*小計 1145 役員賞与引当金 10 1215
c!支払利息 20 c!小計 1145
c!法人税等 130 c!受取利息 30
1175 c!*営業活動C/F (CFO) 1025 1175
c!有価証券購入 25
125 c!備品購入 100 -c!*投資活動C/F (CFI) 125 125
c!借入金返済 50
150 c!支払配当金 100 -c!*財務活動C/F (CFF) 150 150
-c!投資活動C/F (CFI) 125 c!営業活動C/F (CFO) 1025
-c!財務活動C/F (CFF) 150
現金 270
1025 預金 480 1025
図5.17: 間接法によるキャッシュフロー計算書
非キャッシュフロー計算書 (小計後)
!支払利息 20 c!*支払利息 20
c!*受取利息 30 !受取利息 30
!法人税等 436 未払法人税等 306
436 c!*法人税等 130 436
有価証券 25 c!*有価証券購入 25
!減価償却費 40 未払金(備品) 100
200 備品 160 c!*備品購入 100 200
借入金 -50
0 c!*借入金返済 50 0
!支払配当金 100 未払配当金 0
100 c!*支払配当金 100 100
!*利益準備金取崩 30
115 !*利益準備金積立 115 *利益準備金 85 115
!*利益剰余金取崩 270
739 !*利益剰余金積立 739 *利益剰余金 469 739
名目フロー試算表(税引前)
!売上原価 1550 !売上 3100
!給料 420
!役員賞与引当金繰入 10
!支払利息 20 !受取利息 30
!減価償却費 40
3130 !*税引前利益 1090 3130
改めて強調するが、間接法になっても、小計後のキャッシュフローに関する仕訳のキャッシュ性、
非キャッシュ性の調査は、厳密に行わなければならないのである。省略できるのは、小計前の仕訳 調査だけである。しかし、通常の決算作業では、膨大な仕訳により成り立っている仕入や売上の キャッシュ、非キャッシュの分類は行われていないので、これだけでも、大いなる利便性があるの である。しかし、仕入と売上のキャッシュと非キャッシュへの分離は、準直接法でも述べたように 比較的容易である。したがって、現在、主として間接法が使われているのは、かつて資金運用表に より経営管理をしてきた米国の伝統を踏襲しているというのが最大の理由であろう。
ここでキャッシュフロー計算書を求める三つの方法をまとめておこう。
直接法 資金繰り表のように仕訳帳からキャッシュ性仕訳を抜き出す。仕訳帳全体のキャッシュ、非 キャッシュの分離が必要。直感的。
準直接法 資金移動表のように、通常のフロー試算表があればよい。必要に応じ、仕訳のキャッシュ、
非キャッシュの分離が必要。直感的。
間接法 資金運用表のように通常のフロー試算表があればよい。必要に応じ、仕訳のキャッシュ、非 キャッシュの分離が必要。米国の伝統を踏襲。
キャッシュフロー計算書も、実用的には報告式のものが多い。間接法のものを例として表5.18に 示そう。右貸方をベースに、左借方は負数として、左右混合して表示するが、先に求めた勘定式の ものと項目を比較すると、その構成が理解できよう。
キャッシュフロー計算書(間接法) I.営業活動によるキャッシュフロー
!税引前利益 1090
!*減価償却費 40
!*受取利息 -30
!*支払利息 20
売上債権の減少額 85
棚卸資産の増加額 -125
仕入債務の増加額 105
未払金(雑費)の減少額 -50 役員賞与引当金の増加額 10
c!*小計 1145
c!利息の受取額 30
c!利息の支払額 -20
c!法人税等の支払額 -130
c!*営業活動C/F (CFO) 1025
II.投資活動によるキャッシュフロー
c!有価証券の取得による支出 -25
c!備品の取得による支出 -100
c!*投資活動C/F (CFI) -125
III.財務活動によるキャッシュフロー
c!借入金の返済による支出 -50
c!配当金の支払額 -100
*財務活動C/F (CFF) -150
IV.現金および現金同等物の増加額 750 V.現金および現金同等物期首残高 1300 VI.現金および現金同等物期末残高 2050
図5.18: 間接法によるキャッシュフロー計算書(報告式)
直接法の報告書形式は、省略するが、この表から容易に推定できよう。