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第 6 章 財務分析 103

7.3 税効果会計

さて、例えば有価証券の時価が下ったとすると、次のように仕訳を行なう。

取得時 有価証券 x 現金 x

. . . .

評価時 !評価損 y 有価証券 y

これも棚卸と同じような処理である。

一方、次年度において、!税引前利益が600であったとする。税率が40%とすると、!税金は280 のはずであるが、税務署は貸倒が実際に起きたことを認定し、一年前の!貸倒引当金繰入のうちの 200 に対する課税が過剰であったことを認め、それを減免したとする。そこで、!税金は600200 に対して課せられるので、160となる。

次年度 !法人税等 160 !税引前利益 600

!*当期利益 440

このように、税引前利益から算定された税金とのずれが生じたときに、これは初年度の当期利 益を小さく見せ、次年度の当期利益を大きく見せてしまう。これを調整する会計手法を税効果会計 (accounting for income taxes)と呼ぶ。

初年度に、!税引前利益から純粋に計算した税金500×0.4 = 200に対し、実際には280 の税金 を払っているので、言わば 80の税金の前納をしたようなものである。これを調整するには、初年 度に前払法人税等のような発生実在科目を立て、その分、!法人税等の値を下げておけばよい。実 際には、税引後に次のような仕訳を加えることで次年度に繰り延べる。

今年度 繰延税金資産 80 !法人税等調整額 80

一種の前払のようなもので資産側に繰り延べるので、繰延税金資産(deffered income taxe assets) という。この分、貸借対照表でも当期利益が大きくなるはずである。同様に、次年度には、この繰 り延べをリセットするために、実税 160 と、予定の税金600×0.4 = 240との差に対応する次の ような仕訳を税引後に加える。

次年度 !法人税等調整額 80 繰延税金資産 80

損益計算書の税引以後、および貸借対照表に加えるべき変更は次のようになる。

今年度 !法人税等 280 !税引前利益 500

!*当期利益 300 !法人税等調整額 80

次年度 !法人税等 160 !税引前利益 600

!法人税等調整額 80

!*当期利益 360

今年度 繰延税金資産 80 利益剰余金(増加分) 80 次年度 利益剰余金(減少分) 80 繰延税金資産 80

こうすることにより、課税所得計算とは独立した当期利益を求めることができる。なお、繰り延 べは次年度にきちんと解消される、つまり税金の還付が行われる見込みがある場合にのみ許されて いる。そうでないと、貸倒引当金などを勝手に大きく設定して、当期利益を自由に操作するような 悪意の粉飾が可能となってしまうからである。

逆に法人税が!税引前利益より計算したものよりも、安く課税された場合には、税務署に対し、

債務を負っているようなものなので、繰延税金負債(deffered income taxe liability)を設定する。