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第 9 章 連結決算 139

12.3 設立時の資産の処理

国の会計法との整合性をとるために、あと、資産処理と退職金引当金も影響を受ける。資産につ いては、設立時に国から移管を受けた場合と、その後、運営費交付金で購入する場合に二つの場合 についての考慮が必要である。

まず、移管の際、土地、建物については、国有財産のままとするために、国が現物出資する、つ まり国の出した法人の資本金であるという取り扱いをする。これは理解しやすい概念である。また 建物のように減価償却の起きるものについては、企業型の考えでは!減価償却なる費用が発生した こととする。

設立時 資産 移管額 *資本金 移管額

償却時 !減価償却 償却額 減価償却累計額 償却額

除去時 減価償却累計額 償却額 資産 移管額

!資産除去損 残存額

図12.3: 国有財産の扱い(企業型)

しかし、ここでも、会計法のしばりから、国有財産を特別扱いとするので、その償却分は別名の 負の純資産、損益外減価償却累計額として記載する。

取得時 資産 移管額 *資本金 移管額

償却時 *損益外減価償却累計額 償却額 減価償却累計額 償却額

除去時 減価償却累計額 償却額 資産 移管額

*資本金 移管額 *損益外減価償却累計額 償却額

図12.4: 国有財産の扱い(法人型)

つまり、国有財産は、純資産の目減りということで処理し、実質、減価償却を費用化させないの である。

資産除去時に、どのように処理するかは、私の調べた限り明記されていない。例えば建物が老朽 化し、壊す時に、その残存額分をどう扱うかである。明らかに資産と減価償却累計額は除去時に消 失しなければいけない。損益外減価償却累計額も消失すべきであろう。そうすると、この表から分 るように、移管額分の不平衡が発生する。これを平衡化するには、移管額分の資本金減を行なうの が一つの方法である。もともと、現物出資という概念には、現物が無くなった時点で、出資も無く なるという考えである。

純資産の減資があるというのは頂けないという場合には、除去時に資本剰余金で受ける方法もあ る。この場合、資本剰余金に余裕がないと、負になってしまう問題がある。

なお、建物については、従来通り、国がその維持に努めることになっているようなので、引き続 き、現物出資はなされることになる。

これを企業型に読み換えには、償却時の仕訳から分るように、「損益外減価償却累計額」を「!減 価償却」とすればよい。しかし、形式的にこの作業を行なうには問題がない訳ではない。除去時の 損失は本来!資産除去損とすべきであるが、これを強制的に!減価償却としてしまってよければ、読 み換えは成功する。どうせ費用として計上されるので、本書では割切ってしまおう。

その他の資産で非償却なものについては、国は法人に譲与し、国有財産から外す。したがって、

資産相当額の収益が発生し、最終的に資本剰余金になる。

設立時 資産 移管額 *資本剰余金 移管額

除去時 *資本剰余金 移算額 資産 移算額

図12.5: 非国有非償却資産(企業型でも法人型でも同じ)

償却する資産については、企業型では、設立時に資産の受贈があったとし、次のように仕訳す る。売却した場合には、最後の一行が追加となる。

設立時 資産 移管額 !物品受贈益 移管額

償却時 !減価償却費 償却額 減価償却累計額 償却額

除去時 減価償却累計額 償却額 資産 移管額

!資産除去損 残存額

(売却時) 現金等 売却額 !資産売却益 売却額

図12.6: 非国有償却資産(企業型)

しかし、法人型では、相変わらず会計法との整合が顔を出す。廃棄するまで国から借用している という立場をとるのである。運営費交付金と同様の扱いである。そこで、設立時にはそれを固定負 債と看倣し、償却が起きると通常の償却処理に加え、その時点で寄付を受けたとし、その額の負債 減が起きるものとする。

設立時 資産 移管額 資産見返物品受領額 移管額

償却時 !減価償却費 償却額 減価償却累計額 償却額

資産見返物品受領額 償却額 !資産見返物品受贈額戻入 償却額

除去時 減価償却累計額 償却額 資産 移管額

!資産除去損 残存額

資産見返物品受領額 残存額 !資産見返物品受贈額戻入 残存額

(売却時) 現金等 売却額 !資産売却益 売却額

図12.7: 非国有償却資産(法人型)

つまり、この場合にも、!減価償却と同額の!資産見返物品受贈額戻入が計上されるため、減価償 却を費用としないような補正が加わっている。除去時には通常の資産除去の仕訳に加え、残る寄付 をすべて受けたこととする。

「資産見返物品受領額」を「!物品受贈益」と看倣すことにより、設立時の仕訳を企業型にする ことができる。また、償却時の第2行および除去時の第3行を消去するを消去するために、「!資産 見返物品受領額戻入」も「!資産見返物品受領額戻入」も「!物品受贈益」にみなすのがよい。

なお、この作業をすべての資産について行なうのは大変であるので、50万円以下のものについ ては、条件があるものの、消耗品として扱ってもよいことになっている。つまり、無償の譲与であ る。通常は次のように仕訳する。

設立時 !消耗品費 移管額 !物品受贈益 移管額

図12.8: 非国有小額資産(企業型も法人型も同じ)