第 4 章 決算にからむ作業 62
4.6 最終の財務諸表
株主総会での利益処分の(案)に関する提案が承認されると、いよいよ最終の財務諸表が確定す る。これらについては公開されることは少ないので、あまり目にすることはないかも知れない。し かし、これらが本当の意味での期末の最終状態を記述した諸表であることは言うまでもない。
作業は単純に利益剰余金計算書に関る仕訳を追加すればよい。しかも、これらの仕訳は中間決算 の場合と同様に非課税対象であるので、中間決算に続けて記述すればよい。こうして得られた最終 のフロー試算表、またそれから得られた損益計算書、貸借対照表を表4.18および4.19に示す。こ の時点で、当期利益は、純資産の一部の利益剰余金として次期に繰り越される。
フロー試算表
!売上原価 1550 !売上 3100
!給料 420
!役員賞与引当金繰入 10
!減価償却費 40
!支払利息 20 !受取利息 30
3130 !*税引前利益 1090 3130
!法人税等 436 !税引前利益 1090
1090 !*当期純利益 654 1090
!支払配当金 100 !当期純利益 654
!*利益準備金積立 115 !*利益準備金取崩 30
954 !*利益剰余金積立 739 !*利益剰余金取崩 270 954
現金 270 買掛金 105
預金 480 未払金 50
売掛金 -85 未払法人税等 306
商品 125 未払配当金 0
有価証券 25 役員賞与金引当金 10
備品 160 借入金 -50
*利益準備金 85
975 *利益剰余金 469 975
図 4.18: 期末最終のフロー試算表
!損益計算書
!経常費用 2040 !経常収益 3130
(!営業費用) (2020) (!営業収益) (3100)
[!売上原価] [1550] [!売上] [3100]
[!給料] [420]
[!役員賞与引当金繰入] [10]
[!減価償却費] [40]
(!営業外費用) (20) (!営業外収益) (30)
[!支払利息] [20] [!受取利息] [30]
3130 !*税引前利益 1090 3130
!法人税等 436 !税引前利益 1090
1090 !*当期純利益 654 1090
!支払配当金 100 !当期純利益 654
!*利益準備金積立 115 !*利益準備金取崩 30
954 !*利益剰余金積立 739 !*利益剰余金取崩 270 954
貸借対照表
資産 3975 負債 2151
(現金) (450) (買掛金) (1105)
(預金) (1600) (未払金) (100)
(売掛金) (715) (未払法人税等) (436)
(商品) (125) (未払配当金) (50)
(有価証券) (125) (役員賞与引当金) (10)
(備品) (960) (借入金) (450)
*純資産 1824
(*資本金) (1000)
(*利益準備金) (85)
3975 (*利益剰余金) (739) 3975
図4.19: 期末最終の 損益計算書と貸借対照表
なお、欠損金が発生した場合には、利益準備金や利益剰余金の代わりに、欠損金なる項目が入 り、かつそれが負の数となる。
バーグラフについては、今迄と同様な手続きなので省略する。
ここで話は一巡したことになる。ここで示した期末最終の貸借対照表を、次期の期首貸借対照表 として利用することになる。一方、当期の損益計算書は次期には使用されず、次期は次期で新たな 損益計算書を作成することになる。
メモ: 積立金とは預金でもないし、資産でもない
純資産の中に準備金とか剰余金とか、はたまた積立金とかあるが、すべて、純資産 に適度の歯止めをかけるために、極端に言えば、勝手な名前を付けて分類しただけの ものである。積立金などと書かれると、即金化できそうな気がするが、原資は広大な
土地だったり、溶鉱炉だったりもする。勘違いしないように。
メモ: 利益を利益剰余金にする時点
利益を利益剰余金に組入れるのはいつの時点であろうか。最終利益が決定するのは、
株式総会後、つまり次期に入ってからである。したがって、次期になってから、遡って 最終決算される。しかし、あくまでも当期の処理となるのである。通常、新聞などで公 開されているのは株主総会直前、つまり賞与、配当控除前のものである。そして、賞 与、配当については利益剰余金計算書の形で公開される。一方、会社に記録として残 るのは最終決算後の諸表となる。