第 4 章 決算にからむ作業 62
4.4 総会へ報告する損益計算書と貸借対照表
う勘定科目がある。本章で用いている期首貸借対照表の純資産にも前期からの繰越の利益剰余金が 含まれている。
当期の最終的な利益剰余金には、前期からの利益剰余金の繰越も含める必要があり、当期未処分 利益の算定はそれも含めて行う必要がある。そこで、さらに表4.10の仕訳を追加する。
前期利益剰余金取崩 *利益剰余金 270 !*利益剰余金取崩 270
図4.10: 前期利益剰余金取崩の仕訳
メモ: 税金と未払金支払の関係
税引前の仕訳を見ると、前期の未払配当金を支払っている。この仕訳を税引前に行 うか、ここで行うかどうかは、どちらでもよい。前期の未払法人税等の支払と同様、こ の仕訳には名目勘定科目が含まれておらず、税金の課税額とは関連がないからである。
本章では、税引前に仕訳しておく。
なお、中間配当金は、株主の配当受取機会を増すために行うが、経営の余裕のない場合には、必 ずしも実行する必要はない。ただ、今期の利益が極めて高そうな場合、期末の配当金も多くなるこ とが予測される。これを期末だけで行わないで、二度に分けて行うと、出費の平準化をはかること ができる。また、その時点からキャッシュが減少し、後期の無駄遣いを抑える効果もある。
もちろん、後期に失敗すると、最終配当金が払えないとか、場合によっては中間配当金すら払わ なかった方がよかったという事態が発生するので、中間配当金の金額の決定は慎重に行う必要があ る。通常、期首の利益剰余金の範囲で行うが、不況の場合には行われないことが多い。
利益準備金の仮積立も、見掛けの利益剰余金を抑え、経営を引締める効果がある。しかし、これ はあくまでも仮の積立であるので、いつでも元へ戻すことができる。
フロー試算表
!売上原価 1550 !売上 3100
!給料 420
!役員賞与引当金繰入 10
!減価償却費 40
!支払利息 20 !受取利息 30
3130 !*税引前利益 1090 3130
!法人税等 436 !税引前利益 1090
1090 !*当期純利益 654 1090
!支払配当金 50 !当期純利益 654
!*利益準備金積立 30 !*利益剰余金取崩 270
924 !*当期未処分利益 844 924
現金 270 買掛金 105
預金 480 未払金 50
売掛金 -85 未払法人税等 306
商品 125 未払配当金 -50
有価証券 25 役員賞与引当金 10
備品 160 借入金 -50
*利益準備金 30
*利益剰余金 -270
975 *当期未処分利益 844 975
図4.11: 総会報告時のフロー試算表
こうして、総会に報告する損益計算書と貸借対照表が確定する。なお前述のように、損益計算書 は税引前、税処理、中間決済処理を分けて記載することなっている。一方、貸借対照表は一本化し て記載する。これらを表4.12に示す。
!損益計算書
!経常費用 2040 !経常収益 3130
(!営業費用) (2020) (!営業収益) (3100)
[!売上原価] [1550] [!売上] [3100]
[!給料] [420]
[!役員賞与引当金繰入] [10]
[!減価償却費] [40]
(!営業外費用) (20) (!営業外収益) (30)
[!支払利息] [20] [!受取利息] [30]
3130 !*税引前利益 1090 3130
!法人税等 436 !税引前利益 1090
1090 !*当期純利益 654 1090
!支払配当金 50 !当期純利益 654
!*利益準備金積立 30 !*利益剰余金取崩 270
924 !*当期未処分利益 844 924
貸借対照表
資産 3975 負債 2101
(現金) (450) (買掛金) (1105)
(預金) (1600) (未払金) (100)
(売掛金) (715) (未払法人税等) (436)
(商品) (125) (役員賞与引当金) (10)
(有価証券) (125) (借入金) (450)
(備品) (960) *純資産 1874
(*資本金) (1000)
(*利益準備金) (30)
3975 (*当期未処分利益) (844) 3975
図4.12: 総会に報告する損益計算書と貸借対照表
なお、商法では総会に提出する財務諸表のうち、損益計算書を報告式の形で公開することを推奨 している。それを表4.13に示す。
!損益計算書
!営業収益
(!売上) (3100) 3100
!営業費用
(!売上原価) (1550)
(!給料) (420)
(!役員賞与引当金繰入) (10)
(!減価償却費) (40) 2020
!*営業利益 1080
!営業外収益
(!受取利息) (30) 30
!営業外費用
(!支払利息) (20) 20
!*税引前利益 1090
!法人税等 436 436
!*当期利益 654
!*利益剰余金取崩 270 270
!支払配当金 50
!*利益準備金積立 30 80
!*当期未処分利益 844
図 4.13: 報告式の 損益計算書
損益計算書は五段で構成されているが、上の二段をまとめると、税引前の処理、次の二段が課税 の処理と中間決算の三つの計算過程を示している。