9.5使役動詞の用法
使役の動詞は,使役の用法と放妊の用法をもっている。また,使役の意味は他動詞の意味と連 続的につながっていて,この両形式の用法が部分的にかさなりあっている。そのため,使役形式 の用法として,他動詞的な用法というものをあげなければならない。
こういつた点かち,幼児の使用した使役動詞をみると,そういった用法の全般にわたって使用 していることがわかる。ただし,放任は1例しかなく,この罵法のいろんな展開形式はみられな
かった。
一113一
種類類 年 長 児 年 中 児 年 少 児
使役} ○オォキィ オトガ シタカ 宴l ジャックノ コトネ
uカクレナサイ」ッテ カク 一
○ソノ オバアサン ワルイ m。ソイデネ アノー チュ Wュメ ウント ハタラカセ
○コレ ヤラシテヨ。(赤一n
レサシタノ。(赤一v男5−7) テネ 放任} ○ウサギガネ ハヤイカラネ
Jメニ カメネ オイツカレ iイカラネ ダカラネ カメ 茶l サツキ アルカシテネ
ソレカラネ(赤一g女一
S−8)
寃?ウフク ヌガセテネ ソ 激f ヤイテ
男3−7)
寃̲レダ オレノ ハシヲ Kタゴトサセル ヤチュハ?
他動詞的
(自一f男5−5)
寃Aンテナ トコデネ ソラ 、ンノ不 アタマニ ツウジサ
スノ。(三一k女5−8)}
タベンノ。
i小一海男4−3) (神一高男4−4)
9.6 可能動詞の用法
可能動詞は,ポテンシャルな用法として能力または可能性をあらわし,アクチュアルな用法と して,実現をあらわす。なお,ここで能力というのは,可能動詞のしめす動作の主体の能力をあ らわしているばあいであり,可能性というのは,動作主体以外の能力ないし可能性をあらわすば あいをさす。たとえば,
○センマデ カゾエラレルカナ (赤一一m男5−10>
では、かぞえる人間の能力をあらわしているが,
0センタクヤサン トコヘマガッテモ マッスグデモ イカレンノ。
(自一v男5−7)
では,いくひとの能力ではなく,みちの可能性をいっている。
幼児は,可能動詞のもっこれらの基本的な用法をみんなつかっていた。
種 類 年 長 児 年 中 児 年 少 児
能力 ○センマデ カゾエラレルカ
一
ナ。(赤一m男5−10) ○ヒラコカナハ モウ ゼンu ヨメル。カタカナモ ス
○ネンドデネ ボクネ シン Sウ ツクレルノ。(神一宮
j5−0)
寃̀ビッチャイ ネコ オリ 一
○ボクネ オネエチャンノ W ミルダケデ カケルノ。
i赤一d男4−2)
宦c…ジュウマデ カゾエラ ●
宴塔iイノ,ヒトリデ。(神 レルノ。(赤一m男4−/)
可能性
コシ。アト カンジモ スコ
V ヨメル。.(赤一p男5一 一二男4−6)
寃Aッチ イッテモ カエレ
11)
寃Zンタクヤサン トコヘ }ガッテモ マッスグデモ Cカレンノ。(自一v男5一
ルシ
○センガ チュイテル トコ Aブナイカラ,トオレナイカ
_ アッチ イッテモ 皇エレル。(小一海男4−3)
@ チュクレル
7) ○テッポウダマ
二≧。 (神一三男3−8)
寃Iクジョウデモネ タベラ 一l14一
実現
○[レーシングカー一は]マダ カエナイヨ,アト サン サ サンエンジャナイト。(自一
y男6−Q)
○ヤンチイ トコロハ シロ イ マンマデネ デヤクソ ク マモレタ トコロハ ヌ ル コト。(赤心H女5−8)
○ソン トキ ヨルネ アン マリ ネムレナカッタ。(自 一y ce 6−O)
オモチャ。(二一q男5−4)
○オウチハネ モウ ニカイ ダテ ツクレテネ,ボクノ オヘヤ ニカイダテナノ。
(自一s男4−10)
○ヒトリデ ダコウト オモ ッタケド ダケナカッタカラ アキ・ラメチャッタ。(小一久 女4−7)
レル トコガアンノ。(神 一三男4−O)
○ライヨンガオイツケタノ。
(神一泣女4−3)
○モウ スコシデ アケラレ ルノ。(小一乙女4−1)
日本語の可能動詞がボイスのなかへ整理されるのは,この形式がもともと,うけみと未分化な かたちで発生し,いまでも,うけみとおなじ形式をもっており,意味のうえで,動作対象の能力 をあらわしたり,文構造の面で動作対象が主格(「一が」の形)であらわされたりするからである。
しかし,一方,可能動詞のボイスからの解放過程も進行していて,統語論的には,動作主体を主 格で,動作対象を対格(r一を3)であらわす傾向がつよまると同時に,形態論的には,第一可能 動詞の勢力が稲対的なつよさをどんどんのばしつつある。
そこで,今回の資料を格支配の点から分類してみた。これが言語発達のうえでどんな意味をも つかしらないが,文法史のうえでは,将来かえりみるときの一つの資料になるだろう。
種 類 年 長 児 年 中 児 年 少 児
薩接対象
?の絡
ネまえ格 ○キンギョネ ツレナカッタ ○オオキイ コエ ダセナイ 一 一○ダッテサ ハタライテサー
Iカネ モラエルシ。(赤一 モン。(小一藤女3−10)
P男5−11)
寃̀ョウチョトカネ イロン
i ウタ ウタエル。(赤一…
j女5−8)
寃Wケンノ トキハ スピー
Zオカネ モラエルカラ。
i赤一i女5−3)
寃Iヒシャマ カケルモン {ク。(神一渡男4−6)
寃W ヨメナイノ。(専一v
○アイゥェオノ ホン ミイ
̀ャン ジブンデ ヨメンノ }
i小一矢女4−0>
寃sコウキ ミラレナカッタ ド ダセル。(三一g男5一
怐j
ノ。(赤一i男4−2)}○ミッチュシカ オハナシ
fキナイ。(神一高男4−4)
○オベベ キラエルカラ。 ○ウートーネ カズ カゾエ
戟Cレナイケド,(神一一折女
(霞一P女6−1)
寃̲ッテサ イロンナ モン
一
j4−7)
寃̲ッチ ジガ ヨメンダモ c○ジガ
『
Pンキュウデキルカラ。(赤 主 格一q男5−11)
寃Aタイハ ジガネ ヨメル
4−3)
寃eレビガネ モウネ チュ 一
}
柵工ナイノ。(三一f女4一ノ。(赤一 f女5− 9)一〇ねんどすき? ン。どして
H イロンナ モノガ ツク
ン。(小一野女4−9)
@ ヨメナイモン。(小一一中男4−6) 2)
寃Tンダーバードガ モラエ
一115一
対 格
とりたて 形式
とおりみ ちの状況 語の格
なまえ格
主 格
対 格
レルカラ。(赤一r女5−10)
○クマガネ ネズミヲ オイ カケラエヌカラ。(自一E男 5−7)
○ウン ソレハ ハナセナイ。
(赤一s男6−6)
○[かぶとむし]オスモ メス モ ツカメル。(赤一k女5
−8)
○ダッチ ナンデモ ロボッ トデモ ツクレルンダ。(赤
一s男6−6)
○ヤッツシカ カゾエラレナ イ。(赤一C男5−6)
○ボク ホンナンカ シトり デ ヨメルモン。(霞一t男
6−2)
○ムコウ マガッテ アカイ ダンチ イカレルシ(赤一v 男6−5)
○アソコデネ エサヲ タベ ラレルンダ。(赤一i女5−
3)
○オトウサンガ キテネ ナ ンニモネ デキナクテネー一
(神一増女4−11)
○ホンナンカ モウネ ヨメ ルノ。(赤一k女5−3)
○テツジンノッキリ ヨメナ イケドネ。(赤一t男5−1)
○ジロウシャダッテ ツクレ ンノ。(自一s男4−10)
○カベ ヌケラレルヨ。(赤
一d男5−4)
○ソラ トベル。(赤一U男 5−6>
○オバケノ キュウタロウガ デテキテネ オソラガ トベ テネ(赤一i女5−3)
○アノネ キュウタロウハネ ソラヲ トベルシ(赤一r女 4−10)
ルンダッテ。(赤一一d男4−
2)
○ヨムノハネー デキナイ。
(神一高男4−4)
○ココモ ヨメテ,ココモ。
(神一場男3−10)
○バーラガ サイタ ケーキ。
バラダッチ タベラレルンダ ヨ。(神一三男4−0)
○センガ チュイテル トコ アブナイカラ トオレナイカ ラ(神一宮男3−8)
一116一
第10章 やりもらい
10.1幼児の使用したやりもらい動詞
幼児の使用した語形は,みぎのとおりである。やりもらいは,だれ のためにするかをあらわすカテゴリーである。やりもらいは,人称と 関係していて,そのサービスの方向は,ときに,動作自身のもつ方向
と逆であったりして,ひじょうにむずかしい法則である。
にもかかわらず,今回の幼児は,この3種のやりもらい動詞をすべ
てつかっており,しかも,3種のつかいわけができていることは,おどろくべき事実として,ここに記録しておく必要があるだろう。とく
に,ボイスのほうでは,格支配のあやまりがあったのに,こっちではなかったということも特筆 にあたいするだろう。
「よんであげる3は,fよんでいただく」や「よんでくださる」のようには敬語性をもっていないし,
「よんでくださる」は,質問にひかれて,でてきた例だけであるので,この段階では,敬語はほと んどでてこないといってよいだろう。
「ヨンダゲル」というかたちは,あまりつかわれなかった。
なお, 「してくれる」の命令形は,いろんなかたちがっかわれた。
年年年
キ中少
よんでやる 謔 であげる
○○○
宦宦 よんでもらう
謔 でいただく
○○○
よんでくれる 謔 でくださる
○○○宦
種 類 年 長 児 年 中 児 年 少 児
よんでや 驍謔 でや
○コドモガネ カメネ イタ Yラシテタンデネ ウ ウン
gサ ツリニ キ・タ ウラシ }タロウガ タスケテ ヤッ
○ママネ アノネ オニイチ ャ塔^チ イルカラネ メン
hウ ミテ ヤンナクチャ
○ソンナラ オマエヲ ヒト mミニ シテ ヤルゾ。(神
鼡ハ男4−0他)
寃Eントネ コンド モッテ }
タノ。(自一g男5−8)
ナラナインダケレドネ(小一
ヘ女4−7)
寃{クガネ アソンデ ヤル
ッテ ヤル 。(ノ」・一金男4
亙よんであ
一
○ハナヲ ソダテテネ ソレ Jラ ミズ ヤッテネ ソウ сbテテ ミズヲ カケテ сbタラ ピーント ナッタ
トネ ケンカシテテモ スグー
一1)
寃qトガネ オハナニ オミ Y カケテ アゲテンノ。
_一
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