単なる状
坐
くりかえ し
相対的な
量
(自一1男5−7)
○ハナガ オレテンノ。(自
○アパーートを建てるということは十ヵ月も前に発表してある。
4>放任
○男「おまけに,机の上には,読みさしの本を,ひらきっぱなしにしてあるんだ。」
(砂の女)
5)準備のためにした動作
2)から派生したものの例○あついくにのどうぶつは,さむさによわいので,へやをあたたかくしてあります。
(一下)
3)から派生したものの例
○川島「燃料も用意してあるぞ。1(須崎勝弥「キスカ」)
このうち,1)と2)は,わけなくてもよいだろう。3)は,「よんでいる」の5),6)に対比しうる。
5)には,もっと典型的なものとして,つぎのような例をあげたほうがよいだろう。
○食糧は彼方で貰ひたまへ,話してあるから,(火野葦平「麦と兵隊」)
○女中にまで口留めしてある。 (志賀直哉「暗夜行路」)
結果動詞「してある」の1)〜4)の用法は,持続動詞「している」の結果的な用法と対店するも のである。この両者は,アスペクトの面では,おなじであり,その対立のしかたはボイス的であ
る。つまり,「している」のばあいは,動作主体の結果の状態であり,「してある」のばあいは,動 作対象の結果の状態である。したがって,この両者は,格支配のしかたがことなる。つまり,「し てある」のばあいは,おおくのばあい,対象が主格であらわれて,主語となる。
11.32 幼児の使用した結果動詞
幼児の使用した結果動詞は,その基本的な用法である結果の状態と放任の状態の爾方にわたっ ていた。準備的な用法は,その典型的なものがなかったので,「結果・準備の状態」としてあげて おいた。3)の根回的な過去をあらわす用法はなかった。
なお,結果の状態をあらわす三法については,動作対象がどんな形式であらわれているかもし めしておいた。
種 類 年 長 児 年 中 児
年 少 児
結果の状墾一が
○コウ マールクテ ホシデ ○ウラニハ 、
t不ガ
イツパ ネ ナカニ コウイウ ジガ イ オイテ アンノ。 (自一}
Jイテ アッタノ。(三一e
t男5−3)
男5−10) ○ソレカラ カミガ ハッチ
○ミルトネ カブガ オイテ
一
Aツア, (小一久女4−7)アッテネ (自一。男6−3)
○マールイ オスベリダイニ l トンネルガ ホッテ ア
ッテ (赤一1女6−6)}
一129一
はだか格
とりたて
一って
な し
準備・結 果の状態
放任の状態
○カレンダー イッパイ コ ウイウ フウニ カサネテ アッタ。(赤一f男6−3)
○キ・ヤラメルネ ダイノ ウ エ オイテ アル トコネ
(自一f男5−5>
○ハジメネ セン ヒイテ アッテ (赤一K男5−11)
○オママゴト オジイチャン チニネ ア オイテ アルン ダヨ。(自一P女6−1)
○ソレデ ツヅキ・ハネ アノ ー チガウ ホンニ カイテ アンノ。(自一〇女6−1)
○オハナシナラネ コウイウ アッツイ ゴホンニ カイテ アンノ。(二一〇女6−/)
○シマウマト ライオンテ カイテ アル。(赤一Q男6
−4)
○サンジュウニ ン ニッテ カイテ アル トコロダヨ。
(赤一g男5−10)
○ウント ボタンデ ハメテ アッカラ ダイジョウブ。
(窺一s男5−9)
○イツモ ナンカ カウ。た めとかないの。タメテ アル ノ。(自一w女6−5)
○ソイデ シマウマガ タク サン イテネ ポッポッテ アルノ。(赤一P女6−3)
○オナジ モノ カイテ アルネー 男5−4)
○歯がわるいの?
ギン ツメテ
アスコニ (赤一d
そう。
アルヨ。(赤
一b男5−6)
○エーダケ カイテ アッテ,
ソレヲ ウツシテンダモン。
(自一b男5−1)
○ニジュウサンテ アル }コロガ
5−1)
○イチガツバッカリ タ ヒトッテ カイテ
カイテ
(赤一t男
ウマレ アル
ノ。(ノ」、一覧女4一一7)
○エホンニ カイテ アッ タノ。(神一桑女4−10)
○イヌ カッテルケドネ タ カイドニ アズケテ アルノ。
(ノ」、一篠男5−1)
○ソレネ シマッタアルケド ネ (自一b男5−1)
○オモイ ッタント
○コウ カケテ
。)
モノ ココニ ベ クッツケテ アル カラ。(赤一d男4一一2)
ヤッテテネ ナンカ アル トキハネ ア ソバナイノ。(神一三男4一
○アイザワッテ
ルダケ (小一相男4−4)
○ナンテ カイテ
カイテ ア アルカ ヨンデ ゴラン。(赤一d男 4−2)
○コレニ カイテ アル?
(神一雨男3−10)
li.4処置動詞の用法
注1>
fl.4{処置動詞の用法
処置動詞「よんでおくjは,アスペクト的な用法として,状態をつくりだしてそれを維持する ことをあらわすものと,放任状態を維持することをあらわすものとがある。
1) 壕犬態つく り ・斗犬態糸佳持
○なわとびのなわを十五組教釜の後ろにかけておきます。 (四下)
O友田「加藤さんは奥さんに鍵をあずけておいたんです」
(井手俊郎F女の中にいる他人D
注1)用例は,吉川武時1973から借用した。
一130一
2)放任
○権藤ヂもう沢山さ,ほっといてくれ」(黒沢明「天国と地獄」)
状態つくり・状態維持の用法は,その基本的なアスペクト的性格のうえに,べつのニュアンス をつけくわえて,準備や一・時的処置をあらわすものへ発展する。
3)準備
○権藤「二階のを使え∵……これは大阪からの返事に空けておきたいんだ」
(天国と地獄)
○「これをあげる。のんでおきなさい。よく駆けれるから。](中二)
4) 一一時的処置
○鵜飼「これだけは一応腹へ入れておいてもらいたいんだがね1
(僑本忍「白い巨塔D
その他の特殊な用法として,たとえば,つぎのようなものがある。5)意志的な動作
○「洪ちゃ,腹が痛くなったら,すぐやめとけや。」(中二)
○ケイ子「一寸飲んでいるようやからおビールにしとこ」 (白い巨塔:)
6) (逆接につかって)先行する行為をあらわす。
○ケイコ「誤診で人を一人殺しておいて,そのあんたに出来ることは,うちの顔を!」
(白い巨塔)
11.42 幼児の使用した処置動詞
今回の幼児の資料は,うえにあげたような,いろいろの用法にまたがっていた。ただし,処置 動詞には,このほかまだ特殊な用法がいくつかあって,そうしたものをすべて幼児が所有してい るわけではない。
0せいぜい名残りを惜しんでおきましたよ。(音楽の友56年10月)
しかし,基本的なものは,この年代の幼児にもっかいこなせるといってよいだろう。
種 類 年 ・長 児 年 中 児 年 少 児
状態つく ○ウーントネ カジャットイ ○オニカイニ オイトイタう り・状態
○キノ シタニ ナンカノ
Nダモンノ ミヲ オイテ タノ。 (輿一e女4−8)
維持 オクノ。(自一s男5−9) }Oコノ バッチ ツケトクノ。
○コブラ アシタマデ アズ ㎝
Jッテ オク。(赤一w男6
一杢 ダレカネ モッテッチャ bタノ。 (二一b女3−10)
寃sコウキト ジドウシャヲ A シマトクノ。(自一d男
放 任〜
一3)
寃¥ウイウノ アノネ アツ
<e アノ ハコン ナカニ
刀レ。(赤一u男6−
T)
寃с潟}ス。マカシトイテ
(小一川男4−10)
寃¥レデ ホットイタラ ダ
3−10>
寃Wドウシャト ピコウキ Gー シャコニ イレトクノ i自一d男3−10)
寃mコリハネ ノコシテ オ クダサイ。(赤一m女6−3) クノ。 (神一高男4−4)
○ソノママ カワカシトイテ 1
ンダン アノウエニ サイテ Lタノ。(赤一g女4−8)
一131一
準 備
意 三
行 為
ネ ヨウチエン モッテッタ ○イチゴヲ ノ。(赤一k女5−8)
○ソイデ ミルク オカアサ、
ン ツクットイテ クレルノ ネ。(赤一E女5−8)
○フタリネ ヨウイシトイタ ノニネ (自一1男5−7)
○オジイサンニモ トットイ テネ (自一h女5−7)
○マタ アシタニ ナッタラ ソコン トコ ミテ オクノ。
(自一s男5−9>
○「オッコトサナイデチョ ウダイ」ッテ イットクノネ。
ソウスット オッコトサナイ。
(赤一E女5−8>
○ダカラネ イツモ ハンブ ングライデヤメトク。(赤
一E女5−8)
○ジマンシトイテネ,ソレヵ ラネ ココマデハ ツカナイ ダロウト オモッテ ヒルネ ナンカ シチャ イケナイ
コト。(赤一L女5−9)
ノコシトクノヨ。
(二一i女5−3)
○コンドノ ニチヨウビ ド ッカヘ ユクッ チュッテネ トットイテネ〔チョコレート ヲ〕(自一1女4−7)
○ウントカットイテネナ
ンカネ ウント ヨル ニネ ネ タベンノ。(小一伊男4−3)
○コウ イットクデショ。ソ シタラ マースグ イッテ ソレ ワタンノ。(小一志男 4−2)
i1.5終結動詞の用法
11.51 終結動詞の用法
終結動作「してしまう」の用法を,高橋太郎1969では,三つにわけた。
1)終了:継続的またはくりかえしの動作がしまいまでおこなわれる。
○暮れてしまわないうちに (麦と兵隊)
○貨物列車が通ってしまふと思隠しをとったやうに,線路向うの蕎麦の花が鮮に見え
た。 (川端康成「雪国」〉○電燈がみんな消えてしまった。
2)最終過程の実現:過程のおわりとしておこなわれる動作が実現する。
○家の血流が絶えてしまう。 (円地文子「女坂」)
○紡績工場をつくって社長になったが,これはすぐ飽きて,他人に渡してしまった。
(阿部友二「冬の宿」)
3) 期待外:予期しなかったこと,よくないことが実現する。
O彼は思はず笑ひ出してしまった。 (高見順「故旧忘れ得べき」)
○おれはお前に済まないことをしてしまった。 (暗夜行路)
この三分類をもとにして,吉川計時は,つぎのような5分類にした。
一132一
[終 了]一一→[最終過程の実現〕一一一→
[期待外](i)動作の完了 (ii)積極的動作による完結
的 ト
ーー⁝;;⁝−竪クペ ス ア
(iii)溝極的な動作・作用に よる完結
i i
アスペクト・=ムード的
動作 的 志 無意
のσ
待 期 合 反 都
V
不↓\
… じムード的
吉川1973では,これらの用法を実現する動詞の種類等の条件をくわしくのべているが,ここで は,それぞれ1例ずつあげておく。
(i)○ピノキ・オは,なしを三つとも食べてしまうと,「もう,なんにもないの」とききまし た。 (三上)
(ii)○それで,おまわりさんは,ゼベッ1・をとらえて,ろうやに入れてしまいました。
(三上)
(iii)○臣標の灯は,どこかに消えてしまった。 (砂の女)
(iv)○落合「一寸ね,……しかし,初めてだからね,少しあがっちゃってね……」
(橋本忍「白と黒」)
(v)○初めに竹の節をくりぬいて作りましたが,竹では水にういてしまうので,ブりキに しました。 (四下)
以上は「よんでしまう」(「よんじまう」)の用法である。
しかし,「よんじゃう」になると,さらに用法がひろがり,ひろく,動作や状態の実現をあらわ し,(すこしオーバーないいかたをすると,)単に「する」というのにちかくなる。
○「いやになつちゃふわね,ねえ小関さん」(故旧忘れ得べき)
○ああ,バラへっちゃった。
ll.52 幼児の使用した終結動詞
今回の幼児資料では,年長児にも年中児にも年少児にも「よんでしまう」の例があった。しか し,これらはひじょうにすくなく,ヂよんじゃう」のかたちが圧倒的におおかった。
ほんじゃう」の用法は,終了をあらわすものは,ひじょうにすくなく,大部分は,終結動作
の成立と,ヂよんじゃった」特有の用法である動作の成立であって,期待外の用法も,それほどお おくはなかった。この幼児の「よんじゃう」の用法をくわしく分析するためには,おとなの会話文にでてくるfよ んじゃう」をさきに分析しておく必要があるのだが,現在てもとにある文学作品のカードには,
それがほとんどないので,ここでは,これ以上分析しなかった。
一133一