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75.四君子湯(別名、四味湯、補気湯) (しくんしとう)

ドキュメント内 Q.c i.p.ai (ページ 156-164)

 本方で先人は何を治療したか?

   

矢数道明著『臨床応用漢方処方解説』より

胃腸虚弱・食欲不振・貧血・嘔吐・下痢等に用い、その他老人や虚弱者の 出血・甚だしく貧血のもの・四肢の無力症・痔疾・脱肛・半身不随・遺尿 症・夜尿症など。

龍野一雄編著『改訂新版漢方処方集』より

胃腸無力、心腹脹満、食欲不振、腸鳴下痢、嘔吐吃逆するもの、或は脾衰 肺損、食欲不振、体痩面黄、皮膚に皺多く抜毛多きもの、胃アトニー、内 臓下垂、痔出血、貧血。

桑木崇秀著『新版漢方診療ハンドブック』より 顔色の悪い虚弱体質者。

ヒ ン ト

 矢数道明氏は四君子湯の目標を次のように述べている。「元気の衰えたもの、

胃腸の虚弱と貧血を目標とし、種々の疾患に用いる。脈は軟弱、腹証も弛緩性、

アトニー性で軟弱である。胃内停水をみとめ、食欲不振、全体に元気の衰え たものを目標とする。古人は貧血気味で顔色蒼白、言語に力がなく、手足倦 怠で、脈に力がないという五つの症があれば、四君子湯の目標がそろってい るとした。(『臨床応用漢方医学解説』)」

 ここに貧血気味な顔色とあるので、われわれは四物湯など補血の薬を思い 浮かべやすいが、四物湯の項では同氏は次のような興味深い指摘をしている。

 四物湯は婦人の血の道症といわれる神経症状を鎮静させる効能があり、貧 血を治するものであるが、血の熱を冷まし、滋潤の作用があるので、口唇が 蒼白となるほど高度の貧血あるもの、および胃腸虚弱で泄瀉しやすいものに は用いられない。このような場合には四君子湯がむしろ適しているのである。

 著者は矢数道明氏が講演の中で、「血を補うよりは、気を補え」という口訣 を披露され、高度の貧血では補血剤の四物湯では不適切であり、そのときに

76.竜胆瀉肝湯

(りゅうたんしゃかんとう)

 出典 薛鎧・薛己(父子)著『薛氏十六種』

   

肝経の湿熱、玉茎患瘡、或は便毒、下疳、懸癰、腫痛、小便赤渋滞、陰 嚢腫痛を治す。(『薛氏医案十六種』)

 腹候

   

腹力中等度以上(3‑5/5)(腹候図)。

 気血水

    水が主体の気血水。

 六病位

    少陽病。

 脈・舌

   

肝胆火旺(肝火上炎)では、舌質は紅、舌苔

は黄、脈は弦数。下焦の湿熱では、舌質は紅、舌苔は黄膩。脈は弦滑数。

 口訣

   

竜胆瀉肝湯証は、同じく解毒証体質でも結核性疾患とは比較的無関係で ある。概して婦人病や泌尿生殖器病、花柳病などに運用される。しかも処 方構成の上から言つて、下焦、すなわち臍部より下の疾病によく用いられ る。(矢数格)

 本剤が適応となる病名・病態

    a  保険適応病名・病態

効能または効果

比較的体力があり、下腹部筋肉が緊張する傾向があるものの次の諸症:排 尿痛、残尿感、尿の濁り、こしけ(帯下)。

b  漢方的適応病態(『医宗金鑑』)

)肝胆火旺(肝火上炎)。すなわち、はげしい頭痛、目の充血、目やに、

眼痛、口が苦い、急性の難聴や耳鳴、耳痛、胸脇部の脹った痛み、いらい ら、怒りっぽい、不眠、尿が濃いなどの症候。黄疸が出ることがある。

より深い理解のために 多くの同名処方があり、清代の呉謙らによる『醫宗金 鑑』には柴胡が加わっている。わが国の一貫堂森道伯家方には温清飲ほかが加 わる。

より深い理解のために 多くの同名処方があり、清代の呉謙らによる『醫宗金 鑑』には柴胡が加わっている。わが国の一貫堂森道伯家方には温清飲ほかが加 わる。

より深い理解のために 後世方の腹候は古 方とは異る考え方であるが、矢数格氏によ れば、腹証上肝経に沿って緊張、圧痛あり、

皮膚の色が浅黒い。

より深い理解のために 後世方の腹候は古 方とは異る考え方であるが、矢数格氏によ れば、腹証上肝経に沿って緊張、圧痛あり、

皮膚の色が浅黒い。 腹 候 = 腹 力 中 等 度 以 上

(3‑5/5)。

参考:後世方の腹候は古 方とは異る考え方である が、矢数格氏によれば、

腹 証 上 肝 経 に 沿 っ て 緊 張、圧痛あり、皮膚の色 が浅黒い。

)下焦の湿熱。すなわち、排尿痛、頻尿、濃縮尿、排尿困難、あるいは 陰部湿疹、陰部の腫脹疼痛、黄色の帯下などの症候。

 構成生薬

   

地黄5、当帰5、木通5、黄䊫3、車前子3、沢瀉3、甘草1、山梔子1、竜胆1。(単 位g)

 TCM(Traditional Chinese Medicine)的解説

    清肝瀉火・清熱利湿・(疏肝解欝)。

 効果増強の工夫

   

もし本方を強化したいと思ったら、少量の大黄(0.5g/日)あるいは、附子 を加えるのがよい。この場合の大黄は下剤でなく、附子も温補目的ではな い。膠着した病状を破る一種の変調療法である。このような目的には大黄 も附子も、せいぜい1g程度しか用いない。

 本方で先人は何を治療したか?

   

矢数道明著『臨床応用漢方処方解説』より

急性または亜急性の尿道炎・膀胱炎・バルトリン腺炎・帯下・陰部痒痛・

子宮内膜炎・膣炎、下疳・鼠径リンパ腺炎・睾丸炎・陰部湿疹・トリコモ ナス等。

龍野一雄編著『改訂新版漢方処方集』より

(一貫堂竜胆瀉肝湯について)尿道炎、膀胱炎、バルトリン腺炎、帯下、子 宮内膜炎、陰部痒痛、睾丸部湿疹。

桑木崇秀著『新版漢方診療ハンドブック』より

尿道炎、淋疾、膀胱炎、膣炎、子宮内膜炎、外陰部の痒痛、陰部湿疹、頑 癬、高血圧症、緑内障、中耳炎。

ヒ ン ト

 苦心のあげく本方で改善した藤平健先生の症例を、『漢方臨床ノート・治験 篇』より概略を紹介しよう。

 20歳の女子で会社員。 カ月前から排尿痛と残尿感が起こって病院の泌尿 器科を受診し、膀胱炎と診断され治療を受けているがよくならない。

 体格は中肉中背。脈は弦。舌には乾湿中間の白苔が中等度。

 腹力中等度、上腹部に振水音が顕著に聞かれ、臍傍右下、回盲部およびS 状部に抵抗と圧痛が証明される。膀胱部は圧痛のみを訴える。

 以上の所見から、(中略)清心蓮子飲(煎薬)を、一週間分投与。夜間尿は回 数がやや減ったようでもあるが、下腹部の痛みや残尿感は、まだかなりある。

 転方。猪苓湯エキス g、桃核承気湯エキス gを、それぞれ半量ずつ朝夕 交互に服用。悪化。

 転方。猪苓湯、五淋散。不変。

 転方。(煎薬)猪苓湯合苓桂朮甘湯。

 転方。さらに腹力が実してきたので(煎薬)清心蓮子飲合猪苓湯。

 出典 『金匱要略』

   

●婦人漏下あるは、半産の後因りて続いて下血しすべて絶えざる者有り、

妊娠下血する者有り、もし妊娠腹中痛むは胞阻となす。膠艾湯これを主る。

(婦人妊娠病篇)

 腹候

   

腹力中等度より軟(1 2/5)。ときに瘀血の 圧痛点が陽性で、腹直筋緊張を認める場合 がある。(腹候図)

 気血水

    血が主体の気血水。

 六病位

    太陰病。

 脈・舌

   

舌質はやや淡白、脈は細。

 口訣

   

寒証の出血に用いるべきで炎症性、充血性の血熱妄行には不適で、その 場合には、黄連解毒湯か、三黄瀉心湯である。(『現代漢方治療の指針』)

出血の有無に関わらず下腹部の鈍痛に使うことができる。(龍野一雄)

 本剤が適応となる病名・病態

    a  保険適応病名・病態

効能または効果 痔出血。

b  漢方的適応病態

血虚の出血。すなわち、顔色が悪い、皮膚につやがない、目が疲れる、し びれ感、筋肉の引きつり、頭がボーッとするなどの血虚の症候とともにみ られる出血で、少量で持続性のことが多く、不正性器出血、血便、血尿な どとしてみられる。

 構成生薬

   

地黄5、芍薬4、当帰4、甘草3、川芎3、艾葉3、阿膠3。(単位g)

 TCM(Traditional Chinese Medicine)的解説

    補血止血・調経安胎。

77. 芎帰膠艾湯(別称:膠艾湯、膠艾四物湯)

(きゅうききょうがいとう)

77. 芎帰膠艾湯(別称:膠艾湯、膠艾四物湯)

(きゅうききょうがいとう)

より深い理解のために 同篇には、桂枝茯苓丸、芎帰膠艾湯、当帰芍薬散の 順に記述されている。

より深い理解のために 同篇には、桂枝茯苓丸、芎帰膠艾湯、当帰芍薬散の 順に記述されている。

腹候=腹力中等度より軟

(1 2/5)。ときに瘀血の圧 痛点が陽性で、腹直筋緊 張を認める場合がある。

 効果増強の工夫

   

疲れやすい、食欲がないなど気虚の症候があれば人参、場合により黄耆な どを含むいわゆる補気剤を合方する。

処方例)  ツムラ芎帰膠艾湯 5.0g

  ツムラ四君子湯  5.0g分 朝夕食前

 本方で先人は何を治療したか?

   

龍野一雄著『新撰類聚方』増補改訂版より

1 )流産・メトロパチー・子宮癌等で虚寒性の子宮出血があるもの。

2 ) 肛門出血・痔出血・腎臓結核・腎臓結石・腎臓腫瘍・膀胱結核・膀胱 腫瘍等の血尿で、足冷、下腹鈍痛、腰痛等を伴うもの。

3 )吐血・喀血・口内出血・眼出血で下部虚寒のもの。

4 )下腹冷痛し、脈沈微、下腹軟、足冷するもの。

5 )妊婦が転んで腹痛や出血を起したもの、打撲症などに使つた例がある。

6 )難産に使つた例がある。

7 )ダクラス氏窩膿瘍を治した例がある。

8 ) 喉頭結核で、咽痛、無声、手足煩熱、下腹不仁するものを治した例が ある。

ヒ ン ト

 大塚敬節氏が『症候による漢方治療の実際』に紹介された一例をご紹介しよ う。

 「42歳の男子。三ヶ月前より血尿が出るようになった。日によってはブドウ 酒のようになり、また日によっては桃色になることもあるという。その他に は別に何の症状もない。しかしこの血尿はいつまでも治らないので、某大学 病院に入院した。そこではいろいろと詳しく検査したのち腎臓からの出血で あることをつきとめた。しかし原因がわからず、特発性腎出血ということに なった。ところがこの血尿はいつまでもとまらないので、退院して私に治を 乞うた。腹診上は特にとりたてていうほどのものはなく、ただ僅に臍部で動 悸がやや亢進しているだけである。顔色は黒い方で、やや貧血の傾向がある。

脈はやや沈で小である。食欲は普通で、大便も 日 行あり。排尿時にも苦 痛はない。

 以上の所見から芎帰膠 湯を与えたところ、 、 日後には肉眼では血尿 らしいところがなくなり、その後、時々、疲れたときなどに血尿を出すこと があったが、だんだんそれも遠のき ヵ月後には、体重が kgほど増しまっ

ドキュメント内 Q.c i.p.ai (ページ 156-164)