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38.当帰四逆加呉茱萸生姜湯

ドキュメント内 Q.c i.p.ai (ページ 88-92)

 TCM(Traditional Chinese Medicine)的解説

    温経散寒・養血通脈。

 効果増強の工夫

   

冷えには水の過剰がついて回るので、温めて水をさばく当帰芍薬散とはよ い相性である。

処方例)  ツムラ当帰四逆加呉茱萸生姜湯 5.0g  ツムラ当帰芍薬散       5.0g分 食前

冷えの強い例では附子を加味することもある。

処方例)  ツムラ当帰四逆加呉茱萸生姜湯 7.5g  ブシ末(調剤用)「ツムラ」    1.5g分 食前

腰痛や腹痛などの痛みが激しい例には、芍薬甘草湯を兼用、あるいは頓用 する。

処方例)  )ツムラ当帰四逆加呉茱萸生姜湯 7.5g 分 食前   )ツムラ芍薬甘草湯       2.5g 分 眠前

(7.5gの芍薬甘草湯には甘草が6.0g含まれている。偽アルドステロン症予 防のために連用する場合は 日量の制限が必要である。)

 本方で先人は何を治療したか?

   

龍野一雄著『新撰類聚方』増補改訂版より

1 )流感・チフス等で、脈微細、四肢冷え、或は頭痛悪寒し、或は胸痛咳痰、

或は喘急冷汗、或は譫妄煩躁、或は腹がつれて痛むもの。

2 )凍傷・脱疽・皮膚病・水虫・瘭疽等でチアノーゼを呈するもの。

3 )神経痛・腰痛・坐骨神経痛・手足が冷水につけられぬもので脈微、冷 え性だが附子剤の応じぬもの。

4 )所謂疝気・ヘルニヤ・腸疝痛・蛔虫・慢性虫垂炎等で下腹から腰にか けて痛み冷えるもの。

5 )婦人病・婦人の骨盤腹膜炎等で、下腹痛み、腰脚つれ、或は帯下、或 は微浮腫するもの。

6 )胃酸過多症で、脈微、足が冷えるもの。

7 )下痢、冷え性で、腹鳴するもの。

8 )血尿で、冷え性、或は下腹腰部が痛むもの。

9 )頭痛で、頭も手足も冷え、脈沈弦細のもの。

10)にきび、眼精疲労で、腹鳴、脈沈弱、冬は手先が甚しく冷えるものを 治した例がある。

39.苓桂朮甘湯

(りょうけいじゅつかんとう)

 出典 『傷寒論』、『金匱要略』

   

傷寒、若しくは吐し、若しくは下して後、心下逆満し、気、胸に上衝し、

起てば則ち頭眩し、脈沈緊、身、振振として動揺する証。(『傷寒論』太陽 病中篇)

心下に痰飲あり、胸脇支満し、目眩する証。(『金匱要略』痰飲䈙嗽病篇)

短気し、微飲あり、まさに小便より之を去るべき証。(同上)

 腹候

   

腹力は中等度よりやや軟(1‑3/5)。胃内停 水と臍上悸あり(腹候図)。

 気血水

    気と水が主体。

 六病位

    少陽病。

 脈・舌

   

脈は沈(沈緊)。舌質は淡紅で胖大、舌苔は 白〜白滑。

 口訣

   

この方は支飲を去るを目的とす。気咽喉 に上衝するも目眩するも手足振掉するも皆 水飲に因る也。(浅田宗伯)

学童の立ちくらみに、胃内停水と臍上悸をともに認めれば、九分九厘奏 効する。(道聴子)

 本剤が適応となる病名・病態

    a  保険適応病名・病態

効能または効果

めまい、ふらつきがあり、または動悸があり尿量が減少するものの次の諸 症:神経質、ノイローゼ、めまい、動悸、息切れ、頭痛。

b  漢方的適応病態

脾虚の寒飲。すなわち、疲れやすい、食欲がない、めまい感、立ちくらみ などの脾虚の症候に、悪心、嘔吐、上腹部膨満感、腹鳴、胃部の振水音あ るいは多量の白痰、咳嗽あるいは軽度の浮腫などの痰飲、水湿の症候がみ られ、四肢の冷え、動悸、耳鳴、肩こりなどを伴うことが多い。舌質は淡 紅で胖大、舌苔は白〜白滑。脈は沈(沈緊)。

 構成生薬

   

茯苓6、桂皮4、蒼朮3、甘草2。(単位g)

腹候=腹力は中等度より や や 軟(1‑3/5)。 胃 内 停 水と臍上悸あり。これら をともに認めれば、めま い に は 奏 効 が 期 待 で き る。

 TCM(Traditional Chinese Medicine)的解説

    温化寒飲・健脾利水。

 効果増強の工夫

   

血虚を伴う場合には、四物湯を合方して連珠飲(本間棗軒)とする。

苓桂朮甘湯と四物湯の比率は病態により変更することがある。

処方例)  ツムラ苓桂朮甘湯 7.5g      ツムラ四物湯   5.0g(1‑0‑1)分 食前

 本方で先人は何を治療したか?

   

龍野一雄著『新撰類聚方』増補改訂版より

1 )神経衰弱・神経質・ノイローゼ・精神分裂症・ヒステリー・貧血等で 動悸、めまい、手先や眼のふちがビクッとなる、顫える等のもの。

2 )心臓弁膜症・心臓不全・心臓喘息・神経性心悸亢進症等で、動悸、貧血、

小便不利、或は浮腫を伴うもの。

3 )バセドゥ氏病で、動悸、めまい、小便不利、或は胸元がはるもの。

4 )慢性腎炎・ネフローゼ・萎縮腎等で、貧血性で浮腫、動悸、息切れ小 便不利等があるもの。

5 )起立性調節障害・運動失調・小脳や錐体外路疾患・てんかん・眼球振 盪症・メニエール氏症候群等で、めまい、身体がゆれる、耳鳴、腹動、

小便不利などがあるもの。

6 )カタル性結膜炎・フリクテン性結膜炎・角膜パンヌス・翼状賛肉・雀目・

慢性軸性視神経炎・中心性視神経萎縮等で羞明、充血、流涙、小便不利、

或は眼病を伴うもの。

7 )蓄膿症・鼻出血に使つた例がある。

8 )内耳炎で難聴のもの。

9 )頭痛・日射病で、頭痛、めまい、小便不利のもの。

10)鼻血に使つた例がある。

11)梅核気即ち咽中炙肉感があり、頭眩するものを治した例がある。

12)禿頭病を治した例がある。

13)水虫で、不眠、肩こり、めまい、耳鳴、眼精疲労、ふけ等があるもの を治した例がある。

14)失血による貧血昏瞑を治した例がある。

15)萎縮性・麻痺性の歩行困難・腰脚麻痺。

ドキュメント内 Q.c i.p.ai (ページ 88-92)