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59.治頭瘡一方 (ぢづそういっぽう)

ツムラ黄連解毒湯 5. 0g 㾸 分 朝夕食前

 本方で先人は何を治療したか?

   

矢数道明著『臨床応用漢方処方解説』より 小児の胎毒、小児頭部湿疹、胎毒下し、諸湿疹。

桑木崇秀著『新版漢方診療ハンドブック』より

小児頭部の湿疹を目標に、分泌物、痂皮の多い便秘がちのものに適する。

ヒ ン ト

 本方は一名を大芎黄湯といい、本朝経験方の つである。本方の運用につ いて矢数道明氏は次のように述べている。

 「(本方は)中和解毒の効があるとされ、小児の胎毒に用いる。すなわち、本 方は主として小児頭部湿疹・胎毒下し・諸湿疹に用いられる。

 福井家(福井家の流儀のこと)にては黄䊫を加え、紅花・蒼朮を去るという。

 目標は小児の頭瘡で、分泌物・瘙痒・痂皮を認めるものである。小児の頭瘡(大 人でもよい)・顔面・頸部・腋窩・陰部等に発赤・丘疹・水疱・糜爛・結痂を 作るもので、実証に属し、大体において下剤の適応するものを目標とし、通 じのあるものは大黄を去る。長期連用する。

 方解すれば、連翹・忍冬は諸悪瘡を治し、防風は上部の滞気をめぐらし、

風湿を去る。荊芥は瘡を治し、瘀を消し、頭目を清くする。紅花は血を破り、

血を活かし、瘀を消す。蒼朮は湿を燥かし、川芎は諸薬を引いて上部に作用 する。

 加減としては、桃仁・石膏を加えて、口渇甚だしく煩躁するものに用いる。

 治頭瘡一方にて治らないものは、馬明湯加減方を用いるがよい。」(『臨床応

60.桂枝加芍薬湯

(けいしかしゃくやくとう)

 出典 『傷寒論』

   

もと太陽病、これを下し、因りて腹満し、時に痛む証。(『傷寒論』太陰 病篇)

 腹候

   

腹力中等度よりやや軟(1 2/5)。腹直筋の 緊張を認めることがある(腹候図)。

 気血水

   

気血が主体の気血水。

 六病位

    太陰病。

 脈・舌

   

舌質は正常か淡紅、薄白苔。脈は軟、やや 弦?。

 口訣

   

腹柔軟なるも虚脹し、あるいは疼痛を発し、便通に著変なきもの。(奥 田謙藏)

手術のできない慢性虫垂炎やいわゆる移動性盲腸に本方を連用させて奇 効を奏することが少なくない。(『現代漢方治療の指針』)

 本剤が適応となる病名・病態

    a  保険適応病名・病態

効能または効果

腹部膨満感のある次の諸症:しぶり腹、腹痛。

b  漢方的適応病態

1 )脾虚あるいは気血不足のものの腹痛。すなわち、顔色がさえない、不 活発、やや疲れやすい、食が細い、腹満感ありなどの体質で、時に腹痛が 有り、温めたり、押さえたりすると軽減するもの。舌質は正常か淡紅、薄 白苔。脈は軟やや弦。

2 )虚弱者や小児の感冒。

 構成生薬

   

芍薬6、桂皮4、大棗4、甘草2、生姜1。(単位g)

 TCM(Traditional Chinese Medicine)的解説

    緩急止痛・温中補虚。

 効果増強の工夫

   

本方を芍薬甘草湯の変方とみる見方があり、痛みに対する効果を考えると 附子を加味して芍薬甘草附子湯の加方とすることができる。これは腰痛な

腹候=腹力中等度よりや や 軟(1‑2/5)。 腹 直 筋 の 緊 張 を 認 め る こ と が あ る。

どに応用可能である。

処方例)  ツムラ桂枝加芍薬湯    7.5g  ブシ末(調剤用)「ツムラ」 1.5g分 食前

 本方で先人は何を治療したか?

   

龍野一雄著『新撰類聚方』増補改訂版より

1 ) 急性慢性の下痢を起す腸カタル・大腸カタル・腸結核・直腸潰瘍等で、

虚証で腹満或は腹部鈍痛するもの。

2 )急性虫垂炎や移動性盲腸で、虚証で腹痛軽熱があり、嘔吐せぬもの。

3 ) 慢性虫垂炎・結核性腹膜炎で、虚証でしこりを主とし、或は腹満、或 は鈍痛があるもの。

4 ) 急性虫垂炎から限局性腹膜炎を併発、又は急性虫垂炎を誤下して限局 性腹膜炎を起した虚証のもの。

5 )原因不明の虚証の腹痛。

6 )痔核・脱肛で虚証のもの。

ヒ ン ト

 本方の運用について奥田謙藏は『古方要方解説』で、以下の症状を挙げてい る。

)熱候去り、腹柔軟なるも虚脹し、あるいは疼痛を発し、便通に著変なき証。

) 発汗の後、微熱なお去らず、腹軟にして虚脹し、これを按ずれば痛み、あ るいは下痢する。

)消化不良による腹痛など。

)熱性下痢。

)腰痛を発する証。

)痔瘻など。

)咳嗽を頻発するために腹筋攣急、疼痛するもの。

 また『類聚方広義』で尾台榕堂は、「この方に附子を加えて、桂枝加芍薬附子 湯となづく。桂枝加芍薬湯の症にして、悪寒するものを治す。また腰脚攣急し、

冷痛、悪寒する者を治す」と本方の応用を述べている。腹部のみならず腰や下

61.桃核承気湯

(とうかくじょうきとう)

 出典 『傷寒論』

   

太陽病、解せず、熱膀胱に結ぼれ、その人狂の如く、血自づから下る。

下る者は愈ゆ。その外解せざる者は、尚ほ未だ攻む可からず。まさに先づ 外を解すべし。外解しおわつて、但だ少腹急結する者は、乃ち之を攻む可 し。桃核承気湯に宜し。(太陽病中篇)

 腹候

   

腹力中等度以上(3‑5/5)。瘀血圧痛(特に左 下腹)あり、ときに腹直筋の拘攣を認める

(腹候図)。

 気血水

   

気血が主体の気血水。

 六病位

    陽明病。

 脈・舌

   

脈は渋。舌質は紅〜紫。舌苔は黄。

 口訣

   

この方、傷寒蓄血小腹急結を治するは勿論にして諸血症に運用すべし。

瘀血の目的はかならず昼軽くして夜重き者なり。(浅田宗伯)

陰股部を打撲して尿閉となったものは導尿管を用いるか、本方を与える かしなければ治すことができない。(尾台榕堂)

 本剤が適応となる病名・病態

    a  保険適応病名・病態

効能または効果

比較的体力があり、のぼせて便秘しがちなものの次の諸症:月経不順、月 経困難症、月経時や産後の精神不安、腰痛、便秘、高血圧の随伴症状(頭痛、

めまい、肩こり)。

b  漢方的適応病態

1 )下焦の血瘀。すなわち、下腹部の痛みや圧痛あるは抵抗、不正性器出血、

月経困難、便秘などの症候があり、下肢の冷え、下腿部静脈怒張、外痔核 など、あるいはのぼせ、頭痛、肩こり、鼻出血、不眠、動悸などを伴うこ ともある。

2 )太陽病蓄血症。すなわち、発熱性疾患の経過にみられる、下腹部がか たく脹って痛む、圧痛、抵抗、便秘あるいはタール便、尿は正常か血尿、

不正性器出血などの症候で熱は夜間に高くなり、甚だしい場合には意識障 害や狂躁状態を呈する。(『中医処方解説』より)

腹 候 = 腹 力 中 等 度 以 上

(3‑5/5)。瘀血圧痛(特に 左下腹)あり、ときに腹 直筋の拘攣を認める。

 構成生薬

   

桃仁5、桂皮4、大黄3、甘草1.5、芒硝0.9。(単位g)

 TCM(Traditional Chinese Medicine)的解説

    清熱瀉下・活血逐瘀。

 効果増強の工夫

   

本方を用いてまだ薬力が不足するという場合には、通導散に転方するのも 一法である。

 本方で先人は何を治療したか?

   

龍野一雄著『新撰類聚方』増補改訂版より

1 ) 頭痛、めまい、耳鳴、肩こり、のぼせ、口燥、動悸、腰痛、下腹痛、

便秘、煩熱、足冷等の自律神経症状、興奮、不眠、健忘、狂状、譫妄 等の精神症状、鬱血、充血、出血等の循環障害、下腹膨満、少腹急結、

総腸骨動脈圧痛等の腹証などを呈する実証のもの。

2 ) 月経不順・月経困難・無月経・帯下・子宮内膜炎・附属器炎・更年期 障害・メトロパチー・流産・流産癖・不妊・人工流産後・産後悪露残留・

交接後腹痛・陰門腫痛・バルトリン氏腺炎で )の症状があるもの。

3 ) ヒステリー・血の道症・ノイローゼ・神経衰弱・発狂・てんかん・狂 躁病・脳充血・脳出血・動脈硬化症・高血圧症・脳膜炎後・狐つき等 で )の症状があるもの。

4 ) 痔・下肢静脈瘤・肛囲炎等で、顔面に充血、或は鬱血斑、頭痛肩こり 等があり、或は少腹急結、或は便秘するもの。

5 ) 気管支喘息・心臓喘息で )の症状があるもの。

6 )急性大腸炎・直腸炎・赤痢等で、下利、血便、腹痛し実証のもの。

7 )瘀血性の黄疸に使つた例がある。

8 )䏩噎即ち食道狭窄様症状に使つた例がある。

9 )心胸卒痛・胸腹痛で )の症状を伴うものに使つた例がある。

10)腹部腫瘍・鼓脹の実証、瘀血性のものに使つた例がある。

11)蟯虫が出た例がある。

12) 膀胱炎・膀胱結石・腎臓結石・尿道炎・前立腺炎・前立腺肥大等で疼痛、

排尿困難、排尿痛、尿意頻数、或は血尿等のある実証のもの。

13) チフス・脳炎・脳膜炎・丹毒・猩紅熱その他の急性伝染病で、高熱、

譫妄等の脳症を発し )の症状を伴うもの。

14) 吐血・喀血・鼻血・結膜出血・眼底出血・歯齦出血・舌出血・腸出血・

肛門出血・子宮出血・血尿・皮下出血等で )の症状を伴うもの。

15) 歯痛・むし歯・歯槽膿漏で、実証、のぼせ、顔面、歯齦、鬱血斑、便

62.防風通聖散

(ぼうふうつうしょうさん)

 出典 劉河間 (劉完素) 『宣明論

   

中風、一切の風熱、大便閉結し、小便赤渋、顔面に瘡を生じ、眼目赤痛 し、或は熱は風を生じ、舌強ばり、口噤し、或は鼻に紫赤の風棘䛾䛺(酒 䉠鼻の発疹)を生じ、しかして肺風(気管支喘息様疾患を意味する)となり、

或は癘風(癩病および類似症)となり、或は腸風(痔疾患)あつて痔瘻となり、

あるいは陽鬱して諸熱となり、譫妄驚狂する等の症を治す。(中風門)

 腹候

   

腹力中等度以上(3‑5/5)。腹部膨満あり(腹候図)。

 気血水

   

気血水いずれも関わる。

 六病位

    少陽病。

 脈・舌

   

脈は滑数から弦数。舌質は紅、舌苔は、黄 厚膩から垢濁。

 口訣

   

森道伯先生の医術として、最も特色とするところは防風通聖散を多用し たことであって、(晩年の)総患者数の三十%は同方およびその加減方を用 いている。(矢数格)

本方の正証は、皮膚が比較的黄白色を呈し、脈は充実して力があり、便 秘がちで、肥満重役型の太鼓腹で、臍を中心に病毒充満するというもので ある。(矢数道明)

喘息と顔面に瘡を生じている人のために、そもそも作られた方剤であり、

アトピー性皮膚炎や喘息を合併している例にしばしば適応する。(道聴子)

 本剤が適応となる病名・病態

    a  保険適応病名・病態

効能または効果

腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症:高血圧の随伴症状(ど うき、肩こり、のぼせ)、肥満症、むくみ、便秘。

b  漢方的適応病態

表寒、裏実熱。すなわち、悪寒、頭痛、無汗、咳嗽、呼吸困難などの表寒 の症候に、口が苦い、口渇、目の充血、咽痛、いらいら、腹部膨満感、便 より深い理解のために 本方は一貫堂処方の臓毒症体質改善薬として有名で ある。

より深い理解のために 本方は一貫堂処方の臓毒症体質改善薬として有名で ある。

腹 候 = 腹 力 中 等 度 以 上

(3‑5/5)。腹部膨満あり。

ドキュメント内 Q.c i.p.ai (ページ 124-132)