47.釣藤散 (ちょうとうさん)
ツムラ当帰芍薬散 5. 0g 㾸 分 朝夕食前 本方で先人は何を治療したか?
矢数道明著『臨床応用漢方処方解説』より
中年以後の神経症でやや虚状を呈し、頭痛・眩暈・肩こり・肩背拘急など を主訴とするものに用いる。すなわち本方は、神経症・頭痛・眩暈・肩こ り・更年期障害・動脈硬化症・高血圧症・慢性腎炎・脳動脈硬化症・メニ エール病など。
龍野一雄編著『改訂新版漢方処方集』
ノイローゼ、頭痛、肩こり、更年期障害、動脈硬化症。
桑木崇秀著『新版漢方診療ハンドブック』より
脳動脈硬化症による頭痛、めまい、肩こり、更年期障害。ただし、必ず熱 証であることが条件。
より深い理解のために 潜陽とは、陰虚で肝陽上昇(上亢)するものを治療す る方法。肝陽の上昇とは、頭痛眩暈、耳鳴耳聾、肢体麻木あるいは震顫を表 わす。潜陽の方法は重質の鎮墜薬(石膏など)を用いて虚陽を収斂させる。常 に平肝、滋陰などの法と併用する。
より深い理解のために 潜陽とは、陰虚で肝陽上昇(上亢)するものを治療す る方法。肝陽の上昇とは、頭痛眩暈、耳鳴耳聾、肢体麻木あるいは震顫を表 わす。潜陽の方法は重質の鎮墜薬(石膏など)を用いて虚陽を収斂させる。常 に平肝、滋陰などの法と併用する。
48.十全大補湯
(じゅうぜんたいほとう)出典 陳師文ほか編『和剤局方』
男子婦人、諸虚不足、五労七傷、飲食進まず、久病虚損、時に潮熱を発 し、気骨脊を攻め、拘急疼痛、夜夢遺精、面色痿黄、脚膝力なく、一切病 後、気旧のごとからず、憂愁思慮、気血を傷動し、喘嗽中満、脾胃の気弱 く、五心煩悶するを治す。(補虚損附骨蒸門)
腹候
腹力中等度前後(2‑4/5)。悪性腫瘍治療の 補助療法の際には脾胃への納まりがよけれ ば、腹力や腹候にはこだわらずに用いてよ い。これはその他の気血双補薬についても 当てはまる(腹候図)。
気血水
気血水のいずれとも関わる。
六病位
太陰病。脈・舌
脈は沈細弱。舌質は淡白で胖大。
口訣
この方、局方の主治によれば、気血虚す というが八珍湯の目的にて、寒というが黄
耆、肉桂(桂皮)の目的なり。また、黄耆を用うるは人参に力を併せて自汗 盗汗を止め、表気を固むるの意なり(固表)。(浅田宗伯)
この方は、気血、陰陽、表裏、内外、皆虚したものを大いに補う、とい う意味で十全大補湯と名付けられた。(矢数道明)
本剤が適応となる病名・病態
a 保険適応病名・病態効能または効果
病後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、寝汗、手足の冷え、貧血。
b 漢方的適応病態
気血両虚。すなわち、元気がない、気力がない、疲れやすい、倦怠無力感、
食欲不振、軟便〜泥状便などの気虚の症候と、顔色が悪い、皮膚につやが ない、頭がふらつく、目がかすむ、四肢のしびれ感、筋肉のひきつりなど の血虚の症候がみられるもの。
構成生薬
黄耆3、桂皮3、地黄3、芍薬3、川芎3、蒼朮3、当帰3、人参3、茯苓3、甘 腹 候 = 腹 力 中 等 度 前 後
(2‑4/5)。悪性腫瘍治療 の補助療法の際には脾胃 への納まりがよければ、
腹力や腹候にはこだわら ずに用いてよい。これは その他の気血双補薬につ いても当てはまる。
草1.5。(四君子湯+四物湯+桂皮、黄耆)(単位g)
TCM(Traditional Chinese Medicine)的解説
温補気血(あるいは、気血双補・温陽祛寒)。効果増強の工夫
1 )最初は、内容生薬の増強を図る。
処方例) ツムラ十全大補湯 7.5g㾹 ツムラ紅参末 3.0g㾸分 食前
2 )内容に含まれない生薬を加味する。
処方例) ツムラ十全大補湯 7.5g㾹 ブシ末(調剤用)「ツムラ」 1.5g㾸分 食前
本方で先人は何を治療したか?
矢数道明著『臨床応用漢方処方解説』より
諸貧血症・産後・手術後の衰弱・諸熱性病後の衰弱・癰疽の後・痔瘻・カ リエス・腎臓結核・瘰癧・白血病・諸出血の後・視力減退・脱肛・子宮癌・
乳癌等。
龍野一雄編著『改訂新版漢方処方集』より
疲労、衰弱、貧血、失血、産後、手術後、カリエス、痔漏、るいれき、白 血病、脱肛、神経衰弱、遺精、視力減退。或は男子婦人諸虚不足、一切病 後に気もとの如く回復せざるもの。
桑木崇秀著『新版漢方診療ハンドブック』より
大病後や手術後などの全身衰弱、貧血。カリエス、寒性膿瘍。その他、貧 血性で、気力・体力ともに衰えた場合(食欲不振・下痢のある場合を除く)。
より深い理解のために 本方は気血両虚に対して全面的な効能をもつが、構 成薬物が多いので急性の失血や極度の衰弱の改善には無理があり、他の適切 な手段を構じる必要がある。
より深い理解のために 本方は気血両虚に対して全面的な効能をもつが、構 成薬物が多いので急性の失血や極度の衰弱の改善には無理があり、他の適切 な手段を構じる必要がある。
ヒ ン ト
十全大補湯は悪性腫瘍術後にしばしば用いられるが、同様な状態に適応さ れることの多い補中益気湯との鑑別が問題となる。
十全大補湯は四君子湯、四物湯、黄耆、桂枝の内容であり、おおまかに補 中益気湯と比すると四物湯が含有されているのが特徴である。すなわち補血 を要するようであれば十全大補湯、要さないようであれば補中益気湯という 鑑別が成り立つ。しかしその間は厳密な線引きが難しく、最後は主治医の臨
50.荊芥連翹湯
(けいがいれんぎょうとう)出典 森道伯著『漢方一貫堂医学』
荊芥連翹湯は柴胡清肝散(湯)の変方であつて、青年期の解毒証体質を主 宰する処方である。すなわち柴胡清肝散の去加方に『万病回春』の荊芥連翹 湯を合方した一貫堂の創方で、耳鼻両方の病気を同一の処方で治すること ができる処方である。(矢数格、『漢方一貫堂医学』)
幼年期の柴胡清肝散(湯)証が長じて青年期となると、荊芥連翹湯証とな るので、同様に解毒証体質者である。ゆえに、幼年期扁桃炎、淋巴腺肥大 等にかかる者は、青年期になると蓄膿症となり、肋膜炎を起こし、肺尖カ タルと変り、神経衰弱症を病む。この体質の者がすなわち荊芥連翹湯証で ある。(同上)
腹候
腹力中等度以上(3‑4/5)。腹直筋の攣急を 認める。皮膚は色素沈着あり(腹候図)。
気血水
気血水いずれとも関わる。
六病位
少陽病。脈・舌
原方となった温清飲より推測して、脈は 細数。舌質は紅、舌苔は黄。(『中医処方解 説』)
荊芥連翹湯証の者の脈は緊脈を呈している。(矢数格)
口訣
皮膚の強い色素沈着と腹直筋の緊張とで本方の適用を決定することが多 い。(道聴子)
青年期における一貫堂医学の解毒証体質者は、扁桃炎、中耳炎を病みや すかつた小児期とはちがつて体質に変化を来たし、主として蓄膿症を起こ すようになる。したがつて、同医学の病理によれば、小児期の扁桃炎と、
青年期の蓄膿症とは同一性質の病気であることがわかり、蓄膿症が手術だ けでは根治しにくい理由も理解される。(矢数格)
より深い理解のために 一貫堂の三大証体質とは、解毒証体質(柴胡清肝湯、
荊芥連翹湯)、瘀血証体質(通導散)、臓毒証体質(防風通聖散)である。
より深い理解のために 一貫堂の三大証体質とは、解毒証体質(柴胡清肝湯、
荊芥連翹湯)、瘀血証体質(通導散)、臓毒証体質(防風通聖散)である。
腹 候 = 腹 力 中 等 度 以 上
(3‑4/5)。腹直筋の攣急 を認める。皮膚は色素沈 着あり。
本剤が適応となる病名・病態
a 保険適応病名・病態効能または効果
蓄膿症、慢性鼻炎、慢性扁桃炎、にきび。
b 漢方的適応病態
血虚・血熱・肝鬱・風熱。すなわち、皮膚につやがない、頭がふらつく、
目がかすむ、爪がもろい、手足のしびれ感、筋肉の引きつれ、などの血虚 の症候とともに、のぼせ、ほてり、イライラ、不眠、目の充血、口渇など の熱証や、鼻出血、不正性器出血、下血など鮮紅色の出血がみられたり、
灼熱感のある暗赤色の発疹(湿潤性がない)あるいは皮膚炎、口内炎が生じ るもの。さらに、ゆううつ感、いらいら、怒りっぽい、頭痛、胸脇部が張っ て苦しい、脇の痛み、腹痛などの肝気鬱結の症候を伴い、熱感を自覚する もの。
構成生薬
黄䊫1.5、黄柏1.5、黄連1.5、桔梗1.5、枳実1.5、荊芥1.5、柴胡1.5、山梔子1.5、
地黄1.5、芍薬1.5、川芎1.5、当帰1.5、薄荷1.5、白芷1.5、防風1.5、連翹1.5、
甘草1。(単位g)
TCM(Traditional Chinese Medicine)的解説
清熱解毒・疏肝解欝・凉血止血・解表。効果増強の工夫
著者は本方をアトピー性皮膚炎や慢性扁桃炎にしばしば適応する。一貫堂 処方であるので、温清飲が配剤されているが、熱性強くやや力不足の感が あるときには黄連解毒湯を適量追加する。
処方例) ツムラ荊芥連翹湯 5.0g㾹