22.消風散 (しょうふうさん)
24. 加味逍遙散(別名:丹梔逍遙散)
(かみしょうようさん、たんししょうようさん)
出典 『和剤局方』
血虚労倦、五心煩熱、肢体疼痛、頭目昏重、心 頬赤、口燥咽乾、発熱盗 汗、減食嗜臥、及び血熱あい打ち、経水調わず、臍腹脹痛、寒熱瘧の如く なるを治す。また室女血弱、陰虚して栄衛和せず、痰嗽潮熱、肌体羸痩、
漸く骨蒸と成を治す。(和剤局方、婦人諸疾門逍遙散条)
(貧血倦怠、あちこちの熱感、身体疼痛、頭重めまい、頬赤くのぼせ、口 のど乾き、発熱ねあせ、食思不振で臥せがち、月経が不順、腹痛したりす る、のぼせたり冷えたりを治す。また未婚の女子、婦人科の不調により体 調わるく、痰あり、咳あり、やせ細り、次第に慢性の熱病となるを治す。)
腹候
腹力中等度かそれ以下(2‑3/5)。胸脇苦満 を認めることがある(腹候図)。
気血水
気血水いずれにも関わる。
六病位
少陽病。脈・舌
舌質は紅、舌苔は黄。脈は弦細数。
口訣
老医の伝に、大便秘結して朝夕快く通せざると云ふもの、何病に限らず この方を用れば、大便快通して諸病も治すと云う。(浅田宗伯)
婦人いっさいの申し分に用いてよくきく。いまより十数年前は、世間の 医者は、婦人の病というとほとんどこの方を用いた。男子でも癇癪持ちに 適する。(百々漢陰)
本剤が適応となる病名・病態
a 保険適応病名・病態効能または効果
体質虚弱な婦人で肩がこり、疲れやすく、精神不安などの精神神経症状、
ときに便秘の傾向のある次の諸症:冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困 難、更年期障害、血の道症(一般的に男性にも保険上の適用が認められて いる。病名は不定愁訴などで可である)。
b 漢方的適応病態
逍遙散は肝気鬱結・血虚・脾虚に適応される。加味逍遙散は、これに牡丹 皮、山梔子の適応状態が加わったもの。
腹候=腹力中等度かそれ 以 下(2‑3/5)。 胸 脇 苦 満 を認めることがある。
構成生薬
柴胡3、芍薬3、蒼朮3、当帰3、茯苓3、山梔子2、牡丹皮2、甘草1.5、生姜1、
薄荷1。(単位g)
TCM(Traditional Chinese Medicine)的解説
疏肝解欝・健脾補血・瀉火・調経(逍遙散に熱証を伴うもの)。効果増強の工夫
服後の状態からの判断により、瀉肝、清熱、補気、補血のいずれに重点を 置くかでさまざまな兼用方、合方がありうる。
例として瀉肝には竜胆瀉肝湯、清熱には黄連解毒湯、補気には四君子湯、
補血には四物湯などが考えられる。
本方で先人は何を治療したか?
矢数道明著『臨床応用漢方処方解説』より
更年期障害(血の道症)・月経不順・流産や中絶および卵管結紮後に起こる 諸神経症状に用いられ、また不妊症・結核初期症候・尿道炎・膀胱炎・帯 下・産後口内炎・湿疹・手掌角皮症・肝斑・肝硬変症・慢性肝炎・疳癪持 ち・便秘症等に応用される。
龍野一雄『改訂新版漢方処方集』より
月経不順、血の道症、帯下、ノイローゼ、不眠症、心悸亢進症、気鬱症。
以上の状態で熱候または上部に充血症状あるもの。
桑木崇秀『漢方診療ハンドブック』より
虚証の冷えのぼせ(上熱下寒)、更年期障害、月経不順、指掌角皮症。
より深い理解のために 肝気鬱結とは、ゆううつ感、いらいら、怒りっぽい、
頭痛、胸脇部が張って苦しい、脇の痛み、腹痛などをいう。血虚の症候とは、
頭がふらつく、頭がボーッとする、目が疲れる、四肢がしびれる、皮膚につ やがない、動悸、眠りが浅い、多夢などをいう。脾虚とは、食欲がない、疲 れやすい、倦怠感、浮腫、下痢傾向、あるいは下痢便秘の交代などの症候を いう。月経については、不定な周期、過少月経、無月経など。
より深い理解のために 肝気鬱結とは、ゆううつ感、いらいら、怒りっぽい、
頭痛、胸脇部が張って苦しい、脇の痛み、腹痛などをいう。血虚の症候とは、
頭がふらつく、頭がボーッとする、目が疲れる、四肢がしびれる、皮膚につ やがない、動悸、眠りが浅い、多夢などをいう。脾虚とは、食欲がない、疲 れやすい、倦怠感、浮腫、下痢傾向、あるいは下痢便秘の交代などの症候を いう。月経については、不定な周期、過少月経、無月経など。
25.桂枝茯苓丸
(けいしぶくりょうがん)出典 『金匱要略』
(出典の『金匱要略』の条文は要領を得ない内容なので方極を引用する)
経水変有り、或いは胎動き、拘攣上衝し、心下悸するものを治す。(『方 極』)
腹候
腹力は中等度前後(2‑4/5)。瘀血の圧痛を 認める(腹候図)。
気血水
気血主体の気血水。六病位
少陽病。脈・舌
舌質は紫、あるいは瘀斑がみられることが 多い。脈は渋あるいは細、あるいは弦。
口訣
小柴胡湯との合方は胃腸障害も予防でき、便秘のひどくない蕁麻疹に卓 効を示すことが多い。(『現代漢方治療の指針』)
本剤が適応となる病名・病態
a 保険適応病名・病態効能または効果
体格はしっかりしていて赤ら顔が多く、腹部は大体充実、下腹部に抵抗の あるものの次の諸症:子宮並びにその付属器の炎症、子宮内膜炎、月経不 順、月経困難、帯下、更年期障害(頭痛、めまい、のぼせ、肩こり等)、冷 え症、腹膜炎、打撲傷、痔疾患、睾丸炎。
b 漢方的適応病態
下焦の血瘀。すなわち、下腹部の痛みや圧痛抵抗、あるいは腫瘤、月経不 順、月経困難、不正性器出血などに、下肢の冷えや静脈のうっ滞あるいは のぼせ、頭痛、肩こりなどの症状を伴うもので、舌質は紫あるいは瘀斑が みられることが多い。脈は渋、あるいは細、あるいは弦。一般的な血瘀に 用いてもよい。
構成生薬
桂皮3、芍薬3、桃仁3、茯苓3、牡丹皮3。(単位g)
TCM(Traditional Chinese Medicine)的解説
活血化瘀・消䛾。腹候=腹力は中等度前後
(2‑4/5)。瘀血の圧痛を 認める。
効果増強の工夫
便秘傾向があれば、大黄を加えて駆瘀血作用を増強する。
本方で先人は何を治療したか?
龍野一雄著『新撰類聚方』増補改訂版より
1 )実証で、頭痛、耳鳴り、眩章、肩こり、のぼせ、心悸亢進、疲労倦怠感、
足腰の冷え、或は足がほてる、便秘などの自律神経症状、腰痛などの 末梢神経症状、顔面紅潮、鬱血斑、各種出血などの循環障害が主で、
不眠、いらいら、興奮などの精神症状が従で軽いもの。
2 )神経質・ノイローゼ・神経衰弱・ヒステリー・鬱病等で 1 )の症状があ るもの。
3 )心臓病で、動悸、苦悶、頭痛するのに使つた例がある。
4 )気管支喘息・肺結核の実証で、肩こり、のぼせ感、頭痛し、或は月経 不順、或は喀血に使つた例がある。
5 )高血圧症・動脈硬化症で 1 )の症状があるもの。
6 )ネフローゼ・腎炎で、瘀血性浮瞳や、 1 )の症状があるもの。
7 )夜尿症で、実証、月経不順のもの。
8 )甲状腺腫で、 1 )の症状があるもの。
9 )慢性腹膜炎で、実証、硬結鈍痛があり、 1 )の症状を兼ねたもの。
10)神経痛・リュウマチで、実証、鈍痛があり、体質的に 1 )の症状がある もの。
11)月経不順・月経困難・無月経・経閉・子宮出血・帯下・更年期障碍・
血の道症・卵巣機能不全・脱落症・子宮後屈・子宮内膜炎・頸管カタル・
附属器炎・メトロパチー・子宮筋腫・卵巣嚢腫・骨盤腹膜炎・流産癖・
不妊症・流産・悪露残留・死胎等で月経障碍、子宮出血、帯下、下腹 腰痛、下腹部腫塊などの婦人科的症状があり、実証で 1 )の症状を伴う もの。
12)乳腺腫瘍の、実証のものを治した例がある。
13)痔核・痔出血で 1 )の如き体質的特徴があるもの。
14)凍傷・打撲・下肢血栓兼浮腫・腓腸筋痛等で、実証鬱血性のもの。
15)急性慢性虫垂炎の、実証軽症で、 1 )の症状を伴うもの。
16)急性睾丸炎で、腫脹疼痛があり、実証で 1 )の症状を兼ねるもの。
17)フルンケル・カルブンケル・皮下膿瘍・筋炎・肛囲炎等で欝血性で腫 脹疼痛のある実証のもの。
18)眼瞼炎・結膜炎・角膜炎・網膜炎等で 1 )の症状を伴うもの・ものもらい。
19)蓄膿症・肥厚性鼻炎等で、 1 )の体質的症状があるもの・扁桃腺炎。
26.桂枝加竜骨牡蛎湯
(けいしかりゅうこつぼれいとう)出典 『金匱要略』
小腹弦急し、陰頭冷え、目眩し、髪落ち、失精、夢交する証。(『金匱要 略』血痺虚労病篇)
腹候
腹力中等度よりやや軟(1‑2/5)。臍上悸を 認め、ときに軽度の腹直筋緊張がある(腹 候図)。
気血水
気が主体の気血水。六病位
少陽病。脈・舌
舌質、やや淡白、舌苔は薄白。脈は軟。
口訣
この方は虚労、失精の薬だが、活用すれば小児から成人の遺尿にもきく。
(浅田宗伯)
遺精もそうだが夜尿症、前立腺肥大症や萎縮腎で小便近きもの、帯下な どすべて締まりがなくて下に漏れる症状を対象にして本方を使う。区別を 要するのは八味丸である。(龍野一雄)
本剤が適応となる病名・病態
a 保険適応病名・病態効能または効果
下腹直腹筋に緊張のある比較的体力の衰えているものの次の諸症:小児夜 尿症、神経衰弱、性的神経衰弱、遺精、陰萎。
b 漢方的適応病態
気血不足・虚陽浮越。すなわち、不安感、不眠、動悸、多夢、夢精などの 虚陽浮越の症状に、元気がない、食が細い、しびれ、顔色がわるいなどの 気血不足の症候を伴うもの。
構成生薬
桂皮4、芍薬4、大棗4、牡蛎3、竜骨3、甘草2、生姜1.5。(単位g)
TCM(Traditional Chinese Medicine)的解説
安神・通陽・補気血・調和栄衛(安神・補虚)。腹候=腹力中等度よりや や 軟(1‑2/5)。 臍 上 悸 を 認め、ときに軽度の腹直 筋緊張がある。