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27.麻黄湯 (まおうとう)

ドキュメント内 Q.c i.p.ai (ページ 66-70)

 出典 『傷寒論』

   

太陽病、頭痛、発熱し、身疼腰痛し、骨節疼痛し、悪風し、汗なくして 喘する。(傷寒論、太陽病中篇)

傷寒、脈浮緊にして汗を発せず、よりて衂をいたす(同上)。他にも条文 は多い。

 腹候

   

急性疾患初期では脈が重要とされ、腹候は 考慮されない。もしリウマチなどの慢性疾 患に適用するとすれば、腹力中等度かそれ 以上(3‑4/5)である(腹候図)。

 気血水

    気が主体の気血水。

 六病位

    太陽病。

 脈・舌

   

脈浮緊。舌苔は白薄苔。

 口訣

   

身体疼(いた)む者。(吉益東洞)

この方は太陽傷寒無汗の症に用う。桂麻の弁、仲景氏厳然たる規則あり、

犯すべからず。又喘家風寒に感じて発する者この方を用うれば速やかに癒 ゆ。朝川善庵終身この一方にて喘息を防ぐという。(浅田宗伯)

乳児の鼻閉には、母親の指先を濡らして麻黄湯の粉末をつけ、児の頬粘 膜にすり付けたのち乳を含ませればまもなく改善する。(道聴子)

 本剤が適応となる病名・病態

    a  保険適応病名・病態

効能または効果

悪寒、発熱、頭痛、腰痛、自然に汗のでないものの次の諸症:感冒、イン フルエンザ(初期のもの)、関節リウマチ、喘息、乳児の鼻閉塞、哺乳困難。

b  漢方的適応病態

表寒・表実。すなわち、悪寒、無汗、発熱、頭痛、身体痛、咳嗽あるいは 呼吸困難、口渇がないなどで、鼻閉、鼻水、ふるえなどを伴うことが多い。

舌苔は白薄、脈浮緊。

 構成生薬

   

杏仁5、麻黄5、桂皮4、甘草1.5。(単位g)

腹候=急性疾患初期では 脈が重要とされ、腹候は 考慮されない。もしリウ マチなどの慢性疾患に適 用するとすれば、腹力中 等度かそれ以上(3‑4/5)

である。

 TCM(Traditional Chinese Medicine)的解説

    辛温解表・止咳平喘。

 効果増強の工夫

   

本方の7.5g中には、麻黄5.0gのエキスを含むので、麻黄を含む他薬との合 方は避けるべきである。

 本方で先人は何を治療したか?

   

龍野一雄著『新撰類聚方』増補改訂版より

1 )感冒・流感・チフス初期・肺炎初期・麻疹等の急性伝染性熱病の実証で、

悪寒、発熱、脈浮緊、或は無汗のもの。

2 )感冒で、項背強り、膝が痛むものを治した例がある。

3 )小児の感冒で鼻がつまるもの。

4 )流感で鼻血が出るもの。

5 )気管支喘息で脈浮緊のもの、或は感冒から喘息を併発し、頭痛発熱無 汗のもの。

6 )夜尿症を治した例がある。

7 )乳汁不足を治した例がある。

ヒ ン ト

 麻黄湯は近年、漢方を専門とする以外の医師からもインフルエンザの治療 薬として認識されるようになった。

 ただ麻黄湯だけがインフルエンザ治療に適しているのかといえばそうでは ない。医療用漢方製剤には状態によって第一選択にしうる薬剤として、桂枝湯、

葛根湯、小青竜湯、麻黄附子細辛湯、香蘇散、升麻葛根湯などいろいろとある。

1918年から1919年にかけて世界的に流行したいわゆるスペイン風邪と呼ばれ るインフルエンザに、わが国の漢方家森道伯が香蘇散、小青竜湯、升麻葛根 湯のそれぞれ加味方で対処したことが、『漢方一貫堂医学』(矢数格著)にみえ る。

 実際に、著者の外来で鼻汁から抗原が検出されて診断したインフルエンザ 例に香蘇散を用いて、良好な経過をとった経験がある。また解熱までの経過 を短くすることを重要とし、そのために薬用量を多く必要とするという論者 もあるが、安全性の面はどうなっているだろうか。安全に快適に治療期間が 短縮されればいうことはないのだが。

28.越婢加朮湯

(えっぴかじゅつとう)

 出典 『金匱要略』

   

肉極を治す。熱すれば則ち身体津脱し、䊝理開き、汗大いに泄れ、厲風 気、下焦脚弱なる証。(『金匱要略』中風歷節病篇)

 腹候

   

腹力中等度かそれ以上(3‑5/5)(腹候図)。

 気血水

    水が主体の気血水。

 六病位

    太陽病。

 脈・舌

   

脈は浮滑。舌は薄白苔。

 口訣

   

条文の「肉極」を翼状贅片とみなして、本方で消褪せしめ得る可能性があ る。(藤平健)

本方の適応に裏水とあるが、風水(風邪に湿邪の加わったもの)の誤りで あろう。(浅田宗伯)

 本剤が適応となる病名・病態

    a  保険適応病名・病態

効能または効果

浮腫と汗が出て小便不利のあるものの次の諸症:腎炎、ネフローゼ、脚気、

関節リウマチ、夜尿症、湿疹。

b  漢方的適応病態

風水。すなわち急激に発症する全身の浮腫と尿量減少で、浮腫は顔面には じまり、全身に及ぶ。皮膚には光沢があり、圧すると陥凹するがすぐに元 に戻る。初期には、発熱、悪風、咽痛、咳嗽などの表証を伴うことが多い。

舌苔は薄白、脈は浮滑(以上、越婢湯の主治)。越婢加朮湯は浮腫が強く健 脾利水の朮を加え、組織内の水を血管内に引き入れ利尿により排泄するも の。

 構成生薬

   

石膏8、麻黄6、蒼朮4、大棗3、甘草2、生姜1。(単位g)

より深い理解のために 急性の関節痛で、腫れて熱感あり。自汗、疲れやすい、

舌質が淡白等、衛気虚の症候があれば、本方よりは防已黄耆湯などを考慮す る。

より深い理解のために 急性の関節痛で、腫れて熱感あり。自汗、疲れやすい、

舌質が淡白等、衛気虚の症候があれば、本方よりは防已黄耆湯などを考慮す る。

腹候=腹力中等度かそれ 以上(3‑5/5)。

 TCM(Traditional Chinese Medicine)的解説

    宣肺利水・健脾。

 効果増強の工夫

   

1 )附子を加味するのは古典の方後に書かれている。関節痛の場合、附子 末を、0.5〜1.5g/日併用する。

処方例)  ツムラ越婢加朮湯     5.0g  ブシ末(調剤用)「ツムラ」 1.0g分 食前

2 )本方7.5g中には、麻黄6.0gのエキスが含まれるので、他の麻黄剤との 併用は避けるべきである。

3 )胃もたれしたり、効果がいまひとつだったりしたときには、防已黄耆 湯や疎経活血湯への転方か、併用を考える。

処方例)  ツムラ越婢加朮湯 5.0g  ツムラ防已黄耆湯 5.0g分 食前

疎経活血湯、牛車腎気丸の併用も可能である。ただ、できるだけ合計 2 剤 以内がよい。

 本方で先人は何を治療したか?

   

龍野一雄著『新撰類聚方』増補改訂版より

1 )腎臓炎・ネフローゼ・心臓不全・脚気その他の浮腫で、無熱のときは 脈沈、発熱するときは脈浮或は大で、小便不利するもの。

2 )関節リュウマチで熱候あり、患部浮腫状のもの。

3 )眼病で充血、羞明、めやに、流涙、痛み、或はかゆみがあり、ただれ てきたなく見えるもの。

4 )湿疹・たむし・水虫等の皮膚病で、痴皮、脂漏も混え、きたなく見え るもの。

5 )フルンケル・カルブンケル・皮下膿瘍・筋炎・瘭疽・潰瘍等で患部が チアノーゼ様に色が悪く、或は分泌物がきたなく或は発熱するもの。

6 )脚弱・下肢麻痺・膝がガクガクし転びそうになつたり、足の運びが悪い、

実証のもの。

7 )紅肢症で冷痛、軽浮腫、口渇、小便不利を治した例がある。

8 )下肢静脈拡張症(バリックス)に用いた例がある。

9 )贅肉・プテリギウム・ケロイド等に使つた例がある。

10)寝小便に使つた例がある。

11)黄疸で浮腫、小便不利のもの。

12)バセドゥ氏病で、心悸亢進、呼吸促迫、口舌乾燥、渇、眼球突出、小 便不利のもの。

ドキュメント内 Q.c i.p.ai (ページ 66-70)