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「그리고병이점점더심해저도 고만이다―」

창자를끈는듯한이소리에 우뚝히듯고섯든나도 눈물이핑돌앗다

「나의압헤는캄캄한암흑(暗黑)이 노혀잇슬뿐이다 나밧게그것은 아무도몰은다 그것은점점커다케 퍼저서 나의발밋흐로모인다 조곰만잇스면 그암흑이나를집어생키는것이다―」

「아아…하나아무러케해도조타 고만이다후―」

「콜………콜………콜………허허……」〔…〕

〔…〕顔を見ていたわけではなかったが、声を聞いて彼〔A〕が泣いているのだということが十分に分 かった。

「ふー」

と溜息をつく音に続けて、

「それに病気がもっとひどくなったっていいんだ」

はらわたをえぐるような声に、独り立って聞いていた私〔K〕の目にも涙が滲んだ。

「俺の前には漆黒の闇が置かれているだけだ。俺以外には誰も知らない。そいつは段々大きく広がり俺 の足元へと集まってくる。少しすればその暗黒が俺を飲み込むんだ」

「ああ… でもどうにでもしてくれ、終わりだ、ふー」

「はあ………はあ………はあ………ああ、ああ……」〔…〕394

続いて三つ目の彼の性格として注目されるのが、彼の「モノマニアック」、「偏執狂」と いう特徴である。これは本作品における

A

の性格の中でもとりわけ重要な要素であると言 ってよい。この語を

A

に対して最初に用いたのは

P

であるが、彼が

A

に宛てた以下の手紙 の内容は

A

の性格の特徴を端的に言い表しているものと言えよう。

(62)〔…〕귀여운동무A각별조심하여라 너는자칫하면「모노메이니아크」(Monomaniac)가될염 녀가잇다 너는지금 현실(現實)을떠나 늘환상(幻想)속에서 허매이고잇는것이다 〔…〕성숙이와 물레방아깐의게집애― 이것은네가진흙으로이겨맨든인형(人形)이다 너는이것을〔…〕깨트려버려 야한다

그리고마음을단々히먹고 병을완치하며 건전한몸을맨들어라 하면다시너에게 건전한현실과향복이올 것을 나는 밋고맹서하는바이다〔…〕

394‘寂滅’前掲書、19321124日付

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〔…〕いとしき友Aよ、くれぐれも気をつけてくれ。お前はともすれば「モノマニアック」(Monomaniac)

に陥る恐れがある。お前は今現実を離れ幻想の中を彷徨い続けているのだ。〔…〕聖淑と水車小屋の女

―それはお前が粘土をこねて作り出した人形だ。お前はそれを〔…〕叩き壊してしまわねばならない。

そして固い決意の下で病気を完治させ、健全な体となってくれ。そうすればお前に再び健全な現実と幸 福の享受が訪れることを俺は信じ誓う次第だ。〔…〕395

(61)の後半部の「少しすればその暗黒が俺を飲み込むんだ」という誇張された悲観・絶 望感に捕らわれ続け、後で再度見るような聖淑に対する甚だしい妄想を繰り返す

A

のこと を

P

は「モノマニアック」な人間、つまり偏った考えを頑なに信じて他人の意見を受け入 れようとしない頑固者だと評価している。この「モノマニアック」という言葉に代表され るように、Pの

A

に対する見方は「怪物」で「変態的人物だ」396というものや、「精神病者 だ、狂人だ」397というものなど、一様にしてたいへん否定的なものばかりである。また

A

のこの性格の特徴は

P

のみでなく

K

も賛成しており、のみならず

A

自身までもが全面的に 認めている事柄である。次に挙げる引用のうち、前者は水車小屋で偶然出会った少女が聖 淑でなければ嫌だと言って二人を同一人物と無理に信じ込もうとする

A

に対し、K が心中 で皮肉を述べている部分であり、後者は

A

が自分自身の性格について

K

に強く言い聞かせ ている場面である。

(63)〔…〕A는콜々대고기침을햇다 나는 이때비로소 속으로

「모노메이니아크」

하는생각을햇든것이다

P가 그를보고「모노메이니아크」편집광자(偏執狂者)〔…〕가될 염녀가 잇다고 한것은올타 A와가치 모든사상이 형이상학적(形而上學的)이며 모든 작품(作品)이둔세적(遁世的)이요 생 활의전부가병적(病的)인 사람으로서는 이러한 경향(傾向)도 가히이상스러운일이아니라고 생각 하엿다 그리고내자신으로서도 A의이러한성격을 그러케실허하는바 아니요〔…〕

〔…〕Aは深く息をつき咳き込んだ。この時になってようやく私の頭の中に

「モノマニアック」

という言葉が思い浮かんだのであった。

395‘寂滅’前掲書、19321123日付

396‘寂滅’前掲書、19321125日付

397‘寂滅’前掲書、1932122日付

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P が彼に対して「モノマニアック」、つまり偏執狂者〔…〕になる恐れがあると言ったのはもっともな ことだ。

Aのように全ての思想が形而上学的でどの作品も遁世的であり、生活の全てが病的な人間としては、こ のような傾向も決しておかしいことではないと思った。そして私自身としてもA のこのような性格を それほど嫌っているというわけではなく〔…〕398

(64)〔…〕「동무들아 너이들은 나를 미친놈으로만돌려라 그것이 참말이요사실이다 그리고나는그것 을 조금도원망스럽게는알지안는다」

나는여긔서 좀변명을하려햇스나 그는나에게입을열틈도안주고 게속하엿다

「모노메니바マ マP는나를이러케비판하고 또너도거긔에 매우동감인모양이다 하나이세상에 그러 치안흔사람이어대잇니 엄밀하게따저서 편집광(偏執狂)일사광(一事狂)아닌사람은업다 이세상에 두가지를위하야사는 사람은업다 누구나다한가지만을위하야사는것이다」〔…〕

〔…〕「よく聞けよ、お前らは俺を狂った奴だと思ってくれればいいんだ、それは本当だし事実だ。そ れに俺だってそのことを少しも恨めしく思ったりなんかしてないんだ」

私はここで少し弁明をしようとしたのだが、彼は私に口を開く隙すらも与えずに続けた。

「モノマニアック、Pは俺をこんな言葉で批判していたし、同じようにお前もそれにたいそう同感して るみたいじゃないか。だがこの世にそうでない奴がどこにいるってんだ。厳密に言って偏執狂、一事狂 でない奴なんていないんだ。この世で二つのことのために生きている奴なんていない。誰だってみんな たった一つのことのためだけに生きてるんだ」〔…〕399

このように「モノマニアック」であることを自認する

A

は聖淑がある時突然夢に現れ、

その夢の中でお互いに愛し合っていることやともに肺病患者であることを打ち明けたとい うことから、「俺が彼女をこんなにも恋しく思っているのと同様に、彼女だって俺を恋しく 思ってくれているんじゃないだろうか?」400、「今聖淑は俺と同じように肺病を患っている んじゃないだろうか?」401と思いつく。そしてその考えを「何ら疑う余地もなく」、「固く 信じているようであった」402。当然のことながらこのような突拍子もない考えは何の現実

398‘寂滅’前掲書、19321124日付

399‘寂滅’前掲書、19321127日付

400‘寂滅’前掲書、19321127日付

401‘寂滅’前掲書、1932123日付

402‘寂滅’前掲書、1932124日付

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的根拠にも基づいていない

A

の身勝手な妄想であると言わざるを得ない。そして正にこの ような姿が次に見る彼のもう一つの性格の特徴、及び恋愛の様相と密接な関係を結んでい る点なのである。

彼の性格の特徴の第四点目として挙げられるのが、恋人の聖淑に対する激しい恋愛感情 から来る積極的、大胆であるが非理性的でもあるという性格である。上に見たように

A

は 女性一般に対して強い「憎悪」心を抱いていた。しかし唯一の恋人である聖淑に対しては その態度が正反対になり熱烈な恋愛感情を傾けている。この点は安懐南自身が女性という もの全般に対しては嫌悪感を抱いていた一方で、「一人の女性に恋人として仕えるのは好き」

であり「全世界の人類よりも私の恋人一人をより愛し、より貴重なものに思」っていると 述べていた事実とよく一致している。聖淑に対して

A

は山奥の村で寺子屋403に通っていた 幼い頃から「深く彼女を愛して」おり、その感情は「間違いなく恋愛そのものだった」と 表現されている404。少年期の彼は聖淑のためならば「勇猛」で「勇敢」な「愛の使徒」と なることができ、彼女にプレゼントするために寺子屋の先生の家にある花や畑に植えられ ている西瓜を盗んだこともあった405

しかし注目すべきなのは、この頃の

A

は聖淑に対する強い恋情とともに、学問に対する 強い情熱もまだ同程度に持っていたということである。

(65)〔…〕서울로올라와서불시에 성숙이가 무섭게도그리웁고 한때는 밤마다 그가꿈에보엿스며 어떠 케나시골로다시가고십헛는지 금방미치거나 병이들것도가탓다

하더니만내가학교엘들고 새로운생활에발을내밀면서 잠시는 성숙이에 대한열도식엇섯다 한동안나는 이상스럽게도 모든것을이저버리고 지독하게열심으로 공부를햇다 집에들어 안저서는 더다시말할나 위도업고 길로다니면서도 책을들고는읽고외이고하엿다〔…〕

〔…〕京城に帰ってきてからは不意に聖淑が恐ろしいほど恋しくなり、一時は毎晩彼女が夢に出てきて どうしても田舎にもう一度行きたくなり、次の瞬間には狂って病気になるんじゃないかって思った。

それでも俺が学校に入って新たな生活に足を踏み入れると、しばらくは聖淑に対する熱も冷めていた。

奇妙なことだが一時の間俺は全てのことを忘れて無茶苦茶熱心に勉強をした。帰宅して机に向かってか らは言うまでもなく、道を歩いている時でも本を持って読んだり暗唱したりしていた。〔…〕406

403 本文中では主に「글빵」と書かれており、引用(5)にあった「書堂」に近い初等教育施設である。

404‘寂滅’前掲書、19321116日付

405‘寂滅’前掲書、19321116日付~17日付

406‘寂滅’前掲書、19321117日付