第 9 章 投資形態
4. 道路
インドの道路総延長距離は469万km(2011年末時点)であり、米国に次ぐ世界第2位 の規模となっている。道路輸送は全旅客輸送の 85%を占めており、最も重要な輸送インフ ラの一つである。道路の内訳として、Rural Roads(地方道路)が275万㎞と全体の58.6%
を占めている(図表 20-8参照)。また、National Highwaysは7.1万kmであり、全体の
1.5%にすぎないが、道路輸送の40%ほどを担っている。2001年からの10年間において、
それぞれの道路の総延長距離は20%増となっており、特にUrban Roadsは63%増と著し い伸びを示している。
図表 20-8 主要道路の総延長距離推移
(出所)Ministry of Road Transport and Highways, “BasicRoad Statistics of India(August 2012)”より作 成
インドの主要インフラ整備計画として、「黄金の四角形(GQ:Golden Quadrilateral)」 プロジェクトと「東西南北回廊(NSEW:North-South & East-West Corridors)」プロジ ェクトが進んでおり、2015年度までの完成を目指している。「黄金の四角形(GQ)」 はデ リー、ムンバイ、チェンナイ、コルカタの主要4都市を結ぶNational Highwaysの建設で あり、総延長5,846kmの4 車線化が整備されている。また、「東西南北回廊(NSEW)」で
0 50 100 150 200 250 300
National Highways
State Highways
Other PWD Roads
Rural Roads Urban Roads Project Roads
2001年末時点 2011年末時点
(万㎞)
126
は、東西と南北の回廊から成る総延長7,300kmの4 車線化が進められている(図表 20-9 参照)。また、インド北西部では、デリー・ムンバイ間の約1,500kmのNational Highways は整備済みであり、デリー・ムンバイ間産業大動脈構想(DMIC:Delhi-Mumbai Industrial Corridor)においても、様々な産業を開発するプロジェクトが展開されている。
図表 20-9 インドのインフラ整備計画
(出所)Department of Industrial Policy & Promotionより作成
ひとくちメモ(19):トラック輸送サービス事情
インドのトラック輸送では、定時性や荷傷み・振動管理・荷扱いにおいて、物流品質が担保されてい ない。ドライバーは、凹凸の激しい未整備の路面で、メンテナンスを行わずに車両を使い続けるため、
故障が起きやすい。また、荷物を超過して積む事業者も多く、横転事故も散見される。そして、ひとたび 故障や事故が起きると激しい渋滞が起き、予定通りに貨物が到着しない場合が多い。また、荷傷みや 盗難は運送事業者の責任とはならない慣習であるため、梱包が雑で荷捌きが荒いことが問題となって いる。特にエンノール港では渋滞がひどく終日動かないこともある。ある日系自動車メーカーによると、
工場からエンノール港までの約80Kmの距離を3日間かけて移動したことがあるということである。
プネ アーマメダバード
ムンバイ
チェンナイ ハイデラバード
バンガロール
デリー
コルカタ
黄金の四角形(GQ)
スリナガル
コーチン
カーニャクマリ
シルチャル
東西南北回廊(NSEW)
デリー・ムンバイ間産業大動脈(DMIC)
南部インド産業経済回廊
エンノール湾 ポルパンダル
127 ひとくちメモ(20):豊田通商の物流
豊田通商インディアは2007年に、財閥系のキルロスカ・グループと合弁して設立された。その後、
2011年にキルロスカ分の株を買い戻し、現在は自動車部品の製造事業を独資で継続している。インド の自動車及び自動車部品市場の厳しい競争に勝つためにはコストダウンを追及せざるを得ないが、
自動車関連部品企業が進出しきれていない、また物流網が整備しきれていないインドでは完成車メー カーや部品企業向けの製造事業だけでは日本品質を維持したまま低コストを追求することは困難であ る。豊田通商グループでは、そのようなバリューチェーン上の課題を積極的に解決しており、豊田通商 インディアでのバンガロールでの物流事業がその一つである。
豊田通商インディアのバンガロール工場では、インド企業と日系企業が生産したスチールコイルを 同時に仕入れている。インド製の場合は、製鉄所から工場納入までスチールによる梱包様式を採用し ているがインド特有の道路事情により輸送疵や錆が発生し、歩留を悪化させている。日本製の場合 も、一般的にバルク船による輸送、且つスチール梱包様式を採用しているが、港での煩雑な荷扱いや トラックに数回乗せたり、降ろしたりするため、工場に届いた段階ではインド製同様、荷扱い疵及び外 面が錆びた状態で納品される。一方、豊田通商インディアのバンガロール工場は、スチールコイル一 つ一つを専用の台に乗せたままコンテナ輸送を行っているため、透明なプラスチック包装に包まれ、荷 扱い疵も無く外面がきれいなまま工場に届く。またコンテナによる多回納入により在庫も最低限での管 理を行っている。当社は顧客要望に合わせて日本製、インド製を使い分けているようであるが、豊田通 商の工場に置いてあるスチールの束を見れば、どこから納入されたものかは一目瞭然であり、豊田通 商インディアのユニークな差別化されたコイル輸送方法が印象的であった。
【写真説明】豊田通商のバンガロールにあるコイルセンター
(出所)豊田通商より提供
128