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第 3 章 経済概況

2. 産業構造

インドの産業構造は、東アジア諸国と比較すると、第三次産業のシェアが高い点が特徴 である。GDP に占める同産業のシェアは、1975年度に40%を上回って以降、順調にその シェアを拡大し続けており、2011年度には55.7%となった(図表 3-4参照)。これに対し て、第二次産業のシェアは、同期間に22.2%から26.7%に増加する一方、第一次産業は同

期間に37.7%から17.5%に大幅にシェアを縮小している。

4 名目GDP、一人当たりGDP、実質GDP成長率、人口、経常収支、直接投資流入額は年度ベース。消費

者物価上昇率、輸出、輸入、貿易収支、外貨準備高、為替レートは暦年ベースで記載。

-8.0%

-6.0%

-4.0%

-2.0%

0.0%

2.0%

4.0%

6.0%

8.0%

10.0%

12.0%

0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600

1人当たりGDP(左目盛) 実質経済成長率(右目盛)

(年度)

(ドル)

単位 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

名目GDP 百万ドル 617,573 721,585 834,217 949,117 1,238,700 1,224,097 1,365,373 1,710,917 1,872,845 1,841,717

一人当りGDP ドル 565 650 740 830 1,069 1,042 1,147 1,419 1,534 1,489

実質GDP成長率 3.9 7.9 7.8 9.3 9.3 9.8 3.9 8.5 10.5 6.3

人口 百万人 1,076 1,093 1,110 1,126 1,142 1,158 1,174 1,191 1,207 1,223

消費者物価上昇率 3.7 3.9 4.0 6.3 6.4 8.3 10.9 12.0 8.9 9.3

輸出(輸出額) 百万ドル 58,960 76,663 99,615 121,808 150,159 194,828 164,909 226,351 302,905 296,850 輸入(輸入額) 百万ドル 72,569 99,781 142,870 178,410 229,370 321,032 257,202 350,233 464,462 489,361 貿易収支 百万ドル -13,607 -23,119 -43,252 -56,602 -79,211 -126,203 -92,293 -123,882 -161,557 -192,511 経常収支 百万ドル 6,345 14,083 -2,470 -9,902 -9,565 -15,737 -27,914 -38,181 -45,945 -78,155 直接投資流入額 百万ドル 5,036 4,322 5,987 8,901 22,739 34,728 41,738 33,109 25,884 32,952 外貨準備高 百万ドル 98,936 126,596 131,932 170,734 266,988 247,483 265,178 274,864 270,068 268,418

為替レート(年平均) 対ドル 45.6 43.6 45.1 44.2 39.4 48.5 46.7 44.8 53.3 54.8

29 図表 3-4 産業別名目GDP構成比率の推移

(出所)Central Statistical Organizationより作成

近年の経済成長を牽引してきたのは、主に、卸売・小売、ホテル・レストラン、金融・

保険・不動産といったサービス部門や、建設部門である(図表 3-5参照)。

第11次~第12次5ヶ年計画に至る10年間(2002年度~2012年度)の生産部門ごとの 年平均成長率(CAGR)は、「建設」が18.1%と最も高く、次いで「金融・保険・不動産・

その他事業所」が15.9%、「卸売・小売、ホテル・レストラン」が15.7%とサービス部門が 続いている。建設部門が成長している背景として、政府の積極的なインフラ投資政策が挙 げられる。長年、インフラの脆弱性が問題視されてきたことを踏まえ、第11次5ヶ年計画 では、インフラ整備への投資に重点が置かれてきた。さらに、2012 年度からの第 12 次五 か年計画では、第11次計画の2.4倍の規模である56.3兆ルピーの投資計画を示している。

但し、政府資金が限られていることから、外資や民間資金を活用した官民パートナーシッ プ(PPP:Public Private Partnership)に基づくインフラ投資が進められていくと期待され ている。

また、経済全体の中心が第一次産業から第二次産業へと移行するのに伴い、産業別の雇 用者数の内訳も変化している。インドで生まれた雇用機会の多くは第三次産業によるもの である。2002年度から2011年度にかけて増加した約302万人の雇用者数の内、第三次産

業は約75%に相当する226万人を吸収している。このうちの半数以上に当たる133万人が、

金融・保険・不動産業における増加数である(図表 3-6参照)。

一方、第一次産業及び第二次産業においても雇用者数は増えているものの、第三次産業 の伸び数と比較すると限定的である。第二次産業は66万人、第一次産業については6万人 と僅かな増加が見られている。

また、雇用者数の構成比でみると、2002年度には全体の約60%を占めていた第二次産業

が2011年度には50%まで低下し、代わって第三次産業が30%から42%に上昇している。

10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60

1950 52 54 56 58 60 62 64 66 68 70 72 74 76 78 80 82 84 86 88 90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10

第1次産業 第2次産業 第3次産業

(年度)

(%)

30 図表 3-5 名目GDPに対する産業別寄与

図表 3-6 雇用者数に対する産業別寄与

(出所)図表 3-5、図表 3-6ともにCentral Statistical Organizationより作成

なお、2004年度を基準値100とした鉱工業生産指数における製造業の内訳を詳しく見る と、二つの産業が醸成されてきていることが分かる(図表 3-7参照)。一つ目は「電気機器」、

「メディア機器」に見られる電気電子産業であり、二つ目は「自動車」、「その他輸送」に 見られる自動車産業である。これらの産業はインドの主要産業として位置づけられており、

積極的な外資導入策が進められている。但し、ASEAN各国と比較すると、同国における製 造業の産業集積は発展途上である。急速に拡大する労働人口を吸収させるための労働集約 的な製造業の発展が不可欠であろう。

2002年度 2012年度 CAGR 2002年度 2012年度 差分

全体 216,774 835,349 14.4% 100.0% 100.0% 0.0%

第一次産業 49,862 146,575 11.4% 23.0% 17.5% -5.5%

第二次産業 54,563 223,318 15.1% 25.2% 26.7% 1.6%

鉱業 4,805 20,108 15.4% 2.2% 2.4% 0.2%

製造業 31,850 120,209 14.2% 14.7% 14.4% -0.3%

電気・ガス・水 4,969 14,482 11.3% 2.3% 1.7% -0.6%

建設 12,939 68,520 18.1% 6.0% 8.2% 2.2%

第三次産業 112,349 465,456 15.3% 51.8% 55.7% 3.9%

卸売・小売、ホテル・レストラン 49,029 210,256 15.7% 22.6% 25.2% 2.6%

交通・通信 16,628 59,545 13.6% 7.7% 7.1% -0.5%

金融・保険・不動産・その他事業所 31,569 138,448 15.9% 14.6% 16.6% 2.0%

行政・その他社会 31,751 116,752 13.9% 14.6% 14.0% -0.7%

名目GDP

実額(100万ルピー) (構成比)

2002年度 2011年度 CAGR 2002年度 2011年度 差分

全体 8,430 11,450 3.5% 100.0% 100.0% 0.0%

第一次産業 860 920 0.8% 10.2% 8.0% -2.2%

第二次産業 5,040 5,700 1.4% 59.8% 49.8% -10.0%

鉱業 70 130 7.1% 0.8% 1.1% 0.3%

製造業 4,870 5,400 1.2% 57.8% 47.2% -10.6%

電気・ガス・水 40 70 6.4% 0.5% 0.6% 0.1%

建設 60 100 5.8% 0.7% 0.9% 0.2%

第三次産業 2,550 4,810 7.3% 30.2% 42.0% 11.8%

卸売・小売、ホテル・レストラン 340 550 5.5% 4.0% 4.8% 0.8%

交通・通信 80 190 10.1% 0.9% 1.7% 0.7%

金融・保険・不動産・その他事業所 390 1,720 17.9% 4.6% 15.0% 10.4%

行政・その他社会 1,740 2,350 3.4% 20.6% 20.5% -0.1%

雇用者数

実数(1,000人) (構成比)

31

図表 3-7 製造業の実質GDP構成比の推移(2004年度=100)

(出所)Central Statistical Organizationより作成