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第 9 章 投資形態

2. 港湾

インドは 7,517 ㎞に及ぶ長い海岸線を有しており、海上輸送が発展してきた。インドを

北西部、東部、南部の3つに区分した場合、それぞれの総取扱貨物量(2012年度)は、7.3 億トン(64%)、2.6億トン(23%)、1.5億トン(13%)である(図表 20-2参照)。

図表 20-2 総取扱貨物量の地域区分別シェア

(出所)日本郵船ヒアリング結果より作成

現在、同国には、中央政府・海運省管轄によるメジャーポート13 港と州政府の管轄によ るマイナーポート187 港があり、近年はマイナーポートのシェアが拡大しつつある。特に、

アーメダバード(グジャラート州)に位置するムンドラ港は、地場の新興財閥企業である アダニ・グループによって運営されており、同国の主要港湾へと急成長している(詳細は 第29章参照)。一方、メジャーポートにおける総取扱貨物量は2010年まで増加傾向にあっ たが、2011年度の総取扱貨物量は、対前年度比1.7%減の 5.6億トン(全港湾の 61.4%の シェア)となっている。

64%

23%

13%

北西部 東部 南部

121

図表 20-3 メジャーポートにおける総取扱貨物量の推移

(出所)National Informatics Centre(NIC) ”Economic Survey 2012-13”より作成

港湾別の内訳では、総取扱貨物量(2012年度)において、カンドラ港が最大であり、前

年度比13.5%増の8,250万トンであり、メジャーポート全体の14.7%のシェアを占めてい

る。カンドラ港の本格的な稼働は1952 年以降であるが、高い成長率を維持し、国内最大の 港へと発展していった。

図表 20-4 メジャーポートにおける港湾別貨物取扱量(2012年度)

(出所)インド港湾協会より作成 0

100 200 300 400 500 600

2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011

(百万トン)

(年度)

(百万トン) (構成比)

カンドラ 82.5 14.7% 13.5

ビシャカパトナム 67.4 12.0% -12.5 ジャワハルラル・ネルー 65.7 11.7% -1.9

ムンバイ 56.2 10.0% 3.3

チェンナイ 55.7 9.9% -4.1

パラディープ 54.3 9.7% 4.2

モルムガオ 39.0 7.0% -54.6 ニューマンガロール 32.9 5.9% 12.4

ハルディア 31.0 5.5% -9.5

VOC 28.1 5.0% 0.6

コーチン 20.1 3.6% -1.2

エンノール 15.0 2.7% 19.6

コルカタ 12.2 2.2% -3.5

合計 560.1 100% -2.6

総取扱貨物量(2012年度) 前年増減比

(%)

港湾名

122

メジャーポートは、中央政府の傘下にある港湾公社(PT:Port Trust)によって運営さ れてきた。しかし、水深が浅いために大型船舶が接岸できないことや、各港湾が独自に貨 物取扱料金(Tariff)を設定できないこと、また、モンスーンの被害を受けやすいことなど が課題として上げられてきた。さらに、インド全体の港湾の特徴として、稼働率の高さが 挙げられる。国際的には約60%の稼働率が平均的であるが、インドの港湾は約95%の稼働 率であるため、空きが無いことも問題となっている。そこで、更なる国際競争力を高める ために、近年は官民パートナーシップ(PPP:Public Private Partnership)の導入を積極的 に進めている。2008 年には PPP の採択ガイドライン(Guidelines for Formulation, Appraisal and Approval of Central Sector Public Private Partnership Projects4)が示さ れ、PPP による港湾整備事業が展開されている。西ベンガル州やアンドラ・プラデシュ州 のPPPによる港湾整備事業が注目を集めている。

また、第12次5ヶ年計画では、港湾整備事業への投資計画額を対前期比4.4倍の2兆ル ピーを計上し、海運規模の拡大が図られている。

ひとくちメモ(17):ICD

インドの海上輸送の特徴は、インランド・コンテナ・デポ(ICD:Inland Container Depot)を経由し、

鉄道と一貫輸送が行われている点である。ICDは物流の拠点として、コンテナの保管、貨物のコンテ ナへの積み込み・積み下ろし作業、輸出入通関等の多様な機能が展開されている。そのため、輸出入 者は港湾への遠距離輸送をせずに輸出入コンテナを受け渡せるメリットがある。

しかし、同国の鉄道貨物輸送は、貨物が満杯になるまで出発をしないため、運航スケジュールの見通 しが困難となっている。そのため、鉄道輸送のコンテナ取扱量に見合うICDの整備とともに、定刻運行 の徹底が求められている。

123 ひとくちメモ(18):West Coastのメリット

インド南部の完成車メーカーがインド南東部のエンノール港、チェンナイ港などの港湾を使用している ため、日本では東側の港湾が有名であるが、現地では西側のWest Coastにも注目が集まっている。

その理由としてはデリー・ムンバイ間産業大動脈構想(DMIC:Delhi-Mumbai Industrial Corridor)

による北西部の大規模インフラ整備への期待が大きい。マルチ・スズキは海外への完成車輸出のため に、グジャラート州にあるムンドラ港と契約を結び、マネサール工場からムンドラ港まで鉄道輸送する 計画も出ているといわれている。経済産業省を中心にインド南東部の港湾整備への取り組みが積極 化しており、インド南東部の港湾整備が進むことが期待される一方、今後はWest Coastにも注目が集 まりそうだ。

図表 20-5 West Coastのメリット