第 2 章 現場作業の災害防止対策
2.15 路上作業災害の防止
われわれが市街地路上で地質調査を行なう場合には、労働安全衛生法、労働基準法、建築基準 法、騒音規制法、振動規制法、道路交通法等の他に、市街地土木工事公衆災害防止対策要綱の規 制を受ける場合も多々ある。以下にこれらの諸法のうち、とくにわれわれの調査ボーリングや路 面掘削作業に関係の深い部分について述べる。
(1) 事前準備と計画
① 公衆と隣接して作業を行わねばならないので、連絡、監督のために現場責任者を専任する。
また作業の種類によっては、法令により定められた当該作業主任者を必ず選任する。
② 日程は無理のないように計画し、関係する作業者にその日程をよく知らせておくことが必 要である。(図 2.15.1)
③ 作業方法は、現地の状況によく合致した手順・方法で定め、関係する作業者によく知らせ ておく。
④ 付近の住民に工事についての了解を求めると同時に、施工中は発注者とよく連絡して、付 近住民の意向を十分に考慮する。(図 2.15.2)
⑤ 万一、施工により公衆災害が発生した場合は、発注者と特に連絡を密に保ちながら、その 原因を究明して類似の事故が再発しないよう速やかな措置をとる。
(2) 作業場明示の標識
① 工事のために使用する作業場は周囲から明確に区分し、この区域以外の場所を作業場とし て使用しない。
② 公衆が誤って作業場に立ち入らないよう、さくまたはこれに類する物を設置する。ただし、
軽易な工事であるため、移動さく、標識、セーフティコーン、保安灯等をもって十分に安全 が確保される場合は、これに替えることができる。
③ 固定さくは風による転倒に対して十 分安定した構造でなければならない。
④ 固定さくの高さは地表面から 1.2m 以上とし、支柱は間隔を 2m 程度とする。
必要ある場合は内側から支材等をもっ て補強する。(図 2.15.3)
図 2.15.3 固定さく標準図(1) 図 2.15.1
図 2.15.2
⑤ 固定さくの支柱の上端及び中間に 2 本 以上の幅 15cm 程度の横木を打ちつける。
金網は全高の 3 分の l 以上使用する。特 に歩行者の視界を妨げないようにする必 要がある場合は、地盤面から O.8〜2.0m の 間 を 透 視 で き る よ う に す る 。 ( 図 2.15.3、図 2.15.4)
⑥ 移動さくは高さ 0.8〜1.Om 位、長さ 1.0
〜1.5m 位で上端に幅 15cm 位の横木を打 ちつけたものを使用し、公衆に通過を禁 ずる意向が十分に伝えられるものを用い る。(図 2.15.5)
⑦ 移動さくの高さが 1.0m 以上必要な場 合は、金網等を打ちつけ容易に転倒しな いものを用いる。
⑧ さく、及び移動さくの支柱や横木は、黄色と黒色の斜縞に彩色する。縞の幅は、10cm〜15cm で水平との角度 45 度を標準とする。(図 2.15.3、図 2.15.4、図 2.15.5)
⑨ さく、及び移動さくの横木の 3 分の 2 以内の部分を黄色または白色で彩色して、その部分 に施工者名や公衆への注意事項を記入してもよい。(図 2.15.4、図 2.15.5)
⑩ 移動さくを直線に連続して設置するときは、その間隔は移動さく 1 個の長さ以内とする。
屈曲した形に設置する場合は、間隔をあけずに並べて設置する。
⑪ 交通流に対面して移動さくを置く場合は、間隔をあけないようにすると同時に、3〜5m の 距離をおいて二重に設置する。(図 2.15.6)
⑫ 歩行者を対象として移動さくを設置する場合は、間隔をあけないか、または縄張りを行う。
(図 2.15.6)
⑬ 道路上に作業場を作るときは、事情の許すかぎり交通流に対する背面から車両の出入をす る。
図 2.15.6 移動さくの設置・作業場への車輌の出入口
⑭ 道路上の作業場で、交通流に平行する面から車両を出し入れさせるときは、必ず交通誘導 員を配置し、公衆の通行に支障を与えないようにする。
⑮ 作業場の出入口には、原則として引戸式の扉を設け、必要のないかぎりこれを閉鎖してお く。
⑯ 作業場への車両の出入りがはげしいため扉を開放しておくときは、必ず見張員を配置して 公衆に危害う与えないように出入りする車両を誘導させる。
図 2.15.5 移動さく標準図 図 2.15.4 固定さく標準図(2)
(3) 交通安全対策
① 道路上で作業を行う場合は、道路管理者及び所轄警察署長の指示する道路標識や標示板等 の必要なものを見易い場所に設置する。(図 2.15.7、図 2.15.8、図 2.15.9)
② 道路上または道路に接した場所で作業を行う場合は、交通流に対面した部分に設置したさ くや移動さくには、高さ 2.4m 程度の保安灯を設置する。その他の場合は、高さ 1〜1.5m 程度 の保安灯を設置する。
③ 道路上または道路に接した場所で使 用する保安灯は、夜間 150m 以上遠方よ り確認できる明るさのものを使用する。
また、この保安灯は 3〜5m の間隔で設 置するとともに、囲いの角の部分には 必ず設置する。(図 2.15.10)
④ 特に交通量の多い道路上の作業の場 合には、道路標識、保安灯のほかに作 業場の交通流に対面する端には注意板 を設置する。
⑤ 交通量の多い道路上の作業に使用す る注意板は、高さ 3m 程度に設置する。
注意板は縦 0.5m、横 1m 程度の黄色板 に黒字で「工事中」と書き、夜間は遠 方より注意板を確認できるように照明 を行う。また、それと同時に 200m 以上 遠方より確認できる点滅黄色灯か赤色 注意灯を設置する。(図 2.15.11)
⑥ 交通量の多い道路上の作業の場合に は、道路管理者及び所轄警察署長の指 示を受けて、作業場出入口に交通誘導 員を配置する。
図 2.15.8 夜間作業の標示 (図 2.15.7 の標示板の直上に標示)
図 2.15.9 昼夜兼行作業の標示 (図 2.15.7 の標示板の直上に標示)
図 2.15.10 保安灯の設置場所 図 2.15.7 道路上作業の標示板
図 2.15.11 移動さく・保安灯・注意灯の設置
⑦ 交通量の多い道路上の作業の場合、交通誘導員を配置すると同時に、標識、保安灯、セー フティコーンを設置し、交通の流れを阻害しないようにする。(図 2.15.12)
⑧ 交通量の少ない道路上の作業の場合は、交通誘導員の配置を行わず、簡易な自動信号機に よって交通を誘導することができる。
⑨ 道路上の作業で一般の交通を迂回させる必要のあるときは、道路管理者及び所轄警察署長 の指示に従い回り道を指示できる。
⑩ 回り道を指示する場合、回り道の入口及び要所に標示版を設置し、通行者が容易に回り道 を通過できるようにする。(図 2.15.13、図 2.15.14)
⑪ 路上の作業で路面を掘削し、埋戻しや覆工を行った場合、段差が生じないようにする。や むを得ず段差が生する場合は 5%以内の勾配とするか、または段差を通行車両に予知させる方 法を講じる。
⑫ 路上作業で路面を制限する場合は、道路管理者及び所轄警察署長の指示に従う。
⑬ 道路上を作業のために制限する場合は、制限後の道路が 1 車線のときは車道幅員は 3m 以上、
2 車線のときは 5.5m 以上とする。
⑭ 制限のため車線が 1 車線となりそれを交互交通とする場合は、その制限区間をできるだけ 短くし、必要に応じて交通誘導員を配置する。
⑮ 作業のため歩道を制限した場合、歩行者が安全に通行できるように幅 O.75m 以上の歩道を 確保する。特に歩行者の多い場合は、1.5m 以上の歩道を確保する。
⑯ 作業のため歩道を制限した場合、車道との境は移動さくをすき間なく設置し、車道と歩道 を明確に区分し、歩行の危険がないように路面の凹凸をなくすか階段を設ける。また常に排 水を良好にしておく。
⑰ 道路に近接して高い機械類、やぐら等を設置した場合は、夜間はそれを白色灯で照明する。
この場合、その直射光が通行者にまぶしくないような工夫をする。
⑱ 保安灯、標示板、注意灯、照明灯、さく等の施設は常に点検し、危険防止のための機能を 維持しておく。
⑲ 道路上または道路に隣接して、高さ 4m 以上のボーリングやぐらや足場を作る場合は、高さ 1.8m 以上の板塀等で仮囲いを行う。板塀による仮囲いが特に交通に支障をきたす場合は、金 網等を使用する。
図 2.15.12 セーフティコーンによる交通の誘導
図 2.15.13 迂回路の標示板 図 2.15.14 迂回路途中の交差点で使用する補助板
⑳ 地上 4m 以上で作業をし、俯角 75 度以上のところに道路がある場合は、厚さ 3cm 以上の板 で落下物に対する危険を防止する。
21 作業場及びその周辺に消火栓、火災報知機、公衆電話等がある場合は、それらの施設の管理 者の指示に従って、一般の人の使用に支障がないようにする。
22 仮設物、さく、標示板等を設置した場合、交通信号機、道路標識等の効果を妨げないように 注意する。
23 作業場の内外は、常に整理整頓し、じんあい等により周辺に迷惑の及ぶことがないように注 意する。