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監督及び指示の方法

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第 3 章   安全管理推進のために

3.6  監督及び指示の方法

監督及び指示とは、ここでは安全衛生に関する監督業務を、日常の作業監督の中で効果的に果 たすことをいう。監督者はその方法を身につけておくことが必要であり、そのためには次ぎの基 本条件を整えることが必要である。

①  監督者の組織上の位置と職務を明確にする。

②  職場の監督体制を整える。

③  監督能力を磨き、指示、人の扱い方を習得する。

(1) 現場監督者の組織上の位置づけ 

監督者は組織上は末端に位置しているが、直接現場を監督する責任をもち、直接現場作業を行 なう多くの部下を統率指導する役割を担っている。

組織上は末端に位置し、定められた管理や指示、命令を忠実に実行することが要求されている。

また横の関係では他の工程との円滑な調整をはかり、現場遂行のための潤滑油の役割をもってい る。これらの役割は社内規程の中でも明らかにし、権限の範囲と責任の所在を明らかにしておく。

(2) 現場監督の体制 

監督者が中心となって効果のある安全衛生の業務を行わねばならないが、組織が大きくなれば とても一人ですべてを行なうことはできなくなる。そのためには、監督者の主旨をよく体得した 指導力のある経験者を活かして使用しなければならない。そのためにできるだけ権限を部下に委 譲し、役割分担を明確にし、それ等の人々を通じて上下の意志疎通や、横のつながりをよくする ことが必要である。それを円滑に実施してゆくためには、さらにそれ等の人々に事前に統率、指 導力、安全衛生知識を与える教育をしておくことを忘れてはならない。なおこの場合には、より よい人間関係ができていることは当然必要なことである。

(3) 指示と人の扱い方 

①  指示の仕方 

・指示といってもその内容は仕事の割当てや、仕事に関する注意事項を示すのみでなく、教 育的意味も含まれ、人間関係づくり、ほめごと、叱りごとも含まれる。従って指示の内容 により時と場の選定や、言葉使い、態度の配慮も必要である。 

・部下の労働能力の限界を考え、容易に実行できることを指示する。またときには努力すれ ばできるような努力目標を与える指示は部下にもやりがいが生まれる。 

・指示は具体的で、部下が理解し易いことが大切である。必要ならば板書、図解等を行なう。

正確さ、撤密さ、さらに期限を要求する場合は指示と同時にメモを渡すことも有効である。 

・指示した事項を部下が失敗した場合でも、その実行責任は部下であるが、監督責任は監督 者に残っている。監督者は指示した事項でもすべて終わりまで責任が残っていることを忘 れてはならない。 

・監督者自身が措置に困るような事項は指示してはならない。自信のもてないもの、判断に 困ることはスタッフ、ラインの協力を得るようにしなければならない。 

・一度指示した事項は朝令暮改を安易に行なってはならない。どうしてもその必要がある場 合は、その理由を十分説明しておかなければ監督者として信頼を失う。 

②  人の扱い方 

人間は能力・経験で仕事の位置づけをし、本人の意志の力で仕事を進め、その時の感情のよ

しあしで仕事の進捗を左右する。部下を扱う場合にこの 3 つの観点を配慮して、指示、命令、

指導、教育に当たらねばならない。人の扱い方の要点としては: 

・監督者は人間尊重の理念を持つことが大切である。具体的には部下にケガをさせない……

この理念がなければ部下は扱えない。また愛情がなければできないことである。愛情に基 づく厳しさこそ、部下が監督者に望む欲求であることを知っておくべきである。 

・部下から進んで話しかけてくる態度を作るようにし、いい聞き手になりよく聞いてやるこ とが大切である。話しをさえぎったり、言い争いは相手を冷静に眺めることができなくな り、人間関係はたちきられてしまう。「相談したい」という申し込みは断わらず即刻聞いて やるようにしたい。 

・定められた規則、基準、心得は自ら守り、約束は必ず実行する。この責任感がなければ、

部下はついてこない。 

・人間はそれぞれ欲求を持っている。 監督者は洞察力を生かして部下の「やりたい」ことを 知っておく必要がある。欲求の活用は「やる気」につながる。逆に不平、不満、不安、無 関心はそれが集団的なものであれば職場の統制を乱し、安全規則もおろそかになる。これ らの事項は非公式な組織を通じ早く発見し、その原因を取り除かねばならない。 

・やる気のない部下は事故を起こし易いと同時に他にも迷惑をかける。「やる気がまえ」づく りが人の扱い方でも最も大切である。やる気を起こすためには、能力に応じて責任を持た せ役割をあたえる。もし意見があれば必ず聞いてやり、良い時にはほめ、悪ければ必ず戒 めることが大切である。そしてその人の存在を組織の中に示してやれば大変有意義である。 

・職場は人の集まりであり、人間関係のもつれが多い。このもつれは職場の和を乱し、個人 感情をいらだたせ、それが災害発生の要因となりやすい。監督者は早期に問題を発見し早 いうちに解決しなければならない。 

・自己の不安、私生活の乱れ、家庭問題などが職場に持ち込まれると職場秩序が乱れる。こ のような場合には監督者としては生活指導をしなければならない。このような場合には職 域を離れ社会人として、よき相談相手となることが必要である。 

・監督者は決して全能の人ではない。部下の監督、指示の仕方、人の扱い方、長所、短所を よく自分で知って悪い癖は直し、弱点をなくす努力が必要である。(表 3.6.1) 

(4) 管理・監督能力の養成 

監督者は職場の中心であり、部下を通じて成果をあげる立場にある。監督者は上司や同僚、さ らに部下との人間関係を円滑にし、職場において発生する問題を予防し、問題が発生した場合に は迅速に解決できる力を身につけておくことが必要である。そうすれば職場における世代の断層、

人間疎外の問題、働きがい、生きがいの問題など多くを解決することができる。

監督者は理念をもち、社会人としての良識、業務遂行のための専門知識と技能を向上しなけれ ばならない。さらに作業遂行に必要な計画性を習得し、強い実行力と強調性をもつほかに、監督 者としての態度を身につける必要がある。監督能力は監督手段である手配、段取り、指示、命令、

指導、点検、確認、報告、手続、打合せのなかで発揮される。

上記のような管理、監督能力は短期間で身につくものではない。仕事上での種々の困難な問題 にぶつかったときには、経験豊かな上司や先輩の監督者に相談すべきである。なぜならその仕事 に対する最終責任は、その会社自体が負っているからである。このようにして経験を積み重ねる

ことによって優れた管理・監督能力を身につけることができる。

表 3.6.1  人の扱い方(TWI 活用の手引き「人の扱い方」より引用) 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

監督者は部下を通じて成果をあげる 

仕事ぶりが良いかどうか当人に言ってやる      相手にどうして欲しいかきめておく      もっとよくやれるように導いてやる  よい時はほめる 

    平素ない感心な仕事や行いに気を付ける      さめないうちに言ってやる 

当人に影響ある変更は前もって知らせる      できればわけを言ってやる 

    変更をなっとくさせる  当人の力をーぱいに活かす      かくれた腕をさがしてやる      伸びる道の邪魔をしない 

 

   

 

第 l 段階――事実をつかむ  今までのことをしらべる 

どんな規則や習わしがあるか関係ある人と話す  言い分や気持をつかむ 

(いきさつ全部をよくつかむ) 

第 2 段階――よく考えてきめる  事実を整理する 

事実互いの関係を考える  どんな処置が考えられるか  しきたりと方針をたしかめる 

目的にはどうか、当人には、職場の者には、生産には、どうひびくか  (早合点するな) 

第 3 段階――処置をとる 

自分でやるべきか、誰れかの手伝いがいるか  上の人に連絡せねばならぬか 

処置の頃合いに注意する  (責任を転嫁するな) 

第 4 段階――あとをたしかめる  いつたしかめるか 

何べんたしかめねばならぬか 

出来高や態度やお互いの関係はよくなったか  (その処置は生産に役立ったか) 

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