第 2 章 現場作業の災害防止対策
2.4 保護具の選定、管理と使い方
本節でいう保護具とは、現場作業中人命を安全に保護するために用いる着用品のことであり、
保護具は、体の保護具・頭の保護具・目と耳の保護具・呼吸器の保護具・手足の保護具・安全帯・
その他の保護具に分類出来る。以下各々について詳細説明すると共に、次に参考として、実際に 使用されている保護具の“現場安全点検表"を添付する。
(1) 体の保護具
職場での服装は、寒いから着る、暑いから脱ぐというように、わがままであってはならない。
まずケガを防ぐための役目が第一であり、仕事がやりやすいようにすることが第二の条件である。
また、だらしない服装は安全の立場から好ましくないだけでなく、その人柄も評価される。作業 服装も保護具の着用も自分自身を災害から守るためのものである。(図 2.4.1)
作業服を着用する時は次の点に留意する必要がある。
① 身体に合った快適なもので、上衣の端や、ズボンのすそなどが巻き込まれないようにしぼ ってあるものを用いる。
② ほころび等はすぐにつくろっておく。
③ 常に清潔に保つこと。特に油のしみついた作業服は火がつきやすいので危険である。
図 2.4.1 身体の部位別保護具
④ 暑い季節や、暑い場所でのはだかや半裸体での作業は極めて危険である。正しい服装をし ておれば防げた災害の事例は多い。
⑤ 会社で定められた作業服がある場合は、それを着用する。
(2) 頭の保護具
頭の保護具としての安全帽は現場作業中着用することが法規で決められている。 安全帽には大 別してヘルメット型・MP 型・野球帽型の 3 種類がある。(図 2.4.2)
図 2.4.2 安全帽の形状 なお、安全帽を着用する時は次の点に留意する必要がある。
① 作業には必ず安全帽(保護帽ともい う)を着用する。
② 安全帽には「物体の飛来または落下 による危険を防止するため」のものと、
「墜落による危険を防止するための」
のものとがある。その目的に応じたも のを使用する。なお、われわれが一般 に使用するものは前者である。
図 2.4.3 安全帽各部の名称
③ 安全帽の効果を適確にするため、水平にかぶり、あごひもを必ず締めて着用する。
④ 所定の方法によりテストされた耐貫通性能、または衝撃吸収性能を備えたもので JIS 規格 に合格したものを使用する。
⑤ 一度落下物等の衝撃を受けたものは、使用しない。
⑥ ハンモックなどの着装体はよごれやすいので、ときどき洗濯して清潔に保つ。
⑦ ハンモックは強度が低下しやすいので取りはずせるものは 6 カ月程度に、合成樹脂製の帽 体は自然に劣化するので 2〜3 年で取り替える。(図 2.4.3)
(3) 目と耳の保護具
目と耳の保護具は作業の内容によって、保護具の形状が異なっているので目的に合致した適切 な保護具を使用する必要がある。 (図 2.4.4)
① 高い音や大きな音を発する現場では耳栓を使用する。
図 2.4.4 目と耳の保護具の種類
② 目の保護具としては、防じん眼鏡と遮光眼鏡があるが、その作業にあったものを使用する。
③ グラインターによる研磨作業、タガネによるハツリ作業、また薬液の飛沫で眼をいためる 危険のある場合は、防じん眼鏡を使用する。
④ 溶接作業などの場合は、スパッタによる火傷を防ぐためへルメット型かハンドシールド型 の保護面を使用する。
⑤ 溶接作業の保護面、また遮光眼鏡等の着色ガラスは、JIS 規格に合格した正しいものを使 用する。
(4) 呼吸器の保護具
有害ガス、蒸気、粉じんなどが発散する環境の中で作業を行う場合は、その環境に応じた保護 具を使用する。
呼吸器の保護具には自給式呼吸器、送気マスク、防毒マスク、防じんマスク 等があり、その選択と使用方を誤ると重大な危険を招くので十分に注意する。
われわれの作業に比較的関係のあるのは右図に示す防じんマスクである。
以下防じんマスクについて述べる。 防塵マスク
① 防じんマスクは大気中の浮遊粉じんを防ぐ場合に使用し、JIS の規格に合格したものを使 用する。
② 防じんマスクには、粉じん補集効率により特級(粉じん補集効果 99.5%以上)、1 級(95%以上)、
2 級(85%以上)の別がある。
③ 選定にあたっては、粉じん補集効率が高く、しかも呼吸抵抗が小さく、重量が軽く、顔へ の密着性がよく、圧迫感のないものを選定する。
④ 使用上の注意事項としては、
・作業中、紐は苦しくない程度にややきつめに締め、正しく着装する。
・ろ過材に異常があったり、変化しているものは使用せず、原則として水洗いはしない。ろ 過材が湿ったら乾いたものと交換し且つ一定期間ごとに新品と交換する。
・酸素欠乏のおそれがある場所では使用しない。
⑤ 防じんマスクの点検表の一例を示す(表 2.4.2)
表 2.4.2 防じんマスク点検表(例) 日 付 月 日 場 所 点検者 種 類 点 検 項 目 不良箇所
・状況 処 置
備付け 管 理
使用上 の注意
1.人員、使用作業、作業内容、危険性を考えて、種類、
数量がきめられたとおり備え付けてあるか 2.管理者(担当者)をきめているか
3.備付場所を明示しているか 4.使用心得が示されているか
5.管理者は 3 カ月に l 回機能点検をしているか 6.マスクをつける必要がある作業では、いつも作業者は
つけているか
7.使用前には作業者はマスクの点検をしているか 8.もし、破損その他の損傷があったときは管理担当者に
申しでているか
9.マスクを共用しているときは、アルコール、クレゾー ル等によって消毒しているか
10.使用後、粉じんを除去し、手入れをしているか
「特定化学物質等作業主任者テキスト」から (5) 手足の保護具
手足の保護具には、安全靴と作業用手袋とがあり、作業内容により適切な物を使用するよう留 意することが大切である。 (図 2.4.5)
① 安全靴には短靴、編上靴、長編上靴、半長靴などがあるが、使用目的にあったものを使用
する。われわれの通常の作業では、長編上靴が適している。
図 2.4.5 手足の保護具
② 安全靴は、つま先の保護と踏み抜き災害の防止を目的としているので、JIS 規格に合格し たものを使用する。
③ 作業現場では原則として安全靴を着用するが、特に水気の多い箇所での作業にゴム長靴を 着用する場合もあるが、このときは十分につま先の保護と踏み抜きに注意する。
④ いずれの場合も、げた、サンダル、ぞうり、素足は一切禁止する。
⑤ 手袋には一般作業用、耐熱用、薬品取扱い用、溶接用、感電防止用、放射性物質取扱い用 などがあるが、その作業にあったものを使用する。
⑥ われわれの作業に用いる手袋は、主として一般作業用で綿製のものを使用する場合が多い。
重量物取扱い作業には着脱が容易な二本指手袋が適している。
⑦ 特殊な作業を除き、作業中は綿製手袋(軍手)を使用する。
⑧ 労働安全衛生規則第 111 条では、「手袋の使用禁止」が定められている。すなわち
第 111 条 事業者は、ボール盤、面取り盤などの回転する刃物に作業中の労働者の手が巻 きこまれるおそれのあるときは、当該労働者に手袋を使用させてはならない。
2 労働者は、前項の場合において、手袋の使用を禁止されたときは、これを使用 してはならない。・・・・・・
と規定されているので留意が必要である。
(6) 安全帯
墜落災害を防ぐための保護具として安全帯がある。JIS では柱上安全帯と鉱山用安全帯の二種 がある。
高所作業の場合で、特に作業床や手すりを取り付けることが困難な場合には、必ず使用する。
使用にあたっては特に次の事項に注意する。(図 2.4.6)
① フックを D 環にかけるときは、正確にかかったかどうかを確認する。
② ロープを構造物などに結びつけるときは、作業位置より上に結び墜落したときでも 1.5m 以 上落下しないようにする。
③ ロープはなるべく固定支点に取りつける。ただしアングルなどのような鋭角部はさける。
④ 工具類はベルトに刀差ししないこと。墜落した時の衝撃で腹部に突き刺さり危険である。
⑤ ロープ・金具など一連の装具はよく点検し、特に伸縮調整器やフックの金具は清掃し注油 する。
⑥ 安全帯をつけての作業は、ひんぱんに移動する場合は不便である。そのため安全帯があま り苦にならずに使用できるように、親綱を張るなどの取付設備に工夫する。
⑦ 安全帯からの命綱は 2m 以内とする。
図 2.4.6 安全帯と各部の名称 (7) その他の保護具
救命胴衣・浮輪
① 水上作業で転落の危険がある場合は、必ず救命胴衣を着用する。
② 水上作業の場合は浮輸を準備し、いつでも直ちに使用できるよう見やすい場所に置いてお く。
③ 救命胴衣は十分にその性能を確かめ、必要な性能を有するものを使用する。古いものは性 能が低下する。