第 2 章 現場作業の災害防止対策
2.7 機械災害の防止
(1)概説
機械による災害は、労働災害の 30〜40%近くを占めており、かつその災害の程度も大きい。し かし、機械の危険個所は大部分が予測可能であるから事前に措置しておけば機械災害の大半は防 止できる。
従来の機械災害は、機械設備の老朽化や安全性の低下等よって発生していたが、技術革新の早 い昨今では機械装備の大型化や高速化による機械災害が増加しているのが特徴である。 いずれの 場合でも、機械災害は回転及び往復運動によるものと、動力伝導機構による災害が大半である。
従って機械災害防止対策としては、作業点の安全化と動力伝導機構の安全化である。
(2) 運転の開始・停止
① スイッチ等の動力しゃ断装置は、作業者がその位置を離れることなく操作できる位置に設 ける。
② スイッチ等は容易に操作でき、かつ、接触や振動の ために不意に機械が始動しないような安全装置のあ るものを使用する。(図 2.7.1)
③ 機械の運転を開始する場合、また、モーターのスイ ッチをいれる場合には、必ず合図をしてから行う。
④ 合図する者及び合図の仕方を定めておき、その合図 によって関係者全員に運転開始を知らせるようにす る。
⑤ 機械の掃除、検査、修理等の作業を行う場合は、機械の運転を停止してから行う。
⑥ 掃除、点検、修理の作業中に機械の運転を停止しているときは、始動装置に施錠するか、
または標示板をとりつけておく。
(3) 安全装置他
① 加工物や切削屑などが飛来する危険がある場合には、機械にカバー、遮覆板、切粉処理装 置などをとりつける。
② 安全装置、覆い、囲い等については適時点検し、整備を行い、常に有効な状態を保つよう にする。
③ 通常の場合は、安全装置を取りはずしたり、または、故意にその機能を失わせるようなこ とをしない。
④ 修理、調整のために、やむなく安全装置を取りはずした場合は、用済み後は速やかに必ず 元の状態にもどしておく。
⑤ 安全装置がその機能を失った場合は、直に安全管理者または現場監督者に報告し、その指 示を受ける。
(4) グラインダーの取扱い
① グラインダー砥石の取替え、及び取替後の試運転は、特別教育を受けた者が行う。 (図 2.7.2、
図 2.7.3)
図 2.7.1 押ボタンの安全装置
図 2.7.2 研削砥石の三要素 図 2.7.3 グラインダーの種類
② 直径 50 ㎜以上の砥石を装着したグ ラインダーには、材質、開口角、厚さ 等が研削盤等構造規格に適合したカバ ーを取りつける。 (表 2.7.1)
③ その日の作業開始時には l 分以上、
砥石を取り替えたときには 3 分以上の 試運転を行う。
④ 砥石はメーカーにおいて実施する試 験に合格したものであり、かつ形状や 寸法が構造規格に適合しているものを 使用する。
(表 2.7.2)
⑤ 運転は砥石に表示してある最高周速 度以上の回転をしない。(表 2.7.3)
⑥ 側面を使用することを目的として作 られた砥石以外は、側面を使用しない。
(図 2.7.4)
⑦ フランヂは直径、逃げの値および接触幅が構造規格に適合するものであり、左右同径のも のを砥石のラベルに対し正しく取り付ける。(図 2.7.5)
⑧ 卓上または床上用グラインダーには、ワークレスト及び調整片をもうける。(図 2.7.6)
図 2.7.4 側面を使用することを目的とする砥石
図 2.7.5 ストレートフランヂ の正しい取付け方
図 2.7.6 ワークレストと調整片
研削といしの直径 (単位:mm) 760をこえ 1,250以下 A B 7.9 6.3 8.7 6.3 9.5 7.9 9.5 7.9 9.5 7.9 11.0 8.7 12.7 10.0 10.0 7.7 10.5 7.7 12.0 9.7 13.0 10.0 14.5 11.0 17.0 13.0 19.0 16.0 12.7 9.5 12.7 9.5 17.4 12.0 19.0 12.7 22.0 15.8 26.9 20.0 30.0 23.8 備考 この表において、Aは覆いの周板の厚さを、Bは覆いの側板の厚さを表わすものとする。
610をこえ 760以下 A B 6.3 4.5 7.0 4.5 7.9 5.5 7.9 5.5 7.9 5.5 9.0 6.7 9.5 8.7 7.7 6.0 8.0 6.0 9.0 7.0 10.5 7.8 11.0 8.3 13.6 10.8 14.5 12.7 9.5 7.9 9.5 7.9 11.0 9.5 14.0 11.0 15.8 12.7 20.0 17.4 22.0 19.0
510をこえ 610以下 A B 5.5 3.9 6.3 3.9 7.0 4.5 7.0 4.5 7.0 4.5 8.0 6.3 8.7 7.0 6.6 4.9 7.7 5.5 8.8 6.6 10.0 7.0 10.5 7.7 12.5 9.9 13.0 11.0 7.9 6.3 9.5 7.9 11.0 9.5 14.0 11.0 15.8 12.7 19.0 15.8 20.0 17.4
405をこえ 510以下 A B 3.9 3.1 4.5 3.9 6.3 3.9 6.3 4.5 6.3 4.5 7.9 6.3 8.7 7.0 5.5 4.4 6.6 5.5 8.3 6.0 9.4 7.0 9.9 7.7 12.0 9.9 13.0 11.0 7.9 6.3 9.5 7.9 11.0 9.5 14.0 11.0 15.8 12.7 19.0 15.8 20.0 17.4
305をこえ 405以下 A B 3.1 2.3 3.1 2.3 3.9 3.1 5.5 4.5 5.5 4.5 7.0 6.3 − 4.5 3.8 5.4 4.2 6.3 5.4 8.8 7.0 9.3 7.7 10.5 9.4 − 7.9 6.3 9.5 7.9 11.0 9.5 14.0 11.0 15.8 12.7 15.8 14.0 −
150をこえ 305以下 A B 2.3 1.9 2.3 1.9 3.1 2.7 3.9 3.5 4.5 4.3 − − 4.2 3.4 4.4 3.8 5.8 4.9 7.0 5.6 8.0 6.9 − − 7.9 6.3 9.5 7.9 11.0 9.0 12.7 9.5 14.0 11.0 − −
150以下 A B 1.6 1.6 1.9 1.6 2.3 1.6 − − − − 2.2 1.6 2.4 1.6 3.2 1.6 − − − − 3.1 1.6 3.1 1.6 4.7 1.6 − − − −
研削といしの厚さ (単位:mm) 50以下 50をこえ100以下 100をこえ150以下 150をこえ205以下 205をこえ305以下 305をこえ405以下 405をこえ510以下 50以下 50をこえ100以下 100をこえ150以下 150をこえ205以下 205をこえ305以下 305をこえ405以下 405をこえ510以下 50以下 50をこえ100以下 100をこえ150以下 150をこえ205以下 205をこえ305以下 305をこえ405以下 405をこえ510以下
研削といしの 最高使用周速度 (単位:m/分) 2,000以下 2,000をこえ3,000 以下 3,000をこえ4,800 以下
表2.7.1 グラインダーカバーの規格
表 2.7.2 研削砥石の標準寸法
単位㎜
外 径(D) 厚さ(T) 穴 径(H) へこみ径
A B A B A B (P)
3 4 5 6 8 10 13 16 20 25 32 40 50 63 80 100 125 150 200 250 300 350 400 450 500 600 750 900 1,060 1,250 1,500
3 4 5 6 8 10 13 16 19 22 25 28 32 38 45 50 65 75 90 100 115 125 150 180 205 230 255 305 355 380 405 455 510 585 610 760 915 1,065 1,250 1,500
0.6 0.8 1.0 1.25 1.6 2.0 2.5 3.2 4 5 6 8 10 13 16 20 25 32 40 50 63 80 100 125 160 200 250 315 400 500 600
0.5 0.8 1.0 1.5 2.0 2.5 3 4 5 6 8 10 13 16 19 22 25 32 38 45 50 65 75 90 100 125 150 205 255 305 405 510 610
1.60 2.50 4.00 5.00 6.00 10.00 13.00
16.00 20.00
25.00
32.00 40.44
50.80
76.20
127.00 152.40
203.20
304.80
508.00
1.59 2.38
3.18 3.97 4.77
6.35 9.53 12.70 (15.00)(1)
15.88 19.05 22.23 25.40 (30.00)(2)
31.75 38.10 44.45 50.80 63.50 76.20 101.60 127.00 152.40 177.80 203.20 228.60 254.00 304.80 355.60 406.40 508.00
10 13 16 19 25 32 40 45 50 63 80 90 100 120 125 150 160 190 215 220 235 250 280 290 300 310 330 350 370 390 400 450 510 585 630 760
(注) (1) オフセット形といしの場合に限る。
(2) 切断といしの場合に限る。
(備考) 1. A と B はまぜないこと。
2. E 、W などは T の標準寸法による。
表 2.7.3 研削砥石の最高周速度
単位 m/min 分類
記号
といし形状・寸法
無機質結合剤(V) 有 機 質 結 合 剤 (B. R. E) 低強度 中強度 高強度 低強度 中強度 高強度
1
1 号 平形( 一般) 4 号 両テーパ形
5 号 片凹形 7 号 両凹形 20 号〜26 号 逃げ付き形 12 号 さら形
13 号 のこ用さら形
16 号〜19 号 砲弾形 軸付きといし
1,700 1,800 2,000 2,000 2,000 3,000
2 2 号 リング付
台板付き、ナット付き、セグメント 1,500 1,700 1,800 1,500 1,800 2,100 3 6 号 ストレートカップ形
11 号 テーパーカップ形 1,400 1,500 1,800 1,800 2,300 2,400 4 ジスク形
台板付き、ナット形、セグメント 1,700 1,800 2,000 1,700 2,100 2,700
5
補強といし(1 号平形)
D.max 100 T.max 2.5 × × × 3,000 3,800 4,900 D.max 255 T.max 13 × × × 3,000 3,800 4,300 その他の寸法 × × × 2,000 2,400 3,000 27 号オフセット形
(JIS R 6213 に該当する粗研削用のもの) × × × × × 4,300 補強といし(27 号 28 号オフセット形
D.max 230 T≦10 × × × 3,000 3,800 4,300 D.max 230 T>10 × × × × 3,000 3,400 6 *1 号平形(超重研削用) × × × × × 3,800 7 l 号 平形(補強入切断といし) × × × 3,000 3,800 4,900 8 1 号 平形(補強なし切断といし) × × × 2,700 3,400 3,800 9 *ねじ研削・濡研削用といし 2,000 3,000 3,800 2,000 3,000 3,800 10 *クランク軸・カム軸研削用といし 1,700 2,400 2,700 2,000 2,400 3,000
*印は専用機に限る
(5) 動力伝導部分の安全化
① なるべく直結運転方式を採用し、危険部分はすべて内蔵されており、露出していないもの を使用する。
② 原動機、回転軸、ギヤ一、プーリ一、ベルト等で、作業者が通常の作業や通行のときに接 触して巻きこまれる危険のある部分には、カバー、囲い、スリーブ等を作り、直接触れない ようにする。(図 2.7.7、図 2.7.8)
図 2.7.7 回転軸のおおい 図 2.7.8 ベルトカバー
③ 回転軸、ギヤ一、プーリー、フライホイル等に付属するセットボルト、キ一等の止め具は、
埋頭型のものとするか、木製円板、金属カラー等で覆っておく。(図 2.7.9、図 2.7.10)
図 2.7.9 セットボルトのおおい 図 2.7.10 キーのおおい
④ ベルトの継ぎ金具は突起のない構造とする。
⑤ クラッチ等の動作は確実であって、接触不良や振動で不意に起動しないものを使用する。
(図 2.7.11)
図 2.7.11 クラッチレバーのストッパー