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根切り・掘削災害の防止

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第 2 章   現場作業の災害防止対策

2.12  根切り・掘削災害の防止

               

図 2.12.1  掘削面の高さとこう配 

②  あらかじめ地山の含水、き裂、湧水、地山周辺の排水、滑り、凍結の有無とその状態を調 べ、それ等に対応する工法を計画しておく。 

③  市街地の場合はガス管、上下水道管、電力、通信ケーブル等の地下埋設物について調査し、

これ等に近接して作業を行う場合は、変形、破損に対し十分安全な計画をたてる。 

④  地形や表土の状態にあわせて施工の 安全性を考え、掘削の順序、位置、掘 削土の運搬方法を検討しておく。 

⑤  段切りを行う場合でその水平部分が 2m 以上の奥行きがあれば、掘削面の高 さは別々に測定してその高さに応じた こう配基準を適用する。(図 2.12.2) 

⑥  すかし掘りは絶対に行わない。 

⑦  地山が悪い場合に掘削面高さ 1.5m を超える直掘りは、土止め支保工を施 してから行う。 

⑧  浮石を割ったり、起こしたりするときは石の安定と転がる方向をよく見定めてから作業を 行う。 

⑨  湧水のある場合はこれを処理してから作業を行う。また掘り出した土砂は側壁の上部付近 に高く積まない。 

⑩  明り掘削を行う場合は、作業の安全上必要に応じて十分な照明を行う。 照明不足による災 害の事例は特に多い。 

 (3) 土止め支保工の計画 

①  土止め支保工の材料は、ひび割れ、変形または腐れのないものを使用する。 

②  土止め支保工の材料として鋼材を使用する場合は JIS G3101 (一般構造用圧延鋼材)に定め る規格に適合するものが望ましい。 

③  木材の繊維方向の許容曲げ応力、許容圧縮応力、許容せん断応力は十分な余裕をみこんで 計画する。(表 2.12.2) 

図 2.12.2  段切りを行った場合の 

「掘削面の高さ」

表 2.12.2 木材の種類による許容応力値   

木 材 の 種 類 

許容応力の値 kg/ ㎝2 

曲  げ 圧  縮 せん断  めり込 

針葉樹 

あかまつ、くろまつ、からまつ、ひば、 

ひのき、つが、ベいまつ、べいひのき  135  120  10.5  24  すぎ、もみ、えぞまつ、べいすぎ、べいつが 105  90  7.5  18 

広葉樹  かし  195  135  21.0  44 

くり、なら、ぶな、けやき  150  105  15.0  34 

④  木材の繊維方向の許容座屈応力は次式により求めた値より小さく計画する。 

       l              D         ≦100 の場合  δc =δ (1 -O.007      )        i          i   

       l      0.38δ        >100 の場合  δc= 

      i       l    2           100i   

  l   :圧縮材の長さ(cm) 

  i  :圧縮材の最小断面2次半径(cm)    δ  :許容圧縮応力(kg/cm2

  δc :許容座屈応力(kg/cm2

⑤  鋼材の許容曲げ応力、許容圧縮応力は鋼材の降伏強さの 2/3 以下、許容せん断応力は許容 曲げ応力の 4/5 以下とする。 

⑥  鋼材の許容座屈応力は次式により求めた値より小さく計画する。 

 

       l                 l     2 

       ≦100 の場合  δc(δ−1000) 

      i           100i   

       l       1000        >100 の場合  δc= 

      i       l    2           100i    記号は上記と同じ 

⑦  粘性土の場合の堀削時における土圧分布は次図による。(図中のγは土の単位体積重量を示 す。) 

             

⑧  砂質土の場合の堀削時における土庄分布は次図による。 (図中のγは土の単位体積重量を 示す。) 

             

⑨  切りばり、腹おこし、矢板の強度計算は、次に示すように矢板等の連続性を無視して、切 りばりの取付け点をヒンジと考えて単純ばりとして計算を行う。 

           

⑩  切りばりのない矢板の根入れ長さは 右の図において、矢板 ABC は背面土圧 により A' B' C のように地中のある点 C を中心として前面に傾き、土圧は AB 間で主導土庄、BC、CD 間では反対方向 の受働土圧が発生し、図示のような土 圧分布をするものと仮定する。 

このように左右のつり合及び B 点におけるモーメントのつり合いから回転中心 C の位置及 び必要な根入れ長さ H' を求める。 

⑪  切りばりのある矢板の土圧分布は次図のように考え、D 点に関する DC 背面の主働土圧によ る回転モーメントを Ma として、同点に関する BC 前面の受働土圧による抵抗モーメントを Mr とし、Fa・Ma<Mr (Fa は 1.2 程度とする) を満足する根入れ長さを決定する。 

 

                 

⑫  軟弱な粘土地盤で掘削を行う場合は、ヒービングに対する検討が必要である。 

⑬  地下水位以下の砂質土の掘削では、水の動水こう配が限界動水こう配と等しくなるとボイ リングを起すので検討が必要である。 

⑭  土止め支保工の強度の検討は、土止め支保工が完成した状態を仮定して行うばかりでなく、

施行途中において最も危険な状態を仮定して行う。 

(4) 土止め支保工の組立・解体・点検 

①  土止め支保工を組立てるときは、あらか じめ組立図を作成し組立図に従って施工す る。 

②  組立図には部材の配置、寸法、材質のほ か、掘削と関連づけて部材の取付け時期及 び順序を明示しておく。(図 2.12.3) 

③  切りばりは腹おこしに、腹おこしは矢板 や杭に確実に取付ける。小規模な木製の土 止め支保工ではかすがいを用いて取付ける 場合もある。 

④  切りばり、火打ち等のように軸方向に圧縮力を受ける部材は突合せ継手とし、重ね合わせ 継手は使用しない。 

⑤  切りばりの接続部及び切りばりと切りばりが交差する部分は、当て板をあててボール卜に より緊結し、溶接により接合する等の方法により堅固なものとする。 

⑥  切りばりのスパンが長い場合は、中間で支持させる中間支持柱を設け、切りばりの重量を 支えると共に、垂直方向の座屈を防止する。 

⑦  切りばりや腹おこしの取付け、取りはずしの作業を行っている場所には、関係者以外の立 入りを禁止する。 

⑧  土止め支保工の崩壊を防止するために設置後 7 日以内の期間ごとに、また中震以上の地震 の後、大雨等により地山が急激に軟弱化する心配が生じた場合には、土止め支保工の点検を 行う。 

⑨  点検は部材の損傷、変形、腐食、変位及び脱落、切りばりの緊圧の度合、部材の接続部、

取付け及び交差部の状態について行う。 

⑩  点検の結果、また作業中に土止め支保工に異常が認められたときは、直ちに補強するか、

図 2.12.3  切りばり部材の名称

場合によっては作業を中止して避難する。 

⑪  腹おこしや切りばりを足場にしたり、重量物を載せたりするときは、支柱や方杖等で補強 する。 

⑫  土止め支保工の肩の部分には堀り出した土砂や器材を高く積み上げない。 

(5) 横杭(ずい道)の掘削作業 

①  地形、岩質、土質、表層推積物、地下水等の状態をよく調べ、それ等に適合した施工計画 をたて、その計画にもとずいて工事を行う。 

②  施工計画は掘削の方法、支保工の方法、湧水の処理、換気、照明等について明示する。 

③  発注者から指定された工法や工期であっても、災害防止上必要と思われるときは協議して 変更を要請する。 

④  軟弱な地盤では特に支保工の計画に万全を期すと同時に、余掘を極力さける。 

⑤  作業にかかる前に作業者に作業の目的、順序、方法等をよく説明し、十分に理解させると ともに必要な打合せは細かく行っておく。 

⑥  作業中に山鳴り、地肌のバラバラ落ち、湧水量や濁りの変化、支保工の木鳴り、割れ、浮 き、はずれ、曲り、折れ等の異常を発見した時は、直ちに責任者に連絡しその指示により応 急処置を行う。 

⑦  横杭の掘削長が長い場合は万一の落盤も考え、送気管、排水管を利用して物資の送り込み ができるよう配慮しておく。 

⑧  作業者は必ず携帯電灯を持参する。 

⑨  坑内は常に整理、整頓に努め、不用機材は速やに坑外に搬出し作業員の通路を確保してお く。(図 2.12.4) 

⑩  坑内の照明不足は事故の原因となるので努めて明るくする。また坑内の空気は常に汚染さ れるので適当な方法で換気を行う。(図 2.12.5) 

           

 

図 2.12.4       図 2.12.5 

⑪  坑内の排水は十分に行い、水たまりや滞水を生じないようにする。更に坑内での感電災害 を防ぐため、電気資材はなるべく新品を用いる。また保守点検を十分に行いスイッチ、電線 被覆の損傷、電球の破損等は直ちに取替える。 

⑫  電灯には必ずガードをかぶせ電気機器には漏電による感電を防ぐためアースを設置する。 

⑬  掘削面は日時の経過に従い、地肌が緩んで浮石を生じ落石や肌落ちの原因となるので、常 に点検を行い必要に応じて支保工を設置する。 

⑭  削岩機のエアホースの取付けは確実に行い常に点検整備をする。また乾式削岩機の場合は 作業員に清潔な防じんマスク及び防じんめがねを使用させる。 

(6) 横杭(ずい道)の災害(爆発・火災)防止 

①  防止対策の基本は、ガスをためないことと火源をなくすことの二つである。そのために管 理体制を十分確立して工事にあたる。 

②  ガスの管理はガスを坑内にためないようにすることである。そのためにはガス濃度を測り、

安全な濃度にうすめるために換気をし、換気だけではむずかしい時には地山からガスを抜い て直接パイプで坑外に放出する。 

③  メタンガス等の可燃性ガスの湧出が予想される場合はマッチ、ライタ一等の火気は携行し ないこと。(表 2.12.3) 

表 2.12.3  有害ガス発生箇所  ガ ス の 種 類 発   生   箇   所  一酸化炭素  (CO) 内燃機関排気ガス 

二酸化窒素  (N02) 通気不良箇所における発破、溶接内燃 機関排気ガス 

亜流酸ガス  (SO) 内燃機関排気ガス 

炭 酸 ガ ス(CO2) 炭酸水の湧出、又はそのおそれのある 地層、腐泥土、内燃機関排気ガス  硫 化 水 素(H2S) 硫黄鉱床地帯の地層、腐泥土  ン(CH4) 炭田、天然ガス地帯の地層、腐泥土  ホルムアルデヒト 内燃機関排気ガス 

④  メタンガスの性質は、空気より軽く、無味、無色、無臭でわかりにくく、空気と混合して、

大体 5%から 15%の濃度で、火源があると爆発する性質がある。メタンガスそれ自体には毒性 はないが、20%以上の濃度になると酸欠になる。(表 2.12.4) 

表 2.12.4  有害ガス危険 

ガ ス の 種 類 予想される危険  度  一酸化炭素  (CO) 中      毒  50PPm  二酸化窒素  (N02) 〃  5〃※

亜流酸ガス  (SO2) 〃  5〃 

炭 酸 ガ ス(CO2) 酸  欠  等  5,000〃 

硫 化 水 素(H2S) 中      毒  10〃 

ン(CH4) 酸      欠  10,000〃 

ホルムアルデヒト 中      毒  5〃※

備考・※のあるものは絶対この濃度を超えてはならない  数値である。 

⑤  ガスをうすめて安全にするための空気を送風機で切羽まで送る。 

送気は 15 分間以上続け、その後に酸素濃度を測定して酸素濃度が 18 以上、硫化水素濃度が 10ppm 以下であることを確認してから立ち入る。(図 2.12.6) 

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