第 6 章 対人関係に応じた「共話的反応の型」の使い分け
6.3. 調査の概要
6.3.1. 使用データ
本章で用いるデータは、宇佐美(2011)『基本的な文字化の原則(Basic Transcription System for Japanese: BTSJ)』による日本語話しことばコーパス(トランスクリプト・音 声)2011年版』に収録されている「初対面同性同士雑談」と「初対面男性ベース雑談」の日 本語母語話者同士の会話である。
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表 26 共話的反応の年齢差・性別差調査の使用データの概要 [B(F/M):ベース話者(女/男),S (F/M):同年(女/男),O(F/M):年上(女/男)]
対人関係 会話 番号
協力者 長さ 分/秒
発話
B S/O 総出
現数 B S/O
20代女性 同性同士
①対同年 191 JBF01
JSF02 16/27
973 470 503
195 JBF03 11/39
197 JBF04 15/43
②対年上 192 JBF01
JOF01 16/29
1080 503 577
196 JBF03 17/0
198 JBF04 17/03
20男性同 性同士
①対同年 199 JBM01
JSM02 15/44
1012 467 545
203 JBM03 15/52
205 JBM04 19/57
②対年上 200 JBM01
JOM02 17/06
788 383 405
204 JBM03 20/58
206 JBM04 18/10
30男性同 性同士
①対同年 176 BM01
SM01 19/52
790 406 384
182 BM02 14/30
188 BM03 15/00
②対年上 174 BM01
OM01 19/22
1059 478 581
180 BM02 16/49
186 BM03 20/05
30男性異 性同士
①対同年 175 BM01
SF01 15/00
904 387 517
181 BM02 13/30
187 BM03 15/53
②対年上 173 BM01
OF01 15/00
839 445 394
179 BM02 17/30
185 BM03 20/00
平均 15/10 931 442 488
前者は20代の大学生、大学院生、社会人同士の談話で、後者は30代の話者が20代、30代、
40代の社会人との談話である。調査の目的は対話相手の会話を交わす相手が同年か年上か を確認することではあるが、社会人30代男性のベースの談話の場合は対話相手が同性か異 性かの差異も考慮し調査に臨んだ。「相手が同性であるか、異性であるかはあいづち表現や 発話の頻度には影響しない(大浜2002: 4)」という指摘の妥当性を検討するためである。
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6.3.2. 調査の範囲
従来の研究における共話的反応の型は以下のようにまとめられる。
表 27 従来の研究における共話的反応の型 水谷(1988a、1993) 終助詞の使用、言いさし
あいづち、相手の発話を完結、相手の発話内容の復唱
黒﨑(1995) 先取り型、補足型、助け舟型、言い換え型、共感型、割り込み型、
リレー型
宇佐美・木林(2002) 後行発話の形式:一語文、中途終了型発話、終了型発話 機能:質問、答え、確認、叙述
笹川(2007)
(1) 笑い、あいづちやパラフレーズ等により共感を示す共話 (2) 文の後半をもう一人の話者が引き継ぎ、完成させる共話 (3) 推測などより相手の言うべき文を添加する共話
(4) 発話行為により相手と協調関係を志向する共話 (5) 文を引き継ぎ助ける共話
(6) 発話連鎖による複雑な共話 (7) 談話構成のレベルでの共話
そこで、本章では表27でまとめた先行研究で言及されている共話的反応の型に分類する だけでなく、共話的反応の型およびその果たす機能まで考慮し、以下の表のようにまとめ た。
表 28 共話的反応の型および機能の調査項目 共話
的反 応の 型
① 先取り :話し手発話の先を予測して言う発話
② 言い換え:話し手発話と同じ内容を別の言い方で表現する発話
③ 問い返し:話し手発話について質問する発話
④ 遮り :話し手発話を途中で中断させる発話
⑤ 繰り返し:話し手発話を同じ言い方で反復する発話
共話 的反 応の 型の 機能
① 確認 :話し手・聞き手の情報について発話内容を確認する役割
② 相手助け:話し手の言い淀みまたは長い間を助ける役割
③ 同意 :話し手の発話と考えや意見が同様であることを示す役割
④ 補足 :話し手の発話内容に対し知らない情報を付け加える役割
⑤ 共感 :話し手の発話内容に対し、共感を示す役割
⑥ 反論 :話し手の発話内容と意見が同様でないことを示す役割
⑦ 理解 :話し手の発話内容に対し理解を示す役割
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