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第 7 章 韓国人日本語学習者の言語能力レベル別にみたあいづち的反応の使用実態

7.4. 分析と考察

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→2 I:おー{笑}、もう1度(ん)、ちゅくり[つくり]ま{笑}

3 T:川を(ちゅくり[つくり]ましたはい))、川をつくるんですか(はい)、え、川をつ くるって、んど、どういうふうにするんですか、

会話例47) 好きな映画の話:T(インタビュアー)-I(インタビュイー初級 K2)の会話

→1 T:ホラー(ん)、あ、ホラー映画(ん)、えー

2 I:ホラ[ホラー]と、あ、ラブストリ、ラブストリー 3 T:んーんーんー、最近、見た映画はなんですか

しかし、初級レベルのKJLの特徴と見られる「理解」機能には、次の例(48)、(49)に示さ れた「はい」のように、インタビュアー相手の話の内容を相手の意図通りに理解できず、

誤解していると判断できる例も多数含まれている。(二重取り消し線が入ったはい:違和感 があると判断されるあいづち的反応)

会話例48) ストリートライブを見た話:T(インタビュアー)-I(インタビュイー初級 K 1)の会話

1 T:あーそう、ちょっとストリートライブってピアノは、ちょっと難しいですね

→2 I:はいピアノも(ん)、町に(ん)、たくさんあります

3 T:どこの

会話例49)住まいの話:T(インタビュアー)-I(インタビュイー初級 K1)の会話

→1 T:あらそうですか(はい)、へーそれは全然知りませんでしたね(はい)、ふーん、は

い、えーと、あのー、ええ、あのー【姓B】さんは、あのちょっと今、住んでい るところはアパートですか

2 I:はいアパートです

3 T:あーそう、アパートで友達と住んでるんですか1人とす、1人で住んでるんですか

第二に、KJLの母語の特質が関係している可能性が考えられる。韓国語では話し合いに おいて自分と意見が一致している相手の発話に対して頻繁にあいづちを打つことで自分の 立場をより強く表現する(李善雅2001、任榮哲2008)。たとえば、韓国語において、「예-예:

ye-ye」は日本語の「はい」と同じく相手の発話に対する肯定を示すのに用いられるあいづ ち表現であるが、韓国語においては「예-예:ye-ye」と反応するのは「理解」しているか、

「同意」しているときであり、日本語の「はい、はい」のように反論や非同意の前に置か れることは少ない。初級は、このような日本語と異なる母語の言語行動の影響がもっとも

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よく現れる言語能力レベルでもあるので、会話例48)、49)のあいづち的反応は、理解を表 明するために積極的にあいづち的反応を起こそうとした結果だと思われる。そのため、日 本語母語話者のように理解とは関係のない単なる会話参加の態度表明、もしくは話し手が 意見を述べやすい雰囲気を作るために使用する「傾聴」機能までは駆使できていないと判 断できる。

7.4.2. 各言語能力レベルにおけるあいづち的反応の機能類型別の出現傾向

次の表34は各言語能力レベルにおける感声的あいづちの機能別出現数を、表35は各言語 能力レベルにおける概念的あいづちの機能別出現数と初出形式の対応をそれぞれ示したも のである。ともに、KJLの初級レベルについては、機能ごとに、出現した全ての形式を提 示した。中級レベル以上は使用頻度の高い形式と初めて出現した形式を中心に提示した。

表 34 各言語能力レベルにおける感声的あいづちの機能別出現数21

まず、各言語能力レベルにおける感声的あいづちの機能別出現状況を見ると、全体的に 言語能力レベルに関係なく、「傾聴」「理解」「同意」機能を持った「はい、うん、あー」の 形式が用いられている。「んー」、「えーっ」などの困惑や驚きの「感情」機能と、「んー」

21 KJLの場合、「はい」は「はいはい,はー」など、「うん」は「ん、んんん、んー」な

ど、「あー」は「あーあー、ああ」などの形式の数を含む。また、それぞれの形式には 違和感があると判断されるものも含まれている。表現形式自体に違和感がある場合は

「*」(例えば、*おーおー)、状況や場面上違和感がある場合は「??」(例えば、「否定」

機能の??はーいはい)を付けて表示した。さらに、OPIのロールプレイの際、出現した あいづち表現は( )で囲んで示した。

言語能力レベル

初級 中級 上級 超級 NS

類型 機能

「感情」 0 0 (やー)1 んー5/えーっ2/

あっ1/いや1 え1/えっ1/あ1/ あ, あ1

1 9 4

「否定」 0 0 ??はーいはい1 んー1 ん1

1 2

「同意」

はい31/うん26/

あー15 はい43 はい35 はい13 はい50/はいはい5/

ええ(ええ)17/あ あー6

72 47 39 22 78

「理解」

はい52/うん11/

*おーおー6/あー9 はい34 はい27 はい11 はい14/あはい2/あ あ3

78 44 34 27 19

「傾聴」

うん22/ はい22/

あー5 はい195 はい176 はい55/ええ9 はい117/ええ42/

あはい3/ああ1/ええ ええ1

49 219 221 85 164

199 310 296 144 267

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による「否定」機能は、言語能力レベルが高い上級と超級で確認できた。上級では実際、

「否定」機能として「はーいはい」というふさわしくないあいづち表現が用いられており、

「感情」機能は、同好会の部長と副部長の役割のロールプレイ場面で用いられた「やー」

の感声的あいづちがそれぞれ1例ずつ確認できている。

次に注目すべきは、初級では「理解」「同意」、中級から超級にかけては「傾聴」機能が 中心に使用されているという点である。さらに、各言語能力レベルにおける概念的あいづ ちの機能別出現数と初出形式の対応を合わせて確認すると、概念的あいづちと比較して、

感声的あいづちの方が圧倒的に多く用いられている。「うん」、「あー」など、母語(韓国語) にも同様の表現形式が存在することや語形が比較的簡単なことなどから感声的表現の使用 頻度が高いのは当然の結果といえるであろう。

表 35 各言語能力レベルにおける概念的あいづちの機能別出現数と初出形式

各言語能力レベルにおける概念的あいづちの機能別出現数と初出形式の対応をみると、

すべての言語能力レベルにおいてほぼ同様に「理解」、「同意」、「否定」機能が用いられて いることが確認できる。しかし、それぞれの機能ごとに、レベルが上がるにつれて異なる 形式が用いられるようになることから、その用いられ方は決して一様ではないということ が確認できる。それぞれのレベルにおいて各機能を支えるバラエティに富んださまざまな 形式を学習することが要求される部分でもある。