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見出しの構成

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第 4 章 見出しについて

4.2 見出しの構成

【第Ⅱ部 新聞社説におけるマクロ構造の日中対照研究】

第Ⅱ部では、新聞社説におけるマクロ構造、主に段落構成に焦点を当てて論を進め る。「ある文章を読んで理解するということも、何かについて文章を書くということ も、基本の作業は段落の理解と段落の組み立てにあるのではないか。読解も表現も結 局は段落に帰着する」と平井(1970:252)で指摘されているように、本論文も文章・

テクストを構成する最大の卖位である段落に注目してマクロ構造を解明する。

具体的には、「題材の配列」と「統括機能」の観点から分析を行う。前者では、文 章・テクストはどのような論理展開をなしているか、どのような「一貫性(coherence)」

を備えているのか、について検討する。後者では、文章・テクストの統括段落がどの ように位置するか、どのような「統一性(unity)」を備えているのか、について検討 する。

「題材の配列」と「統括機能」を分析する前に、まず新聞社説の構成の一部分であ る「見出し」について紹介する。次に「段落とは」何かについて論じ、日中両言語の 新聞社説における段落の捉え方及び段落の連接について分析を行う。また本章の最後 では、新聞社説の最初の1文である冒頭文及び最後の1 文である末尾文にも注目し、

新聞社説のテクスト構造において非常に重要である冒頭文と末尾文には、どのような 工夫が施されているのかを明らかにする。

6 『朝日新聞』 『読売新聞』 『西日本新聞』

7『新京報』 『北京青年報』

図6はそれぞれ『朝日新聞』、『読売新聞』、『西日本新聞』の社説を示したものであ る。日本語の新聞社説の見出しは2つの部分から構成されている。前半部分は实線枞 で囲まれ、活字は尐し小さくなっており、後半部分は尐し大きめの活字が用いられる。

『朝日』の見出しの前半部分は、後半部分と縦に並ぶような形を取っており、『読売』

の見出しの前半部分は横書きである。『西日本』の見出しの前半は後半部分の左側に 配置されている。一方、図 7 は『新京報』と『北青報』の社説を示したものである。

中国語の新聞社説の見出しは、2つの部分になっているものと1つになっているもの があるが、1つの部分がほとんどである。紙面では本文より大きく太い活字が用いら れている。また横書きが一般的である。

日本語の新聞社説における見出しの特徴として、不完全文が多いことが挙げられる

20。以下の表5から分かるように、『朝日』『読売』『西日本』の完全文はそれぞれ全体

の62.1%、80.7%、62.8%を占めており、不完全文は37.9%、19.3%、37.2%である。そ

のうち『朝日』と『西日本』では不完全文が4割弱も見られた。

20 「完全文」「不完全文」という分類は、西原(1997)、後藤(1998)、野口(2002)、李(2008)などを 参照した。

5 日本語の新聞社説における「完全文」・「不完全文」の割合 完全文 不完全文 朝日新聞 62.1% 37.9%

読売新聞 80.7% 19.3%

西日本新聞 62.8% 37.2%

完全文の見出し例は、以下の通りである。

(1) 政府と沖縄 捨て石にしてはならぬ(朝日2015/04/01-1)21 (2) 国旗国歌 大学への不当な介入だ(朝日2015/04/11-1)

(3) 温暖化対策 地球益に背を向けるな(朝日2015/04/12-1)

(4) 地方創生交付金 持続的な活性化を目指したい(読売2015/04/05-2)

(5) 異次元緩和2年 いつまで続ければいいか(西日本2015/04/07)

(1)~(5)は完全文の見出し例である。文末に「~してはならぬ」「だ」「~な」「~し

たい」「~いいか」など完全な述部が見られる。一方、不完全文の例として次のよう なものが挙げられる。

(6) 原爆ドーム 100年に考える役割(朝日2015/04/05-2)

(7) 介護保険料 予防策強化し負担軽減を(西日本2015/04/19)

(8) 医療事故調査 教訓を現場で生かせる制度に(読売2015/04/13-1)

(6)~(8)は不完全文の見出し例である。不完全文のうち、(6)のような「名詞止め」、

(7)のような「助詞ヲ止め」、また(8)のような「助詞ニ止め」による省略がほとんどで

ある。「ヲ止め」「ニ止め」については、「勧誘・訴え『~よう』、要望『~てほしい』、

希望『~たい』、当然・適当『~べきだ』などの付いた形が省かれていると考えられ、

論壇や社説の欄の表題に多い」(野口2002:102)。

一方、中国語の新聞社説の見出しは、完全文がほとんどである。例えば、以下の例 を参照されたい。

(9) a.进京大货车这个“霾凶”该治治了(新京報2015/04/02)

b.北京行き大型貨物車この「PM2.5犯人」は退治すべきだ22

(10) a.别把旅游变成一场“对赌”(北青報2015/05/03)

b.旅行を「賭け合い」にするな

(11) a.出租车市场化改革有什么难的(新京報2015/05/14)

b.タクシーの市場化の改革に何が困難か

21 数字は日付を表し、(2015/04/01-1)は201541日、1篇目の社説を意味する。

22 本論文での日本語訳は全て拙訳である。翻訳する際には、できるだけ直訳するように心がけた。また、

中国語が分かる日本語ネーティブ複数名にチェックを受けた。

(9)~(11)は完全文の見出し例である。完全文の特徴として、「主谓句(主述文)」が 多く見られるという点が挙げられる。主述文とは、主述述語文であり、一つの文(主 語+述語=主述)が主語の後ろに置かれて述語となる文のことである23。事实や意見 を最も表現・説明しやすいと考えられる24。一方、不完全文の見出し例は非常に尐な い。

(12) a.速度与激情与玩命(北青報2015/04/13)

b.速度と熱意と命遊び

(13) a. “不合理低价”是旅游业乱象(的)根源(新京報2015/05/16)

b.「不合理な低価格」は観光業の乱れ(の)根源だ

(12)(13)は不完全文の見出し例である。(12)は名詞句の例であり、(13)は「助詞」「的

(の)」の省略が見られた。中国語では「助詞」のような「虚詞」(function words)が 省略されても意味の理解に支障を与えないため、見出しの中で省略現象が生じている と思われる。

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