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O-22 特異な進展様式を呈した膵腫瘍の1例

岡山卓史1)、仲田興平1)、中村 聡1)、森 泰寿1)、貞苅良彦1)、宮坂義浩1)、大塚隆生1)、佐伯 潔2)、 石神康生3)、小田義直2)、中村雅史1)

九州大学病院 臨床・腫瘍外科1)、同 形態機能病理学2)、同 臨床放射線科学3)

症例は 70 歳代、男性。2 ヶ月間で 5kg の体重減少と褐色尿を自覚した。また同時に検診で肝胆道系酵素が上昇してお り当院受診した。腹部 CT、MRI 検査では膵頭部に 5c m径の腫瘤を認め、乳頭部、下部胆管、主膵管内にも進展していた。

EUS では腫瘤辺縁は不整結節状で、膵の長軸に沿って膨張性発育を呈していた。また明らかな血流増加を認めなかった。

ERCP では十二指腸乳頭は腫大しており、開口部から腫瘍が露出していた。同部位から生検を行い adenocarcinoma の 診断となった。胆管造影では乳頭部から上部胆管にかけて狭窄像を示しており、上流の胆管は 2cm に拡張していた。胆 汁細胞診は Class V の診断であった。膵頭部腫瘍に対して亜全胃温存膵頭十二指腸切除、D2 リンパ節郭清を施行した。

病理組織学的に腫瘍細胞は拡張した主膵管と分枝膵管内に充満し、拡大した核と好酸性の細胞質を有し、高度な核異 形を伴っていた。免疫染色では MUC1(+)、AE1/AE3(+)、CAM5.2(+)、MUC2(-)、MUC5AC(-)、MUC6(-)、CDX2(-)、

Tripsin(-)、Synaptophysin(-)、ChromograninA(-)、CD56(-) であった。今回、術前画像診断から診断に難渋した膵腫瘍 の 1 例を経験したので報告する。

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O-23 非典型的な発育を示した Acinar cell carcinoma の 1 例

横山健介1)、牛尾 純1)、多田大和1)、池田恵理子1)、川崎佑輝1)、玉田喜一1)、遠藤和洋2)、佐田尚宏2)、 丹波美織3)、小松原利英3)、福嶋敬宜3)

自治医科大学附属病院 消化器肝臓内科1)、同 消化器一般外科2)、自治医科大学 病理診断部3)

人間ドックの腹部超音波で膵体部に 17mm の嚢胞性病変を指摘され、経過観察されていた 57 歳男性。3 年の経過で増 大傾向を認めたため、精査目的で当院紹介となった。

Dynamic CT で膵体部背側に辺縁が造影され、内部は造影されない 23mm の低吸収腫瘤を認めた。MRI で腫瘤内部は T1WI、T2WI ともに高信号を示し、辺縁は不均一な厚い被膜様にみえた。DWI では拡散は軽度低下しているのみであっ た。MRCP で体部主膵管は圧排されていたが、尾側膵管の拡張はみられなかった。EUS で厚い被膜を有する嚢胞状腫瘍 と認識した。内部は無エコーと不整な低エコーが混在していたが、内部は全く造影されなかった。厚い被膜を有するこ とより、LEC などの嚢胞性疾患の他に充実性腫瘍の嚢胞変性が考えられ、膵体尾部切除を施行した。

肉眼的に体部に境界明瞭な腫瘍を認め、内部は壊死により二次性に嚢胞化していた。病理組織学的には比較的小型の N/

C 比の高い細胞が密に増殖していた。免疫染色では大部分で BCL10, Trypsin 陽性を示していたが、地図状に染色され ない領域が存在し、その部に一致して Synaptophysin が陽性であり、NET への分化を示す ACC と診断した。

3 年前の画像と対比すると嚢胞が先に存在し、充実性腫瘍が緩徐に発育してきた様にみえ、ACC の発育としては非典型 的である。この腫瘍の由来に関しての討論をお願いしたい。

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O-24 EUS-FNA で術前診断し得た膵悪性黒色腫の 1 切除例

中村佳史1)、直田浩明1)、村嶋佑美1)、梅田悠平1)、浦出伸治1)、金子昌史1)、金子真紀1)、小林一彦1)、 杉本寛子2)、藤村 侑3)、田端正己3)

松阪中央総合病院 消化器内科1)、同 臨床病理科2)、同 外科3)

60 歳代女性。体重減少と左上腹部痛を主訴に前医を受診し、US、CT にて膵尾部腫瘤を認め当院紹介となった。US で 膵体尾部に、径 4cm 弱で内部エコーが不均一な低エコーの腫瘤性病変を認めた。 Plain CT では腫瘤は等吸収で、尾側 膵管の拡張がみられた。Dynamic CT では腫瘤の辺縁は漸増性に造影されるが中心部の造影効果は不良であった。MRI では腫瘤の辺縁は T1 で正常膵よりも低信号、脂肪抑制 T2 にて等信号を呈し、DWI では拡散の低下を認めた。中心部 の大部分は T1 高信号、T2 低信号を呈していたが、一部 T1 低信号、T2 高信号である領域を認めた。ERCP では体尾部 主膵管で圧排狭窄を認め、その尾側膵管は拡張していた。EUS では、内部が不均一で辺縁が不整形な低エコー腫瘤であっ た。造影を行うと病変内部には造影されない領域を認めた。EUS-FNA を施行し、細胞診では大型核小体を有する N/

C 比の高い異型細胞が散在性にみられ、細胞質内に褐色色素を認める細胞もあった。免疫組織化学染色では、CK AE1/

AE3 陰性、HMB45 陽性、melanA 陽性であり悪性黒色腫が疑われた。全身検索を行うも原発巣は指摘できず、脾合併 膵体尾部切除を施行した。腫瘤の辺縁と中心部で異なる像を呈した画像所見を病理標本で説明しうるかを中心に討論願 いたい。

ポスターセッション