• 検索結果がありません。

92

P-21 術前に膵頭部癌と診断された膵神経内分泌癌の 1 例

大澤高陽1)、有川 卓 1)、 駒屋憲一 1)、安井講平 1)、小松俊一郎 1)、石黒成治 1)、齋藤卓也 1)、石井紀光 2)、 都築豊徳 3)、佐野 力 1)

愛知医科大学 消化器外科1)、同 肝胆膵内科2)、 同 病理診断科3)

症例は 66 歳女性。2014 年に膵頭部の分枝型 IPMN と内臓逆位を指摘された。嚢胞内に結節は指摘できず、ガイド ラインに従って画像検査で毎年フォローアップする事となった。2016 年の MRCP で膵頭部の主膵管狭窄が疑われた が、造影 CT では腫瘤を指摘できず経過観察の方針となった。2017 年の MRCP では、主膵管の狭窄に加え尾側膵管の 拡張が出現したため、精査を行った。造影 CT では膵頭部に造影効果の乏しい腫瘤を認め、尾側膵管は拡張し膵実質は 萎縮していた。EUS では 1.6cm 大の低エコー腫瘤として描出され、明らかな門脈浸潤は認めなかった。また、膵頭部 には隔壁を伴う 2.4cm 大の嚢胞も認めたが、嚢胞内結節はなかった。EUS-FNA の結果は低分化型腺癌であり、分枝 型 IPMN 併存の膵頭部癌と診断した。画像上、遠隔転移は指摘できず、手術目的で当科紹介となり、亜全胃温存膵頭 十二指腸切除術を行った ( 手術時間:315 分、出血量 145 g)。経過は良好で合併症なく第 10 病日に軽快退院した。病 理組織所見では類円形~紡錘形核を持つ異型細胞が充実胞巣、索状構造を形成し増殖浸潤する像を認め、免疫染色では Synaptophysin +, CD56 +, Chromogranin A + であり Neuroendocrine carcinoma と診断された。膵癌類似の非典型 的な画像所見を呈した膵内分泌腫瘍の1例を経験したので報告する。

検討項目

・術前画像で NEC と診断可能であったか

・非典型的な画像所見を呈した理由は何か ( 病理組織像から説明可能か )

93

P-22 非典型的な造影パターンを示した膵 Neuroendocrine tumor の 1 例

宮澤基樹1)、川井 学1)、廣野誠子1)、岡田健一1)、清水敦史1)、北畑裕司1)、小林良平1)、小島史好2)、 山上裕機1)

和歌山県立医科大学 第2外科1)、同 人体病理学2)

症例は 64 歳男性。HCV 感染で IFN 治療後フォロー中、造影 CT にて、膵体部に動脈相で造影不良、門脈相から平 衡相にかけて漸増して造影効果を認める 22mm 大の腫瘤を認め、脾動静脈への浸潤を認めた。同部位より尾側の主 膵管は 3mm まで拡張し、膵実質は萎縮していた。EOB 造影 MRI では、拡散強調像で高信号を示し、遅延性に造影 される腫瘤として描出された。EUS では、低エコー腫瘤で、造影にて早期より造影され、後期相でも造影効果が継続 していた。PET では同部位に SUVmax=5.65 の集積を認めた。血液検査では CA19-9 53.8 U/mL と上昇認めたが、

CEA、CA125、DUPAN-2 は正常範囲内であった。EUS-FNA で synaptophysin、choromogranin A がいずれも陽性 で Neuroendocrine tumor(NET)の診断であった。しかし、画像所見は浸潤性膵管癌(PDAC)と考え、術前診断 は NET と PDAC の併存腫瘍も念頭において膵体尾部切除術を施行した。病理組織学診断は、NET, G2 [pTS2(27mm), pT3, med, INFa, ly0, v2, ne0, mpd0, pCH0, pDU0, pS1, pPV1(PVsp), pA1(Asp), pPL0, pOO0, pCM0, pDPM0, R0], pN1a(2/9), M0:pStage Ⅱ b であった。免疫染色でも NET で矛盾なく、典型的な膵 NET に比べ線維性間質が豊 富なことが遅延性に造影効果を受けた一因と考えられた。今回我々は、動脈相で造影効果に乏しく、遅延性に造影され る線維性間質の豊富な PNET を経験したので報告する。

94

P-23 Groove 膵癌と術前診断した十二指腸癌の 1 例

熊澤広朗1)、松崎晋平1)、栃尾智正1)、磯野功明1)、田中宏樹1)、佐瀬友博1)、岡野 宏1)、齊藤知規1)、 向 克巳1)、田岡大樹2)、馬場洋一郎3)

鈴鹿中央総合病院 消化器内科1)、同 外科2)、同 病理診断科3)

【症例】57 歳、男性【現病歴】2016 年 9 月上旬に全身倦怠感があり近医を受診し、黄疸を指摘され精査加療目的に 紹介受診した。【既往歴】2 型糖尿病、統合失調症【現症】体温 36.5 度、血圧 112/74mmHg、脈拍 70 回 / 分、眼球 結膜黄染あり、眼瞼結膜貧血なし。腹部は平坦、軟で圧痛なし。【血液検査所見】WBC4600/ μ l、RBC452×104/ μ l、Hb11.7g/dl、PLT30.6×104/ μ l、TP6.4g/dl、Alb4.4g/dl、T-Bil33.2mg/dl、D-Bil25.8mg/dl、AST320IU/ l、

ALT452IU/ l、ALP1712IU/ l、LDH280IU/ l、Amy107IU/ l、BUN12.7 ㎎ /dl、Cre0.75mg/dl、BS312mg/dl、

CRP0.82mg/dl【画像所見】腹部超音波検査にて膵頭部に不整形の低エコー腫瘤を認めた。腹部単純造影 CT にて膵 Groove 領域に 25mm の遅延性濃染される腫瘤を認めた。MRCP では同部位に拡散低下を認めた。ERCP 施行時、十二 指腸下降脚に SMT 様隆起を伴う不整な陥凹性病変を認めた。【診断・治療】膵頭部癌(Groove 領域)cT3N0M0(CH1, DU1,S1,RP0,PV0,A0,PL0,OO0)、cStage Ⅱ A と診断した。膵頭十二指腸切除術を行い病理学的に十二指腸癌と診断さ れた。術前診断が困難な十二指腸癌を経験したため報告する。

95

P-24 術前診断に苦慮した膵腫瘤の 1 例

兼光 梢1)、岡田正也1)、忽那 茂1)、田中孝明1) 、須賀義文1)、上杉和寛1)、木阪吉保1)、長谷部昌1)、 市川幹郎1)、渡邊常太2)、松影昭一3)

市立宇和島病院 消化器内科1)、同 外科2)、同 病理診断科3)

【症例】60 歳台、女性【主訴】なし【現病歴】20XX 年 2 月、糖尿病に対する定期検査での腹部 CT で膵頭部に 50mm 大の腫瘤をみとめ、当科を紹介受診した。【既往歴】糖尿病、原発性アルドステロン症【経過】血液生化学検査では、

CEA、CA19-9、DUPAN-2、Span-1 の上昇を認めた。造影 CT では膵頭部に最大横径 50mm 大の境界明瞭な腫瘤を認 め、単純にて等吸収、動脈相から平衡相にかけて緩徐に造影された。MRI では T1WI で軽度低信号、T2WI で軽度高信 号、DWI では軽度の拡散低下を呈した。主膵管や胆管の拡張はなかった。超音波内視鏡検査では、膵頭部に 56×30mm 大の境界明瞭で類円形の低エコー性腫瘤を認め、造影で腫瘍は早期に濃染した。EUS-FNA では組織診で一部に signet-ring cell様の異型細胞もみられ、低分化腺癌や腺房細胞癌が疑われた。上部消化管検査では前庭部に50mm大の2型腫瘍、

その他幽門前庭部、胃角部に 5~10mm 大の早期胃癌病変を 3 つ認めた。生検では全て高分化腺癌の診断であった。膵癌、

胃癌の重複癌を疑い、膵頭十二指腸切除、胃切除、Child 変法再建術を施行した。病理組織学検査では、膵腫瘤は胃癌 の巨大なリンパ節転移(# 8a)であった。【結語】術前診断に苦慮した、胃癌の巨大リンパ節転移の 1 切除例を経験した。

希少な症例であり、若干の文献的考察を加えて報告する。