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O-10 胃型形質を有する分枝型 IPMN の主膵管進展部において浸潤性の発育を呈した 1 例

佐藤高光1)、小林規俊2)、髙木由理1)、岩崎暁人1)、細野邦広1)、遠藤 格3)、片岡俊朗4)、大橋健一4)、 窪田賢輔1)

横浜市立大学附属病院 肝胆膵消化器病学1)、同 臨床腫瘍科2)、同 消化器肝移植外科3)、同 病理部4) 症例は 61 歳男性で 53 歳時に健診で膵嚢胞を指摘され、当院に紹介となった方。当時の検査にて膵頭部に 18mm 大、

頭体部に 20mm 大の分枝型 IPMN を認めたため、半年~ 1 年毎の MRCP および CT にて経過観察となっていた。60 歳 時の MRCP 検査にて体尾部の主膵管が 5mm と拡張傾向にあり、61 歳時の MRCP では 7mm とさらに拡張を認め膵頭 体部主膵管に狭窄が明瞭化した。狭窄部は CT で明らかな腫瘤は認識できないが、EUS で主膵管内に結節性病変を認め ソナゾイドにて染影を認めた。側視鏡の観察で乳頭は開大し、ERP では MRCP 同様主膵管の狭窄および尾側の拡張が 確認された。狭窄部の細胞診では異型細胞を認めたことから、IPMN に並存した通常型膵癌の診断で外科的切除の方針 となった。膵頭十二指腸切除術を施行されたが、1 回目断端の主膵管より PanIN-2 相当の異型細胞が検出され追加切除 となったが、最終の断端でも腺腫相当であった。切除検体の病理において膵頭体部の分枝型 IPMN は MUC5AC 陽性の 低乳頭状増生を認める腺腫、また主膵管内の結節部は 8mm 大で乳頭管状、索状構造を形成し、充満性の発育を呈した 腺癌で、MUC5AC が一部陽性であることから由来浸潤癌(ly0, v1, ne1)と考えられた。切除断端の主膵管は腺腫相当 であったことから、当院では胃型形質を有する分枝型 IPMN( 腺腫 ) が主膵管進展を来し、一部が浸潤性の発育を呈しつ つさらに尾側の主膵管に進展していった病態を考えた。

並存膵癌か由来浸潤癌か、画像と病理の対比についてご討議をお願いいたします。

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O-11 非典型的な画像所見を呈した膵神経内分泌腫瘍の 1 例

長川達哉1)、田原宗徳2)、石津寛之2)、後藤田裕子3)、市原 真3)、村岡俊二3) JA 北海道厚生連 札幌厚生病院 第2消化器内科1)、同 外科2)、同 病理診断科3)

症例は 62 歳男性、1 年毎に当院の施設健診を受診していたが、2015 年 12 月の腹部超音波スクリーニングにて膵頭部 に 16mm 大の低エコー腫瘤を指摘され要精検となった。CE-CT では以前の健診より指摘されている分枝型 IPMN の足 側に早期で辺縁がわずかに造影される Low density tumor を認め、次第に中心部が淡く造影されていた。MRI では T1 強調像で low、T2 強調像でやや high intensity tumor として描出され造影態度は CT と同様であった。ERCP では膵 頭部主膵管と交通する IPMN 病変が確認されたが、膵管系の狭窄や壁不整像を認めなかった。EUS では境界明瞭、辺 縁に軽度の凹凸不整を認め、内部エコーはやや不均一な低エコー腫瘤として描出され、CDI では辺縁部に散在性の点状 color signal を認め、Sonazoid による造影後は周囲膵組織とほぼ同程度に bubble が流入し不均一な染影像を呈してい た。当初は IPMN に併存した膵野型の浸潤性膵管癌と推測したが、EUS-FNAB にて弱好酸性の胞体に円形核を有する ChromograninA 陽性の腫瘍細胞を認め膵神経内分泌腫瘍の診断が得られ、SSPPD-IIA(D2) による腫瘍切除術を施行し た。病理組織学的に核分裂像は 10 個 /10HPF 以下であるが Ki-67labeling index は 50% 以上と高く、Neuroendocrine tumor (NET,G3), ly0, v1, ne1, pS(+), pT3, pN0, pStageIII と診断された。非典型的な画像所見を呈した NET 症例であ り、腫瘍の悪性度あるいは組織修飾などが原因か臨床的、病理学的に討論頂きたく症例提示します。

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O-12 稀な膵管内腫瘍の 1 例

平田幸司1)、桑谷将城 1)、杉浦 諒 1)、加藤 新 1)、川久保和道 1)、山田 徹2)、三橋智子2)、西田 睦3)、 平野 聡4)、坂本直哉1)

北海道大学病院 消化器内科1)、同 病理部 2)、同 検査・輸血部3)、同 外科4)

【症例】60 代男性.主訴は上腹部圧迫感.腹部超音波検査で膵頭体部腫瘤と主膵管拡張がみられ,精査を行った.CT で は,膵頭部主膵管内に 30mm 大,漸増性の造影効果を示す腫瘤がみられ,膵実質内に明らかな腫瘤像はみられなかった.

超音波内視鏡検査では,同部主膵管内に 16mm 大の表面乳頭状,高エコーを示す結節性病変がみられた.造影超音波 検査では病変は早期から強く造影され,遷延する造影効果を呈した.内視鏡的逆行性膵管造影では膵頭部主膵管内に陰 影欠損像がみられ,同部からの生検では,mixed ductal-neuroendocrine carcinoma を疑う所見であった.以上より膵 管内管状腺癌と診断し,亜全胃温存膵頭十二指腸切除を施行した.術後最終病理診断は検討中であるが,mixed ductal neuroendocrine carcinoma もしくは acinar cell carcinoma であると考えられた.

【考察】膵管癌,neuroendocrine carcinoma や acinar cell carcinoma の病変の主座は通常,膵実質内であるが,本症 例は膵管内を病変の主座としていた.neuroendocrine carcinoma や acinar cell carcinoma がときに膵管内進展を呈 することは知られるが,膵管内を病変の主座とすることは非常に稀であり,ここに報告する.