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の内腔はやや拡張しており、拡張主膵管~分枝膵管内にPanIN3が存在していたが浸潤は認めず上皮内癌と診断した。

アルコール性、薬剤性、高脂肪食などは否定的であった。膵炎改善したのちに、原因精査を行った。MRCP では膵体部 より主膵管の狭窄を認め、尾側膵管の拡張を認めたが明らかな腫瘍は認めなかった。EUS では体部より尾側膵管拡張を 認め、拡張起始部に 5㎜大の低エコー域を認めた。ERCP では MRCP 同様膵体部主膵管の狭窄、尾側膵管の拡張を認めた。

ENPD での連続膵液細胞診では異形細胞が検出された。以上より小膵癌を疑い体尾部切除術を施行した。病理組織では 背景の膵実質は広範囲に慢性膵炎の変化を認めた。また主膵管狭窄部周囲に高度の線維化を認め、狭窄部から尾側膵管

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O-07 再発性急性膵炎の原因精査を契機に発見された膵上皮内癌の1例

中島義博1)、吉田浩司1)、三宅智雄2)、北川貴之2)、西紋禮士2)、青木啓純2)、時岡峻三2)、伊禮 功4)

浦上 淳3)、上野富雄3)、日野啓輔2)

川崎医科大学 胆膵インターベンション学1)、同 肝胆膵内科学2)、同 消化器外科学3)、同 病理部4)

アルコール性急性膵炎により複数回入院歴があり。最後の入院より3か月間禁酒をしていたが、朝食後に心窩部痛を自 覚し、昼食後さらに増強したため近医を受診。採血で膵酵素上昇を認め、CT画像で急性膵炎と診断された。以前はアルコー ル性であったがその後禁酒しており、この 3 か月の間に今回を含めて膵炎を 3 回起こしていた。短期間に原因不明の膵 炎を繰り返しており原因精査・加療目的で当院紹介となった。CT では尾部膵管の拡張がみられた。膵炎の原因として

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O-08 薄切病理標本を作製し詳細な画像との対比を行った膵体部上皮内癌の 1 例

中道太郎1)、多田大和3)、平嶋勇人1)、今井政人2)、横山健介3)、牛尾 純3)、福嶋敬宜4)、丹波美織4) 宇都宮記念病院 消化器内科1)、同 外科2)、自治医科大学附属病院 消化器肝臓内科3)

自治医科大学 病理診断部4)

糖尿病治療中の 71 歳女性。健診で指摘された肝機能異常の精査目的で施行した Dynamic CT で膵体尾部の主膵管拡張 を認めた。体部主膵管は狭窄しており、周囲の膵実質は萎縮していたが、腫瘍は指摘できなかった。MRI 断層像でも同 様に腫瘍は指摘できず、MRCP で膵体部の狭窄と尾側膵管拡張を認め、狭窄周囲の分枝は拡張していた。EUS で狭窄と 周囲の分枝拡張に一致して 8mm 程の境界不明瞭な低エコー域を認めた。ERP では膵体部に造影圧によって変化する膵 管狭窄を認め、尾側膵管が拡張していた。ENPD からの膵液細胞診は Class V であった。以上より膵体部膵管癌と診断し、

膵体尾部切除・脾臓合併切除を行った。

病理組織学的には広範囲な PanIN 病変であった。

術後の検体造影で想定した膵管狭窄部を中心とした 3 ブロックで、約 30 枚の薄切 HE 標本を作製し、PanIN の一部で high grade な異型が確認された。また、膵体尾部の病理標本と EUS コンベックススキャンは近似した断面で比較でき るため、膵管造影所見などを参考に、詳細な対比を行った。EUS で観察された境界不明瞭で内部不均一な低エコー腫瘤は、

主に線維化によって構成され、拡張分枝による不均一さが US 像に反映されているものと考えられた。

臨床的に Tis と考える病変であるが、画像所見・病理組織学的所見ともに矛盾がないか討論、評価をお願いしたい。

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O-09 部分的な膵萎縮および脂肪化を伴った主膵管狭窄の 1 例

松本和幸1)、加藤博也1)、友田 健1)、楳田裕三2)、田中顕之3)、井上博文4)、堀口 繁1)、内田大輔1)、 室信一郎1)、吉田龍一2)、岡田裕之1)

岡山大学病院 消化器内科1)、同 肝胆膵外科2)、同 第2病理学 3)、同 臨床病理部4)

 症例は 70 歳代、男性。スクリーニング目的で施行された腹部 US で主膵管拡張を指摘され精査目的に紹介となる。

腹部症状はなく、血液検査では AMY:203 U/L、LIPA:155 U/L と膵酵素の軽度上昇を認め、腫瘍マーカーは CEA:

1.32 ng/ml、CA19-9:16.3 U/ml と正常範囲内であった。腹部造影 CT では、膵体部で主膵管の狭窄を認め、尾側膵管 の拡張を認めていた。狭窄部には明らかな腫瘤は指摘できず、狭窄部腹側の膵実質が部分的に萎縮していた。また、膵 尾部には小嚢胞が多発していた。MRCP では、CT と同様に体部での主膵管狭窄および尾側膵管の軽度拡張を認めたが、

DWI では狭窄部に拡散信号の低下は認めなかった。EUS では、主膵管は体部で狭窄を認めたが、周囲に明らかな腫瘤は 指摘でなかった。ERP では、体部で短い範囲で主膵管の途絶を認め、ENPD 留置下の連続膵液細胞診では class Ⅳの結 果であった。以上より、膵体部癌を強く疑い、膵体尾部切除術を施行した。切除標本では、主膵管狭窄部の周囲膵実質 は萎縮し、高度の脂肪変性を認めた。主膵管内の上皮は軽度の核腫大と配列不整を認めたが、間質浸潤は明らかではなく、

low-grade PanIN であった。

 画像所見および、膵液細胞診から早期膵癌を疑い切除を行ったが、low-grade PanIN であった。明らかな腹部外傷の 既往もなく、主膵管狭窄および、部分的な膵実質の萎縮、脂肪化の原因について討論頂きたい。