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O-13 遠位胆管原発腺扁平上皮癌の1例

寺田卓郎1)、杉田浩章1)、加藤陽介1)、三井 毅1)、野村佳克2)、山城正司3)、宮山士朗3)、須藤嘉子4)、 中沼安二4)

福井県済生会病院 外科1)、同 内科2)、同 放射線科3)、同 病理4)

症例は 79 歳 , 女性。心窩部不快感、食欲低下を主訴に受診し、採血で軽度肝機能障害と黄疸(T-Bil 2.7mg/dl)を認め 当院紹介となった。腫瘍マーカー(CEA,CA19-9)は正常範囲内であった。造影 CT では膵頭部に淡い濃染効果を示す 22mm の腫瘍を認め、同腫瘍にて遠位胆管は狭窄していた。主膵管拡張は認めなかった。MRI では膵頭部に T1 強調像 で低信号、T2 強調像で淡い高信号を呈する腫瘍を認め、拡散強調像では拡散制限を認めた。EUS では膵頭部に類円形 の 22mm の低エコー腫瘍を認めた。以上の画像所見から膵内分泌腫瘍や膵腺房細胞癌を念頭に置き ERCP を施行したが、

遠位胆管はやや拡張し内部に陰影欠損像を認めた。同時に施行した IDUS でも腫瘍は胆管内に発育する結節型腫瘍であっ た。胆汁細胞診にて # 腺癌と診断した。以上より遠位胆管原発の結節膨張型胆管癌(cT2N0M0stage Ⅰ B)などを疑い、

減黄後に手術:亜全胃温存膵頭十二指腸切除、領域リンパ節廓清を施行した。切除標本肉眼所見では遠位胆管に境界明 瞭な 32mm の黄白色の結節型腫瘍を認めた。病理組織学的には角化成分を伴う低分化な扁平上皮癌が主体で、一部に粘 液産生を伴う低分化腺癌成分が混在しており腺扁平上皮癌と診断した。壁進達度は pT2(SS) でリンパ節転移は認めなかっ た (pT2N0M0stage Ⅰ B,R0)。術後経過では 6 ヶ月で多発肝転移が出現し、術後 10 ヶ月現在経過観察中である。

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O-14 無黄疸で診断された遠位胆管癌(NEC)の 1 例

植木秀太朗1)、宮田英樹1)、山子泰加1)、泉本裕文1)、二宮朋之1)、河崎秀樹2)、金本真美2)、前田智治3)

愛媛県立中央病院 消化器内科1)、同 消化器外科2)、同 病理部3)

症例は 70 歳代女性。検診の US にて肝内胆管の拡張を指摘され当科紹介となった。血液検査では、肝胆道系酵素および 腫瘍マーカーともに正常であった。Dynamic - CT では、肝門部胆管付近に後期相で次第に造影される壁肥厚と内腔の 狭小化を認めた。EUS では左右肝管合流部から始まる壁肥厚所見を認めたが、十二指腸側への表層進展は認めず膵上縁 までの進展および膵浸潤なしと判断した。RHA は PV 背側を通過し SMA からの replace と判断した。上部胆管癌を疑 い確定診断のために ERCP を施行した。胆管造影では上部胆管から左肝管に透亮像を認め、胆嚢管の狭窄も認めたが胆 管の軸変位は認めなかった。IDUS にて、左肝管まで進展する腫瘤を上部胆管に認めた。PV および RHA 浸潤は認めな かった。生検およびブラシ細胞診を施行した。生検は陰性であったが、細胞診(細胞免染)で神経内分泌癌と診断された。

以上より、遠位胆管癌と診断し、当院外科にて膵頭十二指腸切除を施行した。最終病理診断は Bp、平坦浸潤型。組織上 は NEC と高分化型腺癌が接して認められた。NEC は間質浸潤が高度で膵実質に直接浸潤していた。腺癌部分はほとん どが上皮内で増殖し、一部で軽度間質浸潤を認めた。

画像所見から、NEC を示唆する所見はあるのか?病理学的に高分化型腺癌から NEC へ分化したと考えてよいのか?の 二点についてご討論お願いいたします。

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O-15 遠位胆管に限局する胆管狭窄を来し胆管癌との鑑別を要した好酸球性胆管炎の 1 例

伊東文子1)、原 和生1)、水野伸匡1)、肱岡 範1)、桑原崇通1)、奥野のぞみ1)、谷田部恭2)、村上善子2) 愛知県がんセンター中央病院 消化器内科部1)、同 遺伝子病理診断部2)

70 歳男性。上腹部痛、皮膚黄染にて前医受診、血液学的所見、画像所見から遠位胆管狭窄による閉塞性黄疸と診断され 胆管ステント挿入後、精査目的に当科紹介となった。

当科紹介時血液検査所見では軽度肝胆道系酵素の上昇と、好酸球数 9069/ μ l と末梢血中の好酸球の増多を認めた。

造影 CT では下部胆管の造影効果の増強、壁肥厚を認め、肝実質や膵臓に明らかな異常所見はみられなかった。

MRCP では下部胆管に限局した狭窄を指摘、主膵管に異常所見はみられなかった。

EUS では肝門部胆管から下部胆管まで連続したびまん性の壁肥厚を認めた。

ERC 像では下部胆管に偏移を伴わない狭窄像を認めた。Spy Glass DS®(Boston Scientific 社製 ) では、肝門部から遠位 胆管まで胆管壁に拡張血管を伴わない比較的均一な白色調の丈の低い乳頭状粘膜の増生を認めた。狭窄部では不整を伴 わない拡張した血管網や発赤調の粗造な粘膜を認めるものの明らかな悪性を示唆する所見はみられなかった。

狭窄部の胆管生検では間質を主体とし好酸球を含む炎症細胞の浸潤を認め、一部では密に集簇していた。

上記より好酸球性胆管炎と診断され、PSL 内服治療が開始となった。現在外来で経過観察中である。

稀な疾患である好酸球性胆管炎を経験したため画像所見、治療経過に関して報告する。