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P-09 EUS-FNA により術前診断が可能であった微小 IPMC の 1 例

伊藤泰斗1)、赤尾潤一1)、木下普紀子1)、大塚奈央1)、長尾健太1)、田原純子1)、高山敬子1)、清水京子1)、 出雲 渉2)、山本雅一2)、古川 徹3)

東京女子医科大学 消化器内科1)、同 消化器外科2)、東北大学大学院医学系研究科 病理形態学分野3)

[症例]70 歳代男性[現病歴]200X 年に検診の腹部超音波検査にて膵頭部に 16mm の多房性嚢胞性病変を認めた。膵 頭部 IPMN と診断し、以後定期的に画像検査にて経過観察していた。頭部の IPMN の嚢胞径は徐々に増大傾向であっ たが、悪性所見は認めなかった。また 201X+9 年より体部にも 7mm の単房性嚢胞性病変を認めたが、同じく経過観 察されていた。201X+12 年に施行した EUS にて体部の嚢胞性病変近傍に low echo SOL を認め、精査を行った。[検 査]low echo SOL は CT ではやや造影不良であった。EUS-FNA の病理では絨毛状の上皮性増殖を認め、異型は high grade dysplasia 程度と考えられた。[経過]intestinal type の分枝型 IPMC と考え、膵体尾部切除術を施行した。最終 診断は IPMC, non invasive, intestinal type, branch duct type であった。病理標本での病変の大きさは 5mm であった。

EUS-FNA により術前診断が可能であった微小 IPMC の一例を経験したのでここに報告する。

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P-10 術前に膵上皮内癌を疑われた膵管内腫瘍の 1 例

澤井勇悟、丹家元祥、吉田裕幸、木村佳人、淺田全範、大﨑往夫 大阪赤十字病院 消化器内科

症例:70 代女性。前医 CT で膵頭部の嚢胞性病変、膵尾部に低吸収域を指摘され当院に紹介。当院での dynamic CT では膵尾部に明らかな充実性腫瘤は認めず、膵管壁肥厚、尾側主膵管の軽度拡張、周囲分枝膵管拡張を認めた。MRI、

MRCP では膵尾部に caliber change を伴う主膵管狭窄と尾側主膵管のごく軽度の拡張、狭窄周囲に分枝膵管拡張も認 めたが、明らかな膵充実性腫瘤は認めなかった。EUS でも明らかな膵充実性腫瘤は認めず、主膵管狭窄部近傍には分枝 膵管の拡張を認めた。膵頭部には多房性嚢胞性病変を認めたが、壁在結節や隔壁肥厚は認めなかった。乳頭部は異常な し、膵管造影では粘液を疑う透亮像、膵尾部に caliber change を伴う主膵管狭窄を認め、尾側主膵管は軽度の拡張を示 した。膵液細胞診にて高度異型上皮を認め、膵尾部の上皮内癌が疑われ膵体尾部切除術を施行した。肉眼所見では主膵 管内に充満する腫瘍を認め、病理組織所見では淡明な細胞質と基底側に偏在する小型核を有する軽度異型上皮が、一部 嚢胞状拡張を示す乳頭腺管構造をとり増生し、細胞質に PAS 染色強陽性、MUC1 陰性、MUC2 陰性、MUC5AC 一部陽性、

MUC6 陽性であり胃型上皮に矛盾しない所見であった。主病変周辺の分枝膵管に PanIN-1B 相当の異型上皮を認めたが、

主膵管内の腫瘍上皮との境界は明瞭であった。以上から、IPMN gastric type, pyloric gland variant と診断した。

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P-11 急性膵炎を契機に指摘され、術前診断に苦慮した膵嚢胞性腫瘍の 1 例

木村明恵1)、根引浩子1)、周防舞仁1)、山崎智朗1)、櫛山周平2)、村田啓洋2)、清水貞利2)、福島裕子3)、 井上 健3)

大阪市立総合医療センター 消化器内科1)、同 肝胆膵外科2)、同 病理部3)

症例は 46 歳男性。X-1 年 8 月左上腹部痛を認め、膵 Amy 815U/l、リパーゼ 1294U/l と高値、CT にて膵腫大、膵尾部 から前腎傍腔に液体貯留、膵頭部に約 2cm 大の嚢胞性病変を認め、急性膵炎と診断した。膵頭部嚢胞性病変は CT では 明らかな充実部や隔壁構造なく、急性膵炎に伴う液体貯留と考えられた。保存的加療にて膵炎は軽快し、1 週間で退院 した。1 か月後の造影 MRI でも膵頭部嚢胞性病変は単房性であり、造影効果なく、主膵管拡張を伴わないことから仮性 嚢胞を疑った。X-1 年 12 月の CT では膵頭部嚢胞性病変はやや増大していたが、隔壁構造は明らかでなかった。X 年 1 月の MRI で嚢胞内部が不均一であり、EUS で輪郭不整で内部に不整な高エコー域の混在を認めたため腫瘍性病変を疑っ たが、同時期に施行した PET では異常集積を認めなかった。精査目的の ERCP を予定したが、本人都合で先延ばしになっ ていたところ、X 年 3 月閉塞性黄疸をきたしたため入院、ERCP で膵頭部嚢胞性病変が多房性に造影され、胆汁吸引細胞診・

胆管擦過細胞診で suspicious adenocarcinoma であった。手術適応と判断し、幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行し た。病理組織診断は膵管内乳頭粘液性癌であった。

術前、特に初期の画像診断で IPMC と診断可能かご教示お願いしたい。

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P-12 IPMC との鑑別に苦慮した膵粘液癌の 1 例

冨樫純一、奥薗 徹、中堀昌人、鈴木憲次郎、前田有紀、山岡 肇、川端和歌子、平澤 大、松田知己、

長南明道

仙台厚生病院 消化器内科

【症例】66 歳男性【主訴】膵腫大【既往歴】糖尿病、狭心症、高血圧、前立腺肥大、慢性気管支炎、肺気腫【現病歴】

近医で定期健診の胸部 Xp で左肺野の透過性低下を指摘され、当院紹介された。CT で肺に気腫性変化と、膵腫瘍を指摘 され当科紹介となった。【検査】採血では腫瘍マーカーの上昇はなかった。CT では膵体部に限局した乏血性の腫大と、

膵頸部より尾側膵管の 10mm の拡張を認めた。EUS では膵体部に 40mm の低エコー腫瘤を認め、7mm と拡張した主 膵管を取り囲むように小嚢胞の集簇を伴っていた。明らかな結節は認めなかった。ERP では開口部の拡張はなく膵頸部 より尾側膵管の拡張を認めたが、膵体部から尾部膵管が造影されず IDUS では粘液のために描出が困難だった。同部位 の生検で腫瘍成分は認めなかった。MRCP では膵体部の主膵管の拡張を認めるが周囲の嚢胞より信号強度が低く粘液の 貯留を考えた。【経過】IPMC 由来浸潤癌を疑い、膵体尾部切除を施行した。術後経過は良好で術後第 13 病日で退院となっ た。膵体部のマクロ像では拡張した主膵管内に結節は認めず、透明で粘稠な粘液の貯留のみであった。病巣周囲の膵実 質は消失し、主膵管を取り囲むように小嚢胞の集簇を認めた。病理組織結果は粘液癌、Pb、TS3、cystic type、pT3、

pN1、M0、Stage Ⅲと診断した。術後補助化学療法を施行し、7 か月再発なく経過良好である。IPMC 由来の浸潤癌と の鑑別が問題であり、術前に粘液癌と診断可能であったかについて検討していただきたい。