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O-16 胆嚢腺筋腫症合併胆嚢癌類似の画像所見を呈した胆嚢腫瘍の1例

荒川典之1)、入澤篤志1)、澁川悟朗1)、佐藤 愛1)、阿部洋子1)、山部茜子1)、五十嵐亮1)、高崎祐介1)、 吉田栄継1)、北條 洋2)、柳澤昭夫3)

福島県立医科大学会津医療センター 消化器内科学講座1)、同 臨床医学部門病理診断科2)、 京都第一赤十字病院 病理診断科3)

【症例】60 歳台,男性

【臨床経過】20XX 年 1 月検診で胆嚢に異常を指摘され前医 A で受診.ENGBD を留置されたが,胆汁に悪性所見は認め なかった.その後通院を自己中断していたが,同年 9 月に精査加療目的に当科紹介となった.造影 CT では,胆嚢底部 に小結石がみられ,体部には著明な壁肥厚がみられた.経時的変化はみられなかった.MRI では,体部から底部にかけ て充実性腫瘤がみられ,拡散能の低下を認めた.周囲には RAS を示す T2 高信号がみられた.EUS では,体部から底部 にかけて広範囲に分葉状の隆起性病変を認め,一部では 1 層の被覆上皮様の所見と壁内嚢胞様所見が観察された.ソナ ゾイドによる CE-EUS では,被覆上皮及び分葉隔壁が lining されるように造影され,分葉化された領域内部では乳頭状 結節が比較的均一に早期から造影された.以上より,ADM に合併し RAS 内から発生した胆嚢癌、又は RAS 内に進展 した胆嚢癌を考えた.胆嚢摘出術・胆嚢床切除術・肝門部リンパ節郭清を施行した.病理組織学的には胆嚢内に粘液産 生を示す円柱上皮の乳頭状増殖像がみられた.浸潤部では大小様々な嚢胞を形成し,RAS 内の lining する被覆上皮が癌 細胞に置換される像も観察された.本例では,腫瘍が乳頭状構造をとりながら RAS 内に進展し嚢胞内結節を形成したも のと考えられた.

【討論したいポイント】本症例ににおける EUS 画像の成り立ちについて

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O-17 胆嚢管限局 Papillary adenocarcinoma の 1 例

天野彰吾1)、戒能聖治1)、篠田崇平1)、仙譽 学1)、松隈 聰2)、永野浩昭2)、坂井田功1) 山口大学大学院医学系研究科 消化器内科学1)、同 消化器・腫瘍外科学2)

症例は 60 歳代の男性。心窩部痛を主訴に前医を受診し血液所見、腹部 CT で胆石性膵炎を疑われ ERCP/EST/ENBD を 施行された。その際に胆管からの粘液の流出を認め、胆管由来の粘液産生腫瘍が疑われたため、精査目的に当科紹介 となった。造影 CT では胆嚢管内に造影効果を有する隆起性病変を認め、胆嚢管腫瘍が疑われた。MRI では CT 同様に 胆嚢管内に T1WI で軽度高信号、T2WI で低信号を示す、隆起性病変を認めた。同病変は DWI で軽度高信号を示し、

ADC 低下も認めた。また、EUS では胆嚢管内を主座とした乳頭状の腫瘍を認めた。腫瘤は胆嚢管開口部に露出してい たが、三管合流部の壁肥厚は認められず胆管への進展は否定的であった。また、胆嚢内への進展も明らかではなかった。

画像所見から胆嚢管癌や胆嚢管原発 IPNB を鑑別として挙げた。胆道鏡を用いた観察では、胆嚢管から軽度発赤調の乳 頭状隆起が胆管側に進展していた。また、開口部周囲、肝門側、乳頭側胆管ともに明らかな腫瘍の進展は認めなかった。

以上より、腫瘍は胆嚢管のみに限局していると判断し、肝外胆管切除、胆嚢摘出術を施行した。病理結果は Papillary adenocarcinoma であり、癌は胆嚢管に限局していた。今回我々は胆嚢管に限局した腫瘍と診断し、術式決定を行った。

術前診断並びに術式選択の妥当性について、ご討議いただきたい。

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O-18 孤立性肝内胆管過誤腫性ポリープの 1 例

齊藤夏彦1)、丸上永晃2)、岡田博司2)、高濱潤子3)、平井都始子2)、吉川公彦1)、野見武男4)、庄 雅之4)、 畠山金太5)

奈良県立医科大学 放射線科1)、同 総合画像診断センター2)、同 中央放射線部3)、同 消化器外科4)、 同 病理診断科5)

 症例は 60 代女性。右季肋部痛を主訴に前医を受診。CT で肝内に腫瘤性病変が指摘され、精査加療目的に当院紹介受 診となった。腫瘍マーカー (CA19-9・CEA) は正常範囲内であった。 CT では限局性に拡張した B3 胆管内に突出する 亜有茎性の 13mm 大のポリープ状の腫瘤性病変を認めた。腫瘤は造影早期相で強く濃染され、後期相まで造影効果は持 続した。MRI では、腫瘤は T2WI で低信号を示し、拡散制限を認めた。超音波では拡張胆管内に周囲肝と等~やや高エ コーを示すポリープ状の腫瘤を認め、カラードプラでは内部に豊富なカラー表示を伴っていた。内視鏡下生検では細胞診・

組織診ともに悪性像は認めなかった。以上の所見からは完全に胆管内乳頭状腫瘍 (IPNB) を否定できず、手術が施行され た。病変は B2/3 分岐部内腔に突出する 11mm 大のポリープとして術中視認され、門脈臍部にも近かったため肝左葉切 除の方針となった。病理組織では、腸型陰窩と幽門腺型陰窩が不規則な小葉構造を形成し、腺管上皮は部分的に核腫大 や構造異型を呈していた。間質は平滑筋細胞の束状の増生を認め、desmin 陽性であった。以上より孤立性肝内胆管過 誤腫性ポリープと最終診断された。

 孤立性の胆管過誤腫性ポリープは極めて稀で、これまで画像の報告例はない。若干の考察を加えて報告する。