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P-05 経過中に形態変化を来した膵尾部 MCN の1例

髙木 亮1)、小橋川嘉泉1)、亀山眞一郎2)、伊志嶺朝成2)、伊佐 勉3)、松崎晶子4)、真口宏介5) 浦添総合病院消化器病センター 内科1)、同 外科2)、南部徳洲会病院 外科3)

琉球大学大学院医学研究科 腫瘍病理学講座4)、手稲渓仁会病院 消化器病センター5)

症例は 60 歳代,女性。2009 年,膵尾部嚢胞性病変のフォロー目的で当院受診。膵酵素および腫瘍マーカーは正常で,

MRCP で膵尾部に約 35mm の内部に隔壁様構造を伴う嚢胞性病変を認め,内部は T1 low,T2 high,heavily T2 high を呈し,主膵管との交通ははっきりしなかった。MCN を疑って EUS 施行したが,内部に蛋白栓を認め,背景膵実質に 慢性膵炎を疑う所見を伴うことから,慢性膵炎を背景とした仮性嚢胞疑いで経過観察とした。翌年,悪性腫瘍除外目的 に ERCP 施行。膵管造影にて尾側主膵管末端に小さな陰影欠損を認め,その近傍から嚢胞が描出され,嚢胞内に ENPD 留置した。嚢胞内容液は白色調淡血性であり,膵石もしくは蛋白栓による仮性嚢胞と診断した。嚢胞内容液の細胞診で 悪性細胞を認めず,CT で嚢胞縮小確認後に ENPD 抜去した。以降,定期画像フォローを行っていたが,2016 年に cyst in cyst や厚い被膜などの MCN を示唆する所見が強くなり,嚢胞径増大も認めたため,十分な IC のもとで腹腔鏡下尾 側膵切除術を施行した。術後病理マクロ所見は 4×3×3cm の多房性嚢胞性病変であり,ミクロ所見では間質に卵巣様間 質を認め,同部位の ER・PgR 免疫染色はともに陽性を示し,MCN と最終診断した。(問題点)主膵管と交通し,膿性 内容液を含み,閉経後に増大するなど,非典型的な経過を観察しえた MCN を経験したため報告する。

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P-06 4 年の経過で増大傾向を示した膵嚢胞性病変の 1 例

五十嵐聡1)、林 和直1)、河久順志1)、横山純二1)、山際 訓1)、寺井崇二1)、滝沢一泰2)、若井俊文2)、 Korita Pavel 3)、渡邉 玄3)

新潟大学医歯学総合病院 消化器内科1)、同 消化器外科2)、 新潟大学大学院医歯学総合研究科 分子・診断病理学分野3)

 症例は 40 代女性。4 年前に検診の CT で膵体尾部に 18mm 大の嚢胞性病変を指摘。経過観察の方針となるも、以 後通院せず。X 年 2 月婦人科検診の US で 24mm 大の膵嚢胞を指摘。4 月前医にて CT および MRI 施行し、膵体部に 25mm 大の隔壁を伴う嚢胞性病変あり。膵漿液性嚢胞腺腫を疑われ、3 ~ 6 ヶ月おきに経過観察の方針に。12 月転居に 伴い当科紹介。

 US では膵体尾部に隔壁を伴う嚢胞性病変あり。上部消化管内視鏡では主乳頭からの粘液排出なし。CT では膵体部に 26mm 大の多房性嚢胞性病変あり。内部に薄い隔壁様構造を認めるが、明らかな充実部分なし。被膜および隔壁は淡く 造影される。MRI では嚢胞は隔壁様構造を伴うが、充実部分なし。内部は水に近い信号。主膵管拡張なし。EUS では隔 壁を伴う多房性嚢胞性病変で、内部に充実様構造および debris を認める。主膵管との交通はない。ソナゾイド造影で被 膜および隔壁は造影されるが、充実様構造は造影されず。以上より、膵粘液性嚢胞腫瘍を第一に疑い、腹腔鏡下膵体尾 部切除、脾合併切除を施行した。

 病理では嚢胞は粘液産生性の立方円柱上皮に裏打ちされ、上皮下に卵巣様間質を認め、Mucinous cystadenoma (MCN) と診断した。4 年の経過で増大傾向を示した MCN の 1 例を経験した。術前の画像診断について議論いただきたい。

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P-07 単純性嚢胞との鑑別に苦慮した nonmucinous cyctadenoma の 1 例

寺奥大貴1)、池本哲也1)、和田佑馬1)、太田昇吾1)、齋藤 裕1)、岩橋衆一1)、居村 暁1)、森根裕二1)、 島田光生1)、常山幸一2)

徳島大学 外科学1)、同 疾患病理学2)

【はじめに】膵嚢胞性疾患は術前の鑑別が困難であり、今回単純性嚢胞との鑑別に苦慮した極めて稀な膵嚢胞の 1 例を経 験したので報告する。

【症例】43 歳女性、飲酒歴なく検診で膵に異常を指摘された。CT 上ほぼ均一な LDA を膵内部に認め、尾側膵管の拡張 はなかった。MRI 上も同様の所見で、充実部なく内部出血の所見なし。DWI でも high intensity spot は認めなかった。

EUS も明らかな隆起性病変を指摘されず。しかし、経過観察中に比較的早い速度で 3.0cm を超えて増大傾向を認めた ため、Fully IC のもと、腹腔鏡補助下膵体尾部切除を施行した。

【病理】肉眼的に均一な嚢胞であり、明らかな隆起性病変を認めなかったが、病理学的検索によって、嚢胞被覆上皮 は MUC1,2,5AC,6 陰性、CK7,CK20 陽性で、上皮周囲には ER+,PgR+ の卵巣様間質を有しており、nonmucinous cyctadenoma of the pancreas with pancreatobilliary phenotype and ovarian-like stroma と診断された。

【まとめ】単純性膵嚢胞と鑑別が困難な極めて稀な 1 例を経験した。膵炎の既往なく、若年女性の膵外に突出しない比較 的早期の増大傾向を示す単一な嚢胞性病変は当疾患を念頭に置く必要がある。

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P-08 術前診断が可能であった膵管内管状乳頭腺癌(ITPC)の 1 例

浅間宏之1)、高木忠之1)、鈴木 玲1)、杉本 充1)、紺野直紀1)、佐藤雄紀1)、入江大樹1)、丸橋 繁2)、 橋本優子3)、大平弘正1)

福島県立医科大学 消化器内科学講座1)、同 肝胆膵移植外科学講座 2)、同 病理病態診断学講座3)

症例は 70 歳台女性。上腹部痛にて前医で EGD を施行したところ、Vater 乳頭部より出血を認めた。造影 CT にて膵 頭部腫瘤と主膵管拡張を認め、当科へ紹介された。EUS では膵頭部の膵管内を充満するように乳頭状の腫瘍を認めた。

ERCP でも膵管内の乳頭状腫瘍が確認され、乳頭部からの粘液排出や、膵管内に粘液を疑う透亮像は認めなかった。

IDUS では、腫瘍進展は門脈のやや尾側まで認められた。経乳頭的な腫瘍生検にて腺癌が確認され、膵管内管状乳頭腺 癌(ITPC)の術前診断にて膵頭十二指腸切除術を施行された。病理の結果は、主膵管・分枝膵管内に乳頭状に増殖す る腺癌を認めた。膵実質への腫瘍浸潤は認めなかった。胞体内に粘液成分を認めず、粘液染色でも粘液は確認されず、

ITPC と最終診断された。特徴的な画像所見から術前診断が可能であった ITPC の一例を提示する。ITPN(ITPC)と IPMN の画像診断および病理診断における鑑別のポイントにつき討論したい。