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P-37 外側高エコー層の吊り上げ肥厚を示した T1b(MP) 胆嚢癌の 1 切除例

藤本武利1)、廣橋伸治2)、糸井隆夫3)、加藤 洋4)

平塚胃腸病院 外科1)、大阪暁明館病院 放射線科2)、東京医科大学 消化器内科3)、 獨協医科大学日光医療センター 病理部4)

深達度 M/MP の早期胆嚢癌は、リンパ節転移をほとんど認めず、腹腔鏡下胆摘の適応となりうる。このため、厳密な深 達度診断を含めて胆嚢腫瘤の良悪性診断が重要である。症例は 64 歳男性。無症状であるが、定期健診で胆嚢腫瘤の増大 を指摘されて受診した。血液生化学検査は、血清 Cr の軽度高値を認める以外、肝胆道系酵素・膵酵素・CEA・CA19-9 を含めて正常であった。US で胆嚢底部に径 3cm の高エコー腫瘤を認め、小嚢胞とコメット様エコーを伴い、内部が不 均一であった。外側高エコー層の吊り上げ肥厚を認めたが、病巣深部低エコーはみられなかった。CD-US で腫瘤内に血 流シグナルを検出し、造影 US を行うと、樹枝状ではないが扇状に全体が染影された。当該腫瘤は単純 CT で描出され、

造影すると早期に濃染した。MRI/MRCP で膵胆管合流異常が疑われ、腫瘤は拡散低下を示した。EUS で膵胆管合流異 常を認めた。総合的に早期胆嚢癌を考えて腹腔鏡下胆摘を行った。胆嚢底部に 32×29mm の乳頭型隆起を認め、病理組 織学的に adenocarcinoma, pap-tub1, with adenoma component, 深達度 MP であった。癌の一部に砂粒小体がみられ、

病巣直下の漿膜下層脂肪織が吊り上げ肥厚を示した。ちなみに、体部から底部の背景粘膜は過形成性であり、腸上皮化生・

幽門腺化生が目立った。【画像診断上の問題点】乳頭型隆起を示す T1b(MP) 胆嚢癌の深達度診断

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P-38 胆嚢管原発胆管内乳頭状腫瘍の 1 例

森末 遼1)、高橋進一郎1)、小林達伺2)、小嶋基寛3)、橋本裕輔4)、杉本元一1)、小林 信1)、後藤田直人1)、 小西 大1)

国立がん研究センター東病院 肝胆膵外科1)、同 放射線診断科2)、同 病理・臨床検査科3)、 同 肝胆膵内科4)

症例は 76 歳男性.60 歳台から総胆管拡張を指摘され近医で経過観察されていたが,急性胆管炎を発症し前医入院加療 となった.精査の MRCP で総胆管内に信号欠損を認め,総胆管腫瘍が疑われたため胆管炎の改善後,当院紹介受診となっ た.腹部造影 CT および腹部造影 MRI では,肝内および肝外胆管の拡張があり,胆嚢管内に結石および乳頭状腫瘍を認 めた.超音波内視鏡検査および経口胆道鏡検査では,胆嚢管から下部胆管にかけて充満する腫瘍と粘液の流出を認めた.

腫瘍からの生検で高分化型腺癌を認め,以上の所見から胆嚢管原発胆管内乳頭状腫瘍の診断で亜全胃温存膵頭十二指腸 切除術を施行した.切除標本の肉眼的所見では,胆嚢管を中心に 70mm 大の乳頭状の隆起性病変と粘液産生を認めた.

病理組織学的所見では,胃腺窩細胞に類似した高円柱状の異形胆管上皮が乳頭状増殖を呈しており,粘液結節を構成し 漿膜下層まで浸潤を認めた.免疫染色では,MUC2 一部陽性,MUC5AC 一部陽性,MUC6 陽性であった.腫瘍の形態 および免疫染色の結果から胃型の胆管内乳頭状腺癌と診断した.本邦において胆嚢管を原発とした胆管内乳頭状腺癌の 報告は稀であり,今回切除例を経験したため報告する.

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P-39 稀な胆管癌胆嚢転移の 1 切除例

山田 徹1)、野路武寛1)、中西喜嗣1)、浅野賢道1)、中村 透1)、土川貴裕1)、岡村圭祐1)、七戸俊明1)、 三橋智子2)、平野 聡1)

北海道大学大学院医学院・医学研究院 消化器外科学教室Ⅱ1)、北海道大学病院 病理診断科2)

70 歳代女性.全身掻痒感を主訴に受診した近医で胆管腫瘍を指摘され,当院消化器内科を紹介された.造影腹部超音 波検査では胆管内に早期から強く造影され,遷延する造影効果を示す腫瘍を認めた.造影 CT 検査では三管合流部~膵 内胆管に造影効果を伴う胆管内隆起性病変を認めた.胆嚢は内部に 10mm 大の結石を認めた他,所見を認めなかった.

MRCP 検査では中部胆管での急峻な信号の途絶像を認めた.内視鏡的逆行性胆管造影検査では同部位に造影欠損像を認 め,乳頭膨張型の胆管腫瘍が疑われた.超音波内視鏡検査では肝外胆管と胆嚢管を充満する乳頭状の隆起性病変を認め た.主病変からの生検で腺癌を認め,遠位胆管癌(cT2N0M0, cStage Ⅱ)の術前診断で亜全胃温存膵頭十二指腸切除 術を施行した.切除検体では肉眼的に三管合流部を中心とした結節浸潤型の隆起性病変を認め,胆嚢頚部にも 5mm 大 の隆起性病変を認めた.病理組織学的には,遠位胆管を主座とし肝門部領域胆管および胆嚢管へ進展する高>中分化型 管状腺癌であった.胆嚢頚部には主病変との連続性が確認できない主病変と類似した組織像を示す有茎性腫瘍を認めた が,周囲の胆嚢上皮には異型を認めず,免疫組織学的に軽度のリンパ管侵襲を認めた.最終的に,胆嚢転移を伴う遠位 胆管癌(pT3aN0M1, pStage Ⅳ)と診断した.術後 1 年 9 ヶ月,無再発生存中である.

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P-40 左肝内胆管癌との鑑別が困難だった左肝内胆管炎の 1 例

保坂祥介1)、伊藤 峻1)、梅木清孝1)、佐藤晋一郎1)、若杉 聡1)、小林亮介2)、森本喜博2)、緒方賢司2)、 齋藤隆明3)、大村光浩3)

千葉西総合病院 消化器内科 1)、同 外科2)、同 病理診断科 3)

症例は 67 歳、男性。血液検査で肝胆道系酵素の上昇を認め紹介。US で門脈臍部に境界不明瞭な不整形のエコー像を認め、

その肝側胆管の拡張と内部に点状高エコー像を認めた。造影 US でも門脈臍部に境界不明瞭で不整な欠損像を認め、造 影 CT でも同様に不整形な LDA を認め、門脈左側のリンパ節が腫大していた。MRCP,ERCP で B2,3 の分岐より十二指 腸側がやや狭小化しており、ERCP と同時に施行した IDUS でも狭窄部に壁肥厚像を認めた。擦過細胞診、ENBD から の胆汁細胞診では悪性診断は得られなかった。病変は胆管周囲に限局していたため胆管内腔の観察が必要と考え、スパ イグラスを施行した。スパイグラスでは胆管内腔に結節状隆起性病変と狭窄を認めた。生検を施行したが悪性の診断は 得られなかった。術前の画像診断では肝内胆管癌の否定は困難であり、本人・家族と相談の上、手術の方針とした。術 中所見では胆管癌を示唆する所見に乏しかったため尾状葉温存の肝左葉切除を施行した。病理結果では悪性所見は認め ず、肝内結石と繰り返した胆管炎が原因と考えられる胆管狭窄の診断であった。様々な術前検査を施行したが、炎症と 癌の鑑別が困難であった症例を経験したため報告する。