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P-45 胃粘膜、腸粘膜、気管支壁構造から成り,腸粘膜成分の領域で浸潤癌を呈した,膵体部 背側の hamartomatous cystic tumor と診断された 1 例

庄司泰弘1)、北川裕久1)、倉田 徹1)、萩野茂太1)、佐々木省三1)、寺田逸郎1)、吉川朱実1)、藤村 隆1)、 泉 良平1)、塩谷晃広2)、齋藤勝彦2)

富山市民病院 外科1)、同 病理診断科2)

 症例は 25 歳,女性.1 年前に他院で膵頭体部背側の 5 cm大の嚢胞性病変を指摘され,経過観察されていた.某日深 夜から心窩部痛が出現したため当院救急外来を受診し,精査および疼痛治療のため入院となった.造影 CT,MRI では 膵頭体部背側に 7 cm大の境界明瞭な多房性嚢胞性病変を認め,変性や嚢胞内出血を伴った神経鞘腫を第一に考え手術 を行った.術中所見では,膵体部背側,大動脈,腹腔動脈系および上腸間膜動脈系に囲まれた多房性嚢胞性腫瘍で,殆 どは剥離可能であったが,総肝動脈と接する所は剥離困難であり,総肝動脈を温存して切除した.

 切除標本は肉眼的に表面平滑な多房性嚢胞で,内部に淡褐色の粘稠液を容れ,頭部側の 1 つの嚢胞内には 2×1 cmの 乳頭状充実成分が認められた.組織学的には嚢胞内面は胃粘膜構造,腸粘膜構造,気管支壁構造より成り,混在移行し ていた.外胚葉性の皮膚組織や中枢神経組織は見られなかった.腸粘膜成分の範囲には上皮内癌が広く認められ,特に 頭部側の充実部では乳頭腺管状の高分化型腺癌を認め,嚢胞壁周囲の間質に浸潤していた.外胚葉性の皮膚組織や中枢 神経組織は認められなかった.腸上皮内癌を背景に、一部で浸潤像を呈した hamartomatous cystic tumor と診断し,

極めて希な症例と考えられた.

 研究会では,この腫瘍の病理学的診断をご検討頂き,その発生由来や特徴についてご教授頂ければ幸いと考えており ます.

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P-46 診断に難渋した後腹膜腫瘍の 1 例

羽鳥広隆1)、藤田光一1)、石川瑶子2)、 松木信之3)、小松昇平4)、土田 忍4)、岩田暢子5)、渡辺明彦1)、 菅原 淳1)、向井秀一1) 

淀川キリスト教病院 消化器内科1)、同 腫瘍内科2)、西の京病院 消化器内科3)、 淀川キリスト教病院 外科4)、同 血液内科5)

54 歳男性。20xx 年 7 月に高度の心窩部痛を主訴に当院救急外来を受診。腹部 CT にて膵頭部背側に7cm 大の腫瘤性病 変を認め、緊急入院となった。CEA、CA19-9、エラスターゼ 1、可溶性 IL-2 レセプター等の腫瘍マーカーは基準値内であっ た。ダイナミック CT では腫瘤の大部分は造影効果を伴わない低吸収域として描出され、背側辺縁に 28mm 大の造影効 果を伴う領域を認めた。MRI では T2 強調画像で腫瘤全体が淡い高信号を呈し、DWI では拡散低下を示した。周囲のリ ンパ節腫大は認めなかった。EUS では膵頭部から連続する低エコー腫瘤として描出され、内部エコーは不均一で一部無 エコー域を認めた。B モードでは嚢胞部と充実部の区別は困難であったが、ソナゾイド造影では腫瘤の辺縁に一部血流 を認める領域を認めた。充実性腫瘍の嚢胞変性が疑われ、神経内分泌腫瘍または Solid pseudopapillary neoplasm また は神経原性の後腹膜腫瘍などが鑑別に挙げられた。経胃的に EUS-FNA を施行し、病理所見ではリンパ球系の細胞の集 簇を認めたが、確定診断には至らなかった。有症状であり悪性疾患も否定できなかったため、20xx 年 8 月に膵頭十二 指腸切除術を施行した。摘出標本の病理所見では、濾胞様構造をとる腫瘍細胞の増殖を認め、免疫染色では CD3 -、

CD20 +、Bcl-2+、CyclinD1 -、CD5 -、CD23 -、Ki-67 陽性率 :40% であり、濾胞性リンパ腫 Grade1 の診断に至っ た。(問題点)EUS-FNA 前に悪性リンパ腫を強く疑うことは可能であったか、診断治療の過程は妥当であったか等につ いてご協議お願いします。

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P-47 十二指腸 GIST の術前診断で切除術を行った腹腔内 Solitary fibrous tumor の 1 例

安次富裕哉、田中喬之、野津新太郎、菅原秀一郎、手塚康二、渡邊利広、平井一郎、木村 理 山形大学医学部 外科学第一講座

症例は 39 歳男性。検診の腹部超音波検査で十二指腸と胆嚢に接する、8×6cm の境界明瞭な腫瘍を指摘された。上部消 化管内視鏡検査では十二指腸弓部から下行脚にかけてわずかな壁外圧迫を認めたが、粘膜面には特に異常を認めなかっ た。造影 CT では早期相で辺縁主体に濃染され、平衡相では造影域が拡大する漸増性の造影効果が見られたが、中心部 には造影不良域を認めた。胃十二指腸動脈や胆嚢動脈、上腸間膜動脈から複数の栄養血管が分枝していた。胆嚢とも一 部接していたが、胆嚢壁肥厚や造影効果増強は認めなかった。以上より十二指腸由来の粘膜下腫瘍の術前診断となり、

腫瘍摘出術、胆嚢摘出術を行った。腫瘍は十二指腸、胆嚢と接していたが、切離可能であった。摘出標本の病理組織検 査では紡錘形細胞の花莚状増殖を認め、免疫染色では c-KIT(-)、CD34(+)、S-100P(-)、desmin(-) であった。solitary fibrous tumor が鑑別に上がり、追加染色を行ったところ BCL2(+)、CD99(+)、DOG-1(-)、PDGFRa(-) であり、Solitary fibrous tumor の診断となった。

【討議内容】1. 術前に solitary fibrous tumor の診断は可能であったか。2. 原発部位はどこか。3. 今後再発のリスクは どの程度か。