• 検索結果がありません。

97

P-25 急性腹症を契機に発見された Solid-pseudopapillary-neoplasm(SPN)の 1 例

土居雅宗1)、植木敏晴1)、伊原 諒1)、永山林太郎1)、畑山勝子1)、丸尾 達1)、野間栄次郎1)、光安智子1) 田邊 寛2)、原岡誠司2)、岩下明徳2)、勝野 暁3)

福岡大学筑紫病院 消化器内科1)、同 病理部2)、日本医科大学附属病院 消化器外科 3)

 20 歳代女性。20XX 年 10 月腹痛、嘔吐を主訴に前医を受診した。採血で、WBC 15300 μ /L、CRP 6.6mg/dL と高 値であり、CT で膵尾部に嚢胞を認めた。急性膵炎による仮性膵嚢胞の診断で、絶食・FOY・大量輸液による加療を行い、

臨床所見と炎症所見は改善した。その後は再燃はなく 6 年間経過観察していた。経過中、膵尾部の嚢胞は消失し、低吸 収の腫瘤となり、内部は石灰化していた。20XX+6 年 12 月に、膵尾部腫瘤の増大を認め精査加療目的で当院に紹介となっ た。MD-CT は、膵尾部に低吸収の腫瘤があり、腫瘤内は、石灰化、小 Cyst を認め、Dynamic-Study では、漸増性濃染 であった。MRI は、T1 強調像で低信号、T2 強調像で高信号、DWI は、拡散の低下を認めた。EUS では、腫瘤は、等エコーで、

辺縁は明瞭であり、内部に石灰化を伴っていた。ソナゾイドエコーは、早期から濃染し、後期で減弱した。EUS-FNAB を行った。病理組織像は、HE 染色で、好酸性の腫瘍細胞を散見し、偽乳頭構造を呈していた。免疫組織化学染色では、

β - カテニン、CD10、ヴィメンチンが陽性であり、SPN と診断した。脾臓、脾動静脈温存膵尾部切除術を行った。急 性腹症発症時は、嚢胞を形成し、後に内部に石灰化を伴った腫瘤を形成した SPN を経験した。SPN の経過を考察する 上で示唆に富む症例と考え報告した。

98

P-26 EUS-FNA, 肝生検にて術前診断し得た多発肝転移を伴う膵 Solid-pseudopapillary neoplasm の 1 例

杉山祥晃1)、小林 裕2)、仙波佳祐2)、久野木健仁2)、芹川真哉2)、鈴木康秋2)、藤井常志1) 旭川赤十字病院 消化器内科 1)、名寄市立総合病院 消化器内科 2)

【症例】40 歳代 , 女性 . 心窩部痛を主訴に当科受診 . 身体所見で右季肋部に巨大な腫瘤を触知した . 血液生化学検査では , WBC 10,800 と軽度白血球高値を認めるのみであった . CT では膵頭部に不整な被膜を有する径 14cm 大の腫瘍を認め た . 腫瘍辺縁は造影効果を伴う充実性成分であり , 内部に不整な嚢胞変性や一部石灰化を認めた . 膵 MRI では充実部は T1WI で低信号 , 嚢胞部はやや高信号であった . T2WI では充実部は斑状の高信号を示し , 嚢胞部は強い高信号を認め , 腫瘍内部の出血変性と考えた . EOB 造影 MRI では肝に肝細胞相で欠損 , 拡散強調像で高信号を呈する小結節を 8 個認 めた . 組織診断目的に , 膵腫瘍に対して EUS-FNA, 肝 S5 11mm 大の腫瘍に対して肝生検を施行した . 共に病理結果は , N/C 比の高い , 小型の好酸性の腫瘍細胞が血管のある間質を中心として , 偽乳頭状の増殖を示した . 免疫染色では , β catenin, CD56 に陽性を示した . よって , 膵 SPN, 多発肝転移と診断し , 亜全胃温存膵頭十二指腸切除術 , 肝外側区切除 , 肝部分切除 ( 右葉 ) を施行 . 術後 2 週後の CT では治癒切除と判断した . 現在 , 術後 10 ヶ月が経過しているが , 無再発 生存中である . 【考察】膵 SPN は , 女性に好発する低悪性度腫瘍である . しかし , 15.0~19.5% が浸潤や転移を呈すると 言われている . また , 画像所見が多彩であることから , しばしば他の膵腫瘍との鑑別が困難である . 本症例のような肝生 検 , EUS-FNA にて膵 SPN, 多発肝転移と術前診断し得た報告例はなく , 文献的考察を含めて報告する .

99

P-27 術前 MCN との鑑別が困難であった Lymphoepithelial cyst (LEC) の 1 例

蘆田玲子1)、澤井麻依子1) 、井岡達也1)、片山和宏1)、秋田裕史2)、高橋秀典2)、長田盛典3) 大阪国際がんセンター 消化器検診科1)、同 外科2)、同 病理部3)

症例は 55 歳女性。頭痛を主訴に近医受診。高血圧および新規発症の糖尿病を指摘され精査目的に施行された腹部単純 CT にて膵頚部に 35mm の膵外に突出する嚢胞性病変を指摘され、精査目的に当院紹介となった。初診時採血では FBS:

83, HbA1c 8.4% と血糖のコントロールは不良であった。腫瘍マーカーは CA19-9:128 U/ml, CEA:5.5 ng/ml と上昇が みられた。膵精密超音波および造影腹部 CT では嚢胞内に結節を指摘された。MRI の T2 強調画像では嚢胞内の信号強 度が異なる多房性の嚢胞として描出され、DWI では壁肥厚部位に一致して拡散の低下を認めた。MRCP では主膵管と の交通は認めなかった。PET では壁肥厚部位に FDG の軽度集積を認めた。( 後期相 SUVmax 1.5) 超音波内視鏡では嚢 胞内に 19 x 6.4mm の著明な壁肥厚を認めた。造影 EUS では iso vascular であり、悪性が示唆された。壁肥厚を伴う MCN が否定できないため、亜全胃温存膵頭十二指腸切除術 (SSPPD) を施行した。病理組織標本では 35mm の多房性嚢 胞は大部分が数層の扁平上皮に裏打ちされ、脂様角化物を含む腔も認めた。嚢胞壁の実質はリンパ組織で占められており、

複数の膵周囲リンパ節と集簇しており、Lymphoepithelial cyst (LEC) と診断した。

100

P-28 膵内副脾に発生した Epidermoid cyst の 1 例

末廣洋介1)、藤本佳史1)、隅岡昭彦1)、村田 愛1)、野中裕広1)、古土井明1)、兵庫秀幸1)、相坂康之1)、 小松弘尚1)、徳毛宏則1)、佐々木秀2)

JA 広島総合病院 消化器内科1)、同 外科2)

症例は 40 歳女性。検診の腹部超音波検査で左腎腫瘍が疑われ当院泌尿器科に受診した。CT 検査の結果、病変は膵尾部 の嚢胞性腫瘍と考えられたため消化器内科に紹介となった。自覚症状は認めなかった。血液検査では膵酵素は正常範囲 であったが、CA19-9 が 145.1 U/ml と高値であった。CT では、膵尾部の嚢胞性病変は 4.5cm 大で単房性嚢胞と考え られた。肥厚した嚢胞壁には造影効果を認め、石灰化も散在していた。MRI では、嚢胞の内部は T1WI 低信号、T2WI 高信号で、造影効果は嚢胞の壁内のみに認められた。MRCP では嚢胞の内部が淡い低信号で主膵管との交通は指摘でき なかった。EUS では、膵尾部の 5cm 大の単房性嚢胞と考えられ、被膜には石灰化と思われる高エコーが認められた。

嚢胞の内部には点状の高エコーが認められた。ERP では主膵管に異常所見は認めなかった。膵のう胞性腫瘍を疑い、腹 腔鏡下膵体尾部脾切除術を行った。病理組織学的検査では嚢胞上皮は扁平上皮で構成され、その周囲には類洞構造をもっ た脾組織を認めた。周囲の膵組織には著変を認めなかった。以上より膵内副脾に発生した epidermoid cyst と診断した。

比較的まれな疾患を経験したので文献的な考察を加えて報告する。

(討論していただきたい内容) 

1.画像診断の特徴について、2.病理診断として問題点はないでしょうか?