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日本における日本語教師の養成政策

第二章 日中国交正常化以降の中国における日本語教育と日本人教師

第二節 日本における日本語教師の養成と海外派遣

1.1 日本における日本語教師の養成政策

表2-6 日本語教員養成・資格について政府の提言・施策 年代 実 施 機

会議名 提言・報告書の名称

昭和58年 (1983年)

文 部 省 学 術 国 際局

21世紀への留学生政策懇談 会

21 世紀への留学生政策に関す る提言

昭和60年

(1985)

文化庁 日本語教育施策の推進に関 する調査研究会

日 本 語 教 員 の 養 成 等 に つ い て

(以下「60報告」と略称する)

昭和62年

(1987)

文 部 省 学 術 国 際局

日本語教員検定制度に関す る調査研究

日本語教員検定制度について

昭和63年 (1988年)

日本語学校の標準的基準に 関する調査研究協力者会議

日 本 語 教 育 施 設 の 運 営 に 関 す る基準について

平成 5 年 (1993年)

文 部 省 学 術 国 際局

日本語教育推進施策に関す る調査研究協力者会議

日 本 語 教 育 推 進 施 策 に つ い て

―日本語の国際化に向けて 平成11年

(1999年)

今後の日本語教育施策の推 進に関する調査研究協力者 会議

今 後 の 日 本 語 教 育 施 策 の 推 進 について(以下「推進」)と略 称する)

平成12年 (2000年)

文化庁 日本語教員の養成に関する 調査研究協力会議

日 本 語 教 育 の た め の 教 員 養 成 について(以下「12年報告」と 略称する

平成13年 (2001年)

文化庁 日本語教育のための試験の 改善に関する調査研究協力 者会議

日 本 語 教 育 の た め の 試 験 の 改 善 に つ い て ― 日 本 語 能 力 試 験・日本語教育能力検定試験を 中心として

平成13年 (2001年)

文化庁 日本語教員養成課程調査研 究委員会

大 学 日 本 語 教 員 養 成 課 程 に お い て 必 要 と さ れ る 新 た な 教 育 内 容 と 方 法 に 関 す る 調 査 研 究 報告書

平成24年 (2012年)

文化庁 日本語教員等の養成・研修 に関する調査結果について

日本語教員等の養成・研修に関 する調査研究協力者会議 平成25年

(2013年)

外務省 海外における日本語の普及 促進に関する有識者懇談会

議論の総括と政策提言 平成28年

(2016年)

法 務 省 入 国 管 理局

― 日 本 語 教 育 施 設 の 告 示 基 準 解 釈方針(第1条第1 項第13号)

出所:岡本佐智子「日本語教師養成の現状と課題」『北海道文教大学論集』6号、

2005年3月、125~126頁。日本語教員等の養成等に関する検討の主な経緯(改訂 版)文化庁

http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kondankaito/nihongo_kyoin/02/pdf/sank o_1.pdf。2017年6月3日閲覧。以上を参考し、筆者作成。

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1983年、当時の中曽根政権は「10万人留学生政策」を打ち出した。その関連施 策として、日本語教師の養成、国内の日本語教育体制の整備・充実が掲げられた。

すでに、日本経済は高度成長期を過ぎていたが、経済発展を遂げた日本からの発 信力は高まってきていた。海外でも日本語ブームが起こり、「専門的な日本語教育 を行なえるだけの能力」を持ち、かつ指導できる人が不足していた。1985年当時、

2000年に必要とされる日本語教員数は 24900人と想定され、日本語教師の養成を 行う機関の増設が喫緊の課題となっていた。日本語教育の振興は、国内では文部 省と総理府が管轄し、海外への普及は外務省を中心に行ってきた。1983 年以降、

日本語教育について多くの提言や報告がなされている。そのうち、日本語教師養 成に関するものを表2-6にまとめた。

1983年の『21世紀への留学生政策に関する提言』に基づき、国内の日本語教育 機関の整備充実、日本語教師の養成、母語別教育方法、教材の改善などの日本語 教育に関わる施策がより一層重視されるようになった。「60年報告」には、日本語 教員養成のための教育水準を向上させるため、日本語教員養成機関における「標 準的な教育内容」が示された(表 2-7)。その中身は主に、日本における留学生に 対して行われる日本語教育の内容とそれぞれの時間数である。また、日本語教員 検定制度の創設が提言された。昭和62年の「日本語教員検定制度について」には、

検定の基本的考え方、具体的方策及び提出範囲が提示されている。翌年、第一回

「日本語教育能力検定試験」が実施された。その後、1993 年の「日本語教育推進 施策について―日本語の国際化に向けて」には、日本語教員養成教育の実地調査 を行うことと、現職教員の研修の必要性が提言されている。1999 年の「推進」に は、地域における日本語教育を充実させるために、日本語教員養成の在り方に関 する課題等が提示されている。2000 年の「12 年報告」には、「日本語学習者の学 習需要の多様化や日本語教員養成課程修了者の活躍の場の拡大」が必要であると いう現状認識に基づき、「60年報告」の「標準的な教育内容」を「硬直的な指針と して受け止める」のではなく,「大学等の創意工夫による多様なコース設定を図る」

よう指示された 202。「12 年報告」には日本語教師の「実践的なコミュニケーショ ン能力」を重視し、新たに教育内容の領域も示された。具体的には、社会・文化 に関わる領域」「教育に関わる領域」「言語に関わる領域」という 3 つの領域であ る 203。また、「日本語教員としての実践的な教育能力を習得させるために、教育 実習が極めて重要であることに、特に注意しなければならない」と述べているこ

202 日本語教員の養成に関する調査研究協力者会議(平成12年)『日本語教育のため の教員養成について』

http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/nihongokyoiku_suishin/nihongo kyoiku_yosei/pdf/nihongokyoiku_yosei.pdf 。2017年6月3日閲覧。5頁。

203 同上、10頁。

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とは注目に値する 204。「12年報告」の提言を踏まえ、平成 13年試験の改善と大学 における対応という両方面から、日本語教員の養成について検討がなされた。

表2-7 日本語教師養成の標準的な教育内容 必要な知識 一 般 の

養 成 機 関

大 学 副 専攻

大 学 主 専攻

大 学 院 修 士 主 専 攻 修 了 者

大 学 院 修 士 それ以外

日 本 語 の 構 造 に 関 す る体系的、具体的な知 識

150時間 10単位 18単位 4単位 11単位

日 本 人 の 言 語 生 活 な どに関する知識・能力

30時間 2 単位 4単位 4単位 2 単位

日本事情 15時間 1 単位 4単位

言語学的知識・能力 60時間 4 単位 8単位 7単位 5 単位 日 本 語 の 教 授 に 関 す

る知識・能力

165時間 9 単位 11単位 9単位 10単位 計 420時間 26単位 45単位 24単位 28単位 出所:昭和60 年『日本語教員の養成等について』による。

表2-8 日本における日本語教師養成機関数と学習者数

機関 学習者

数 割合 人数 割合

大学等機関 194 33.3% 14531 49.6% 地方公共団体・教育委員

100 17.2% 3002 10.3%

国際交流協会 174 29.9% 6074 20.8% 法務省告示機関 41 7.1% 850 2.9%

その他 73 12.5% 4810 16.4%

合計 582 100% 29267 100%

出所:文化庁「平成28年度日本語教育実態調査」により、筆者作成。

大学学部等に日本語教師養成課程開設の機運をもたらし、学部レベルでの教師 養成に着手したのは、1985年に設置された東京外国語大学と筑波大学の日本語・

日本語文化類の主専攻課程であった。1986年には大阪大学、広島大学でも日本語

204 同上、8頁。

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教育課程が設置された。1991年までに日本語教師養成課程を設けた高等教育機関 は97機関(在籍13000人)に及んだ 205。1991年を起点として、大学機関を中心 に日本語教師養成課程が急増した 206。表2-8のように、2016年11月1日の時点 で、日本語教師養成課程を設けた大学等機関は194機関となっており、全機関の 三分の一を占めるまでになった。大学等の在籍生は全学習者数のほぼ半分を占め、

14531人に達している。日本語教師養成の重要な担い手は依然として大学等の機関

であることがわかる。