4.4. 研究者数と論文数の減少:研究分野ごとの研究者数の推定
4.4.3. 研究者数の推定
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文集合の端と研究者集合の端を同じ線種の矢印(実線矢印と点線矢印)で結んだ。「日本の 論文」(図4-7 1段目)とは少なくとも著者のひとりが日本の研究者集合Xに属する研究 者である論文を指す。日本にある研究機関に所属する研究者を「日本の研究者」(図4-7 4 段目)と呼ぶ。日本の研究者の集合を集合Xとする。集合Xは留学生や雇用された外国人 の研究者を含む。
日本の論文全体の集合を論文集合Aとする。Aの論文数はa、著者数はa’とする。論文集 合Aは国内研究の論文集合Bと海外共同研究の論文集合Cからなる。国内研究とは、日本 の研究者だけで行う研究である。海外共同研究とは、日本の研究者と日本以外の国にある研 究機関に所属する研究者が共同して行う研究である。論文集合 B に属する論文を国内論文 と呼び、論文集合Cに属する論文を国際論文と呼ぶ。
日本以外の国にある研究機関に所属する研究者を「海外の研究者」と呼び、これを集合Y とする。Bの論文数はb、著者数はb’とする。Cの論文数はc、著者数はc’とする。
論文集合BとCは重ならない。図4-7の1段目と2段目がこの関係を示している。従っ て、論文数a、b、cの間には式(4-1)の関係が成り立つ:
a = b + c (4-1)
ここでaは論文集合Aの論文数、bは論文集合Bの論文数、cは論文集合Cの論文数であ る。
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Aの著者は日本の研究者の集合X(その人数はx)と海外の研究者の集合Y(その人数は
y)からなる。研究者集合Xの研究者はどの種別の論文を発表したかにより、3つの集合――
研究者集合Xd(その人数はxd)、研究者集合Xdi(その人数はxdi)、研究者集合Xi(その人 数はxi)――に分かれる。38Xdは日本の研究者で国内研究だけを行った研究者の集合、Xdiは 日本の研究者で国内研究と海外共同研究の両方を行った研究者の集合、Xi は日本の研究者 で海外共同研究だけを行った研究者の集合である。研究者(論文の著者)は共同研究属性で
38 dはdomestic、iはinternational、diはその両方を意味する。
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3群(国内群、国内外群、国際群)に分かれる。国内群とは国内論文だけの著者、国内外群 とは国内論文と国際論文の両方の著者、国際群とは国際論文だけの著者である。
b. 研究者の属性に関する論文書誌情報
Web of Scienceは著者の氏名の情報としてアルファベットで表記した名字(family name)
と名前(first name)の頭文字のデータをもつ:例えば、日本太郎はNihon Tと表記される。
抽出した論文集合の著者名を分析すれば、その論文集合に異なる氏名の著者が何人いるか 知ることができる。ただし、名字のアルファベット表記と名前の頭文字が同じであれば、別 人であっても区別しない:例えば、日本太郎(にほんたろう)と二本太朗(にほんたろう)
はいずれもNihon Tとなるので区別しない。したがって著者数の分析値は真の著者数より 小さくなる可能性がある。また著者名の分析では著者が所属する研究機関がある国名や所 属する研究機関名は参照されないので、海外共同研究の論文(国際論文)では日本の研究者 と海外の研究者を区別して数えることができない。
海外共同研究の論文集合C(国際論文)の著者分析で得られる著者数c’は、海外の研究者
の集合Y(その人数はy)と日本の研究者の集合Xの部分集合であるXdi(その人数はxdi)
とXi(その人数はxi)の合計である。図4-7の2段目と3段目のあいだに描いた2本の点 線矢印は、著者数c’がyとxdi、xiの合計と対応することを示している。
c. 国内研究の論文集合Bの研究者数
集合Xd、Xdi、Xdは重ならないから、式(4-2)が成り立つ。
x = xd + xdi +xi (4-2)
研究者の定義により研究者は論文の著者であり、論文の著者は研究者である。論文集合A の著者は研究者集合Xd、Xdi、Xi、Yの研究者に対応するので、式(4-3)が成り立つ。
a’ = xd + xdi + xi + y (4-3)
論文集合Bの著者(図4-7の上から2段目)は研究者集合XdとXdiに対応する。この対 応関係を図4-7の2段目とx3段目のあいだの実線矢印で示した。同様に論文集合Cと研究
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者集合XdiとXi、yが対応する(破線矢印)。これらの対応関係から、
式 (4-4)、(4-5)が成り立つ。
b’ = xd + xdi (4-4)
c’ = xdi + xi + y (4-5)
式(4-4)と(3-5)より式(4-6)が得られる。
b’ + c’ = xd + xi + 2xdi + y (4-6)
式(4-3)と(4-6)より式(4-7)が得られ、
xdi = b’ + c’ - a’ (4-7)
式(4-7)を式(4-4)に代入して整理すると式(4-8)となる。
xd = a’ - c’ (4-8)
また、式(4-5)と式(4-7)より式(4-9)が得られる。
xi + y = a’ - b’ (4-9)
論文集合Cが空集合でなければ、y ≧1である。論文集合Cの1報当たり日本の研究者 は少なくとも1名である。このとき論文集合Cの日本の研究者はすべて同じ研究者である 可能性がある。つまり、y ≧1のとき、xdiとxi の和の最小値は1であり、xdi ≧0 かつxi
≧0である。
xdi + xi ≧1 (4-10)
101 ここでy ≧1、xdi ≧0、xi ≧0である。
この方法では日本の研究者のうち、xdとxdiを求めることができる。しかし、海外共同研 究だけを行った日本の研究者集合Xiと海外の研究者集合Yの著者は区別できないので、xi
を求めることはできない。