4.4. 研究者数と論文数の減少:研究分野ごとの研究者数の推定
4.4.1. 日本標準職業分類における研究・開発ならびに生産に関連する職業
日本標準職業分類(URL 8)では、すべての職業を12項目の大分類に分け、各大分類を 中分類に、さらに各中分類を小分類に細分化することで、全部で329の職業に分けている。
サイエンス型産業の企業で研究・開発あるいは生産に従事する従業員の職業は、「大分類B 項目:専門的・技術的職業従事者」と「大分類H項目:生産工程従事者」に分類される。
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「B項目:専門的・技術的職業従事者」は20の中分類項目に分類されており、この中に
「研究者」と「技術者」が付く6つの職種(農林水産技術者、製造技術者(開発)、製造技 術者(開発を除く)、建築・土木・測量技術者、情報処理・通信技術者、その他技術者)が ある。本研究ではサイエンス型産業の企業の研究・開発あるいは生産(製造)に従事する従 業員の職業として、研究者(1中分類、2小分類)と「B項目:専門的・技術的職業従事者」
の製造技術者(開発)と製造技術者(開発を除く)を念頭に置く31。
「H項目:生産工程従事者」は11の中分類項目32に分類されている。これは生産工程で 行われる仕事、すなわち生産(製造)に直接関わる仕事であって研究・開発に従事する従業 員に関係する職業ではない33。しかし、サイエンス型産業の企業における生産(製造)との 関わりで11中分類項目を厳密に区別することが難しいので、11中分類項目を区別しないこ とにする。
本研究ではサイエンス型産業の企業の研究・開発あるいは生産(製造)に従事する従業員 の職業として、研究者(1中分類、2小分類)と「B項目:専門的・技術的職業従事者」の 製造技術者(開発)と製造技術者(開発を除く)、並びに「H項目:生産工程従事者」を念 頭に置き、つぎのa項、b項で日本標準職業分類(平成21[2009]年12月統計基準設定)を参 考にして研究者と製造技術者の仕事の内容を検討する。
表4-3にa項、b項の結果と生産工程従事者の仕事の内容を筆者の解釈を加えて項目ごと に整理して示す。
31 B項目の中分類には、医療・保健、社会福祉、法務、経営・金融・保険、教員、宗教 家、著述関係、芸術関係の従事者が含まれるが、これらはサイエンス型産業の企業で研 究・開発あるいは生産に従事する従業員に関係する職業ではない。
32 生産設備制御・監視従事者(金属製品)、生産設備制御・監視従事者(金属製品を除 く)、機械組立設備制御・監視従事者、製品製造・加工処理従事者(金属製品)、製品製 造・加工処理従事者(金属製品を除く)、機械組立従事者、機械整備・修理従事者、製品 検査従事者(金属製品)、製品検査従事者(金属製品を除く)、機械検査従事者、生産関 連・生産類似作業従事者。
33 定義によれば生産工程従事者とは「生産設備の制御・監視の仕事、機械・器具・手動具 などを用いて原料・材料を加工する仕事、各種の機械器具を組立・調整・修理・検査する 仕事、製版・印刷・製本の作業、生産工程で行われる仕事に関連する仕事及び生産に類似 する技能的な仕事に従事するもの」である。
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表4-3 日本標準職業分類における研究者・製造技術者・生産工程従事者の定義の比較
製造技術者 生産工程従事者
所属 大学など
(研究所など)
民間企業
(研究所など)
民間企業
(製造所・工場など)
民間企業
(製造所・工場など)
分野 [工業] [工業]
目的 製品の開発あるいは設計をする 製品の生産をする
目標 科学的・専門的知識を応用する [一定の品質の製品を計画通りに
生産する]
特徴 技術的 [技術的・経験的]
仕事
研究者
自然科学
基礎的または応用的な科学・技術上 の問題を解明する
新たな理論・学説の発見または技術 上の革新を自ら行う
専門的・科学的
職 種
【注1】日本標準職業分類(平成21[2009]年12月統計基準設定)の定義を参考にして各職種の 仕事内容を筆者の解釈を加えて項目ごとに整理した。【注2】[ ]は定義には書かれていな い、筆者の解釈である。【注3】研究者の目標欄の「自ら」は筆者の解釈である。
a. 日本標準職業分類における研究者の定義
日本標準職業分類(URL 8)によれば、研究者は以下のように定義される:「公的研究機 関、大学附置研究所又は企業の研究所・試験所・研究室などの試験・研究施設において、自 然科学、人文・社会科学の分野の基礎的又は応用的な学問上・技術上の問題を解明するため、...........................
新たな理論・学説の発見又は技術上の革新を目標とする専門的・科学的な仕事に従事するも.........................................
の.
をいう」(傍点は筆者)。
本研究はサイエンス型産業の企業の持続的発展に焦点を当てるので、本研究が対象とす る研究者は主に自然科学の分野の研究に従事する研究者である。この限定を設けたうえで 研究者と研究はつぎのように解釈できる:(1) 研究者の所属は、公的研究機関、大学附置研 究所又は企業の研究所・試験所・研究室などの試験・研究施設である、(2) 研究者が行う仕 事の分野は、自然科学の分野である、(3) 研究者が行う仕事の目的は、基礎的又は応用的な 学問上・技術上の問題を解明することである、(4) 研究者が行う仕事の目標は、新たな理論・
学説の発見又は技術上の革新である、(5) 研究者が行う仕事は、専門的・科学的な仕事であ る。
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この定義で重要なことは、研究者が新たな理論・学説の発見又は技術上の革新...................
を目標とし て自らが新たな理論・学説を発見し、又は..................
自らが...
技術上の革新を.......
考案する....
ことである。そし て研究者が行う専門的・科学的な仕事は、①基礎的な学問上の問題、②基礎的な技術上の問 題、③応用的な学問上の問題、④応用的な技術上の問題のいずれかを解明することである。
ここで研究者は自然科学の分野で仕事を行なうのであるから、「学問」は「科学」に置き 換えることができる。すなわち、研究者の仕事は科学上の問題だけではなく技術上の問題も 対象とし、さらに問題の性質が基礎的であるだけはなく応用的である場合も対象とする。
このように理解すると、「研究者」とは、対象とする科学・技術に関する問題を自らが新 しい理論・学説を発見し、または自らが技術上の革新を考案することよって解決しようとす るものである。そして「研究」とは、新たな理論・学説の発見又は技術上の革新の考案を目 標とする専門的・科学的な仕事である。
b. 日本標準職業分類における製造技術者の定義
日本標準職業分類(URL 8)によれば、たとえば、製造技術者(開発)は以下のように定 義される:「科学的・専門的知識を応用して、食品、電気・電子、機械、化学などの製品の 開発・設計及び電気に関する技術の開発、施設の設計などの技術的な仕事に従事するものを いう」。たとえば、製造技術者(開発)の一つである化学技術者は、つぎのように定義され る:「科学的・専門的知識を応用して、化学肥料・無機工業製品・有機工業製品・油脂・油 脂製品・塗料・天然樹脂製品・木材化学製品・医薬品・発火物・香料・化粧品・石油製品・
ゴム・化学繊維・合成繊維など化学製品の開発に関する技術的な仕事に従事するもの」。
これらの定義と具体例から、製造技術者(開発)はつぎのように解釈できる:(1) 製造技 術者の所属は、企業の製造所・工場などの生産施設である、(2) 製造技術者が行う仕事の分 野は、工業の分野である、(3) 製造技術者が行う仕事の目的は、①製品の開発・設計、②電 気に関する技術の開発、施設の設計などを行なうことである、(4) 製造技術者が行う仕事の 目標は、科学的・専門的知識を応用することである、(5) 製造技術者が行う仕事は、生産(製 造)における開発・設計などの技術的な仕事である。
製造技術者(開発を除く)をつぎのように定義される:科学的・専門的知識を応用して、
食品、電気・電子、機械、化学などの製品の生産における生産性の検討・生産準備・設備計 画などの工程設計及び工程管理・品質管理、監督、指導並びに発送電など電気に係る機器又
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は施設の工事・維持・管理など、中分類〔07〕34に含まれない技術的な仕事に従事するもの をいう。たとえば、製造技術者(開発を除く)の一つである化学技術者(開発を除く)につ いて、つぎのように定義している:「科学的・専門的知識を応用して、化学肥料・無機工業 製品・有機工業製品・油脂・油脂製品・塗料・天然樹脂製品・木材化学製品・医薬品・発火 物・香料・化粧品・石油製品・ゴム・化学繊維・合成繊維などの製造に関する化学工程の生 産性の検討・生産準備・設備計画などの工程設計及び工程管理・品質管理、監督、指導・分 析・検査などの技術的な仕事に従事するものをいう」。
これらの定義と具体例から、製造技術者(開発を除く)はつぎのように解釈できる:(1) 製造技術者(開発を除く)の所属は、企業の製造所・工場などの生産施設である、(2) 製造 技術者(開発を除く)が行う仕事の分野は、工業の分野である、(3) 製造技術者(開発を除 く)が行う仕事の目的は、①製品の開発・設計、②電気に関する技術の開発、施設の設計な どを行なうことである、(4) 製造技術者(開発を除く)が行う仕事の目標は、科学的・専門 的知識を応用することである、(5) 製造技術者(開発を除く)が行う仕事は、製品の生産(製 造)における設計、管理等の技術的な仕事である。製造技術者(開発)の仕事より生産工程 従事者の仕事に近い。
製造技術者(開発)と製造技術者(開発を除く)に共通する点、すなわち製造技術者の特 徴は、 (1) 科学的・専門的知識を応用すること、(2)具体的な製品の開発あるいは生産に関 わることの2点である。
研究者と製造技術社との大きな違いは、製造技術者の必須要件には自ら新しい理論・学説 を発見すること、あるいは自ら技術上の革新を考案することが含まれていない..
ことである。
別の言い方をすれば、製造技術者が行う仕事の目標は、科学的・専門的知識を応用すること である。
4.4.2. 本研究における研究者・技術者の定義