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研究分野ごとの論文数の推移

ドキュメント内 学位授与機関 同志社大学 (ページ 91-97)

4.3. 日本の論文数の推移

4.3.1. 研究分野ごとの論文数の推移

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学・核医学)、バイオ科学(バイオテクノロジー・応用微生物学、食品科学、食品工学)が 入った。

B群の研究分野は4つのグループに分かれた:第1グループは、医学・医療分野、第2グ ループは、産業に直接関わらない基礎研究分野、第3グループは、産業における発展が期待 される研究分野、第4グループは、他分野との境界領域の研究分野である。

第1グループ(医学・医療分野)はB群の上位14研究分野のうち 5分野を占めた。一 方、A群の上位14研究分野に入った医学分野は免疫学だけであった。第1グループの論文 数が増加した背景には健康志向の高まりがあると考えられる。B 群の上位 10 位に食品科 学・食品工学が入ったことも健康志向の高まりを支持している。

第 2 グループは、産業に直接関わらない基礎研究分野である。このグループに属する研 究分野は、天文学・天体物理学と素粒子物理学、そして数学である。これらの研究分野から は日本から多くのノーベル賞クラスの研究者が輩出した。

表4-1 論文数が減少した研究分野と増加した研究分野:論文数(1975-2014)の上位14分野

*注:研究分野の絞込みは「Web of Scienceの分類」を用いた。

A群:停滞~減少した研究分野 B群:増加した研究分野

1 応用物理学 多領域化学

2 生化学・分子生物学 腫瘍学

3 多領域物質・材料科学  外科学

4 物理化学 バイオテクノロジー・応用微生物学

5 電気電子工学 天文学・天体物理学

6 物性物理学(凝縮系物理学) 光学

7 薬理学・薬学 数学

8 神経科学 心臓・循環器系

9 有機化学 消化器病学・肝臓学

10 細胞生物学 食品科学・食品工学

11 物理学 多領域 放射線医学・核医学

12 免疫学 素粒子物理学

13 高分子科学 環境科学

14 生物物理学 応用化学

順位 2000年代の論文数の増減

80

第 3 グループは、産業における発展が期待される研究分野である。このグループの代表 は光学である。光学は光通信など今後の飛躍的な発展が期待される産業を支える研究分野 である。

第4グループの多領域化学は B群でもっとも論文数が多かった。多領域化学の論文数が 増加し続けたことは、同じように多領域に関わる多領域物質・材料科学が A 群に分類され たことと対象的である。また化学に関係する研究分野であっても、基礎化学の一翼を担って きた物理化学や有機化学がA群に分類されたことと対象的である。

b. A群とB群の論文数の推移:1975-2014年

図4-2(飯嶋・中田2016)に日本全体の論文数(太実線)とA 群61分野の論文数(実

線)とB群39分野の論文数(破線)の1975年から2014年までの推移を示す(注:1995 年と1996年のあいだで論文数が不連続的に増えている。これはデータベースの論文収載基 準の変更によるアーティファクトである)。日本全体の論文数は A 群と B 群の論文数の合 計である。研究分野の絞込みは「Web of Scienceの分類」を用いた。

日本全体の論文数は、1975-1985 年の 10 年間で年間の出版件数が約 10,000 報から約

30,000報になり、20,000報ほど増えた。1985-1995年の10年間では年間約30,000報から

約50,000報になり、同様に20,000報ほど増加した。1995年と1996年のあいだにある論

文数データの不連続点を考慮しても、1995年から2005年までの10年間では年間約50,000

報から約70,000報に増えており、やはり10年間で20,000報ほど増加したと読み取れる。

このように日本全体の論文数は1975年から30年間のあいだ単調に増加して、2000年代 初頭に年間 70,000 報のレベルに達した。しかし、2000 年代になると日本全体の論文数は 増加が止まり、2014年まで年間70,000-72,000報を維持したまま停滞を続けた。

2000年以降、論文数が停滞あるいは減少したA群(61研究分野)の論文数は、1975-2005 年の30年間に年間10,000件弱から年間50,000件まで単調に増加したが、2000年代半ば から減少し始め、2010年に年間約45,000報となり、2014年には年間約42,000報に減少 した。一方、2000年以降も論文数が増加を続けたB群は、2000年に年間約26,000報だっ たが、2010年には年間約32,000報に増加し、2014年に年間約26,000報に達した。

A群とB群の論文数の推移を比較すると、2000年代においてA群で減少した論文数とB 群で増加した論文数がほぼ同じであった。その結果、2000年代の日本全体の論文数はほぼ

70,000報強で推移した。

81 c. A群の上位10分野の論文数の推移

図4-3に表4-1に挙げたA群の上位10分野の論文数の推移を示す。A群の論文数が減少 に転じた年は研究分野により違いがあり、1999年から 2005 年のあいだに分布している。

1999年から2000年の2年間に4研究分野の論文数が最高値から減少に転じ、2003年から 2005年の3年間に6研究分野の論文数が最高値から減少に転じた。

図4-2 日本の論文数(上位100分野)の推移(1975-2014):太実践は日本の論文数(上位

100分野)の合計、細実線は2000年代に論文数が減少または停滞した61分野の合計、細 破線は2000年代に論文数が増加した31分野の合計。

【注】論文数はWeb of Science®, SCI-EXPANDEDを用いて検索した(検索日2016年5 月4日)。少なくとも1人の著者が所属する研究機関の所在地が日本である論文を抽出し、

「Web of Scienceの分類」に従って論文数の多い上位100研究分野の論文数の推移を求め、

2000年代に論文数が減少または停滞した 61分野と増加した 39分野の 2 グループに分け た。

0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000 80,000

197 5 197 7 197 9 198 1 198 3 198 5 198 7 198 9 199 1 199 3 199 5 199 7 199 9 200 1 200 3 200 5 200 7 200 9 201 1 201 3

論文数/年

西暦

100分野(日本全体)

61分野(停滞・減少)

39分野(増加)

82

もっとも早く減少に転じたのは、細胞生物学である。細胞生物学の論文数は1999年(約

2,300報)に最大値だった。2000年に論文数が最大値だった研究分野は、物性物理(約3,000

報)、神経科学(約2,500報)、有機化学(約2,200報)であった。2003年に論文数が最大 値だった研究分野は、応用物理(約6,400報)、薬学(約4,100報);2004年に論文数が最 大値だった研究分野は、生化学・分子生物学(約5,600報)、物質・材料科学 多領(約5,500 報)、物理化学(約3,800 報);2005年に論文数が最大値だった研究分野は、電子工学(約 図4-3日本の論文数(A群)の推移(1975-2014):2000年代に論文数が減少または停滞し た61分野のうち、1975-2014年の論文数合計が多い上位10分野

【注1】10分野は、応用物理学、生化学・分子生物学、多領域物質・材料科学、物理化学、

電気電子工学、物性物理学(凝縮系物理学)、薬理学・薬学、神経科学、有機化学、細胞生

物学。【注2】論文数はWeb of Science®, SCI-EXPANDEDを用いて検索した(検索日2016

年5月4日)。【注3】少なくとも1人の著者が所属する研究機関の所在地が日本である論 文を抽出し、「Web of Scienceの分類」に従って論文数の多い上位100研究分野の論文数の 推移を求め、2000年代に論文数が減少または停滞した61分野と増加した39分野の2グル ープに分けた。

0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000

1975 1977 1979 1981 1983 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 2013

論文数/年

西暦

応用物理学 生化学・分子生物学 多領域物質・材料科学 電気電子工学 物理化学 薬理学・薬学

物性物理学(凝縮系物理学)

神経科学 有機化学 細胞生物学

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3,500報)であった。

これら 10 研究分野の論文数は、最大値だった年から毎年僅かな増減を繰り返しながら 2014年まで減少傾向であった。2014年の論文数とそれぞれの最大値を比較して、2014年 における最大値からの減少率を求めた。減少率が最も大きかった研究分野は、物性物理

(53.0%)であった。2番目に大きかったのは、生化学・分子生物学(39.1%);以下つぎの 順である:細胞生物学(30.0%)、薬学(29.9%)、有機化学(23.2%)、電子工学(18.1%)、応用 物理(14.6%)、神経科学(14.1%)、物理化学(6.2%)。

物性物理の減少率は 50%を越えている。2004 年から 2014年までの11年間で論文数が 半分以下になった。1975年以降の論文数が2番目に多かった生化学・分子生物学の減少率

が 40%弱である。物性物理と生化学・分子生物学分野は多くの日本人研究者がノーベル賞

を受賞した分野である。これらの事実から日本の科学研究の最先端で急激な変化が起こっ ていることを窺うことができる。

d. B群の10分野の論文数の推移

図4-4に表4-1に挙げたB群のなかの10分野(腫瘍学、バイオテクノロジー・応用微生 物学、天文学・天体物理学、光学、数学、消化器病学・肝臓学、食品科学・食品工学、素粒 子物理学、環境科学)の論文数の推移を示す。

B群の論文数は化学・多領域と腫瘍学の増加が著しく、バイオテクノロジー・応用微生物 学が続いた。その他の分野は1975年から一貫して着実に増加した;これらの分野の論文数 は1990年代に年間500報から1,000報前後であったが、2000年代後半になると年間1,100

報から1,600報ほどになった。

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