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特性図と動力流分類

ドキュメント内 Microsoft Word - E-1-15v3.1.doc (ページ 129-135)

第6章 閉路型遊星歯車機構の動力流

2.3 特性図と動力流分類

121

ことからj3v21vによって定まる閉路形遊星歯車機構の動力の流れの形態と、その条件を表 6.2-2に示す。表の表示区分については後に述べる。

122

j j z

z

j j

j

z z

j j

j z

z

Hsi s H

i H

i s

s i

s i

  

  

     

     

132

321 1

23 1

32

213 3

12 3

21

1 1 1

1

1 1 1

1 1

1

 

 

(6.2-12)

したがって動力分配係数j3v21v とj213 の関係を示す動力分配の式(6.2-10)の値は、π の機構が決まれば定まる伝達比j213 に対してω3 /ω1 とj3v21v が1対1で対応する。一方、

J直線もまたω3 /ω1 の全数域にわたって一義的に定義されているので、式(6.2-10)のよ うにω3 /ω1 で動力分配係数j3v21v が定まるということはJ直線上の点に対してもω3 / ω1と1対1に対応させることができる。つまり、(ω3 /ω1 )はJ線上に於ける動力分配

係数j3v21v の値を定めるといえる。

動力分配の式(6.2-10)では例えばω3 /ω1=0の場合j3v21v =-1が得られるが、ω3 /ω1

=0は特性図の横軸ではω1 /ω3=±∞であるから、この値に対応するJ直線の位置は無限 遠のかなたにある。つまりJ直線の無限遠点はj3v21v =-1に対応することを示している。こ

のj3v21v の値(=-1)の意味は端子①と②の動力が大きさ等しく、方向が反対向きの動力

が流れている状態を指している。

図 6.2-8 J直線上の動力分配

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同様にしてω1 /ω3=0の場合(ω3 /ω1=±∞)は、J線が(ω23 )軸と交わる 点を示すが、ここでは動力分配式(6.2-10)よりj3v21v =0をうる。またJ線が横軸(ω1 / ω3 )軸と交わる点はω2 /ω3=0である。ここでω2 =0のときのj213はω1 /ω3に等し いことを考慮すれば、動力分配式よりj3v21v =±∞となる. さらに(1,1)座標の点はω

1 /ω3 =1を動力分配式に代入することによりj3v21v =- j321を得る。このようにしてJ 直線上にj3v21vがとりうる値を示すと図6.2-8のようになる。

(b) J 線上のj3v21vの大きさ このようにJ線上の位置でj3v21v のとり取り得る値が 定まるが、これを示す図6.2-8では理解しにくい面があるので図6.2-8の一つのJ直線Aを とりあげ(図6.2-9)、この直線上でのj3v21vの大きさを示したのが図6.2-10である。図の 横方向は図6.2-9で示したJ直線のω13座標を示し、その線上でのj3v21vの大きさを縦軸 で示した。

図6.2-9 J 直線A 図6.2-10 J直線A上のjv21v3

すなわちこのJ線は図6.2-9の座標の無限遠点において動力分配比は-1の値をもって いる。いま図6.2-9においてJ直線Aの左下から右上の方向にJ線Aに沿って-∞よりω1/ ω3座標の0に近づくと j3v21vは0に近づき、ω13=0においてj3v21v=0となる。これ をj3v21vとω13の座標で示すと図6.2-10のように左無限遠点から0点に近づく双曲線で 表される。そしてJ線Aが図6.2-9のj213>ω13>0の領域にある時はJ直線は図6.2-9の 第4象限を通過してj3v21vの大きさが+∞の方向に向かう。この領域の図6.2-10での対応領 域は縦軸とj213を示す破線の間の曲線で表される。さらにJ線Aが図6.2-9の第1象限の(ω

13>j213の領域)は図6.2-10では右下の双曲線がこれに対応する。図6.2-9のA線以外の 図6.2-9 J直線A 図 6.2-10 J直線A上のj3v21vの値

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J直線に関しても同じような見方をすることができる。

(2) J直線上の動作点での動力流

図6.3-8の座標内の全ての領域をJ直線が通過することと、J直線状の点が動力分配比に 対応していることを考えると、この座標を動力流の状態で区分できることが理解できる。

一方、2.2節で示した動力分流の表6.2-2ではj3v21vによって動力流の形態を分類した。そこ で図6.3-8の座標にこの分類にしたがった動力流の区分を重ねると図6.2-11のようになる。

図6.2-11に於いてα、β,γの領域区分は動力流の分類表6.2-2に示した区分と同じであ る。ここで図のβ,γの領域は環流の生ずる領域であり、αの領域は分流の生ずる領域で ある。このαの領域に於いてα2 はRを流れる動力P2が、他方の分流回路を流れる動力P1 より少なく(P2<P1)、α1の領域はその逆(P2>P1)の関係にあることを示している。

ここでは横軸xにω1/ω3、縦軸yにω2/ω3の座標の中で動力の流れの形態を分類するこ とができることがわかった。この座標を特性座標と呼ぶ33

α1領域 α2領域

γ領域 β領域 0

2

-1 -2 -3

0> >-1

P P

1 >1

P P

1> >0

-1>

P P

α1-3 α1-1

β-4 γ-4

γ-3 γ-1

4 3

2 α2-4

α1-4 -2 -1

Y

β-3 3

1 α2-1

β-2 γ-2

α1-2 α2-2

β-1

α2-3

X

図 6.2-11 特性座標

特性座標上にはJ直線が描けることがわかっている。そしてその線上に閉路型遊星歯車機 構の構成から定まる動作点が特定できることも1.2(4)節で述べた。その動作点が例えば 図6.2-12のtpに示すような位置にあったとすれば、この点のある図6.2-12し示すようにそ の座標位置は動力流の分類領域ではα2領域にある。つまりこの動作状態での動力は分流し 端子①に流れる動力は②に流れる動力より大きいことを示している。

33 図の形態分類の表の末尾の数字は第1象限から左回りの方向に番号をふってある。

125

α 1 領域 α 2 領域

γ領域 β領域 2

-1 -2 -3

0> >-1

P P

1 >1

P P

1 1> >0

-1>

P P

1 4

-1 2 -2

Y

3

β-2

0 3

X

t

p J直線

図 6.2-12 J直線上の動作点での動力流 参考文献

1. 矢田 恒二:日本機械学会講演論文集、No7, 10-13]、p165-168

2.YADA.T : :Proc. 3rd World Congress for the Theory of Machine and Mecanisms, 1971, Vol C, p209-230

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3

ハイブリッドエンジン(プリウス)によるJ 直線の例

電気自動車の最近の話題の一つにハイブリッドエンジンがある。1997年にトヨタがプリ ウスを発表して一躍有名になった。その後2003年に第2世代、2009年には第3世代プリ ウスを発表し2009年現在売り上げ台数150万台を超えたと言われている。トヨタは最上位 車種であるレクサスにもハイブリッドバージョンを追加し、エコロジカルなメーカとして のトヨタの技術力は世界的にも高く評価されるようになった。

電動・発電機 25kW

遊星歯車機構

一方向クラッチ

駆動電動機 45kW 差動歯車機構

図6.3-1 エクオスリサーチ/アイシンAWのハイブリッドエンジン

本来電気自動車とエンジン自動車をハイブリッド化する構想は、電気自動車の電池の能 力不足をエンジンと組み合わせることによって、一回の充電あたりの走行距離を伸ばそう とすることを目的としていた。この構想は1970年代に筆者も係わった通産省の電気自動車 開発プロジェクトでも検討されたことがあったが、排ガス対策車としての電気自動車にエ ンジンを載せることは自己矛盾であるという事から見送られた経緯がある。これをあえて トヨタが採用したのはエンジンの燃費向上と排ガス対策という観点によるもので、もとも と電気自動車からの発想ではない。したがってここでのハイブリッドカーでは排気ガスの 発生を押さえ燃費を上げることでなければならない。そのためにはエンジンを小型にする ことと、効率の良いところで運転することでその目的を達成しょうとしている。また他方

127

では電気自動車の性能アップという目的を満たす必要がある。ハイブリッドカーはこの両 睨みの中で両方の性能を満足しなければならない難しさがある。

ここでハイブリッド方式にはシリーズ方式と、パラレル方式と呼ばれるものがあるが、

プリウスではパラレル方式を採用した34。パラレル方式はエンジンと電動機の動力を重ねて 使うような方式であるために、動力の分配機構が要求される。遊星歯車機構はそのための 仕掛けとして理にかなっているので、遊星歯車機構が採用される。ここではプリウス方式 を閉路型遊星歯車機構の例題として遊星歯車機構がどのように使われているかを述べる。

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