Ytmax
4.3 最初に変速範囲( r max 、 r min )を与えて描画する場合
(1) j14を最初に決める方法
j14を最初に決める場合はA点とJ直線のいづれを先に決めるか、その順序によって、図 7.4-3と図7.4-4に示す2通りの場合が考えられる。こここでは図に示すように①より④ま で、つまり変速範囲(rmin、rmax)とj14の決定から、t直線を定めるまで変わらないが、そ れ以後の手続きに次のような違いがある。
i) A点を定めた後でJ直線を求める場合 ii) J直線を決めた後でA点を求める場合
t
j
max
14 J直線
Y
X
変速範囲 線
tmin線
線
t t
参照線
j14 rmin
rmax
①
②
③
④
④
min max
jp
⑤
A
B
⑥
③
⑦
⑧
目的解
t
j
max
14 J直線
Y
X
変速範囲 線
tmin線
線
t t
参照線
j14
rmin
rmax
①
②
③
④
④
min max
jp
⑤
A
B
⑥
⑥
③
目的解
これら二つの場合のそれぞれについて、個々の座標値の計算法を次に述べる(図7.4-5)。
(a) A点を定めた後でJ直線を求める場合 この場合, t線上での1点(ここで はA点として示した)を定めること、つまり機構の変速領域の一方の限界点A点を定める ことにより、遊星歯車機構の機構構成jp(J直線)を求めることが目的である。その結果 として変速領域の他方の限界点B点が求められる。ここでA点はt直線上にあり、t線は
①から④までの手順により既に定まっているので、A点のX座標(機構の入出力間の角速 度)を定めるだけでよい。つまりXaを決めればそこを通るt直線の式(表1の式(7.4-3))か らX座標が定まるのでA点のY座標は次式で与えられる。
Ya=(1/rminj
14)Xa (7.4-5) 図7.4-3
A点を定めた後でJ直線を求める場合
図7.4-4
J直線を決めてからA点を求める場合
187 無段変速機の変速範囲
r 、max rmin の決定
出力の変速限界 X の決定
j14
J直線 の算出
動力流の形態の確定
(1-i)
t直線の算出
特定のJ直線の決定
出力の変速限界点 A、BのX、Yの算出
(1-ii)
の決定
Y= 1
r j 14X
j
p= 1
rj14 X jp
-jp - 1
1
= 1 r j14
Xa jp
- 1 X
-1
Y r j14jp - 1 jp
=
1
j
pt:(t ,t ) r:(r ,r )
max max min
min
A点のY座標の算出 Y
rj14 X
= 1
min min
= 1
r j14 X jp
-jp- 1 B点の算出
max max
max
-b
b
X X X Y Ymax Ymin
:( min
:(
) )
Y rj14jp -jp
=
- 1
①
②
③ ④
⑤
⑥
⑦
⑧
t=rj14
⑤
⑥
a
a a
a
図 7.4-5 変速範囲(rmax、rmin)を最初に与えた場合の計算フロー
188
J直線は必ず(1、1)点を通るので他の1点(ここではA点)が定まればJ直線を決 めることができる。すなわち上述の手続きによってA点の座標( Xa, Ya )が定まったの でJ直線の勾配jpは次式で求まる。
j Y 1
X 1
p a
a
(7.4-6) ここで伝達比j321の定義式を整理すると
1 1
3 2 2
3 1
21
j
(7.4-7)
この式は表7.4-1の式(7.4-4)で表されるJ直線の式と同じであり、この直線の勾配jpは j321に等しいことがわかる。すなわちjp=j321よりjpは遊星歯車機構の伝達比で与えられ るので、ここで機構の構成が決まったことになる。
一方、既にrmaxに対応したtmax直線が①から④の手順で定まっているので、その交点とし てのB点の座標は
X j j r j
Y j
r j j
b
p
p
b
p p
1
1
1 1
14
14 max
max
,
(7.4-8)このようにしてJ直線上の動作点A、Bが定まり、機構の変速領域を決定される。このこ とはまた変速領域(A-B)での動力流の形態が決まったことになる。
(b) J直線を決めてからA点を求める場合 無段変速機の変速範囲とj14を与えるこ とによって2本のt線が定めた後で、J直線の勾配jp(遊星歯車機構を定めることに相当)
を決める場合、このJ直線とt直線の交点は代数方程式で求まる。そしてJ直線上の交点 間の領域が機構の変速領域を定める。この手順は閉路型遊星歯車機構の全体構成を定めて、
機構全体の変速領域を求めることに相当する。すなわち勾配jpを決めることによってJ直 線の方程式を与え、このJ直線とt線の交点を定める次の連立方程式(7.4-9)を解くことに よって、変速領域が求まることを意味する。ここでrは速度比の上限または下限の値を代 入する。したがって次の式(7.4-9)で与えられるA、B点の座標X、Yはそれぞれのr(r
min、rmax)に対応する値として計算される。
X j
j r j
Y j
r j j
p
p
p p
1
1
1 1
14
14
,
(7.4-9)(2) j14を与件としない方法
前項(a)では無段変速機の変速範囲(rmin~rmax)を決めた後でj14を定めたが、ここでは j14を計算で求める方法を採る。この場合、系の動作点を求めるには少なくともあと2個の 条件を与える必要がある。そのための方法として、次のの2通りが考えられる。
(i)jpと機構の変速限界点Aを定める場合、
(ii) 機構の変速限界点A,BのX座標を定める場合
189
t
j
max
14 J直線
Y
X
変速範囲 線
t
min線線
t t
参照線
j
14rmin
rmax
②
③
④
min max
j
p⑤
A B
① ④
U
⑥
⑥
⑦
目的解
t
j
max
14 J直線
Y
X
変速範囲 線
tmin 線
線 参照線
j14
rmin
rmax
①
③
④ jp ④
⑤
A
B Xa
② ②
⑥
Xb
⑤
目的解
図7.4-6 図7.4-7
jpと機構の変速限界点Aを定める場合 機構の限界点A、BのX座標を定める場合
(a) jpと機構の変速限界点Aを定める場合(図 7.4-6) この手続きは遊星歯車機構 の構成を定め( jpの決定)、全機構の変速領域の一方の限界点(ここではA点)を与えて、
分枝点(B機構)の歯車列構成j14を求めることに相当する。ここでJ直線は(1、1)点 を通ることから、勾配jpを定めれば必然的にJ直線そのものが決まる。そして機構の変速 限界点の一つ(A点)はこのJ直線上にある。したがってこの点を決めれば、t線もまた ここと原点を通るのでt線の方程式が定まる。
この手続きから定まるJ直線上のA点(Xa、Ya)は次式で与えられる。
Y
a j X
p(
a 1 ) 1
(7.4-10) したがってA点を通るt線の方程式はY Y
X X t X
Y
a a
a a
,
min
(7.4-11)その結果t線と参照線の交点のX座標(ここではtmin)が求まる。これはt線の勾配の逆数 である。 一方、j14線は原点と、tmin と変速範囲の限界r(ここではrmin)との交点Uを 通るので、 j14線の方程式も次のように定まる。
Y Y
X r X j X
r Y
a a
a a
min
min
,
14 (7.4-12)ここで歯車列の構成が求まったことになる。なおj14はt=rj14の関係からも求めることが できる。
さらにj14線と無段変速機の変速範囲のもう一方の限界(ここではrmax)との交点のX座 標は、t線と参照線の交点のX座標(ここではtmax)を与える。
190
t X
Y r
r r j
a a
max max
min
max 14 (7.4-13)このようにしてt線のもう一つの限界線tmax線を決めることができるので、そのt線とJ 直線の交点Bの座標は次のようにして与えられる。この結果、機構の変速限界点A,Bが 定まる。
X j
j r j
Y r j X
b
p
p
b b
1 1
1
14
14 max
max
,
(7.7-14)(b) 機構の変速限界点A,BのX座標を定める場合(図7.4-7)。 無段変速機の変速 範囲を決めた後で決める条件として、求めようとしている変速機構全体の変速限界点のX 座標( Xa 、 Xb)を与える方法がある。この場合はJ直線のX座標がω1/ω3で定義さ れていることより、機構全体の(出力速度/入力速度)の変速範囲を決めることに他なら ない。なおこれをY座標から考える方法もあるが、実用面からすればX座標から定める方 が多いことと、X座標から考える場合と同じ方法を使うことができるので、ここではY座 標から求める方法には触れない。
最初に変速限界点A、BのX座標を与えたとして、次にY座標が決まったとすると、A、
B点を通るJ直線は(1、1)点を通るので、A点(Xa、Ya)と(1、1)点を通る線の勾配 と、B点(Xb、Yb)と(1、1)点を通る勾配は等しい。またA、B点を同時に通る2個のt 線(tmax、tmin)の条件を加味すると、これらの条件は次のように表すことができる。
Y X
Y X
Y r j X Y
r j X
a a
b b
a a b b
1 1
1 1
1 1
14 14
,
min
,
max
(7.4-15)
ここでの未知量はYa、Yb、j14であるので、この連立方程式をj14に関して解くと次式が得 られる。
j
X X r r
X r
X r
X X
a b
b a
b a
14
1 1
min max max min
(7.4-16) 上式(7.4-16)とt=rj14の関係よりt線が定まり、その結果としてA,B点とJ直線が 求まる。つまり機構全体の(出力速度/入力速度)の範囲(Xa 、Xb)を定めることによっ て、遊星歯車機構の構成jpが求まったことになる。その値は次式で算出される(図7.4-8)。
j Y
p
X
aa
1
1
(7.4-17)191 無段変速機の変速範囲 r 、r の決定max min
出力の変速範囲 Xa、Xbの決定
tminの算出 特定のJ直線 と の決定
出力の変速限界点 A、Bの算出 の算出
B点( , )の算出 動力流の確定
J 直線の算出
(2-i) (2-ii)
j 14 r j p X a 1
1
1
min ( )
j 14
j p
X b = 1 1 r max j 14
j j
p p
Y b = 1 r max j 14 X b X b Y b
X a
の算出j 14
j X a r
14
X
X X X X r )
(
min max
1 1
+( r r )
min max
a
a
b
b b
Y = 1 r minj 14 X a a
t直線、
の算出 Y a
j X Y
a p
a 1
1
Y = 1
r maxj 14 X b b
and
動力流形態の確定 の算出 Y a
Y a j X
p a 1 1
( )
直線
、 t max
Y = 1 r j 14 X
max
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
②
③
④
⑤
⑥
t X
Y
a a min
Xa
図7.4-7 機構の限界点A、BのX座標を定める場合
192