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動力流の形態

ドキュメント内 Microsoft Word - E-1-15v3.1.doc (ページ 125-129)

第6章 閉路型遊星歯車機構の動力流

2.2. 動力流の形態

(1) 動力流形態の決定要素

前節で述べたように閉路型遊星歯車機構では同じ遊星歯車機構を用いても、遊星歯車機 構の外で運動を拘束する条件が異なると、動力の流れの形態が変わることの一例を示した。

ここではそれらを見通しよく示す方法について述べる。

①H

π

⑥ ④ v u

i

z z z z

1

2 3

4

② ③

R π

⑥ ⑤ B

図6.2-5 閉路型遊星歯車機構の例 図6.2-6 機構のシステム図

図6.2-5で示されるような遊星歯車機構と拘束機構を一般化して図6.2-6のようなシンボ ルで表す。ここでπは一般化遊星歯車機構であり、四角い枠から出ている線は遊星歯車機

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構の3軸を表わしている。また枠はブラックボックスで中にある遊星歯車機構はどのよう な構成を持っているかは問わない。例えば図6.2-5の機構でいえばそれぞれの歯車の軸s、

H、iは重複しなければ図の端子①,②,③のどれにつながってもよいものとする。

拘束機構はBとRからなる。そのうちBは結合機構であり、やはり3個の軸を持ってい て、その構成は問題としないが、その自由度は1の機構である。図6.2-5の例では歯車列が その役割をしていて、3個の軸とはここでは歯車の両端の軸と歯車列のもう一つの軸から 構成されている。Rは無段変速機32を表すが図6.2-5の機構では端子④と端子②は直結され ているのでこの機構では変速機構はない。あるいは広くいえば直結軸がRを構成している ということもできる。これらの要素をつなぐ線は回転軸を表し、それぞれの軸に図6.2-5の ような番号をつけこれを端子と呼ぶ。そしてそれらの軸の角速度をω、トルクをMで表し、

それぞれが対象とする端子を下添字で表す。

図6.2-6において端子①と②の動力を考える。まずそれぞれの端子のトルク(モーメント)

1 、M2 と速度比の間には3端子モーメント比の関係がある。

M M

a a

1 2

1 2

 (6.2-1)

ここで速度係数a1, a2で表される3端子角速度の関係式(6.2-2)は1個の遊星歯車機構に対して 伝達比で表される角速度の3個の関係式(6.2-3)を一つの式で代表したものである。このこと は3章において既に述べた。

a a a

a a a

1 1 2 2 3 3

1 2 3

0 0

     

  

 

(6.2-2)

 

 

 

   

   

   

 



1 0

1 0

1 0

1 12

3

2 13

2 3 21

3

1 2 23

1 3 31

2

1 32

1

2 3

  

  

  

j j

j j

j j

(6.2-3)

上式の関係式より速度係数の比a1a2を伝達比で表すと次のようになる。

a a

1

j

2

21

 

3 (6.2-4) 従って端子①と②の動力P1、P2の比は

2 3 1

1 2 2 1 2 1

2 2

1 1 2 1

 

 

 

 

a j a M

M P P

(6.2-5)

32 「無段変速機」は産業用用語として広く使われているが、自動車用としてはCVT(cotinuousuly variable transmission)あるいはIVTInfinitely variable transmission)が使われる。

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ここでj 321 は遊星歯車機構の構造によって定まる伝達比である。またω1 /ω2 もまた Bの伝達比が決まれば定まる。従って端子①、②を流れる動力の比率は機構が決まれば決 まることがわかる。しかし、式(6.2-5)の第3項の各数値の大きさに対する制限はなく、機 構を変えればどのような値でも取ることができるので、当然その正負の符号も変わってく る。そこで次に系の動力状態が符合ででどのように変わるかについて述べる。

(a) (a1ω1)/(a2ω2) >0の場合 この場合は分子、分母の符号は同じことをしめし ている。したがって、P1/P2=(a1ω1)/(a2ω2)であることを考えると分子、分母の動力は両 方が入力であるか、出力であるかのいずれかである。このときの端子①,②の動力の流れ の方向は遊星歯車機構πに対して同じ向きと考えられる。πでの損失は考えていないから 端子①,②が同時に入力であるか、出力である以上、端子③の動力の符号は、端子①およ び②の動力の符号とは異なる。

つまり端子③からπへ動力が流れ込んでいるならば端子①,②から動力が出ていき、π から端子③へ動力が流れ出していれば、πへは端子①,②に動力が流入していることを示 している。そして端子③の動力は端子①と②の動力の和である。したがって閉回路内での 動力は端子③またはvから入った動力を分流していることがわかる。このような機構を動 力分流形(パワ-スプリット形)遊星歯車機構と呼んでいる。

(b) (a1ω1)/(a2ω2) <0の場合 この場合は分子と分母の符号が互いに異なる。

つまり、端子①と②の動力の流れる方向が逆方向であることを示している。このことはま た、端子①または②のいずれかが、端子③の動力と同じ符号を持っていることであるから、

端子③と異なる符号を持つ端子の動力の大きさは、端子③の動力よりも大きくなければな らない。この系の中での損失を考えていないので、端子③(u)と端子vの動力の大きさ は同じである。従ってこの場合は、閉回路内に環流する動力のあることがわかる。これを 動力循環型遊星歯車機構とよんでいる。

表6.2-1 πへの動力のれ方の分類

(a1ω1)/(a2ω2)>0

動力分流型 (a1ω1)/(a2ω2) <0 動力循環型

③=出力

π

π

π

③=入力

π

ƒ Ξ

π

(2) 動力流の分類

動力の流れる状態は系の形が決まれば定まる事は既に述べた。ところで閉回路内に図

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6.2-6に示す無段変速機Rを挿入するとω1 /ω2 の値を変えることができるので、(a1ω1)

/(a2ω2) の符号を逆転させることが可能である。このような機構では無段変速機Rを操作 することによって動力の流れの状態が変る。

いま図6.2-6において回路②-R-④-B-①全体の伝達比tを次のように考える。

t=rj14=ω1 /ω2 (6.2-6) ただし、r(=ω4 /ω2 ):無段変速機Rの速度比*)(可変)

14(=ω1 /ω4 ):分岐点Bの伝達比(固定)

*)無段変速機では伝達比を速度比と呼んでいる)

(a1ω1)/(a2ω2)に於いてa1/a2 は速度係数の関係より図6.2-6のシステムでは-j321 に等 しい、またω1 /ω2 は上式(6.2-6)のtで与えられる。さらにj14はj1v(= ω1 /ωv )お よびjv4(=ωv /ω4 )の積で表わせる。この二つの伝達比j1vおよび jv4は1自由度機構 Bの伝達比であり、この大きさはBの構造によって決まる値である。これらの関係から式 (6.2-5)で与えられる P1、P2の比は

M

M j r j j

j j j

v v

v v

1 1

2 2

4 21

3 1

3 21 3

1

 

 

ただし、jv3=jv4r (6.2-7)

表6.2- 2 動力流の分類 動力の

状態

P P

1 2

 0 P

P

1 2

 0

動力の 条件

P P

1 2

 1 1

1

0

2

PP

P P

2 3

 0

P

P

2 3

0 機構の

条件

j

3V V

21

 1 1  j

3V V21

 0 0  j

3V V21

 1   1 j

3V V21

記号 α2 α1 β γ

表示区分

ここでj3v21vを次のように定義する。

j

v v

j

v

j j

v

3 2 1 3 21

3

 

1 (6.2-8) この定義式を用いれば

P

P

1

j

v v 2

3 2 1

(動力分配係数の式) ここでj3v21vはその定義式(6.2-8)の右辺からもわかるように機構によって決まる。そこで これを動力分配係数という。一方、P1/P2は動力流の状態を示している。この2個の値が 等式で結合できるということは動力流状態が機構の条件で定まることを示している。この

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ことからj3v21vによって定まる閉路形遊星歯車機構の動力の流れの形態と、その条件を表 6.2-2に示す。表の表示区分については後に述べる。

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