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QOLの改善をもたらすことが示されており13),併せて推 奨される.
3 栄養サポート
CQ.NPPV 中の栄養投与をどのように行うか?
①NPPV 中 は 早 期 か ら 十 分 な 栄 養 投 与 を 行
う .
②経口摂取ができない症例においては,経腸栄養を行
う .
一般に人工呼吸が必要な重症患者では積極的な栄養療 法が推奨されている14〜16).また,慢性期のCOPD患者や 神経筋疾患症例などにおいて,栄養療法は強力な支持療 法のひとつである17〜19).NPPVではマスクの付け外しが 容易であることから,嚥下機能に問題がなく短時間の NPPV中断に耐えうる症例においては,十分な経口摂取 が推奨される.慢性期の症例においては,食思不振や呼 吸仕事量の増加に伴う相対的な低栄養によりBMIの低下 がみられるため,食事量だけでなく摂取可能な栄養素の 組み合わせも重要で,入院中に加え在宅においても管理 栄養士のサポートを得て栄養管理を行うことが望ましい.
急性呼吸不全で重症度が高く,マスクを外すことが困 難な症例や,安定していても嚥下機能に問題がある症例 では,胃管による経腸栄養が推奨される20, 21).通常,経 鼻胃管を用いるが,長期にわたり経腸栄養を施行する場 合は胃瘻造設を考慮する22).一方,NPPV中は嘔吐や胃 食道逆流症により胃内容物が口腔内に達すると誤嚥を生 じる可能性があるため,腸管機能の評価や呑気,嘔吐・
逆流の有無をチェックする.明らかに逆流・誤嚥をきた している場合は,胃管によるドレナージ,NPPVの設定 圧の調整や中断も検討する.一部の神経筋疾患症例では,
胃瘻造設と同時に噴門形成術を施行することで胃食道逆 流症を予防し,予後が改善することが示されており23), 栄養投与に伴う合併症への配慮も重要である.
CQ.NPPV 中に経口摂取に向けての必要な援助は?
①NPPV中は口腔乾燥や口腔衛生に関して,医療者に よ る 評 価 お よ び 介 入 が 有 用 で あ る
.
②高齢者や脳卒中の既往がある症例では,嚥下機能の スクリーニングを行い,必要に応じて言語聴覚士に
よる介入・訓練を行う .
NPPVでは鼻咽頭の生体加湿機能が維持されるにもか かわらず,口腔乾燥をきたしやすい.その理由として,
吸入ガスの加湿不良や吸気流量の増加,口呼吸に伴う生
体による加湿不足,過剰な負の水分バランスに伴う粘 液・唾液の分泌不良などがあげられ,評価の必要性が示 されている24).鼻・口腔内が乾燥すると粘膜が障害され,
繊毛運動や分泌機能が低下し鼻閉などの機能異常が惹起 される.そして病原微生物への防御機構や分泌物の排除 が低下して口腔衛生が不良となり,気道感染をはじめと するさまざまな合併症を招くことになる.したがって,
NPPVの継続中は,特に口腔ケアに重点を置く必要があ り,その内容としては乾燥など口腔内の評価および加湿 への配慮,口腔内細菌叢を減じるための介入(ブラッシン グと洗浄・回収,保湿剤の適正使用)を行う.う歯や歯 肉炎などを認める場合や,ケアスタッフで十分な口腔ケ アが困難と判断される場合には,歯科医師や歯科衛生士 といった専門家を依頼し,スタッフ教育と併せて口腔ケ アのサポートを行ってもらう.
高齢者や脳卒中の既往がある症例では,嚥下機能の低 下をきたすことが多いが,これらの症例を含む急性期の NPPVでは約 5%で誤嚥をきたし,それが肺炎の原因と なって予後の悪化につながる25).リスクの高い症例にお いてはケアスタッフで初期評価を行い,問題があれば言 語聴覚士の介入を仰ぎ,早期から専門的な評価と訓練を 行うことが,肺炎の予防や嚥下機能の維持・回復につな がると考えられる.また,慢性期の症例においても,口 腔内や嚥下機能の定期的な評価は重要であり,慢性呼吸 器疾患の増悪を予防し,入院回数の減少につながる可能 性がある.
4 マスクに関連する皮膚ケア
CQ.NPPV 中に行う顔面の皮膚ケアは?
①早期からマスクによる皮膚障害を意識し,介入す
る .
NPPVを使用する場合にはマスクの選択やフィッティ ングが重要だが(総論 5「慢性呼吸不全におけるNPPVの 導入方法」を参照),加えて急性期・慢性期を問わずマス クによる発赤やびらん,褥瘡といった皮膚障害を想定し,
予防に努める.皮膚の発赤やびらんは,皮脂によるマス クの汚染やマスクの圧迫に加えて,マスクの材料に対す るアレルギー反応や接触性・感染性の皮膚炎に起因する ものもある25).褥瘡は圧迫による血流障害で生じ,鼻根 部や頰部に多くみられるが,いったん生じると治療は困 難であり,マスクのストラップを締め過ぎないあるいは ストラップを締めたままでマスクの位置調整を行わない などの配慮が必要である.慢性呼吸不全症例では,24 時 間の使用例もみられるので,さまざまなタイプのマスク や鼻プロング,マウスピースなどを時間帯や患者の生活 行動により使い分けて皮膚障害を予防するとよい.
推奨度 B
レベル Ⅳ
推奨度 C1 レベル Ⅵ
推奨度 B レベル Ⅳ
推奨度 B レベル Ⅳ
推奨度 B レベル Ⅳ
皮膚保護のために顔面の皮膚にドレッシング剤を貼付 し,その上からマスクを装着することで皮膚障害を予防 するケアが一般的に行われている26, 27).一方,NPPVの マスクに特化したドレッシング材は存在せず,一般の褥 瘡ケアのものが用いられている(ハイドロコロイドやウレ タンフォーム,シリコンフォーム材など).しかし,マス クを長時間使用する症例では,これらのドレッシング剤 だけでは十分とはいえず,やはりマスクフィッティング と併せて検討する必要がある.
5 在宅へ向けての患者・家族教育
CQ.NPPV を在宅導入する際の患者・家族教育は必要 か?
①在宅NPPVへの移行時は,退院前に患者および家族 にNPPVに関する教育を行い,到達度を評価す
る .
②在宅NPPV中の緊急時の対応(連絡先や具体的な対 処法)について,退院前に患者・家族とすべての支 援 ス タ ッ フ が 打 ち 合 わ せ を 行 う
.
在宅NPPV症例では,患者のみならず家族の理解や協 力が必須であり,在宅医療に移行する前に医療スタッフ と意思統一を図る.NPPVに関する教育は治療内容や期 待される効果,日常のケア・メンテナンス(マスクの組み 立て,機器の操作,加温加湿器の水補充,マスク・回路 の洗浄など)といった多岐にわたり,主として看護師の職 務である.具体的には患者と家族に実物を用いて実習を 行ってもらい,習得度を評価する.退院までには,トラ ブル時の対処法や緊急時の連絡方法についても申し合わ せを行い,それらを明記したカードなどを患者・家族に 提供すると同時にNPPV機器に備え付けることが勧めら れる.また,緊急時はNPPV業者の支援を受けることも 多く,担当者を交えての打ち合わせも必須である.教育 効果の評価の結果,患者本人や家族による管理が困難と 判断される,または独居で家族の支援を受けられないな どの場合は転院や施設入所も考慮せざるを得ないことも ある.
6 在宅 NPPV における支援体制
CQ.NPPV に関する地域医療連携とは?
①在宅NPPV症例をサポートするために,地域の医療 機関が連携し,安定時から増悪時までの対応を継続
的かつ速やかに行う .
NPPVのアドヒアランスを維持し効果的にNPPVを在
宅で継続するためには,在宅医療における地域のリソー スが非常に重要で,特に訪問看護ステーションおよび居 宅介護支援事業所との連携は必須となる.したがって,
在宅NPPVへ向けて入院中から訪問看護師またはケア・
マネージャーと早期に連携し,共同で患者への指導を 行ったり,NPPV業者と打ち合わせを行ったりすること で,在宅でのケアや機器・回路の点検などを訪問看護師 およびケア・マネージャー,業者の担当者に委託するこ とが可能となる.在宅移行後は病棟と連携している看護 外来あるいは外来看護師が要となり,訪問看護師をはじ めとした地域のリソースと連携を取り,定期的なカン ファレンスなどにより,自宅での療養状況や問題点など を早期に共有し解決策を話し合うことができ,患者への フィードバックも速やかに行える.遠方に居住する患者 に対しては,その地域の医療機関に応援を依頼し,情報 交換を密に行うことでスムーズな対応が可能となる.
CQ.NPPV を施行する患者・家族の経済的・社会的支 援を誰が行うか?
①在宅NPPV患者が経済的・社会的支援を最大限利用 できるよう,医療者がサポートする
.
在宅NPPV療法は健康保険給付の対象だが(別項参 照),一部自己負担もある.慢性呼吸不全に対する「身体 障害者認定」においては,認定基準(表 1)に照らすと医 療費補助の対象となる 1 級は少なく,3 級が多い.しか し,3 級の医療費補助は都道府県により差があり,患者 の経済的負担が大きくなる場合がある.特発性間質性肺 炎など厚生労働省の「特定疾患治療研究事業」の対象疾 患であれば重症度により公費の援助が得られる.さらに 通院や生活のための諸費用に対する配慮も必要である.
入院中から積極的にケースワーカーのかかわりを促し,
退院後も患者・家族を交えて継続的に負担軽減の方策な どを話し合い,見直しを行う.
活動的な患者では旅行を希望する場合も多くあり,身 体障害者手帳があれば公共交通機関による交通費の割引 が得られるほか,酸素機器やNPPV機器などについて提 供業者によるサポートを依頼できる.医療側の介入は,
旅行計画に基づくケアプランの作成や物品の整備,実際 に利用する乗用車などを用いたシミュレーションなどを 行う.特に緊急時の対応に関する準備が重要である.一 方,航空機の利用においては,航空会社に対する事前の 連絡に加え,担当医の診断書,酸素付与の適応,使用で きる機器の選択や同行する介助者のケアプランの作成な ど,より詳細な手続きが必要となるが28),一定の基準は 定められていない.
推奨度 C1
レベル Ⅵ
推奨度 C1 レベル Ⅵ
推奨度 B レベル Ⅵ
レベル Ⅵ 推奨度 C1