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COPD の増悪

CQ 2 喘息発作の呼吸管理に NPPV を使用すべきか?

回答:現在のところ喘息発作に対する人工呼吸療法の第一選択は,気管挿管による人工呼吸と考えられ ているが,NPPV の有効性を示唆する報告が集積されつつあり,実地臨床でも NPPV が普及しつつあ る.NPPV を十分習熟した施設で適応を吟味して行えば,呼吸困難や呼吸機能を改善し,気管挿管を 回避したり,入院期間の短縮などの利点が期待できる.一方で喘息発作は急激に増悪することがあり,

挿管のタイミングが遅れると生命の危険を伴うことから,増悪の兆しがあれば躊躇せず気管挿管下で の呼吸管理に移行する必要がある.喘息発作における急性呼吸不全に対し,NPPV は試みてもよい.

ただし,経験が少ない施設においては日常的には行うべきでない.

CQ2 推奨:喘息発作による急性呼吸不全に対し,NPPV は試みてもよい.【エビデンスレベル Ⅱ,推 奨度 C1(経験が少ない施設においては推奨度 C2)】

た症例は 17 例中 2 例のみであり,NPPV群は有意に気道 内圧が低く,合併症は特にみられなかったと報告してい る1).Fernandezらは,後ろ向き研究で救急室での喘息発 作に対するNPPVとIPPVとの比較検討を行い,NPPV 群でPaCO2の低下およびpHの改善を認め,挿管回避は 67%(22/33)であったが,ICU滞在期間,入院期間,予 後には有意差を認めなかったと報告している2).日本の Muraseらは,後ろ向き研究でNPPV導入前と導入後の 致死的喘息発作症例の比較研究を行い,NPPV導入後に 有意な挿管率の低下(2/57(3.5%)vs. 9/50(18%),p=

0.01)と入院期間の短縮(8.4±2.8vs. 12.6±4.2days,p<

0.01)を認めたと報告している14)

Holleyらは,NPPVの有効性をランダム化比較試験に て検討し,有意差は認めないものの,挿管率や入院期間 の減少,入院費用の減少傾向を認めたと報告している.

この報告ではNPPVを使用しないことへの倫理的懸念か ら治験が途中で終了している3).Sorokskyらは,救急外 来受診の重症喘息発作 30 例におけるNPPVの有効性を ランダム化比較試験で検討した15).その結果,3 時間の NPPV使用により,対照群と比較して有意に肺機能の改 善が良好で入院を防ぐと報告した.Somaらは,救急外 来において吸入療法併用下でのNPPVの有効性を検討し た.IPAP/EPAP8/6cmH2O群,6/4cmH2O群と対照群

とに分けた検討で,8/6cmH2O群でFEV1.0の改善が大で あり,NPPV群で呼吸困難感と喘鳴の改善が良好であっ た16).Brandaoらは,救急外来でのNPPVによる 15 分間 の吸入療法の効果を検討した.IPAP/EPAP15/5cmH2O 群,15/10cmH2O群,対照群の 3 群比較で,15/10cmH2O 群でピークフロー,FEV1,FVCの改善が良好であった17). Guptaらは,53 例を対象にIPAP/EPAP12/5cmH2Oに よるNPPV療法と対照群の比較検討を行い,挿管率では 有意差を認めなかったが,NPPVにより,全入院期間,ICU 滞在期間の短縮,気管支拡張薬総使用量の減少が認めら れた18).Galindo-Filhoらは,IPAP/EPAP12/5cmH2O による 9 分間の吸入療法により,呼吸数,一回換気量,

分時換気量,ピークフロー,FEV1,FVC,IC,吸入効率 の改善が認められたa)

以上の研究からは,喘息発作患者に対して,NPPVと 吸入療法の併用により,吸入効率の改善,肺機能の改善 を早める効果は期待されるが,挿管回避効果は明らかで はなく,喘息の重積発作にNPPVが有効であるという証 拠としては不十分である20).喘息発作に対するランダム 化比較試験のまとめを表 1に示す.今後の多施設・多数 例でのランダム化比較試験による検証が必要であるが,

2000 年から 2008 年の間での米国での全国調査では,喘息 急性発作に対する人工呼吸管理において,侵襲的人工呼

表 1 BA と NPPV:エビデンスのまとめ

論文コード 対象 方法 結果

Holley et al, 2001

RCT NPPV 19 人

対照 16 人 救急外来,鼻マスク

IPAP/EPAP 10/5cmH2O 4〜18  hr/day

NPPV で挿管回避傾向,入院 期間短縮(研究は早期終了)

Soroksky et al, 2003

RCT NPPV 15 人

対照 15 人 予防的人工呼吸

救急外来,鼻マスク 対照群で sham NPPV

IPAP/EPAP 14/4cmH2O,3hr

NPPV で FEV1改善大きく入 院の減少挿管例なし

Soma et al, 2008

RCT high-pressure NPPV 16 人 low-pressure NPPV 14 人 対照 14 人

NPPV で 2 人脱落

NPPV による吸入療法 救急外来,鼻 / 鼻口マスク

high IPAP/EPAP 8/6cmH2O,1hr low IPAP/EPAP 6/4cmH2O,1hr

High NPPV で FEV1改善大 high あ る い は low NPPV で 呼吸困難と前明の改善大 挿管例なし

Brandao et al, 2009

RCT high-pressure ⊿ NPPV 12 人 low-pressure ⊿ NPPV 12 人 対照 12 人

NPPV による吸入療法 救急外来,鼻口マスク

high ⊿ IPAP/EPAP 15/5cmH2O,

15min

low ⊿ IPAP/EPAP 15/10cmH2O,

15min

Low  ⊿ NPPV で ピ ー ク フ ロー,FEV1.0,FVC の改善大 挿管例なし

Gupta et al, 2010

RCT NPPV 28 人

対照 25 人 NPPV による補助換気 呼吸器 ICU,鼻口マスク IPAP/EPAP 12/5cmH2O,4hr

NPPV で早い FEV1と臨床所 見の改善傾向

NPPV で全入院,ICU 滞在期 間の短縮,気管支拡張剤総使用 量の減少挿管では差なし

Galindo-Filho et al, 2013

RCT NPPV 13 人(3 人脱落)

対照 15 人(4 人脱落) NPPV による吸入療法 救急外来,鼻口マスク

IPAP/EPAP 12/5cmH2O,9min

NPPV で呼吸数,一回換気量,

分 時 換 気 量, ピ ー ク フ ロ ー,

FEV1.0,FVC,IC, 吸 入 効 率 の改善大挿管例なし

吸管理の比率が減少したのに対しNPPVの比率が増加し ており,実臨床での適応が広がりつつあるb)

3 NPPV の治療方針

NPPVの喘息発作に対する利点としては,①気道内に CPAP/EPAPによる陽圧をかけることによる気道抵抗の 低下(内因性PEEPに対して),②換気不全を伴っている 場合は,PSというかたちで換気補助,および,③挿管の 回避,ということが従来から考えられてきた.特に気管 挿管を回避することで,挿管操作に伴う合併症も回避し 人工換気を速やかに開始することができると同時に,気 管チューブによる気管支攣縮の心配もなく,経口摂取や 内服治療が継続可能であるという利点がある.さらに,

最近ではNPPVの併用による呼吸機能の速やかな改善が 報告されており,挿管回避を目的とするよりも早期に NPPVを導入する意義が期待されている.

NPPVの管理対象となる喘息患者の重症度は,CPAP のみで比較的呼吸困難の改善が良好で,薬物療法への反 応性も良好で短期間で軽快する軽症例から,パニック状 態のためマスクを装着するのも困難な症例,さらに高度 の呼吸性アシドーシスや意識障害を伴い,挿管のタイミ ングを図りながらNPPV管理を行う重症例までさまざま である.実際CPAPのみで喘鳴が減少することをしばし ば経験する.一般に喘息の呼吸不全に対しては,人工呼 吸によるサポートは意外と低い圧で十分であるといわれ ており,マスク換気でも十分対応可能である場合が多い.

4 NPPV 導入基準

a.救急外来での初期治療(鑑別疾患)

喘息の既往のある患者では喘息発作の診断は比較的容 易であるが,初発の喘息の場合や本人から病歴聴取が困 難な場合は種々の疾患の鑑別を行う必要がある.心臓喘 息の場合,虚血性心疾患の有無は鑑別のうえで特に重要 である.

喘息発作と診断された場合には,その後の治療方針を 決定するため重症度の判定を行う.GINAでは,症状・

ピークフロー・肺機能検査・SpO2・酸素投与・β2刺激薬 への反応性などから決定し,重症例と判断された症例の うち,初期治療後の再評価で 1 時間以内に反応のみられ ないものをICU入室とし人工呼吸を考慮するとされてい る.

b.導入基準

喘息発作に対するNPPVの適応基準は,これまで明確 に検討されたものは見当たらない.本ガイドラインでの

NPPVの導入基準を暫定的に表 2に示す.ポイントは,

頻呼吸や呼吸性アシドーシスなどのデータが改善しない 症例には早めに導入してもよい点と,NPPVへの反応が 不良な場合にはNPPVに固執し過ぎないことである.

NPPVは挿管管理の代わりとはならないとの認識が重要 である.なお,呼吸管理と同時並行で薬物療法を最大限 に行っていくことはいうまでもない.

急性呼吸不全症例では低酸素血症を合併する例も多く みられることから,喘息発作に対しても吸入酸素濃度を 設定できるNPPV専用器を用いることが望ましい.

5 NPPV 導入の実際

導入の実際はCOPDの増悪に準じて行う(各論A-1

「COPDの増悪」参照).

a.初期設定

以下の方法を喘息に対するNPPVの初期設定とその後 の管理として提示する.

IPAP8cmH2O,EPAP4cmH2Oで開始し,ベッドサイ ドで患者の呼吸数,呼吸パターンや聴診所見,呼吸困難 感(Borgスケールなどで評価)などを参考にIPAPや EPAPを増加させる.なお,CPAPモードのみでも,内 因性PEEPが解除され自覚症状が改善される場合がある.

いずれの場合でも増悪の徴候があれば直ちに気管挿管に 移行できるよう備えをしておく.

b.モニタリング

NPPV中は心電図・血圧・SpO2などの持続的・間欠的 測定を厳重に行い,呼吸音・呼吸困難感などを評価し,

血液ガスも開始後 2 時間程度は 30 分ごとに測定し,呼吸 性アシドーシスの進行の有無をチェックする.病状安定 までは設定変更時や数時間ごとに血液ガスをチェックす る.意識レベルにも注意し,意識レベルが低下する場合 や,意識障害が遷延する場合にも気管挿管への移行を検 討する.

c.気管挿管の適応

気管挿管の適応を表 3に示す.呼吸停止,意識障害の ある場合は,最初から気管挿管管理を行う.これに対し,

NPPVを行っても明らかな呼吸筋疲弊や急激なPaCO2上 昇を認める場合や,低酸素血症を認める場合は挿管の適 応となる.また,喘息発作の際には急激に悪化する場合 があるので,PaCO2が 45mmHg以上の患者では,いつで も挿管・人工呼吸へ移行できるように準備する.

d.離脱基準

NPPV施行にあたっては,患者の心配や不安を解消す

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