第 8 章 企業の参入形態と輸出補助金
8.5 参入企業数と経済厚生
155
図8.5:補助金率と市場参入(高い補助金率)
したがって,高い補助金率のケースでは,上記の低率と中位率の補助金のケースとは 異なり,𝜃𝑒 < 𝜃 < 𝜃𝑑のとき,企業は第三国市場に参入するが,𝜃𝑑 < 𝜃のとき,輸出企業 の一部が国内市場に参入することになる.高い補助金率は,元来,生産性の高い企業が 第三国市場から自国市場への進出転換(=自国市場への回帰)を促す効果がある.
156 𝐴 = 1
1 − 𝛼[𝑤(1 + 𝑟) 𝛼𝜃 ]
𝜀−1
𝑓𝑑 (8.11)
𝐴 = 1
1 − 𝛼[(1 − 𝑡) (𝑤 + 𝑟 𝛼𝜃𝜏 )]
𝜀−1
𝑓𝑒 (8.12)
(8.11),(8.12)式を(8.10)式に適用すると,
𝑁𝑓𝑑+ (𝑁 − 𝑁𝑑)𝑓𝑒= (1 − 𝛼)𝐸 (8.13) 一方,中間財が生産された後,輸出補助金が供与されるので,自国と第三国の労働需 要をLと定義すると,
𝐿 ≡ (1 + 𝑟
𝜃 𝑦𝑑+ 1
𝜏𝜃𝑦𝑒) + 𝑟 𝜏𝜃𝑦𝑒
となる.Lの右辺の第一項は自国の労働需要𝐿1であり,第二項は第三国の労働需要𝐿2であ
る.
したがって,労働市場の清算条件は,
𝑤𝐿1+ 𝐿2= 𝛼
1 − 𝛼(𝑓𝑑+ 𝑓𝑒
1 − 𝑡) = 𝐸 (8.14)
故に,(8.13),(8.14)式と𝑁𝑑+ 𝑁𝑒= 𝑁より,均衡における参入企業数が求まる.
𝑁(𝑡) = 1
𝑓𝑒+ 𝑓𝑑[𝑁𝑒𝑓𝑒+ 𝛼 (𝑓𝑑+ 𝑓𝑒
1 − 𝑡)] (8.15)
自国市場の参入の企業数は,補助金率と自国の賃金率の減少関数であるが,第三国で 支払われる単位賃金𝑟の増加関数である.
命題8.1
輸出補助金は国内市場への参入を相対的に減少させ,第三国市場への参入を促す.
ここで,(8.1),(8.11),(8.12)および,𝑁𝑑+ 𝑁𝑒= 𝑁と(8.15)を用いると,自国と 第三国の間接効用の和:𝑢𝑇は,次のようになる.
𝑢𝑇 = (∫ 𝑦(𝑖)𝛼
𝑁
0
𝑑𝑖)
1 𝛼
+ ( ∫ 𝑦(𝑖)𝛼
𝑁
𝑁𝑒
𝑑𝑖)
1 𝛼
∴ 𝑢𝑇= 𝛼𝜃 1 − 𝛼
{ 𝑓𝑑
𝑤(1 + 𝑟)[𝑁𝑒𝑓𝑒+ 𝛼 (𝑓𝑑+ 𝑓𝑒 1 − 𝑡)
⏟
𝑁(𝑡)
]
1 𝛼
+ 𝜏 1 − 𝑡( 𝑓𝑒
𝑤 + 𝑟) 𝑁𝑑𝛼1 }
(8.16)
(8.16)式の右辺第1項は,自国の間接効用を,右辺第2項は第三国の間接効用を示 している.第三国への輸出企業数は補助金率の増加関数なので,補助金率は第三国の間 接効用を増加させる.また,輸出企業の増加は,製品バラエティを拡大させ,自国の消
157
費を促す.したがって,輸出補助金は,自国市場から第三国市場への所得移転を促し,
自国と第三国の経済厚生を改善させる.
命題8.2
(1) 生産性の高さは,製品バラエティを拡大させ,自国と第三国の経済厚生を改善させ る.
(2) 第三国市場独占のケースでは,輸出補助金は,自国市場から第三国市場への所得移 転を促し,自国と第三国の経済厚生を改善させる.
8.5.2 複占のケース
ここでは自国企業とライバル企業が,第三国市場に参入するケースを考察する.自国 企業とライバル企業が,第三国市場に参入するケースでは,ライバル企業の生産性をθ∗ として,自国企業の生産性と区別すると,次の条件
𝜃𝑒 < 𝜃∗ 𝑎𝑛𝑑 𝜃𝑒< 𝜃 を満たす必要がある.
このとき第三国の第 i 差別化財は,自国とライバル国の両企業によって供給される.
第i差別化財の需要関数より,次のようになる.
y𝑒+ y∗𝑒= A𝑝𝑒−𝜀⟺ 𝑝𝑒= ( A y𝑒+ y∗𝑒)
1−𝛼
(8.17) ここで,ライバル企業の補助金率を𝑡∗賃金率を𝑤∗とし,他のライバル企業の条件は自 国企業のものと等しいと仮定する.このとき自国輸出企業の利潤最大化問題は,
max𝑦 π𝑒 = max
𝑦 [( A 𝑦 + 𝑦∗)
1−𝛼
−1 − 𝑡 𝜏 (𝑤 + 𝑟
𝜃 )] 𝑦 − 𝑓𝑒 となる.両企業の最適化の1階条件より,
{
𝑦∗= 1 𝐴1−𝛼
1 − 𝑡 𝜏 (𝑤 + 𝑟
𝜃 ) (𝑦 + 𝑦∗)2−𝛼− 𝛼𝑦 𝑦 = 1
𝐴1−𝛼 1 − 𝑡∗
𝜏 (𝑤∗+ 𝑟
𝜃∗ ) (𝑦 + 𝑦∗)2−𝛼− 𝛼 𝑦∗
(8.18)
上記の連立方程式より,両企業の均衡における生産比124は,次のようになる.
𝑦𝑒∗= ((1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟
𝜃 − 𝛼(1 − 𝑡∗)𝑤∗+ 𝑟 𝜃∗ (1 − 𝑡∗)𝑤∗+ 𝑟
𝜃∗ − 𝛼(1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟 𝜃
) 𝑦𝑒 (8.19)
となる.したがって,第i差別化財のクールノー・ナッシュ均衡125は,
124 本章末の付録を参照
125 本章末の付録を参照
158 {
𝑦𝑒𝐸= 𝐴
1 − 𝛼∙(1 − 𝑡∗)𝑤∗+ 𝑟
𝜃∗ − 𝛼(1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟 𝜃 (1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟
𝜃 + (1 − 𝑡∗)𝑤∗+ 𝑟 𝜃∗
[ 𝛼 + 1
1 − 𝑡 𝜏
𝑤 + 𝑟
𝜃 +1 − 𝑡∗ 𝜏
𝑤∗+ 𝑟 𝜃∗
]
𝜀
𝑦𝑒∗𝐸= 𝐴
1 − 𝛼∙(1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟
𝜃 − 𝛼(1 − 𝑡∗)𝑤∗+ 𝑟 𝜃∗ (1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟
𝜃 + (1 − 𝑡∗)𝑤∗+ 𝑟 𝜃∗
[ 𝛼 + 1
1 − 𝑡 𝜏
𝑤 + 𝑟
𝜃 +1 − 𝑡∗ 𝜏
𝑤∗+ 𝑟 𝜃∗
]
𝜀 (8.20)
となる。但し,𝑦𝑒𝐸は,自国企業の,𝑦𝑒∗𝐸はライバル企業の均衡下の生産量を表す.
ここで,(8.18)より,
(𝑦𝑒𝐸+ 𝑦𝑒∗𝐸)1−𝛼= 𝐴1−𝛼(𝛼 + 1) 1 − 𝑡
𝜏
𝑤 + 𝑟
𝜃 +1 − 𝑡∗ 𝜏
𝑤∗+ 𝑟 𝜃∗ 故に,第i差別化財の価格は,
𝑝𝑒 =(1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟
𝜃 + (1 − 𝑡∗)𝑤∗+ 𝑟 𝜃∗
𝜏(𝛼 + 1) (8.21)
となる.したがって,自国企業の利潤は,次のようになる.
π𝑒=
𝐴 ((1 − 𝑡∗)𝑤∗+ 𝑟
𝜃∗ − 𝛼(1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟 𝜃 (1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟
𝜃 + (1 − 𝑡∗)𝑤∗+ 𝑟 𝜃∗
)
2
1 − 𝛼 [ 𝛼 + 1
1 − 𝑡 𝜏
𝑤 + 𝑟
𝜃 +1 − 𝑡∗ 𝜏
𝑤∗+ 𝑟 𝜃∗
]
𝜀−1
− 𝑓𝑒
(8.22)
一方,ライバル企業の利潤は,
π𝑒∗=
𝐴 ((1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟
𝜃 − 𝛼(1 − 𝑡∗)𝑤∗+ 𝑟 𝜃∗ (1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟
𝜃 + (1 − 𝑡∗)𝑤∗+ 𝑟 𝜃∗
)
2
1 − 𝛼 [ 𝛼 + 1
1 − 𝑡 𝜏
𝑤 + 𝑟
𝜃 +1 − 𝑡∗ 𝜏
𝑤∗+ 𝑟 𝜃∗
]
𝜀−1
− 𝑓𝑒∗
(8.23)
(8.2),(8.21)を用いると,第三国の市場規模(=A𝑇ℎ𝑖𝑟𝑑)は,以下のようになる.
A𝑇ℎ𝑖𝑟𝑑 = 𝐸
𝑁𝑒[(1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟
𝜃 + (1 − 𝑡∗)𝑤∗+ 𝑟 𝜃∗
𝜏(𝛼 + 1) ]
1−𝜀
ここで,𝑁𝑒は,自国の輸出企業数である.(8.22)より,輸出企業のゼロ利潤条件を用い ると,𝑁𝑒は,
𝑁𝑒= 𝐸
𝑓𝑒(1 − 𝛼)((1 − 𝑡∗)𝑤∗+ 𝑟
𝜃∗ − 𝛼(1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟 𝜃 (1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟
𝜃 + (1 − 𝑡∗)𝑤∗+ 𝑟 𝜃∗
)
2
(8.24)
同様に,(8.23)より,ライバル国の輸出企業数𝑁𝑒∗は,
𝑁𝑒∗= 𝐸
𝑓𝑒∗(1 − 𝛼)((1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟
𝜃 − 𝛼(1 − 𝑡∗)𝑤∗+ 𝑟 𝜃∗ (1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟
𝜃 + (1 − 𝑡∗)𝑤∗+ 𝑟 𝜃∗
)
2
(8.25)
159 故に,第三国の製品バラエティの数𝑁𝑒は,
𝑁𝑒= max{𝑁𝑒, 𝑁𝑒∗} となる.
(8.24)より,𝑁𝑒は自国の補助金率tの増加関数であるが,ライバル国の補助金率𝑡∗の 減少関数である.同様のことが,𝑁𝑒∗にも当てはまる.したがって,第三国における企業 間競争は,両国の輸出企業の数を増やす効果がある.
8.5.3 結果の考察
自国の補助金率tが,
𝑡 ≥ 1 − 𝛼(1 − 𝑡∗)𝑤∗+ 𝑟 𝑤 + 𝑟 ∙ 𝜃
𝜃∗ のとき,ライバル企業の輸出量はゼロ以下になる.
言い換えると,補助金率を所与とするとき,自国とライバル企業の生産性比率が,
𝜃∗
𝜃 ≤ 𝛼1 − 𝑡∗
1 − 𝑡 ∙𝑤∗+ 𝑟 𝑤 + 𝑟 のとき, 𝑁𝑒∗
= 0となり,第三国市場は自国企業の独占市場になる.それ以外のとき,第 三国市場は,自国とライバル企業の複占市場になる.
次に,自国の補助金率が,第三国の第i財市場に及ぼす影響を考察する.
自国の補助金率𝑡とクールノー・ナッシュ均衡(8.20)の関係は,次のグラフで示される.
図8.6:補助金率と市場占有率
低い補助金率は,ライバル企業の生産増加を促し,自国企業の利潤減少を引き起こす.
その結果,低い補助金率によって,生産性が高くても,自国企業の第三国への進出が損 なわれる場合がある.低率の補助金は,戦略的補完効果をもつ.そのため低率の補助金 は,却って自国の相対的生産性を下げてしまう.
𝑦𝑒𝐸(t), 𝑦𝑒∗𝐸(t)
t
0 1
𝑦𝑒𝐸 𝑦𝑒∗𝐸
低率
中率
高率
160
中位の補助金は,第三国市場の複占状態を実現する.補助金率を高い水準へ引き上げ ると,ライバル企業の生産量は減少する.やがて,高い補助金率では,自国企業は第三 国市場を独占することが出来る.中位以上の補助金率は,戦略的代替効果を通して,ラ イバル企業の相対的な生産性低下により,ライバル企業の生産量を下げる効果がある.
命題8.3
(1) 自国の高い補助金は,自国企業の生産性を上昇させ,ライバル国の第三国への市場 参入を抑制する効果がある.
(2) 自国の低い補助金は,自国企業の生産量を増加させる一方で,両企業の第三国市場 での数量競争を激しくさせ,自国の利潤減少と第三国市場への参入抑制効果をもつ.
8.5.4 参入企業数
次に,自国と第三国の経済厚生を分析する.自国と第三国の総市場規模は次の式を満 たす.
A𝑁 [𝑤(1 + 𝑟) 𝛼𝜃 ]
1−𝜀
+ 𝐴(𝑁 − 𝑁𝑑) [(1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟
𝜃 + (1 − 𝑡∗)𝑤∗+ 𝑟 𝜃∗
𝜏(𝛼 + 1) ]
1−𝜀
= 𝐸 故に,(8.5),(8.22)式のゼロ利潤条件より,
𝑁𝑓𝑑+ (𝑁 − 𝑁𝑑)𝑓𝑒 = [1 − 𝛼 + 1
1 − 𝛼((1 − 𝑡∗)𝑤∗+ 𝑟
𝜃∗ − 𝛼(1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟 𝜃 (1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟
𝜃 + (1 − 𝑡∗)𝑤∗+ 𝑟 𝜃∗
)
2
] 𝐸
ここで,労働市場の清算条件は,
𝐸 = 𝛼
1 − 𝛼𝑓𝑑+1 + 𝑟
𝜏𝜃 ∙ (1 + 𝛼)𝑓𝑒
(1 − 𝑡∗)𝑤∗+ 𝑟
𝜃∗ − 𝛼(1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟 𝜃
(8.26)
(8.13),(8.14)式と𝑁𝑑+ 𝑁𝑒= 𝑁より,均衡における自国の参入企業数が求まる.
𝑁(𝑡) = 1 𝑓𝑒+ 𝑓𝑑
{
𝑁𝑒𝑓𝑒+ [1 − 𝛼 + 1
1 − 𝛼((1 − 𝑡∗)𝑤∗+ 𝑟
𝜃∗ − 𝛼(1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟 𝜃 (1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟
𝜃 + (1 − 𝑡∗)𝑤∗+ 𝑟 𝜃∗
)
2
]
× [ 𝛼
1 − 𝛼𝑓𝑑+1 + 𝑟
𝜏𝜃 ∙ 1 + 𝛼
(1 − 𝑡∗)𝑤∗+ 𝑟
𝜃∗ − 𝛼(1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟 𝜃
𝑓𝑒] }
(8.27)
両企業の生産性を所与とするとき,自国の参入企業数は,ライバル国の補助金率が小 さい場合,自国補助金率の単調な増加関数になるが,ライバル国の補助金率が大きい場 合,自国補助金率に関して,U字型の凸関数になる.
161
図8.7:補助金率と参入企業数(𝑡∗が小の場合(右図)と𝑡∗が大の場合(左図))
命題8.3の(2)で言及した通り,ライバル国の補助金が低率であるときは,第三国市 場での数量競争の軋轢が緩和されるため,自国政府の補助金は,単純に第三国市場への 参入を促進させる.一方,ライバル国の補助金が高率であるときは,第三国市場での数 量競争が激化するため,自国政府の補助金が低率の水準である間,自国の補助金はライ バル企業の生産量を増加させ,第三国市場への参入を阻害する.しかし,補助金率が高 率になるに伴い,自国の補助金は,ライバル企業から自国企業へ現地市場のレントを収 奪する効果126がある.
命題8.4
(1) ライバル国の補助金が低率である場合,自国政府の補助金は,第三国市場への参入 を促進させる.
(2) ライバル国の補助金率が高率である場合,参入企業数は,自国補助金率に関して,
U字型凸関数になる.
8.5.5 経済厚生
最後に,自国補助金の間接効用への影響の考察を行うことにする.
ここで,(8.1),(8.11),(8.20)および,𝑁𝑑+ 𝑁𝑒= 𝑁と(8.27)を用いると,自国と 第三国の間接効用の和は,次のようになる.
𝑢𝑇 = {𝑁(𝑡)}1𝛼 𝛼𝜃
1 − 𝛼∙ 𝑓𝑑
𝑤(1 + 𝑟)+ 𝑁𝑑1𝛼 (𝛼 + 1)𝑓𝑒 (1 − 𝑡∗)𝑤∗+ 𝑟
𝜃∗ − 𝛼(1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟 𝜃
(8.28)
(8.28)右辺第1項は自国の間接効用を,右辺第2項は第三国の間接効用を,それぞれ 示している.(8.28)の右辺第1項は,ライバル国の補助金率が低い場合,自国の補助金 率の減少関数であるが,ライバル国の補助金率が高い場合,自国の補助金率のU字型凸 関数である.一方,(8.28)の右辺第2項は,自国の補助金率の減少関数であるが,ライ
126 これは戦略的代替効果によるレント・シフティング効果を意味する.
𝑁
0 1 t
𝑁
0 1 t
162
バル国の補助金率の増加関数である.したがって,𝑢𝑇は,ライバル国の補助金率が低い 場合,自国の補助金率の減少関数であるが,ライバル国の補助金率が高い場合,自国の 補助金率のU字型凸関数である.
ライバル国の補助金率が高い場合,自国の補助金率は,第三国での自国企業とライバ ル企業の競争を激化させ,自国企業のレント減少が起こる.その結果,自国の補助金は,
輸出企業の数を減少させ,第三国の労働需要の低下を通じて,製品バラエティの縮小を 引き起こす.一方,ライバル国の補助金率が低い場合,戦略的補完効果が強く働き,自 国の輸出企業の数が増加する.したがって,自国の補助金は,製品バラエティの拡大を 通じて,自国と第三国の消費を促すのである.
命題8.5
(1) ライバル国の補助金率が高い場合,自国の補助金率は,第三国市場におけるレント 減少を引き起こし,自国と外国全体の経済厚生を悪化させる.
(2) ライバル国の補助金率が低い場合,自国の補助金率は,輸出企業の国際競争力を高 め,製品バラエティの拡大を通じて,自国と第三国全体の経済厚生を改善する.