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参入企業数と経済厚生

ドキュメント内 多国籍企業の所有権構造と参入戦略 (ページ 164-171)

第 8 章 企業の参入形態と輸出補助金

8.5 参入企業数と経済厚生

155

図8.5:補助金率と市場参入(高い補助金率)

したがって,高い補助金率のケースでは,上記の低率と中位率の補助金のケースとは 異なり,𝜃𝑒 < 𝜃 < 𝜃𝑑のとき,企業は第三国市場に参入するが,𝜃𝑑 < 𝜃のとき,輸出企業 の一部が国内市場に参入することになる.高い補助金率は,元来,生産性の高い企業が 第三国市場から自国市場への進出転換(=自国市場への回帰)を促す効果がある.

156 𝐴 = 1

1 − 𝛼[𝑤(1 + 𝑟) 𝛼𝜃 ]

𝜀−1

𝑓𝑑 (8.11)

𝐴 = 1

1 − 𝛼[(1 − 𝑡) (𝑤 + 𝑟 𝛼𝜃𝜏 )]

𝜀−1

𝑓𝑒 (8.12)

(8.11),(8.12)式を(8.10)式に適用すると,

𝑁𝑓𝑑+ (𝑁 − 𝑁𝑑)𝑓𝑒= (1 − 𝛼)𝐸 (8.13) 一方,中間財が生産された後,輸出補助金が供与されるので,自国と第三国の労働需 要をLと定義すると,

𝐿 ≡ (1 + 𝑟

𝜃 𝑦𝑑+ 1

𝜏𝜃𝑦𝑒) + 𝑟 𝜏𝜃𝑦𝑒

となる.Lの右辺の第一項は自国の労働需要𝐿1であり,第二項は第三国の労働需要𝐿2であ

る.

したがって,労働市場の清算条件は,

𝑤𝐿1+ 𝐿2= 𝛼

1 − 𝛼(𝑓𝑑+ 𝑓𝑒

1 − 𝑡) = 𝐸 (8.14)

故に,(8.13),(8.14)式と𝑁𝑑+ 𝑁𝑒= 𝑁より,均衡における参入企業数が求まる.

𝑁(𝑡) = 1

𝑓𝑒+ 𝑓𝑑[𝑁𝑒𝑓𝑒+ 𝛼 (𝑓𝑑+ 𝑓𝑒

1 − 𝑡)] (8.15)

自国市場の参入の企業数は,補助金率と自国の賃金率の減少関数であるが,第三国で 支払われる単位賃金𝑟の増加関数である.

命題8.1

輸出補助金は国内市場への参入を相対的に減少させ,第三国市場への参入を促す.

ここで,(8.1),(8.11),(8.12)および,𝑁𝑑+ 𝑁𝑒= 𝑁と(8.15)を用いると,自国と 第三国の間接効用の和:𝑢𝑇は,次のようになる.

𝑢𝑇 = (∫ 𝑦(𝑖)𝛼

𝑁

0

𝑑𝑖)

1 𝛼

+ ( ∫ 𝑦(𝑖)𝛼

𝑁

𝑁𝑒

𝑑𝑖)

1 𝛼

∴ 𝑢𝑇= 𝛼𝜃 1 − 𝛼

{ 𝑓𝑑

𝑤(1 + 𝑟)[𝑁𝑒𝑓𝑒+ 𝛼 (𝑓𝑑+ 𝑓𝑒 1 − 𝑡)

𝑁(𝑡)

]

1 𝛼

+ 𝜏 1 − 𝑡( 𝑓𝑒

𝑤 + 𝑟) 𝑁𝑑𝛼1 }

(8.16)

(8.16)式の右辺第1項は,自国の間接効用を,右辺第2項は第三国の間接効用を示 している.第三国への輸出企業数は補助金率の増加関数なので,補助金率は第三国の間 接効用を増加させる.また,輸出企業の増加は,製品バラエティを拡大させ,自国の消

157

費を促す.したがって,輸出補助金は,自国市場から第三国市場への所得移転を促し,

自国と第三国の経済厚生を改善させる.

命題8.2

(1) 生産性の高さは,製品バラエティを拡大させ,自国と第三国の経済厚生を改善させ る.

(2) 第三国市場独占のケースでは,輸出補助金は,自国市場から第三国市場への所得移 転を促し,自国と第三国の経済厚生を改善させる.

8.5.2 複占のケース

ここでは自国企業とライバル企業が,第三国市場に参入するケースを考察する.自国 企業とライバル企業が,第三国市場に参入するケースでは,ライバル企業の生産性をθ として,自国企業の生産性と区別すると,次の条件

𝜃𝑒 < 𝜃 𝑎𝑛𝑑 𝜃𝑒< 𝜃 を満たす必要がある.

このとき第三国の第 i 差別化財は,自国とライバル国の両企業によって供給される.

第i差別化財の需要関数より,次のようになる.

y𝑒+ y𝑒= A𝑝𝑒−𝜀⟺ 𝑝𝑒= ( A y𝑒+ y𝑒)

1−𝛼

(8.17) ここで,ライバル企業の補助金率を𝑡賃金率を𝑤とし,他のライバル企業の条件は自 国企業のものと等しいと仮定する.このとき自国輸出企業の利潤最大化問題は,

max𝑦 π𝑒 = max

𝑦 [( A 𝑦 + 𝑦)

1−𝛼

−1 − 𝑡 𝜏 (𝑤 + 𝑟

𝜃 )] 𝑦 − 𝑓𝑒 となる.両企業の最適化の1階条件より,

{

𝑦= 1 𝐴1−𝛼

1 − 𝑡 𝜏 (𝑤 + 𝑟

𝜃 ) (𝑦 + 𝑦)2−𝛼− 𝛼𝑦 𝑦 = 1

𝐴1−𝛼 1 − 𝑡

𝜏 (𝑤+ 𝑟

𝜃 ) (𝑦 + 𝑦)2−𝛼− 𝛼 𝑦

(8.18)

上記の連立方程式より,両企業の均衡における生産比124は,次のようになる.

𝑦𝑒= ((1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟

𝜃 − 𝛼(1 − 𝑡)𝑤+ 𝑟 𝜃 (1 − 𝑡)𝑤+ 𝑟

𝜃 − 𝛼(1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟 𝜃

) 𝑦𝑒 (8.19)

となる.したがって,第i差別化財のクールノー・ナッシュ均衡125は,

124 本章末の付録を参照

125 本章末の付録を参照

158 {

𝑦𝑒𝐸= 𝐴

1 − 𝛼∙(1 − 𝑡)𝑤+ 𝑟

𝜃 − 𝛼(1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟 𝜃 (1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟

𝜃 + (1 − 𝑡)𝑤+ 𝑟 𝜃

[ 𝛼 + 1

1 − 𝑡 𝜏

𝑤 + 𝑟

𝜃 +1 − 𝑡 𝜏

𝑤+ 𝑟 𝜃

]

𝜀

𝑦𝑒∗𝐸= 𝐴

1 − 𝛼∙(1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟

𝜃 − 𝛼(1 − 𝑡)𝑤+ 𝑟 𝜃 (1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟

𝜃 + (1 − 𝑡)𝑤+ 𝑟 𝜃

[ 𝛼 + 1

1 − 𝑡 𝜏

𝑤 + 𝑟

𝜃 +1 − 𝑡 𝜏

𝑤+ 𝑟 𝜃

]

𝜀 (8.20)

となる。但し,𝑦𝑒𝐸は,自国企業の,𝑦𝑒∗𝐸はライバル企業の均衡下の生産量を表す.

ここで,(8.18)より,

(𝑦𝑒𝐸+ 𝑦𝑒∗𝐸)1−𝛼= 𝐴1−𝛼(𝛼 + 1) 1 − 𝑡

𝜏

𝑤 + 𝑟

𝜃 +1 − 𝑡 𝜏

𝑤+ 𝑟 𝜃 故に,第i差別化財の価格は,

𝑝𝑒 =(1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟

𝜃 + (1 − 𝑡)𝑤+ 𝑟 𝜃

𝜏(𝛼 + 1) (8.21)

となる.したがって,自国企業の利潤は,次のようになる.

π𝑒=

𝐴 ((1 − 𝑡)𝑤+ 𝑟

𝜃 − 𝛼(1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟 𝜃 (1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟

𝜃 + (1 − 𝑡)𝑤+ 𝑟 𝜃

)

2

1 − 𝛼 [ 𝛼 + 1

1 − 𝑡 𝜏

𝑤 + 𝑟

𝜃 +1 − 𝑡 𝜏

𝑤+ 𝑟 𝜃

]

𝜀−1

− 𝑓𝑒

(8.22)

一方,ライバル企業の利潤は,

π𝑒=

𝐴 ((1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟

𝜃 − 𝛼(1 − 𝑡)𝑤+ 𝑟 𝜃 (1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟

𝜃 + (1 − 𝑡)𝑤+ 𝑟 𝜃

)

2

1 − 𝛼 [ 𝛼 + 1

1 − 𝑡 𝜏

𝑤 + 𝑟

𝜃 +1 − 𝑡 𝜏

𝑤+ 𝑟 𝜃

]

𝜀−1

− 𝑓𝑒

(8.23)

(8.2),(8.21)を用いると,第三国の市場規模(=A𝑇ℎ𝑖𝑟𝑑)は,以下のようになる.

A𝑇ℎ𝑖𝑟𝑑 = 𝐸

𝑁𝑒[(1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟

𝜃 + (1 − 𝑡)𝑤+ 𝑟 𝜃

𝜏(𝛼 + 1) ]

1−𝜀

ここで,𝑁𝑒は,自国の輸出企業数である.(8.22)より,輸出企業のゼロ利潤条件を用い ると,𝑁𝑒は,

𝑁𝑒= 𝐸

𝑓𝑒(1 − 𝛼)((1 − 𝑡)𝑤+ 𝑟

𝜃 − 𝛼(1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟 𝜃 (1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟

𝜃 + (1 − 𝑡)𝑤+ 𝑟 𝜃

)

2

(8.24)

同様に,(8.23)より,ライバル国の輸出企業数𝑁𝑒は,

𝑁𝑒= 𝐸

𝑓𝑒(1 − 𝛼)((1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟

𝜃 − 𝛼(1 − 𝑡)𝑤+ 𝑟 𝜃 (1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟

𝜃 + (1 − 𝑡)𝑤+ 𝑟 𝜃

)

2

(8.25)

159 故に,第三国の製品バラエティの数𝑁𝑒は,

𝑁𝑒= max{𝑁𝑒, 𝑁𝑒} となる.

(8.24)より,𝑁𝑒は自国の補助金率tの増加関数であるが,ライバル国の補助金率𝑡の 減少関数である.同様のことが,𝑁𝑒にも当てはまる.したがって,第三国における企業 間競争は,両国の輸出企業の数を増やす効果がある.

8.5.3 結果の考察

自国の補助金率tが,

𝑡 ≥ 1 − 𝛼(1 − 𝑡)𝑤+ 𝑟 𝑤 + 𝑟 ∙ 𝜃

𝜃 のとき,ライバル企業の輸出量はゼロ以下になる.

言い換えると,補助金率を所与とするとき,自国とライバル企業の生産性比率が,

𝜃

𝜃 ≤ 𝛼1 − 𝑡

1 − 𝑡 ∙𝑤+ 𝑟 𝑤 + 𝑟 のとき, 𝑁𝑒

= 0となり,第三国市場は自国企業の独占市場になる.それ以外のとき,第 三国市場は,自国とライバル企業の複占市場になる.

次に,自国の補助金率が,第三国の第i財市場に及ぼす影響を考察する.

自国の補助金率𝑡とクールノー・ナッシュ均衡(8.20)の関係は,次のグラフで示される.

図8.6:補助金率と市場占有率

低い補助金率は,ライバル企業の生産増加を促し,自国企業の利潤減少を引き起こす.

その結果,低い補助金率によって,生産性が高くても,自国企業の第三国への進出が損 なわれる場合がある.低率の補助金は,戦略的補完効果をもつ.そのため低率の補助金 は,却って自国の相対的生産性を下げてしまう.

𝑦𝑒𝐸(t), 𝑦𝑒∗𝐸(t)

t

0 1

𝑦𝑒𝐸 𝑦𝑒∗𝐸

低率

中率

高率

160

中位の補助金は,第三国市場の複占状態を実現する.補助金率を高い水準へ引き上げ ると,ライバル企業の生産量は減少する.やがて,高い補助金率では,自国企業は第三 国市場を独占することが出来る.中位以上の補助金率は,戦略的代替効果を通して,ラ イバル企業の相対的な生産性低下により,ライバル企業の生産量を下げる効果がある.

命題8.3

(1) 自国の高い補助金は,自国企業の生産性を上昇させ,ライバル国の第三国への市場 参入を抑制する効果がある.

(2) 自国の低い補助金は,自国企業の生産量を増加させる一方で,両企業の第三国市場 での数量競争を激しくさせ,自国の利潤減少と第三国市場への参入抑制効果をもつ.

8.5.4 参入企業数

次に,自国と第三国の経済厚生を分析する.自国と第三国の総市場規模は次の式を満 たす.

A𝑁 [𝑤(1 + 𝑟) 𝛼𝜃 ]

1−𝜀

+ 𝐴(𝑁 − 𝑁𝑑) [(1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟

𝜃 + (1 − 𝑡)𝑤+ 𝑟 𝜃

𝜏(𝛼 + 1) ]

1−𝜀

= 𝐸 故に,(8.5),(8.22)式のゼロ利潤条件より,

𝑁𝑓𝑑+ (𝑁 − 𝑁𝑑)𝑓𝑒 = [1 − 𝛼 + 1

1 − 𝛼((1 − 𝑡)𝑤+ 𝑟

𝜃 − 𝛼(1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟 𝜃 (1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟

𝜃 + (1 − 𝑡)𝑤+ 𝑟 𝜃

)

2

] 𝐸

ここで,労働市場の清算条件は,

𝐸 = 𝛼

1 − 𝛼𝑓𝑑+1 + 𝑟

𝜏𝜃 ∙ (1 + 𝛼)𝑓𝑒

(1 − 𝑡)𝑤+ 𝑟

𝜃 − 𝛼(1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟 𝜃

(8.26)

(8.13),(8.14)式と𝑁𝑑+ 𝑁𝑒= 𝑁より,均衡における自国の参入企業数が求まる.

𝑁(𝑡) = 1 𝑓𝑒+ 𝑓𝑑

{

𝑁𝑒𝑓𝑒+ [1 − 𝛼 + 1

1 − 𝛼((1 − 𝑡)𝑤+ 𝑟

𝜃 − 𝛼(1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟 𝜃 (1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟

𝜃 + (1 − 𝑡)𝑤+ 𝑟 𝜃

)

2

]

× [ 𝛼

1 − 𝛼𝑓𝑑+1 + 𝑟

𝜏𝜃 ∙ 1 + 𝛼

(1 − 𝑡)𝑤+ 𝑟

𝜃 − 𝛼(1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟 𝜃

𝑓𝑒] }

(8.27)

両企業の生産性を所与とするとき,自国の参入企業数は,ライバル国の補助金率が小 さい場合,自国補助金率の単調な増加関数になるが,ライバル国の補助金率が大きい場 合,自国補助金率に関して,U字型の凸関数になる.

161

図8.7:補助金率と参入企業数(𝑡が小の場合(右図)と𝑡が大の場合(左図))

命題8.3の(2)で言及した通り,ライバル国の補助金が低率であるときは,第三国市 場での数量競争の軋轢が緩和されるため,自国政府の補助金は,単純に第三国市場への 参入を促進させる.一方,ライバル国の補助金が高率であるときは,第三国市場での数 量競争が激化するため,自国政府の補助金が低率の水準である間,自国の補助金はライ バル企業の生産量を増加させ,第三国市場への参入を阻害する.しかし,補助金率が高 率になるに伴い,自国の補助金は,ライバル企業から自国企業へ現地市場のレントを収 奪する効果126がある.

命題8.4

(1) ライバル国の補助金が低率である場合,自国政府の補助金は,第三国市場への参入 を促進させる.

(2) ライバル国の補助金率が高率である場合,参入企業数は,自国補助金率に関して,

U字型凸関数になる.

8.5.5 経済厚生

最後に,自国補助金の間接効用への影響の考察を行うことにする.

ここで,(8.1),(8.11),(8.20)および,𝑁𝑑+ 𝑁𝑒= 𝑁と(8.27)を用いると,自国と 第三国の間接効用の和は,次のようになる.

𝑢𝑇 = {𝑁(𝑡)}1𝛼 𝛼𝜃

1 − 𝛼∙ 𝑓𝑑

𝑤(1 + 𝑟)+ 𝑁𝑑1𝛼 (𝛼 + 1)𝑓𝑒 (1 − 𝑡)𝑤+ 𝑟

𝜃 − 𝛼(1 − 𝑡)𝑤 + 𝑟 𝜃

(8.28)

(8.28)右辺第1項は自国の間接効用を,右辺第2項は第三国の間接効用を,それぞれ 示している.(8.28)の右辺第1項は,ライバル国の補助金率が低い場合,自国の補助金 率の減少関数であるが,ライバル国の補助金率が高い場合,自国の補助金率のU字型凸 関数である.一方,(8.28)の右辺第2項は,自国の補助金率の減少関数であるが,ライ

126 これは戦略的代替効果によるレント・シフティング効果を意味する.

𝑁

0 1 t

𝑁

0 1 t

162

バル国の補助金率の増加関数である.したがって,𝑢𝑇は,ライバル国の補助金率が低い 場合,自国の補助金率の減少関数であるが,ライバル国の補助金率が高い場合,自国の 補助金率のU字型凸関数である.

ライバル国の補助金率が高い場合,自国の補助金率は,第三国での自国企業とライバ ル企業の競争を激化させ,自国企業のレント減少が起こる.その結果,自国の補助金は,

輸出企業の数を減少させ,第三国の労働需要の低下を通じて,製品バラエティの縮小を 引き起こす.一方,ライバル国の補助金率が低い場合,戦略的補完効果が強く働き,自 国の輸出企業の数が増加する.したがって,自国の補助金は,製品バラエティの拡大を 通じて,自国と第三国の消費を促すのである.

命題8.5

(1) ライバル国の補助金率が高い場合,自国の補助金率は,第三国市場におけるレント 減少を引き起こし,自国と外国全体の経済厚生を悪化させる.

(2) ライバル国の補助金率が低い場合,自国の補助金率は,輸出企業の国際競争力を高 め,製品バラエティの拡大を通じて,自国と第三国全体の経済厚生を改善する.

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