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介助について

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第 2 章 中国における障害のある人びとの実態

3.3 介助について

介助サービスの利用は、障害のある人びとの自立にとって欠かせないものだと考える が、独身で家族と一緒に住んでいる障害当事者に対する調査結果によれば、支援者である 家族が将来病気になったら、誰から支援が得られるのかという不安を抱いていることや、

施設利用に関しては、「最後の選択だ」と思っていることが示されている。

3.3.1 制度の現状

3.3.1.1 介助制度の展開

介助サービス制度は2007年から発足し、2008年の保障法で正式に法定化された。中国 語では「托养服务」と呼ばれている。その内容は、条件を満たしている就業年齢に至った 知的、精神、そして重度障害のある人びとの日常生活の介助や生活能力の訓練、職業リハ ビリテーション、身体リハビリテーションなどのサービスが含まれている。

2007 年に中国障害者連合会が広州で第1回目の「全国障害者介助サービスに関する会 議」を行い、初めて知的、精神、重度障害のある人びとに対する特別なサービスを提供す ることが「托养服务」と定義された。そして、2008年に改正された保障法の中で、「自分 で生活ができない障害のある人びとに対し、各地方自治体はその生活状況に基づき生活 保護金を給付すべきである。また、各地方政府は、労働能力がなく、扶養者がいない、ま たは扶養者に扶養能力がなく、生活収入源がない障害のある人に対し、政府は規定により 扶養する義務がある。政府は民間組織と連携して障害のある人びとに介助サービスを提 供する、または扶養する施設を設置する」と規定された。この時期には、介助サービスに 関連する制度や内容はまだ正式に規定されていない。

2008 年以降、中国政府は、「障害者介助サービスの実施計画」において、「重度、知 的、精神、高齢などの障害のある人びとに対する介助サービスは地域(コミュニティー)

を規模とする。生活の介助サービス、リハビリテーション、技能訓練、文化娯楽、スポー ツ訓練などの公益性を持っている総合的なサービスを推進し、一定水準になった地域は このような障害のある人びとにホームヘルプの補助金を給付すべきである」と公布した。

その後、一部の大都市では地方政府の支持と社会団体の力のもとで、大型の施設が出現し た。

2010年に、政府は「障害者社会保障とサービス体系の建設に関する指導意見」の中で、

介助に関する規定を以下のように示している。地級市や大都市では介助サービス施設を モデルにし、地域の街やコミュニティーのディサービスを主体とした居宅介助サービス を基本とする介助制度が設立された。特に、省レベルの施設は全省の介助サービスの先駆 としてモデルを示し、具体的な業務指導や訓練を提供し、市レベルや県では障害のある人

びとの基本的な介助サービスと緊急時の保障サービスを提供し、デイサービスやホーム ヘルプ事業の指導を行うことが提示された。

近年、「障害者介助サービスの発展を促進する意見」、「障害者介助サービス基本的規 範(試行)」、「障害者介助サービス基本知識に関する読書」などが相次いで公布され、

政府は障害のある人びとの介助サービスの規範を明確にする意向が示していると考えて いる。また、中国における障害のある人びとに対する介助サービスの提供は、就業年齢に なった人びとの自立生活能力、職業訓練などの社会に適応できる能力の向上を核心とし て展開されている。

3.3.1.2 現行の介助制度の内容

中国における障害のある人びとの介助サービスは、この10年間で徐々に、施設での集 中的な介助サービス、デイサービス、およびホームヘルプサービスという3種の形式で発 展してきた。障害福祉サービスの制定・実施を担当している障害者連合会は、2013 年に 制定された「障害者介助サービス基本規範(試行)」の中で、介助サービスの形式を「施 設の介助」と「居宅の介助」に分け、デイサービスを施設の介助に含めることが規定され た。

2018 年の障害者事業発展統計公報によると、全国の介助サービスを提供する施設は

8,435カ所あり、そのうち、寄宿型介助施設は2,639カ所、デイケア施設は4,099カ所、総

合的介助サービス施設は 1,697 カ所である。障害のある人びとの 22.3 万人が施設の介助 サービスを利用し、88.8万人が居宅介助サービスを利用している。そして、2.2万人の介 助サービスの提供者や施設の担当者が専門知識の教育訓練を経験したことが示されてい る。

障害のある人びとに対する介助サービス提供の手当てに関しては、4種類の手当てが存 在している。介助サービスの手当ては施設を主要な対象として給付される。1つ目は、施 設の介助サービスに対する手当てである。中央政府は「陽光家園計画」21の規定の中で、

グループホーム形式の介助サービスに対する扶助は、1人で1年間1500元以上と示され ており、この扶助金は直接施設側に給付される。施設の範囲としては政府や障害者連合会 が運営する公益性のグループホーム形式の施設とデイサービス形式の施設と、社会団体 や個人の力で組織された非営利施設とを含んでいる。各地方の実施状況はそれぞれであ るが、北京市などの大都市での給付金はすでにこの基準を超えているが、一部の中西部で はまだこの基準に達してはいない(張・何 2015)。そのほか、中央政府は施設の建設や 運営の援助も行っている。

これに対し、障害当事者に対する扶助については、貧困状態における無職の知的、精神、

重度障害のある人びとの家庭に生活保護補助金を給付するものである。2009年から2012 年までの標準は1人1年間で500元以上と規定され、2012年以降は600元に増加した。

現在では、各地方の実際の給付金はこの標準より高い傾向を示している(張・何 2015)。

以下の表2.15は、2016年度の各介助サービスの利用状況を示している。2016年度の施 設でのサービスを利用する障害のある人の人数は 20.4万人になり、そのうち、知的障害 は6.76万人で、総数の33.14%、精神障害は5.36万人で、総数の26.27%、重度障害は4.01 万人で、総数の19.66%、他の障害のある人は4.27万人で、総数の20.93%となっている。

この表から見ると、知的障害のある人はデイサービスの利用率が一番高く、重度障害のあ る人の施設介助に対するニーズが他の障害のある人より低いということがわかる。

表2.15 介助サービスの利用状況

障害種別 施設介助 グループホーム介助 ディサービス 人数(万

人)

割合(%) 人数

(万 人)

割合(%) 人数

(万 人)

割合(%)

知的障害 6.76 33.14 2.65 25.63 4.11 40.85 精神障害 5.36 26.27 2.63 25.44 2.73 27.14 重度障害 4.01 19.66 2.36 22.82 1.65 16.40

その他 4.27 20.93 2.70 26.11 1.57 15.61

出典:中国障害者連合会による『中国障害者事業統計年鑑(2017)』に基づき筆者作成

3.3.2 介助施設の実情

3.3.2.1 政府主導の「陽光家園」

「陽光家園」は中国政府主導で設立された介助サービス施設の代表となるものである。

中国障害者連合会と財政部により設立され、2009年に江蘇省、湖北省、陕西省、広州市、

武漢市、成都市と「中国障害者連合会障害者社会保障サービス体系建設試験区・試験都市 協議書」を結び、障害のある人びとに介助サービスを提供するモデル地方とされた。2009 年から2011年までに、中央財政部が全部で6億元の資金を出し、各地の介助サービスを 提供する施設の建設や運営に使用した。

「陽光家園計画」が提供する介助サービスの形式は、大きく2つに分けられる。1つは 貧困状態にある家庭において 1 人で生活できない知的、精神、重度障害のある人を対象 に、政府からの補助金でホームヘルプサービスを実施し、主に家で生活の日常的介助サー

ビスを提供するものである。もう1つは一定程度の生活能力を持っており、職業訓練や各 種の活動に参加できる知的、精神、重度障害のある人びとを対象に、「托养」サービスを 提供するもので、具体的には「デイサービス」と「グループホームサービス」に分けられ る。提供するサービスの内容は、リハビリテーション訓練、職業訓練、心理的指導、庇護 労働、文体活動などが挙げられる。その目的は、一連の訓練やサービスを通じて、障害の ある人びとの独立生活能力と就業能力を向上させるものである。

侯(2012)と範(2011)がそれぞれ武漢市と江西省の「陽光家園」の実施状況について 調査を行い、介助サービスの現状として、「資金不足」、「専門人材の不足」、「正式な サービスの管理システムがない」などの問題が存在しているという結果が示されている。

まず、「資金不足」の問題に関しては、政府主導の「陽光家園」は、主に政府からの補助 金で運営されているが、これらの資金で環境の整備や、質が高いサービスを維持するのは 不可能である。特に、侯(2012)が調査を実施した武漢市のある施設は、まだ食堂も建設 されていないので、障害のある人びとに不便をもたらす状況も存在していた。

次に、「専門人材の不足」の問題である。「陽光家園」で働いている多くの従業員は、

主にコミュニティーや街の居民であり、十分な専門知識を持っていない。また、彼らの多 くは学歴が低く、低賃金で働いており、障害のある人びとに良いサービスを提供すること はできない。また、障害のある人びとの権利保障に関連する法律支援や社会保障問題に対 する支援がほとんどなく、その原因として従業員の低い専門性だけでなく、その分野に関 する資格も持っていないことが示された。

また、「正式なサービスの管理システムがない」という問題もある。「托养服务」が始 まってから、「陽光家園」が障害のある人びとに提供する介助サービスの受け入れ度や、

サービスの形式の規範などはまだ明確になっていない。現段階では、多くの施設はいまだ リハビリテーションの段階にとどまり、サービスの提供者の管理や、当事者からの声の重 視などがまだ発展していないと言えるだろう。

以上の問題から見ると、政府は、知的、精神、重度障害のある人びとに介助サービスを 提供していることが確認できたが、現在の介助形式は相変わらず主に家族に頼り、当事者 の自立生活の実現をあまり促進するものではないと考える。また、政府主導の「陽光家園」

は、専門性を持っている障害者団体や非営利組織があまり参与しておらず、介助サービス に対する指導なども不足しているので、実際にどのぐらい当事者に役に立てるサービス を提供できるのかについては疑問である。

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