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ライブ活動

ドキュメント内 JAIST Repository https://dspace.jaist.ac.jp/ (ページ 97-107)

第 3 章 表現活動の実際

3.2 K-BOX

3.2.3 ライブ活動

(1) ライブ活動の概要

K-BOXの活動は,ライブ活動と,毎週行われているレッスンが軸となっている。ライブ活動は,音

楽や朗読に特化した企画ライブ,ゲストを招へいするスペシャルライブなどを合間に挟みながら,

毎月のように行われており,こわれ者の祭典より頻繁に開催されている。ライブの基本的な構成と しては,所属するメンバーのパフォーマンスとトークとなっており,こわれ者の祭典と似ている。しか しながら,異なっている点も多々ある。

一般的な K-BOXのライブは 15時から2 時間程度かけて行われる。会場はこわれ者の祭典の

新潟公演と同じ会館が用いられるが,視聴覚室という,こわれ者の祭典で用いる会場よりやや小さ い部屋で行われることが多い(図 21)。

図 21 K-BOXライブ会場(2012年819日)

会場には,ピアノがおかれており,ライブ時には照明や音響設備が活用される。ライブ会場の入 り口はフライヤーなどが貼りあわされ(図 22),会場の入口付近には立て看板が設置され,ライブ 会場であることがわかりやすく示される。

図 22 ライブ会場入り口(2010年1223日)

開場時間になると,観客は入場料を支払い会場に入る。入場料は通常は 500 円に設定されて いるが,年2回,夏と冬に行われるスペシャルライブでは800円となる。観客数はその都度変わる が,こわれ者の祭典より小規模であり,おおよそ20~30人程度である。こわれ者の祭典と同様に何 回も見かける観客の人たちもおり,リピーターも複数人いることがうかがえる。こわれ者の祭典に来 ている観客の姿も時折見受けられる。

開演時間になると司会のKaccoさんとRedさんにより,K-BOXの紹介がなされ,受付で配布さ れた資料を元に,今後の K-BOX の予定(メンバー出演イベント,Kacco さんの講演会,次回ライ ブ案内など)が紹介され,パフォーマンスが始まる(図 23)。

図 23司会のKaccoさんとRedさん(2011年123日)

K-BOX の紹介や今後のイベントなどの案内が終了した後に,メンバーのパフォーマンスがなさ

れる。パフォーマンスは,主にミュージック部門のメンバーの音楽や,パフォーマンス部門のメンバ ーによる自作詩の朗読パフォーマンスとなる。パフォーマンスの合間にはトークが挟まれる。

トークでは,病気の体験も語られるが,病気の話よりも日常生活上の近況などの話が語られる場

合が多い。こわれ者の祭典に比して,病気の表現は少なめで,パフォーマンスに重点をおく印象 を受ける。しかしながら,たとえば,ひきこもりアートフォーラムという新潟市主催のイベントにおい

てK-BOXのライブが組み込まれているが(2009年3月21日,2010年2月21日,12月12日

など),このように福祉イベントの一部として行われる時などは,病気の話に比重がおかれやすくな っている。K-BOXのライブといっても状況や求められている内容に応じて,病気や生きづらさの話 の比重を大きくしたり,小さくしたりと調整がなされている。

全体的な構成やトークの内容に限らずパフォーマンスにおいても病気や生きづらさの比重は異 なってくる。たとえば,タナベーさんは,ライブ 1 回につき 2 曲程度のジャズピアノの演奏を行うが

(図 24),こうしたパフォーマンスにおいては,病気の経験が直接的に詩の朗読のように反映され ているわけではない。

図 24 パフォーマンスするタナベーさん(2011年220日)

一方,詩の朗読パフォーマンスを行ういっしーさんは自らの経験を元にした作品を表現する。

以下は,いっしーさんのパフォーマンスの一部である(2011年6月18日)。

いっしー:次は,去年の 3 月 20 日に作った作品です。ちょっとガラッと雰囲気変わりますけ れども。去年の3月20日,あることの15周年ということで作品をひとつ作りました。聞いて ください。

(朗読)

「15周年」

今年は記念すべき年だ。俺が東京から新潟に帰ってきて 15 周年なんだ。あっという 間だったような,果てしなく長かったような。いろいろ経験をさせてもらった。そんな話を したいと思う。

この際は上記を述べた後,パフォーマンスが開始され,次いで,地下鉄サリン事件にあったこと

や,その後の仕事や病気の話など,病気や生きづらさのことが表現された。こうしたいっしーさん の朗読のようなパフォーマンスの内容では病気や生きづらさの比重は大きくなり,病気や生きづら さの表現される割合はこのようにパフォーマンスの形態によっても異なってくる。また,同じ音楽の パフォーマンスであっても病気の経験の表現の比重や,表現内容は異なってくる。音楽のパフォ ーマンスは,タナベ―さんのジャズピアノのようなものもあれば,Merry’z のようにロックバンドの形 態をとることもあれば,純名さんのピアノの弾き語りのような形態をとることもある。Merry’z は,カバ ー曲を演奏する時もあれば,人とのつながりの重要性を歌う「TSUMUGU」というオリジナル曲など を披露することもある(図 25)。純名さんは,「ひとりで疲れた時は仲間を探そうよ」といった歌詞が 含まれる明るい曲調の曲を披露したり,苦しかった時のことを歌詞にして表現することもある。また,

それぞれのパフォーマンスは単独で行われるのみならず,ミュージック部門のパフォーマーが詩 の朗読パフォーマンスの伴奏などを担当したりと,それぞれのメンバーの間で共演がなされること もある。

図 25 Merry’zのパフォーマンス(2012年219日)

アート部門のメンバーはライブの場でのパフォーマンスをする機会は少なく,ひきこもりアートフォ ーラムといったイベントへの出品や,K-BOX が行っているチャリティーアート展などへの出展

(2011年7 月3日−31 日)などがなされている。また,K-BOX のライブでは,アート部門のメンバ ーの作品が,絵はがき等の形で展示,販売され(図 26),ライブ中にその案内がなされる。

図 26 ライブ時に販売される物販物(2011年58日)

数は少ないものの,時にはアート部門の表現者によるライブ活動がなされることもある。たとえば,

ライブペイントという形で,アート部門のメンバーがパフォーマンスとしてステージ上で音楽を流し ながら,トークをしつつ絵を完成させていくという取り組みがなされることがあった(図 27)。また,

「トークライブ&爆笑お絵かき大喜利!」という形で,Kacco さんによる進行の下,出されるテーマ にしたがって絵を描いていく,といった取り組みもなされていた(図 28)。この取り組みは 2014 年 時点で3回目となっており,アート部門のメンバーがライブなどの場で活動する定期的な機会とな っている。

図 27 アート部門のメンバーによるライブペイント(2011年58日)

図 28 アート部門のメンバーによる大喜利(2014年1125日)

ライブの構成も年月が経つ中で変わりつつある。詩の朗読パフォーマンスは以前は毎回のよう に行われていたが,詩の朗読パフォーマンスを行う人も少なくなり,あまり行われなくなってきた。

一方でスポットライトステージというひとりのパフォーマーがひとつの企画を行うという時間が設けら れるようになり,アート部門のメンバーが自作の紙芝居を用いたパフォーマンスを行ったり,そこに 経験談なども織り交ぜてイベントを進行していく姿も見受けられている。このように,ライブの構成 が音楽や自作詩朗読に限らない形になる中で,アート部門のメンバーのライブ出演の機会が増え つつあるように感じられる。

ライブのエンディングには,前回のライブから当日のライブの月の間に誕生日を迎える観客がス テージに招かれる。同じ期間に誕生日を迎えるメンバーも紹介され,純名さんのオリジナルの誕 生日を祝う歌を交えて,出演者と共に,誕生したことを祝いライブを終了するのが恒例となってい る。

K-BOX のライブは比較的小規模であり,その分,通年にわたり数多くなされている。ライブでは

季節感豊かな演出がなされる。例年,その時期ごとに,バレンタインデーの話題がトークにのぼり,

春には桜が会場に飾られ,ハロウィンやクリスマスの季節には,そうした季節にあったセッティング や衣装が設定される(図 29)。

図 29 ハロウィンの演出(2010年113日)

K-BOX のライブには,隔月程度の頻度で行われる定例ライブ以外にも,朗読や音楽などに特

化した企画ライブがある。たとえば,先にも挙げたようにMaking the Roadというミュージック部門の パフォーマーによる音楽に特化したライブが行われ,毎年の定例イベントになりつつある 58。同様 に朗読分野では「魂の朗読会」(2011年9月19日など)というイベントが,アート部門のメンバーに よる「トークライブ&爆笑お絵かき大喜利!」(2014年11月25日など)などが行われている。夏(8 月)と冬(12 月)には,外部からゲストを招いてのスペシャルライブが例年開催される。ゲストは,県 内で音楽活動やパフォーマンス活動を行っている人々が中心となるが,県外から招かれることもあ る。ゲストも複数回呼ばれ,K-BOXになじみ深い人もいれば,そうでもないひともいる。Kaccoさん が似顔絵ライブなどの活動をする中で知り合ったパフォーマーが呼ばれることもある。先回のスペ シャルライブでは,ステージマジックやピアノ演奏などの活動を行っている人がゲストとして招聘さ れた。ゲストも様々な病気や生きづらい経験を抱えていることも多く,トークではゲストの病気や生 きづらい経験の体験談が語られることも多い。

こわれ者の祭典と異なり,ライブの後の交流会が設定されているわけではないが,年 2 回のス ペシャルライブの後には,交流会が行われる。そこでは,観客,メンバー,ゲストが参加する。会場 は新潟駅近くのなじみの居酒屋を貸し切って行われる。交流会がはじまってしばらくすると,ギタ ーがメンバーやゲストをはじめとして様々な人に手渡されながら,会場で演奏されたり,歌が歌わ れたりするのが恒例になっている。ライブはメンバー自身の手により運営されている。会場の設営 や機材の管理もメンバー自身が行っている。また,Kacco さんのマネジメントやメンバーのメイクな どのサポートしているスタッフのように,パフォーマンスをするわけではないが運営を継続的にサポ ートしている人もいる。こわれ者の祭典は,少数のメンバーがイベントがある際に集まり,活動して いくような形に対し,K-BOX はライブ回数も多く,後述するレッスンなどライブ以外でメンバー同士

58 先ほど挙げた2012年7月22日以外にも,2010年7月18日, 2011年7月24日にも行われてい る。

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