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ライブ活動以外の活動

ドキュメント内 JAIST Repository https://dspace.jaist.ac.jp/ (ページ 107-111)

第 3 章 表現活動の実際

3.2 K-BOX

3.2.4 ライブ活動以外の活動

(1) レッスン

K-BOX の活動は,ライブ活動と,毎週日曜日昼から夜(13 時から 21 時位)にかけて行われて

いるレッスンという練習の機会が柱となっている。レッスンは福祉会館にて,ライブの会場となって いる視聴覚室や,ほかピアノが利用できる部屋などが借りられ行われる。公民館などの一室が用

61 なお,チャリティライブの結果,111,293円の義援金が集まり,2011年9月27日に日本赤十字社新 潟県支部に寄付された(2011年9月27日配信K-BOXメールマガジンなどより)。

いられることもある。レッスンの場ではそれぞれのメンバーがパフォーマンスに向けての練習や作 品作りを行い,お互いに意見を交換したり,代表の Kacco さんにアドバイスをもらったりする(図 33)。また,定例ライブほかイベントに向けての事務的な作業や,企画についての話し合い,新メ ンバーの自己紹介などがなされる。

図 33 曲作りを行うMerry’z(2012226日)

レッスンは,パフォーマンスの質を高めあい,メンバー同士が定期的に集まれる機会となってい る。こわれ者の祭典は,事前に打ち合わせなどは行われるが,毎週のように定期的に集まる機会 はなく,作品の制作やパフォーマンスの練習も個々の表現者によって基本的には進められており,

こうしたレッスンの場があることは,K-BOXの特徴となっている。

(2) 楽曲提供・出版・展示・テレビ出演など

K-BOXのメンバーはレッスンやライブ活動を中心に様々な活動を行っている。前述したように,

音楽部門のメンバーが生みだした曲は,ひきこもりアートフォーラムや長岡市民活動まつりといっ た活動のテーマソング,通信制高校サポート校の校歌などして活用される場合がある。こうした活 動は,ライブ活動とは違ったプロダクションとしてのK-BOXの活動としてとらえられる。そうして作ら れた作品については,以下のようにライブで説明される時がある。

純名:「ひきこもりアートフォーラム はじめの一歩展」というイベントの第1回からK-BOXは ライブのほうで歌わせていただいてるんですけども,今年このアートフォーラムも第5回 目ということで,(略)テーマソングを作らないかというお話をいただきまして,私たち K-BOX の中から,先ほど歌った Merry’z さんと,それから私と,曲を 3 曲出したんです ね。

で,どの曲がテーマソングに,1曲選ばれるという話だったので,どれが選ばれるんだ

ろうなと思ってたら,先日やっとその結果が届きまして,なんと何らかの形で 3 曲ともす べてがこの「ひきこもりアートフォーラム はじめの一歩展」の曲に使われることに決まり ました。(略)1曲目が「命の勲章」という曲です。この曲は,どんなことがあっても,それ はみんな自分の中の勲章。どんな人生も誇れるものなんだよという思いで書きました。

その次歌わせていただくのが「はじめの一歩」という曲です。この曲の中にも 1 曲目の

「命の勲章」と同じく,どんなことにも意味があるんだよというメッセージをメインに詩を書 いて曲を付けました。(2012年4月15日,ライブ時トークより)

なお,純名さんは新潟県内のいわゆるご当地ゆるキャラのテーマソングをつくっている 62。その 一部は,純名さんが制作した CD,「愛 Love・・・」に収録され,その CD はイベント会場や,道の 駅63などで販売されている。また,パフォーマンス活動を競うテレビ番組に出演し(2012年9月),

それに関連したソロライブもなされたこともある(2012年9月8日)。このようにライブの場以外に楽 曲提供したりテレビ番組に出演したりといった活動がK-BOXメンバーの一部ではなされている。

アート部門のメンバーの作品は,K-BOXのライブで展示されたり,イベントで展示されたりする。

新潟市の地下街でトークライブが行われた際には,そこに出演した Renka さんの作品が展示され,

観客は自由に鑑賞できるようになっていた(図 34)。また,新潟市のイベントであるひきこもりアー トフォーラムへの出品や,チャリティーライブの一環として展示がなされたこともあった64

図 34 トークライブで展示されるRenkaさんの作品(2012年310日)

62 2013 年に,新潟県長岡市栃尾地域のキャラクターである「あぶらげんしん」のテーマソングを,2014

年には新潟県胎内市のキャラクターである「やらにゃん」の公式ソングを提供している。

63 地域(長岡市栃尾地域)のキャラクターのテーマソングを含む楽曲を収録した CD で栃尾の道の駅 で販売されている。

64 2011年7月3日から 31日にかけて新潟県燕市のギャラリーでなされたK-BOX主催のチャリティ

ーアート展など

パフォーマンス部門に所属していたいっしーさんは,地下鉄サリン被害や躁うつ病の体験などの 自らの経験を記した記した本を出版(いっしー 2010)し,イベント会場などで販売している。このよ うに表現者はK-BOXを起点としてライブ及び,その他の形をとりながら活動の幅を広げている。

3.2.5 「こわれ者の祭典」との関係

K-BOXは「こわれ者の祭典」とは別の団体,活動であり,それはK-BOXを主催するKaccoさん

が強調するところでもある。Kacco さんは,自身が K-BOX の代表であり,かつこわれ者の祭典の 副代表を務めるという双方の活動のキーパーソンとなっていること,双方とも当事者による表現活 動であることなどもあり,こわれ者の祭典と同じように思われることもあるがそうではない,との思い を持っていることを語っていたことがあった(2013年8月13日,聞き取りより)。 「こわれ者の祭典」

と「K-BOX」は双方とも新潟市を中心的な活動の場としており,病気やひきこもりなどの経験を有 する人々がパフォーマンスをする。しかしながら,違いもあり,たとえばメンバーの数やメンバーの 入れ替わり方などが異なる。こわれ者の祭典は,短期的なメンバーの変化はなく,長期的に変化 がみられるのに対し,K-BOX ではフィールドワーク期間を通して,メンバーが変わりゆく様子が 度々みられた。離れていく人も,新規に入ってくる人も双方 K-BOX では見受けられた。パフォー マンスの内容も類似している点も多いながら,こわれ者の祭典が直接的に病気の経験をトークや パフォーマンスで表現していくのに対し,K-BOX では,必ずしも病気や生きづらさが直接的に表 現されるわけではない音楽やアートの分野に活動の幅を広げているなどの違いが見受けられる。

また,メンバー同士が会う頻度や,一種家族のように感じられるつながり方は K-BOX に特徴的な ところかもしれない。

こわれ者の祭典とK-BOXは共通点も多いものの別の活動であることは,双方のメンバーに認識 されている。活動は基本的には別個に行われているが,こわれ者の祭典,K-BOX 双方の表現者 が共に出演するイベントが行われることもあった65。このイベントでは,こわれ者の祭典の新潟公演 にて司会を担当している江口さんや松井さんが司会を担当した。こわれ者の祭典からは月乃さん や脳性マヒブラザーズ,オーディションメンバーであるYOPPYさん,K-BOXからはKaccoさんや 純名さん,タナベ―さん,が出演していた。組織としては,脳性マヒブラザーズは,こわれ者の祭典 のメンバーであり NAMARA所属の芸人,Kaccoさんは,こわれ者の祭典の副代表かつ K-BOX

65 2011 年には,こわれ者の祭典のボランティアスタッフとして活動している丸山さんの企画の元,

(2011年4月23日「伊達直人チャリティライブ」が行われた。「伊達直人」は漫画タイガーマスクの主 人公の名であり,ライブが企画・実施される時期に,「伊達直人」を名乗る人からの贈り物が児童施 設などに届けられる事象が相次いだことにちなんでいる。

の代表,というように所属している組織が個人においても混交している状況にあった。このように,

双方の表現者が出演するイベントもあれば,純名さんがこわれ者の祭典においても Kacco さんの 朗読のピアノ伴奏として出演したように(2009年2月28日,こわれ者の祭典福島公演),こわれ者 の祭典のイベントにおいてK-BOXのメンバーが出演することもある。K-BOX のメンバーである発 達障害の当事者であるなみなみさんがこわれ者の祭典にゲストとして出演したこともある(2014 年 9月21日など)。逆に,K-BOXのライブに脳性マヒブラザーズが出演したこともある(2009年9月 12 日)。そして,パフォーマンスするのみではなく,K-BOX のライブにこわれ者の祭典のメンバー が観客としてみにくる,そしてステージに上がるといったこともあった(2011年12月18日)66

こわれ者の祭典の2012 年9月16日の10 周年イベント「10周年記念「こわれ者の祭典」ダイ ナマイト!(新潟)」は,構成プログラムも多く,規模の大きなイベントとなっていることから,多くのス タッフを必要としていた。このイベントにおいては,K-BOX,こわれ者の祭典双方に深く関係する

Kaccoさんの呼びかけにより,K-BOXのメンバー数人が 67,スタッフとして協力し,運営前の会議

に出席したり(2012 年 8 月 22 日など),当日のボランティアスタッフとして活動していた。このよう に,それぞれ別個に活動しながらも,それぞれのメンバーが共同してパフォーマンスを行ったり,

それぞれのイベントに参加したり,それぞれの活動を手伝ったりと様々な形で交流がなされている。

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